【起業家必見】エンジェル投資家とは?資金調達の成功まで徹底解説

事業を立ち上げたものの「実績がないから銀行に融資を断られた」「資金調達がうまくいかない」そんな課題はありませんか。創業間もない企業の多くが直面する課題に、資金調達の壁があります。
このような状況を打開する手段として「エンジェル投資家」からの支援を選択肢の一つとしてみましょう。エンジェル投資家は、将来性のある起業家やビジネスアイデアに対して個人で投資を行う投資家のことです。
この記事を読めば、エンジェル投資家がなぜスタートアップに不可欠な存在なのか、そしてどのようにして彼らと出会うのか、その方法も分かります。起業を成功に導くための新たな方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. エンジェル投資家とは?定義と役割
エンジェル投資家は「資金が足りない」「経営ノウハウがない」「人脈が乏しい」という起業家の課題を解決してくれる存在です。ここでは、エンジェル投資家の基本的な定義や投資を判断する基準について解説します。
また、資金提供・経営支援・人脈紹介という主要な役割だけでなく、実際にエンジェル投資家から支援を受けた具体的な事例を見ていきましょう。
エンジェル投資家の基本的な定義
エンジェル投資家とは、スタートアップの初期段階で資金提供を行う個人投資家のことです。もともとは、欧米で劇団や役者を支援する「エンジェル」という言葉が語源となり、1980年ごろからは起業家に投資する人を指すようになりました。
通常の金融機関とは異なり、まだ収益が出ていない企業や実績の少ない起業家に対しても投資を検討するのが特徴です。数百万円から数千万円規模の出資を行い、見返りとして企業の株式を受け取ります。
その後、企業が成長・上場した際に株式の売却益や配当金を得ることが目的です。銀行融資が困難な創業期の企業にとって、エンジェル投資家は貴重な資金の調達先といえるでしょう。
エンジェル投資家が果たす役割(資金提供・経営支援・人脈紹介)
エンジェル投資家が果たす役割は、資金提供だけではなく、経営支援や人脈紹介まで行うのが特徴です。たとえば資金提供の場合、数百万円から数千万円規模の出資を行いますが、銀行融資と異なり返済義務がありません。
また、経営支援では、エンジェル投資家自身が起業経験を活かした事業戦略、マーケティング戦略の立案までアドバイスするケースもあります。さらに、人脈紹介では、業界内外のネットワークを通じた取引先の紹介や、別の資金調達先を紹介してもらえるケースもあります。
エンジェル投資家を選ぶ際は、資金の支援以外の「付加価値」にも目を向け、自社の弱みを補ってくれるようなパートナーを見つけましょう。
エンジェル投資家が注目する企業の特徴とスタートアップ支援事例
エンジェル投資家は、事業計画の優位性だけでなく、経営者自身の資質や明確な成長戦略にも注目しています。まだ実績のない段階では、数字で表せない部分が投資の可否を分ける最も重要な要素となるからです。
成功事例を見ながら、その特徴を確認してみましょう。
1.メルカリ
フリマアプリを運営する「メルカリ」では、サービス創業からわずか3ヶ月半でエンジェル投資家から5,000万円を調達しました。
創業者の過去の成功経験によって投資家の信頼を勝ち取り、2018年に東証マザーズへ上場を果たし、初日の終値では7,100億円を超える時価総額を記録しています。
2.Uber
ライドシェアサービスを提供する「Uber」は、革新的なビジネスモデルが評価された事例です。エンジェル投資を基盤に世界中にサービスを展開し、ライドシェア市場で圧倒的な地位を築きました。
3.ラクスル
印刷業界に革新をもたらした「ラクスル」は、出資と経営支援を受けることで事業の多角化を実現しました。ネット印刷から広告プラットフォーム事業や物流プラットフォーム事業まで展開しています。
エンジェル投資家からの出資を目指すには、事業計画以外にも経営者の経歴や熱意、将来の成長ビジョンを具体的に示すことが不可欠です。
2. ベンチャーキャピタルとの違い
資金調達を検討する際、エンジェル投資家以外にもベンチャーキャピタルといった選択肢があります。それぞれに特徴や適用条件が異なるため、自社の状況に最も適した方法を選ぶことが重要です。
投資のタイミングや金額規模の違いを解説するだけでなく、銀行融資など他の資金調達方法との比較について確認していきましょう。
エンジェル投資とベンチャーキャピタル投資の違い(投資タイミングや金額規模等)
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルは、投資タイミング、金額規模、意思決定プロセスなどの点で異なります。
