復興特別所得税は2037年まで!税率2.1%の仕組みと計算方法・実務まで解説 #知り続ける

[取材/文責]マネーイズム編集部

2011年3月に発生した東日本大震災は住民生活やインフラなどに甚大な被害をもたらしました。その復興を進めるため、期限付きで設定されたのが復興特別所得税です。普段意識することは少ないかもしれませんが、すでに開始から10年以上が経過している制度です。

この記事では復興特別所得税について制度の内容や仕組み、集められた税収の使い道を紹介します。また、会社員や個人事業主、給与計算担当者などの立場別に復興特別所得税の計算方法や納付方法を解説します。

1. 復興特別所得税とは?東日本大震災の復興財源として2037年まで継続

広い地域に大きな被害をもたらした東日本大震災からの復興を迅速に進めるには特別な財源が必要だと考えられたため、2013年から期限付きの措置として復興特別所得税が導入されました。

その結果、2037年までの期間限定で、東日本大震災の復興財源に充てる復興特別所得税として所得税の2.1%が上乗せされています。一方、同時に導入された復興特別法人税は、2014年に廃止となりました。ここでは復興特別所得税の制度について、内容や使い道、期限、復興特別法人税との違いなどを紹介します。

2011年公布・2013年施行、所得税に2.1%を上乗せする特別税

復興特別所得税とは、2011年3月に発生した東日本大震災からの復興の財源を確保するために設けられた特別税です。復興特別所得税の実施を含む特別措置法は国会での審議を経て2011年に公布され、2013年から施行されました。

所得税を納める義務のあるすべての人が対象で、通常の所得税に2.1%をかけた金額が復興特別所得税の額です。この措置は2013年から2037年までの25年間の期限付きです。

なお、復興特別所得税と同時に法人向けには復興特別法人税が整備されました。ただし、復興特別法人税の制度は2014年に終了しています。

年間約4,700億円の税収、被災地のインフラ整備・住宅再建に活用

復興特別所得税による年間の税収は景気動向などによっても上下するものの、2022年度には4,700億円程度となりました。これらの税収はすべて東日本大震災で被害を受けた地域の復興に使われるのが原則です。

以下は復興特別所得税を財源として実施された被災地のインフラ整備・住宅再建事業の例です。

・特定復興再生拠点整備事業
・放射性物質汚染廃棄物処理事業
・家賃低廉化・特別家賃低減事業

復興特別所得税の使途は復興庁のウェブサイトなどで確認できます。

課税期間は2037年12月31日まで、復興特別法人税は2014年に前倒し廃止

復興特別所得税の期限は2013年1月1日から2037年12月31日までと決められています。一部で期間延長を求める声はあるものの、前倒しで終了する方針はありません。一方、復興特別所得税と同時に開始した復興特別法人税については、もともと予定されていた期限が3年間と短かったうえに、期限を待つことなく2014年に廃止されています。

なお、復興特別法人税が廃止された理由としては代替財源確保のめどがたったことや、2014年4月に実施された消費増税(5%から8%への引き上げ)による消費減少の影響を和らげる必要があったことなどが挙げられています。

2. 復興特別所得税の計算方法と税率2.1%の仕組み

復興特別所得税は基準所得税額に税率2.1%をかけ合わせて計算されます。そのため、所得税納税額の大きい人ほど復興特別所得税も多くなる仕組みです。また、給与所得に限らず、株式の譲渡益など所得税が課せられる収入には復興特別所得税がかかることも押さえておきたいポイントです。

ここでは所得に対する復興特別所得税の計算方法や負担額の大きさを知るための具体的なシミュレーション、株式の譲渡益・配当金を得た場合の計算方法などを紹介します。

基準所得税額×2.1%の計算式、1円未満は切り捨て

復興特別所得税の計算方法は以下の通りです。

復興特別所得税 = 基準所得税額 × 2.1%

1円未満の端数が出た場合は切り捨てとなります。なお、基準所得税額とは、復興特別所得税を除く従来の方法で計算した所得税額のことです。

基礎控除・給与所得控除などの制度を使い、課税所得額がゼロになる人(所得税がかからない人)は復興特別所得税もかかりません。2026年の場合、基礎控除は最大104万円、給与所得控除は最低74万円へ引き上げられます。

そのため、収入が給与のみで、年収178万円(基礎控除・給与所得控除の合計額)以下の人は所得税・復興特別所得税のいずれもかからない可能性があります。

年収500万円の会社員の負担額シミュレーション

年収500万円の会社員を例にして、復興特別所得税による負担額を見てみましょう。給与所得控除の算出には国税庁から公表されている収入ごとの計算式のうち、年収500万円の方に当てはまる式(年収×20%+ 44万円)を用います。

基礎控除:104万円
給与所得控除:144万円(500×20%+44万円)
社会保険料控除(健康保険料、年金など):70万円

以上より課税所得金額は182万円 = 500 – 104 – 144 – 70

所得税率は5%のため、所得税額は以下の通りです。

9.1万円 = 182 × 5%

株式の譲渡益・配当金は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)に

株式の譲渡益や配当金にも所得税がかかるため、復興特別所得税の納税も必要になります。従来、株式の譲渡益や配当金に課せられる税率は所得税15%、住民税5%でした。

そのため、2013年から2037年の期間は所得税率15%に復興特別所得税の税率2.1%をかけ合わせた15.315%が適用されます。よって、株式の譲渡益・配当金の税率は合計20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。

