税金・公共料金をスマホで簡単支払い!キャッシュレス納付の方法とお得な使い方

[取材/文責]マネーイズム編集部

近年、税金や公共料金もスマホやパソコンを利用して現金不要で支払える「キャッシュレス納付」が広がっています。窓口や現金払いと比べ、時間や場所を問わず手軽に納付できるのが特徴です。

本記事では、キャッシュレス納付の仕組み、対象税金、主要な決済方法、手数料やポイント、注意点などをわかりやすく解説します。

1. キャッシュレス納付の基本知識と対応状況

近年は税金や公共料金も、スマホやパソコンから現金不要で支払える「キャッシュレス納付」が広がっています。従来の窓口・現金払いより手軽に利用できる点が特徴です。

ここでは、キャッシュレス納付の基本や対象となる税金、従来の方法との違いについて整理していきます。

キャッシュレス納付とは何か?政府の推進目標

税金の納付というと、金融機関や税務署の窓口に出向いたり、コンビニで支払ったりするのが一般的なイメージかもしれません。しかし、政府はもっと便利に、効率よく税金を納められるよう、キャッシュレス納付の推進に力を入れています。

背景には、納税者の利便性向上はもちろん、業務の効率化、そして感染症対策としての非接触対応の観点もあります。その一環として、2025年度(令和7年度)までにキャッシュレス納付の割合を全体の4割に引き上げるという目標が掲げられました。

これを実現するため、国税庁は日本銀行、地方税当局、金融機関などと連携し、キャッシュレス納付の利用促進や広報活動を進めています。

対応している税金・公共料金の種類

最近では、地方税でもキャッシュレス化が進んでいます。2023年4月からは「地方税統一QRコード」(※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です)が導入され、税金の納付がよりスムーズになりました。このQRコードを使えば、対応する金融機関だけでなく、スマホやパソコンから「地方税お支払サイト」にアクセスすることで納付手続きが可能です。

たとえば、以下のような税金がキャッシュレス納付に対応しています。
・市・県民税、森林環境税(普通徴収)
・固定資産税・都市計画税
・軽自動車税(種別割)
・国民健康保険税(普通徴収)
従来の納付方法にキャッシュレス決済が加わったことで、自分に合った納付スタイルを選びやすい時代になっています。

従来の窓口納付との比較とメリット

これまで税金の納付といえば、金融機関や税務署などの窓口に行き、現金を準備して支払うのが一般的でした。しかし、忙しい日々の中で、わざわざ窓口に行く時間を捻出するのは大変です。

キャッシュレス納付は、こうした従来の課題を解決します。時間や場所にとらわれず、より柔軟に税金を納められるのが大きな魅力です。

キャッシュレス納付の主なメリットは、現金の準備が不要で、自宅やオフィスから手続きが完結すること、パソコンやスマホで簡単に操作できることなどが挙げられます。忙しい日々の中でも、思い出した瞬間に自宅で納付ができるため、ありがたい存在といえるでしょう。

2. 主要なキャッシュレス納付方法と手順

キャッシュレス納付にもさまざまな方法があり、それぞれ特徴や操作手順、手数料が異なります。ここでは、代表的なキャッシュレス納付方法の概要と具体的な手順を解説し、利便性を最大限に活かすポイントを整理します。

クレジットカード納付の方法と手数料体系

クレジットカードによる納付は、税務署や金融機関、コンビニの窓口では利用できません。納付の際は、インターネット上の「国税クレジットカードお支払サイト」から、パソコンやスマートフォンを使って手続きする必要があります。

注意点として、クレジットカードでの納付には決済手数料が発生します。手数料は納付金額に応じて加算される仕組みで、たとえば税額が1万円までの場合は99円、それよりも1万円増えるごとに99円ずつ加算されていく仕組みです。

また、クレジットカードのポイントがつくかどうかはカード会社のルールによるため、詳しくはご利用のカード会社にお問い合わせください。クレジットカード納付は、手軽に行える一方で、手数料の負担がある点に注意が必要です。

QRコード決済(PayPay、d払い、au PAY等)の利用手順

スマートフォン決済アプリを使えば、税金を手軽に支払うことが可能です。d払い、au PAYなどさまざまな決済アプリがありますが、ここではPayPayを例に、基本的な流れをご紹介します。まず、アプリのホーム画面で「請求書/税金」をタップします。

表示されていない場合は、「おすすめ」タブを右へスクロールし、「すべての機能」から探すことも可能です。続いて、「請求書をスキャンする」の項目を選び、納付書に印刷されたバーコードやQRコードをカメラで読み取ります。

正しく読み取れれば、支払い内容が画面に表示されるため、金額と支払い方法を確認し、「今すぐ支払う」を押せば納付完了です。

バーコードの読み取りがうまくいかないときは、アプリを最新版にアップデートしたり、明るい場所で読み取ったり、スマホをバーコードに近づけて角度を変えたりなどの方法を試してみてください。バーコードに汚れや破損がある場合は、再発行を依頼するのも一つの方法です。

地方税統一QRコード(eL-QR)の仕組みと活用方法

2023年4月から導入が始まった「地方税統一QRコード(eL-QR)」は、固定資産税や自動車税などの地方税を、便利に納付できる仕組みです。納付書に印刷されたeL-QRをスマートフォンで読み取ると、「地方税お支払サイト」や決済アプリからのキャッシュレス決済が可能に。

また、eL-QRに対応した金融機関の窓口であれば、全国どこからでも納付可能です。この仕組みによって、納税者にとっての利便性が向上するだけでなく、金融機関側でも納付手続きの効率化が進み、全体としての納税業務のスマート化が期待されています。