たとえば、エンジェル投資家の投資タイミングは、商品やサービスがまだ形になっていない「プレシード」や事業立ち上げ初期の「シード」といった段階です。一方、ベンチャーキャピタルはシリーズAと呼ばれる、本格的な成長資金調達ラウンド以降が一般的といえるでしょう。
また、エンジェル投資家は、数百万円から数千万円程度の投資を行うのに対し、ベンチャーキャピタルは数億円単位での規模の大きな投資が可能です。
さらに、エンジェル投資家は個人的判断や起業家の情熱を重視して迅速に決定しますが、ベンチャーキャピタルは、チームによる厳格な審査プロセスを経て投資判断を行います。
銀行融資・ファンド等その他の資金調達方法との比較
スタートアップ資金調達には、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの支援以外にも銀行融資、助成金、クラウドファンディングなどが挙げられます。
銀行融資では返済義務がある一方、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから受ける資金調達は「出資」であるため返済は不要です。また、助成金・補助金の場合は、返済不要であるものの審査が厳しく、クラウドファンディングでは手数料が発生する場合もあります。
融資では金利負担があるものの経営権を維持でき、出資では返済義務がない一方で将来の経営権に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
エンジェル投資家・ベンチャーキャピタルとの関わり方(支援内容・関係性)
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルは、投資先企業との関わり方や支援内容において異なる特徴があります。
エンジェル投資家は、個人投資家として指導やメンターシップを提供し、自らの経験やネットワークを活用してスタートアップを支援します。
ベンチャーキャピタルは、組織として戦略的なアドバイスの提供や取締役会への参加を通じて経営に関与することが一般的です。
エンジェル投資家が創業初期の細かな悩みに対応し、ベンチャーキャピタルが事業戦略など経営に大きな影響を与える支援を行う傾向があります。
3. エンジェル投資の仕組みとメリット・注意点
エンジェル投資家と関係性を持つことは、起業家と投資家の双方にメリットがある一方、注意点があることも理解しておかなければなりません。株式取得やエンジェル税制といった具体的な出資の仕組みや、返済不要の資金や経営支援など、起業家側が享受できる点を確認しておきましょう。
出資の仕組み(株式・新株予約権・エンジェル税制等)
エンジェル投資では、投資家が出資する対価として企業は株式を渡します。出資方法としては、株式投資、新株予約権、税制上の優遇措置としてはエンジェル税制などが挙げられるでしょう。
まず、株式投資では、投資家が企業の普通株式を直接取得し、投資額に応じて持分比率が決定される仕組みです。将来的な企業価値向上による株式売却益を期待する、最も一般的な投資形態といえます。
次に、新株予約権は将来特定価格で株式を取得できる権利のことで、成長段階に応じた柔軟な投資手法として活用されています。さらに、エンジェル税制は個人投資家への税制優遇措置で、投資元年の所得控除や株式譲渡益の繰延などの恩恵を受けられるでしょう。
事業の成長段階や資金需要に応じて最適な出資形態を選択し、法的専門家と相談しながら契約を締結することが重要です。
資金調達を受ける側(起業家)のメリット
エンジェル投資家からの資金調達を受けるということは、起業家にとって資金面以外にも多くのメリットをもたらします。
中でも最大のメリットは、返済義務のない資金調達です。銀行融資と異なり、事業が失敗しても個人保証による返済リスクがないことで、安心して事業に集中できます。
また、エンジェル投資家の多くは元起業家や業界経験者であり、豊富な経験とノウハウを提供も期待できるでしょう。
さらに、ネットワーク効果も見逃せません。投資家が持つ人脈を通じて、顧客候補、パートナー企業、次のラウンドの投資家などとの出会いが生まれます。
著名なエンジェル投資家からの投資は信用力の向上につながるだけでなく、今後の資金調達や事業提携が円滑に進む可能性が高まるでしょう。
出資を受ける際の注意点やリスク(経営権・情報開示等)
エンジェル投資家からの出資にはメリットがある一方で、注意点やリスクも存在します。
最も重要な注意点は経営権の希薄化です。出資と引き換えに株式を提供するため、創業者の持株比率が減少することで、将来的な経営判断に影響を与える可能性があります。
投資家によっては取締役会への参加や重要事項の決定に関与を求める場合があるなど、経営の自由度が制限される可能性もあるでしょう。
