2027年1月開始「こどもNISA」とは?制度概要・ジュニアNISAとの違い・教育資金シミュレーションまで解説

2027年1月よりこどもNISAの開始が予定されています。保有期間や引き出し制限などが改良され、教育資金の準備や資産形成に興味のある家庭にとって使いやすい制度になる見込みです。
本記事では、2026年3月時点で公表されている情報を元に、こどもNISAの概要や活用法などを紹介します。
1. こどもNISAとは?2027年1月開始の新制度の全体像
投資による資産形成を後押しするために導入されたNISAは18歳以上が対象です。2023年のジュニアNISA廃止以来、17歳未満向けの投資制度はありませんでしたが、2027年からこどもNISAが開始することが決まりました。ここではこどもNISAについて制度の概要やメリットなどについて解説します。
2025年12月19日税制改正大綱で正式決定、0〜17歳が対象
0~17歳の子どもを対象とする新制度の開始が2025年12月19日税制改正大綱にて正式に決定されました。制度の名称はこども支援NISA(通称こどもNISA)といい、2027年1月より開始されます。
こどもNISAは2023年末に廃止されたジュニアNISAのように親などの保護者が子どものために積み立て投資できる制度です。新NISAなどと同様に運用益への課税(20.315%)が免除されるため、資産形成しやすい点がメリットです。
年間60万円・累計600万円の非課税投資枠、無期限保有で複利効果を最大化
こどもNISAでは年間60万円・累計600万円という非課税になる投資枠の上限が定められています。旧ジュニアNISAの年間80万円と比較すると投資枠は小さくなりましたが、新制度の投資枠を使い切るには毎月5万円ずつ、10年間の積み立てが必要です。ほとんどの家庭にとっては十分な金額だといえるでしょう。
また、旧ジュニアNISAには5年間の期限があったのに対し、こどもNISAで積み立てた資金は口座の名義人である子どもが18歳になった時点で新NISAへ引き継がれる仕組みができる予定です。こどもNISAの口座で購入した金融商品は実質的に無期限で保有・運用できるため、長期運用による複利効果の最大化が期待できます。
つみたて投資枠限定、金融庁が認めた投資信託で安全な資産形成
こどもNISAは積み立て投資による長期的な資産形成を目的とする制度です。そのため、投資できるのは新NISAにおけるつみたて投資枠で認められている一部の投資信託に限られる予定です。株式や、投資信託の中でも価格変動リスクが大きく、ギャンブル性の高い商品などは選べません。
つみたて投資枠に選ばれているのは、347本の投資信託です。こどもNISAを通じ、低コストで積み立て投資に向いた投資信託にコツコツ投資することで安全な資産形成ができるでしょう。
2. 旧ジュニアNISAとの違い、3つの改善ポイント
旧ジュニアNISAは利用者数が伸びなかったため、2023年に終了しました。新しいこどもNISAでは旧制度で使いにくいとの批判が多かったポイントが改善され、使いやすくなっています。ここではこどもNISAの改善点を旧ジュニアNISAと比較しながら解説します。
18歳まで引き出し不可→12歳以降引き出し可へ、中学・高校の教育費にも対応
こどもNISAで積み立てた資金は、子どもが一定の年齢に達するといつでも引き出せる仕組みです。18歳になる前に資金を引き出すとペナルティがあった旧ジュニアNISAに比べ、中学・高校の教育費にも対応する使いやすい制度になります。
こどもNISAから資金を引き出せるようになるタイミングは、子どもが3月31日時点で12歳になる年の1月1日以降です。4月~12月の間に誕生日がある子どもは12歳になる年の翌年1月以降、1月~3月の間に12歳になる子どもはその年の1月から引き出し可能になります。12歳になるタイミングとずれることがあるため、注意しましょう。
5年の非課税期間→無期限保有へ、18歳で成人NISAに自動移行
旧ジュニアNISAは開始時期にかかわらず非課税期間は5年間というルールがあります。そのため、特に低年齢で投資を始めた場合、長期投資のメリットを十分に受けられませんでした。新しいこどもNISAの制度では非課税期間に関するルールが変更され、実質的に無期限で運用資産を保有できるように改善されています。
新制度ではこどもNISAの非課税期間の制限がなくなり、かつ18歳を迎えると残高は自動的に新NISAの制度へ移行される仕組みとなる予定です。資金を引き出さなければ長期的に運用益非課税のメリットを享受できます。
年間80万円→60万円へ引き下げ、経済格差拡大への配慮
こどもNISAの非課税投資枠の上限は年間60万円で、旧ジュニアNISAの年間80万円より引き下げられます。多くの金額を投資できる家庭とそうでない家庭で経済格差が広がることへ配慮するために上限額引き下げが実施されたといわれています。
年間60万円の枠でも、使い切るには毎月平均して5万円の積み立てが必要です。また、こどもNISAの一人あたりの上限額は600万円です。成人向けの新NISAの上限(年間360万円、最大1,800万円)と合わせれば、3人家族(父・母・子)の非課税投資枠は最大4,200万円と計算できます。ほとんどの家庭にとっては十分な金額だといえるでしょう。
3. 児童手当を活用した教育資金準備の具体的シミュレーション
ここではこどもNISAを使って教育資金を準備する際のシミュレーションを3パターン紹介します。こどもNISAを活用することで、預金だけよりも有利に教育資金が貯められることがわかるでしょう。
0歳から18年間、月5万円積立で約1,726万円の試算