3. 各決済方法の手数料とポイント還元の比較

キャッシュレス納付には、クレジットカードやQRコード決済、地方税統一QRコード(eL-QR)など複数の方法があります。それぞれ手順や手数料、利用できる場面が異なるため、仕組みを理解して自分に合った方法を選ぶことが大切です。

ここからは、代表的なキャッシュレス納付の方法について、具体的な手順や注意点を見ていきましょう。

国税・地方税の手数料率と計算方法

クレジットカードを使って国税や地方税を納付する際には、納付額に応じて決済手数料が発生します。たとえば、納付額が1万円までは99円、2万円までは198円、3万円までは297円と、1万円増えるごとに99円ずつ加算されていく仕組みです。

このため、高額な税金を納める場合は、手数料も比例して大きくなります。クレジットカードで税金を払うと便利さは増しますが、手数料がかかる点は押さえておきたいポイントです。

スマホ決済アプリのポイント還元率比較

最近はスマホ決済アプリでも税金を支払えるようになり、各社のポイント還元率を比べると違いがはっきり見えてきます。

たとえば、au PAYはチャージ時に最大1.5%の還元があり、楽天ペイでは楽天キャッシュへのチャージで最大2.5%の還元が可能です。FamiPayはチャージ時に最大1%に加え、決済時に一律で10ポイントが付与されます。

一方で、PayPayやd払いは、税金支払いに関して還元がつきません。どのアプリを選ぶかによって還元額が大きく変わるため、自分がよく使うサービスやポイントの使い道もあわせて考えるのがおすすめです。

損益分岐点とお得な決済方法の選び方

税金をクレジットカードやスマホ決済で支払うと、ポイントがたまる点は魅力です。もちろん、税額そのものが減るわけではありませんが、ポイントをキャッシュバックに充てたり、日常の買い物で使えたりする分、家計の助けになるでしょう。

ただし、注意したいのはカード会社やアプリごとの条件です。税金支払いは、ポイント付与の対象外となるカードや、通常のショッピングより還元率が下がるカードもあります。支払い前に、税金支払いがポイント付与の対象かどうか確認しておきましょう。

さらに、キャッシュレス納付には利便性という大きなメリットもあります。地方税お支払いサイトを利用すれば、金融機関やコンビニに出向かなくても、自宅からの納付が可能です。現金を用意する必要がないため、ATMの手数料を節約できる点も嬉しいポイントです。

また、クレジットカードの利用明細には支払った税金の内容や金額が記録されるため、家計管理がしやすくなるでしょう。もし急な出費で一括払いが難しい場合には、あとから分割払いやリボ払いに切り替えられるカードもあります。

ただし、これらを利用すると手数料や利息がかかるため、最終的な負担額をしっかり確認してから選ぶようにしましょう。

4. キャッシュレス納付の注意点と活用のポイント

キャッシュレス納付は便利な一方で、利用には制限や注意点があります。ここでは、コンビニやアプリ利用時の条件、領収証や証明書の反映タイミング、トラブルを防ぐための確認事項など、知っておきたいポイントを整理します。

利用時の制限事項と注意すべき点

キャッシュレス納付は便利ですが、注意すべき点があります。まず、コンビニで利用できるのは「バーコード付きの納付書」に限られ、1枚あたり30万円以下という制約があります。バーコードの印字がないものや、読み取りできないほど汚れている納付書は使用できません。

また、スマートフォン決済アプリを利用する場合は、事前にアプリをダウンロードしておく必要があります。アプリの通信料は自己負担となる点にも注意しておきましょう。

なお、納付書を使って支払う際は、必ず税務署から送付された正規の納付書を利用してください。コピーや会計ソフトで作成したものは、機械で正しく読み取れず、納付の確認に時間がかかるケースがあります。もし納付書を紛失した場合は、税務署や管轄の自治体(市役所など)で再発行してもらいましょう。

領収証の発行と納税証明書への反映タイミング

スマホアプリでの納付は手軽ですが、窓口払いと異なり領収証は発行されません。領収証が必要な場合は、金融機関やコンビニの窓口で支払いましょう。さらに、市町村で納付の確認ができるようになるまでには、10日から30日ほどかかることがあります。

急ぎで納税証明書などが必要な場合は、窓口納付を選ぶほうが確実です。また、地方税お支払いサイトは原則24時間利用できますが、システムメンテナンスで一時的に停止することもあり得るため、事前に運用スケジュールを確認しておくと安心です。

トラブル回避のための事前確認事項

キャッシュレス納付では、事前の確認がトラブル防止につながります。QRコードを読み取る際は、バーコードまで映り込まないよう注意し、枠内にQRコードだけを収めるようにしましょう。

また、同じ納付書を二度読み取ってしまうとエラーになったり、アプリごとに設定されている支払上限を超えると決済できなかったりするため要注意です。すぐに納税証明書が必要な人や、領収証が必要な人は窓口納付を選びましょう。

納付が完了すると取り消しはできないため、しっかり確認してから操作する必要があります。キャッシュレス納付はあくまで「手軽で便利」という特徴を活かし、証明書や領収証が必要なケースでは従来の方法を選ぶ、と使い分けるのがポイントです。

まとめ

キャッシュレス納付は、自宅やオフィスから手軽に税金を納められる便利な方法です。クレジットカードやスマホ決済、地方税統一QRコードなど複数の手段があるため、手数料やポイント還元の違いを確認して選択しましょう。

一方、利用上の制限や領収証・納税証明書の反映タイミングには注意が必要で、必要に応じて従来の窓口納付と使い分けると安心です。忙しい日々でも、スマホやパソコンから納付できるキャッシュレス納付を活用して、時間と手間を節約しましょう。

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