さらに、情報開示義務も重要なリスクです。投資家に対して定期的な業績報告が求められ、機密情報の管理や競合他社への情報漏洩リスクが生じます。
契約条件では株式の希薄化防止条項や情報開示の範囲を明確にし、法的専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。
4. エンジェル投資家と出会う方法・成功のポイント
起業家にとってエンジェル投資家との出会いは、事業を軌道に乗せるための重要な要素といえます。適切な手段で投資家にアプローチし、魅力的な提案を行うことで、資金調達の成功確率を大幅に向上させることも可能です。
ここでは、エンジェル投資家に出会うための具体的な手段について解説していきます。マッチングサービスや紹介事例、さらには出資を受けるための準備や成功のコツについても見ていきましょう。
エンジェル投資家に出会うための代表的な手段(ネットワーキング・クラウドファンディング等)
エンジェル投資家と出会うためには、主に「知人からの紹介」「イベントへの参加」「マッチングサイトの活用」という手段が考えられます。
中でも、最も効果的といえるのは「ネットワーキングイベントへの参加」です。スタートアップピッチイベント、業界セミナー、起業家交流会などでは、投資に積極的なエンジェル投資家と直接対話する機会があります。
他には、既存の投資家や起業家からの紹介も重要で、信頼関係に基づいた紹介によって成功率を向上させることも可能です。また、オンラインプラットフォームの活用も挙げられます。
一つの方法に固執せず、自身の状況に合わせて手段を使い分けることがおすすめです。
エンジェル投資家とのマッチングサービス・紹介事例
エンジェル投資家と出会うためには、様々なオンラインのマッチングサービスを活用することが有効な手段といえるでしょう。
ここではいくつかのプラットフォームの紹介と、実際の例を解説します。
1.ANGEL PORT
Facebookの個人認証で登録利用でき、エンジェル投資家と起業家全員が実名で信頼度が高いサービスです。起業家は、出資相談以外にも経営のノウハウをエンジェル投資家に聞けるなどのメリットがあります。
2.StartupList
日本最大級のマッチングプラットフォームで、厳正な審査を通過した3,000名以上の投資家からコンタクトオファーを受けることが可能です。さらには、エンジェル投資家だけではなく、VC・CVCともマッチングできます。
3.Founder
起業家の登録数3万人以上を誇る、日本最大級のエンジェル投資家とのマッチングに特化したサービスです。誰でも事業計画を提出でき、マッチングしていない投資家でも事業計画に対するコメントができる仕組みとなっています。
実際に、株式会社FP-MYSの代表取締役が、Founderを利用して約2週間のスピードで資金調達を成功させました。
出資を受けるための準備・成功のコツ
エンジェル投資家からの出資を成功させるには、以下で説明する3つのポイントを押さえることが重要です。
1.事業計画の準備
まず、説得力のあるビジネスプランが求められます。市場規模、競合分析、収益モデル、成長戦略を明確に示し、投資家が理解しやすい形で整理しておきます。3分程度の簡潔な内容で事業の魅力を伝えられることが必要です。
2.出口戦略の明確化
投資家がリターンを得るための道筋であるIPOやM&Aといった出口戦略を具体的に示しましょう。その際、資金使途と具体的な事業計画も併せて策定することが不可欠です。
3.熱意と信頼関係の構築
事業内容を説明するだけでなく、なぜこの事業を成功させられるのかという強い想いを伝えることも求められます。また、取引後も定期的な進捗報告や相談を通じて信頼関係を築き、長期的なパートナーシップを目指しましょう。
5.まとめ
エンジェル投資家は、創業間もない企業にとって単なる資金提供者という存在ではありません。関係を築くことによって、返済義務のない資金調達、実践的な経営指導、貴重な人脈の活用という三重のメリットを得られるからです。
ただし、株式の希薄化や経営の自由度に対する制約もあるため、メリットとリスクを正しく理解し、自社の状況に最も適した投資家を選択しましょう。なお、人脈の活用や業界イベントへの参加、オンラインプラットフォームの活用などを組み合わせることが投資家と出会う方法といえます。
スタートアップとして資金調達を検討している起業家は、エンジェル投資家と関係を構築するためにも、すぐにでも行動を開始することをおすすめします。
中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。
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