0歳から18年間、毎月5万円を積み立てすると元本は1,080万円です。もしこれを貯金ではなく、こどもNISAや親のNISAを使って投資していた場合、約1,726万円になる可能性があります。
【条件】
・子どもが0歳から10歳までの10年間、こどもNISAで毎月5万円を積み立て、上限額600万円に達した後は運用のみ継続する
・こどもNISAが限度額に達したあとの8年間は親の新NISAに毎月5万円を積み立てる
・想定利回りは年利5%
こどもNISA
10年経過(上限額600万円に達したとき)の資産総額771万円
771万円を18歳までさらに8年間運用した利益1,139.1万円
親の新NISA
8年間運用したことによる資産総額586万
資産総額の合計は約1,726万円(1,726= 1,139.1 + 586)
児童手当(月1.5万円〜3万円)をそのまま積立、家計負担ゼロで資産形成
0歳から18歳までの子どもを育てる保護者には児童手当として毎月一定額が支給されます。2026年3月現在、子どもの年齢別の児童手当の支給額は以下の通りです。
0~3歳未満|毎月1.5万円(ただし第3子以降は3万円)
3~18歳|毎月1万円(ただし第3子以降は3万円)
なお、正確には児童手当が受け取れるのは子どもが18歳になる年度の3月まで(一般的に高校を卒業する年まで)です。
受け取った児童手当をすべて貯金していた場合、子どもが高校を卒業するまでに230~240万円程度貯められます。金額に幅があるのは、子どもの誕生月によって受け取れる合計額が変化するためです。
もし児童手当を普通預金ではなく、こどもNISAを使って投資した場合のシミュレーションは以下のようになります。
【条件】
・年利5%で運用
・3歳になるまでの3年間は毎月1.5万円、以降高校卒業までの15年間は毎月1万円を積み立てる
こどもNISA
毎月1.5万円、3年間積み立てしたことによる資産総額58万
58万円を18歳までさらに15年間運用したことによる利益120.6万円
毎月1万円、15年間積み立てしたことによる資産総額264.8万
資産総額の合計は約385万円(385.4= 120.6 + 264.8)
自治体から受け取る児童手当が原資のため、家計から負担することなく資産形成ができます。
親の新NISA(年間120万円)との併用で家族合計年間180万円の非課税投資
新NISA(つみたて投資枠)の非課税投資枠は最大で年間120万円、こどもNISAは最大で60万円です。親の新NISAとこどもNISAを併用すれば年間180万円もの非課税枠を利用できます。家計に余裕のある家庭は、2つの制度を併用して積極的な資産形成を行うことも可能です。
4. 2027年開始に向けて今からできる準備と注意点
こどもNISAは2027年1月に開始予定です。スムーズに投資を始められるよう2026年のうちに準備を進めておきましょう。ここでは制度開始前にできる準備と注意点を紹介します。
2026年中に証券口座の未成年口座を開設、制度開始直後の殺到を回避
こどもNISAを始めるには対応している証券会社の未成年向け口座が必要です。2027年1月1日のこどもNISA開始直後は口座開設申し込みが殺到することが考えられます。通常より口座開設に時間がかかる可能性もあるため、できるだけ2026年中に口座開設を済ませておきましょう。
なお、証券会社によって各種の手数料や取引画面の見やすさなどが異なります。基本的には開設した口座は長期で使う可能性が高いため、いくつかの証券会社を比較して選びましょう。もし親がすでに投資を始めているなら、同じ証券会社で口座を開くのもおすすめです。
投資商品の選び方、債券比率50%超のバランス型ファンドで安定運用
あらかじめ投資商品を選んでおくとこどもNISAの制度が始まり次第、投資を始められます。こどもNISAではリスクを取って大きく資産を増やすというより、時間をかけて着実に資産形成できる商品を選びましょう。
初めて投資する方や商品選びに時間をかけられない方はバランス型ファンドがおすすめです。バランス型ファンドとは、債券、株式、不動産(REIT)などさまざまな金融商品にまとめて投資できる投資信託のことです。中でも債券比率が50%を超えるファンドであればリスクを抑えながら預金よりも高い利回りを狙えるでしょう。
名義預金リスクと贈与契約書作成、子どもの金融教育への活用法
こどもNISAの口座名義は子ども自身ですが、実際に投入するのは親や祖父母のお金であることが多いでしょう。そのため、名義預金と判断されないよう、こどもNISA口座があることを子どもにも話しておくことが大切です。子どもがある程度大きくなったら定期的に口座の資産の状況を一緒にチェックしたり、投資商品について話し合ったりして、金融教育に活用するのもよいでしょう。
元本割れリスクへの備え、12歳前の教育費は預金で準備する使い分け
こどもNISAで投資できる商品はリスクを抑えたものが多いとはいえ、市場の状況によっては元本割れするリスクがあります。教育費の準備としてこどもNISAを活用する際は、資金の一部は預金として持っておき、元本割れリスクに備えましょう。
こどもNISAは原則として子どもが12歳になるまでは引き出しできないため、小学生までに必要な教育費は預金で準備しておくことが大切です。
まとめ
2027年より新しく17歳以下のこども向けのNISA制度が始まります。2023年に終了したジュニアNISAより使い勝手がよくなることが予定されています。子どもの教育費の準備や資産形成にぜひ活用しましょう。制度の詳細は2026年中に確定・公表される予定です。
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