なお、証券会社などにて特定口座を選択している場合、税金は譲渡益や配当金から差し引かれるため特に手続きは必要ありません。ただし、一般口座を選択している方は確定申告が必要です。

3. 会社員と個人事業主の納付方法と確定申告での記載方法

復興特別所得税は所得税と同様に源泉徴収の対象となります。一方、個人事業主や会社員でも確定申告をしている方は所得税額の計算や納付が必要です。

ここでは源泉徴収の対象(確定申告不要)の会社員、個人事業主、予定納税の対象となる個人事業主の3つのパターンに分けて復興特別所得税の納付方法を紹介します。

会社員は給与から源泉徴収、給与明細の「所得税及び復興特別所得税」欄で確認

会社員として働いている方は原則として給与から所得税が源泉徴収されているため、自身で復興特別所得税を計算したり納税したりする必要はありません。給与明細にある「所得税及び復興特別所得税」の欄に税額が記載されているため、気になる方は確認するとよいでしょう。

なお、会社員は毎年12月頃に会社が年末調整を行うため、特に理由がない限りは確定申告も不要です。

個人事業主は確定申告で所得税と併せて申告・納付、3月15日が期限

個人事業主は確定申告を通じて復興特別所得税の申告・納付が必要です。復興特別所得税の仕組み上、所得税額が確定しないと計算できないためまずは会計ソフトを使ったり、税理士に頼んだりして決算を行い、年間の収支を確定させましょう。

なお、所得税及び復興特別所得税の納付期限は確定申告の申告期限と同じく毎年3月15日です。あらかじめ資金に余裕を持っておきましょう。

納付方法は以下の通りです。ただし、納税額が30万円以上の場合、利用できない納付方法もあるため注意が必要です。

・振替納税(自動引き落とし)
・ダイレクト納付(銀行口座から即時引き落とし)
・インターネットバンキング
・クレジットカード払い
・スマホアプリ
・コンビニ払い
・現金払い(税務署や金融機関にて対応)

予定納税基準額15万円以上の場合、7月と11月に予定納税が必要

個人事業主として前年も確定申告した方は予定納税が必要になる可能性があります。予定納税とは、その年に納めることになる所得税および復興特別所得税の一部を、確定申告期限(翌年3月15日※)を待たずに、その年の7月と11月に前もって納付する制度です。
※2026年は15日が日曜日のため、3月16日(月)が期限となります。

前年の所得金額や税額などをもとに計算した予定納税基準額が15万円以上の人が予定納税の対象です。税務署から予定納税の対象となったと連絡が来た場合、拒否することはできません。

予定納税では予定納税基準額の3分の1ずつを7月と11月に納めます。前年の所得額や税額がある程度大きい方は予定納税の対象になる可能性があるため、資金の準備を進めておくとよいでしょう。

4. 経営者・給与計算担当者が知るべき源泉徴収の実務対応

従業員の給与から源泉徴収を行っている企業は、従業員に代わって復興特別所得税を納付したり年末調整を行ったりする必要があります。

ここでは源泉徴収の実務対応について、経営者や給与計算担当者が知っておきたいポイントを紹介します。

源泉徴収税額表を使用した所得税・復興特別所得税の合計額の計算

従業員に対して給与を計算して支払う立場にある人(経営者・給与計算担当者)は、所得税のほかに復興特別所得税も源泉徴収する義務があります。

国税庁では給与額などから源泉徴収税額を計算する方法として、従業員それぞれの所得税率に102.1%をかけ合わせる合計税率という考え方を示しています。

合計税率(%) = 所得税率(%) × 102.1%

例えば、ある月の給与に対する所得税額が1万円の場合、復興特別所得税と合計源泉徴収税額は以下のとおりです。

復興特別所得税:210円(1万円 × 2.1%)
合計源泉徴収税額:1万210円

年末調整での処理方法と源泉徴収票への記載

年末調整とはその年の1月から12月までの給与・賞与の総額から各種の所得控除を差し引き、所得税の過不足があれば12月または1月の給与で精算する手続きです。住宅ローン控除や生命保険料控除などの従業員からの情報提供が必要な所得控除もあるため、毎年11月頃に従業員から申告書を提出してもらい、手続きを行う企業が多いでしょう。

所得控除など、国税に関する制度は毎年改定されているため給与計算システムを導入している企業は最新のデータにアップデートしておくことが大切です。年末調整により1年間の給与・賞与の総額や納税額などが確定したら、源泉徴収税額に漏れなく記載して従業員へ交付しましょう。

納付期限と納付書の作成、1枚の所得税徴収高計算書でまとめて納付

会社で天引きした源泉徴収税額の納付期限は翌月10日です。所得税と復興特別所得税は1枚の所得税徴収高計算書にまとめて納付しましょう。ただし、従業員数の少ない企業は半年分ずつ、7月と1月の2回に分けて納付する特例が利用できることもあります。

まとめ

復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源を確保するために2013年から導入された税制度です。2037年12月31日までの期間限定で、所得税額に対して2.1%が上乗せされる仕組みです。

会社員の場合は、給与から所得税とあわせて源泉徴収され、年末調整で精算されるため、原則として自分で手続きを行う必要はありません。一方、個人事業主や確定申告を行う給与所得者は、確定申告の際に所得税とあわせて申告・納付が必要です。

復興特別所得税は所得税額に応じて負担額が決まるため、収入や各種控除の状況によって金額は変わります。制度の仕組みを理解し、自身の立場に応じた納税方法を確認しておくことが大切です。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

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