親のマンションを相続したら?そのまま自分が住むために必要な手続きと注意点

[取材/文責]マネーイズム編集部

生前親が住んでいた分譲マンションを相続し、そのまま自分が住むことにした場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。忘れてはならない相続登記を中心に、解説します。

親から相続したマンションに住むために必要な4つの実務

不動産の名義変更(登記)を行う

マンションに限らず、不動産(土地・建物)を相続したときには、法務局で名義変更(登記)を行わなくてはなりません。相続で発生する登記を「相続登記」といいます。2024年4月から、この相続登記が義務化されており、怠るとペナルティの対象になります。

相続登記の方法などについては、次項で説明します。

管理組合に連絡し、必要な手続きを行う

一戸建ての住居と違い、「集合住宅」である分譲マンションには、自治会や管理組合の下で、その規約や会合での決定などに基づいて、運営が行われています。相続により部屋の持ち主(区分所有者)が変わることを連絡し、規約にそった加入者名の書き換えなどを行います。

また、マンションでは、管理費や修繕積立金などの支払いが必要になるところも、一戸建てとの違いです。管理組合の説明を聞いたうえで、適切に対処するようにしましょう。

住宅ローンの状況を確認する

亡くなった親が組んでいた住宅ローンの状況を金融機関で確認します。分譲マンションのローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)に加入するのが普通です。加入していれば、残債がある状態で契約者である親が亡くなった場合、その分は保険金のかたちで金融機関に支払われるため、不動産を引き継ぐ子がローン残高を弁済する必要はありません。

ただし、保険金支払いの手続きは必要になりますから、金融機関に確認しつつ進めるようにします。

一方、親が亡くなった後に子どもが住むことを前提に、「親子リレーローン」を組んでいたような場合には、子どもがローンの残りを引き継がなくてはなりません。金額を調べたうえで、返済計画を再確認するのがいいでしょう。

公共料金などの名義変更を行う

電気、ガス、水道、固定電話などについては、自治体や事業者に連絡し、名義変更、料金引き落とし口座の変更を行います。不要なものについては、解約するようにしましょう。

故人の預金口座は、金融機関が死亡の事実を知ると、凍結されます。口座の変更を忘れていると、料金の引き落としができない結果、延滞金が発生したり、最悪、提供が止められてしまったりすることがありますから、注意しましょう。

相続登記の方法

登記を怠るとどうなる

不動産登記とは、法務局が保管する登記事項証明書に、その物件の所有者を記載する行為を指します。言いい方を変えると、そこに氏名が記載されることで、該当する不動産に対するその人の所有権が明確になるのです。所有者が変わるときには、新たに登記(相続の場合は相続登記)の必要があります。

相続登記を行わないと、仮にその不動産を売却しようと考えてもできません。さらに、2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した人は、3年以内に登記の申請を行わなくてはならず、正当な理由なくこれに違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。

相続登記に必要な書類

登記申請は、次のような書類を用意したうえで、法務局に出かけて行います。

書類名 内容・注意点
被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍 生まれてから亡くなるまでの間のすべての戸籍謄本が必要
被相続人の住民票の除票 または 戸籍の附票 登記簿上の住所や本籍地の記載があるものが必要
法定相続人の戸籍謄本・住民票 相続人であることを証明するために提出
遺産分割協議書 または 遺言書 遺産分割協議による相続の場合は遺産分割協議書、遺言がある場合は遺言書を用意
固定資産税の課税明細書 相続登記にかかる登録免許税の計算に必要
新たな所有者の住民票 登記名義人となる人の住民票
登記申請書 新たな所有者となる人が作成
委任状 司法書士などに登記を依頼する場合に必要

上記以外にも、追加の書類が必要となる場合があります。書類の種類が多く、手続きにミスがあったりするとやり直しも必要になるため、一度司法書士などの専門家に相談してみることをお勧めします。

相続したマンションには「賃貸」「売却」という選択もある

親が住んでいたマンションに自分も住む場合の手続きについて、説明してきました。ローンの心配がない「持ち家」を確保できるというのは、大きなメリットといえるでしょう。

一方、相続した不動産には、「人に貸す」「売却する」という選択もあります。それぞれのメリット・デメリットについても述べておきましょう。

マンションを貸す

部屋を人に貸せば、家賃収入が見込めます。所有権はそのままなので、将来的には自分で住んだり、売却したりすることも可能です。

ただし、思うように借り手が現れなかったり、家賃の滞納が続いたりすると、予定していた収入が得られない可能性があります。貸主に義務のある修繕や備品の交換などが必要になると、その都度費用が発生します。

マンションの場合は、他室のオーナーと「借りている人」との意識の違いから、トラブル(例えばゴミ出しや、共用部の利用方法などをめぐる揉め事など)になることもあります。そうしたことにも、「家主」として対応しなくてはなりません。

マンションを売却する

不動産を高く売ることができれば、まとまった収入を得ることができるでしょう。売却することで、先行き値上げされるかもしれない修繕積立金の支払いなど、マンション維持に関わる費用負担もなくなります。

他方、売却の場合にも、希望する価格で購入してくれる買い手が現れる保証はありません。売却益には譲渡所得税が課税されることも頭に入れておく必要があります。

まとめ

親が住んでいたマンションを相続し、そのまま自分が住む場合にも、必要となる手続きがあります。特に義務化された相続登記は、忘れず期限内に行うようにしてください。必要に応じて、相続に詳しい専門家に相談してみることをお勧めします。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

新着記事

人気記事ランキング

  • banner
  • banner