「食料品消費税ゼロ」は2026年中に実施される?高市新内閣が掲げる物価高対策の政策目標を徹底解説

2026年2月に実施された衆院選は、冬季のため天候の影響や前回の衆院選から1年数ヶ月しか経過していないことなどが懸念されましたが、結果的には高市早苗首相が率いる自民党は歴史的圧勝を収めました。
高市内閣は物価高対策として、消費税や所得税の減税、給付金の支給などを政策目標に掲げていました。選挙では自民党が与党として衆院の過半数を獲得したため、今後は国民の支持を背景にさまざまな政策が実現すると期待されています。
本記事では、2026年2月の圧勝を受けて発足した新内閣の経済政策や生活への影響について解説します。
1. 2026年2月衆院選と新内閣発足の経緯
2026年に実施された衆院選は自民党が465議席中316議席を獲得する結果となりました。単独の政党が衆院において3分の2の議席を取るのは戦後初めてのことです。
ここでは、自民党が歴史的勝利を収めた背景や新内閣発足の経緯について紹介します。
自民党が316議席を獲得して歴史的圧勝した背景
2026年1月23日に高市早苗首相は衆議院の解散を宣言したため、翌2月8日に衆院選の投開票が行われました。結果は、自民党が公示前の198議席から118多い316議席を獲得し、全465議席のうち3分の2を占める結果となりました。
自民党がここまで多くの議席を獲得できた背景には、高市首相への支持率の高さが挙げられます。高市首相は就任以来、物価高対策に取り組み、ガソリンの暫定税率の撤廃や2025年度補正予算などの政策を実現させてきました。
また、高市首相はさまざまな物価高対策を衆院選の公約として挙げています。物価高は特に国民の関心の高い問題であるため、2025年10月の就任以来次々と政策を実行してきた高市首相への期待が自民党の歴史的大勝につながったといえるでしょう。
第2次高市早苗内閣が掲げる「責任ある積極財政」の基本方針
第2次高市早苗内閣では「責任ある積極財政」を基本方針としています。
そもそも日本は、社会保障費を含む政策実行に必要な経費が、税収などによる収入を上回っている状態が続いており、不足分を国債発行などで補っている状況です。そのため、財政健全化が進むよう緊縮財政が望ましいとされてきました。
一方、高市内閣では経済成長を促すため、あえて財政支出を増やす方針を取ります。特に国民の所得増加や企業の収益改善につながる政策を実行することで、経済成長を促すのが狙いです。
もちろん、財政支出の増加により政府債務残高が増え続けることは望ましいことではありません。しかし、積極財政により経済が成長すれば税収が増えるため、結果的に政府債務残高の対GDP比は下がると考えられます。
これが高市内閣における「責任ある積極財政」の意味です。
選挙の最大争点となった「食料品消費税ゼロ」公約の実現可能性
高市首相は「2年間の食料品消費税ゼロ」を衆院選の公約として掲げました。今回、自民党が多くの議席を獲得したため、公約の実現可能性は高いといえます。
選挙の結果を受けて高市首相は、消費税減税について国民会議での議論や検討を加速すると発言しました。なお、高市首相は、食料品の消費税減税を2年の期間限定としたい方針です。しかし、野党の間では恒久的に0%とする案や、食品に限り5%とする案もあります。
国民会議が2026年春頃に発足すると仮定すると、2026年秋に招集される臨時国会で消費税減税に関する法案が提出される可能性があります。その場合、早ければ2026年度中、または2027年度から食料品の消費税ゼロが実現するかもしれません。
2. 物価高対策で家計の負担はいつ・いくら軽くなる?
高市内閣では物価高を重点課題として取り組んでおり、2025年10月の首相就任以来、さまざまな政策を実行してきました。
ここでは、2025年末に実現したガソリンの暫定税率廃止や今後予定されている電気・ガス料金の支援など高市内閣の物価高対策について、内容や具体的な家計の負担軽減額などを紹介します。
ガソリン税暫定税率の廃止で年間約1万2千円の軽減効果
ガソリン税暫定税率とは、道路インフラの整備・保守などを目的にガソリンに課されていた税のことです。ガソリンの暫定税率は、2025年12月31日に廃止されたため、1Lあたり25.1円(消費税を含めると27.6円)の値下げとなりました。
同様に、軽油についても2026年4月1日から軽油引取税が廃止される予定です。各家庭のガソリン・軽油の使用量や原油相場の動向によっても異なりますが、家計への影響は年間約1万2千円の負担減と試算されています。
電気・ガス料金支援で2026年1〜3月に約7,000円を補助
2026年1~3月の3ヶ月間、電気・ガス料金の支援が行われます。引き下げ幅は、1月・2月使用分が電気料金1kWhあたり4.5円、都市ガス1㎥あたり18円、3月使用分は電気料金が1.5円/kWh、都市ガス料金は6.0円/㎥です。
電気・ガスの使用状況やエネルギー価格の動向によるものの、1家庭あたり7,000円程度の負担軽減になる見込みです。
「おこめ券」配布による食料品支援で1人3,000円相当を受給
物価高の中でも、特に食料価格の高騰は国民生活への影響が大きいため、1人3,000円相当の「おこめ券」を配布する案が検討されています。おこめ券はスーパーなどでお米の購入に使える商品券です。
なお、おこめ券の配布は2025年11月に閣議決定されており、早ければ2026年春頃に地方自治体を通じて配布されるでしょう。
ただし、すべての自治体がおこめ券を配布するとは限らないことに注意が必要です。地方自治体から配布されるおこめ券の財源となるのは、重点支援地方交付金です。
物価高による影響は地域によって異なるため、全国一律の支援の代わりに各自治体が地域の状況に応じてきめ細やかな支援を実施するほうが効果的だと考えられます。そのため、高市内閣では2兆円を重点支援地方交付金として地方自治体に交付することとしました。
したがっておこめ券ではない方法で、重点支援地方交付金を活用することを検討している自治体もあります。ニュースを定期的にチェックし、お住まいの自治体での給付内容や給付方法、対象者などをチェックしましょう。
3. 税制改正で手取りが増える「年収の壁」178万円への引き上げ
税制改正により2026年は「年収の壁」が178万円へ引き上げられます。これにより多くの人の手取りが増える見込みです。
ここでは、基礎控除の拡大が減税につながる仕組みや年収別の減税効果のシミュレーションなどを紹介します。
基礎控除の物価連動引き上げによる実質的な減税効果
所得税がかかり始める年収(基礎控除と給与所得控除を合わせた金額)を年収の壁と呼びます。2025年に160万円に引き上げられた年収の壁は、2026年からは178万円へ拡大します。
基礎控除が物価に連動して58万円から62万円へ引き上げられるうえ、2027年までの2年間の時限措置で基礎控除が年収665万円以下は104万円、665万円超から850万円以下の人は67万円に増加するためです。
課税額は、収入から各種の控除を差し引いた金額に対して所定の税率を掛け合わせて決まるため、控除額が大きくなると実質的な減税効果が得られます。給与所得の基礎控除の特例も引き上げられるため、給与収入850万円以下の人は原則として減税になります。
年収別の減税効果シミュレーションで中所得層に最大の恩恵
2026年の税制改正による年収別の減税効果シミュレーションを紹介します。
| 年収 | 減税効果(目安) |
|---|---|
| 200万円 | 9,000円 |
| 400万円 | 8,000円 |
| 600万円 | 3万7,000円 |
| 800万円 | 8,000円 |
| 1,000万円 | 8,000円 |
2年間の時限措置ではありますが、年収850万円以下は基礎控除枠が拡大されます。年収475万円以下の人は、2025年より基礎控除枠の拡大が実施されているため、今回の税制改正は年収475万円超~665万円以下の中所得が最も大きな恩恵を受けられる設計です。
2026・2027年限定の特例措置から恒久化へ進む流れ
2026年2月時点では、基礎控除の104万円・67万円への引き上げは2026・2027年限定の特例措置とされています。
しかし、基礎控除の引き上げの目的が「年収の壁」見直しであることや、物価高対策の一環として行われていることを踏まえると、2028年以降も制度として恒久化する可能性はあるでしょう。
4. 給付金・子育て支援で誰がいつもらえる?
近年、物価高対策や子育て支援の手段の一つが対象者への現金給付です。高市内閣でも給付金や子育て支援の支給が予定されています。
ここでは、現在予定されている子どもを対象とする現金給付や今後導入が検討されている給付付き税額控除などについて紹介します。
子ども1人あたり2万円給付を2026年3月末まで支給
高市内閣では18歳未満の子ども1人あたり2万円の給付を2025年11月に閣議決定しました。
対象は、2025年9月30日時点で児童手当を支給されている子ども、ならびに同年10月1日~2026年3月末までに生まれる子どもです。2026年3月末までに保護者が児童手当の受取に指定している口座に振り込む方法で支給される予定です。
住民税非課税世帯への3万円給付と重点支援交付金の対象者
2024年11月に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」では、住民税非課税世帯を対象に3万円を給付することが含まれています。各世帯への給付は重点支援地方交付金を活用し、地方自治体を通じて行われます。
また、2025年度には重点支援地方交付金として地方自治体に約2兆円を交付することを含む補正予算案が承認されました。先に解説した「おこめ券」配布と同様、自治体を通じて生活支援などが2026年も実施される見込みです。
「給付付き税額控除」の導入検討で2027年以降の本格実施へ
「給付付き税額控除」とは、所得税の納税額が多ければ減税、少ない人や非課税の人は現金が給付することで、定額減税などと比べて公平な分配を可能にする制度です。
高市内閣では「給付付き税額控除」について、連立与党である自民党・日本維新の会を中心に議論が進められており、2026年より検討を開始しました。
2026年度中に具体案を取りまとめ、2027年以降の本格実施を目指すとしています。ただし、日本では初めて導入されるため実施には数年単位の時間がかかる可能性もあります。
まとめ
2026年2月に実施された衆院選における自民党の歴史的圧勝は、高市内閣の物価高対策への期待の表れと考えられます。新内閣では国民の支持を受けてスピード感を持って経済政策を進めていくとしています。
実際に、電気・ガス料金の支援や子ども1人あたり2万円の給付などは、2026年度中に実施の予定です。ただし、食料品の消費税ゼロ・給付付き税額控除など、一部の政策は今後、具体的な検討が進められるまで、実現には時間がかかるでしょう。
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