退職金は一時金が退職所得、年金が雑所得

まもなく団塊世代が定年退職を迎えるが、定年退職者が悩むのは退職金を一時金と年金のどちらで受け取るかということである。企業の退職給付制度によって一時金しかないところは選びようがないが、例えば適格退職年金の場合には受給者が選択できる。適格退職年金は、国民年金や厚生年金などに上乗せする3階部分の年金である。適年契約に基づき支給される年金は公的年金等として雑所得とされる。
しかし、受給者の選択により一時金で受け取ることもできる。この適年契約に基づく一時金は、退職に基因して支払われるものに限り退職所得とされる。それ以外の脱退一時金などは一時所得となる。周知のように、退職所得とされれば、多額の退職所得控除がある上、課税されるのはその退職所得控除後の2分の1に過ぎない。退職所得は、老後の生活保障といった意味合いから税務でも優遇しているのだ。
ところが、年金として受け取ると雑所得として区分されるため、退職所得控除や2分の1課税という優遇措置が適用されない。こうしたことから、一般的には、一時金のほうが年金よりも有利とみられるが、それも年金の受給額次第ともいえる。というのも、公的年金等として受け取った場合は雑所得として課税されるが、2005年分から縮小されたとはいえ、公的年金等控除があり、受給額によっては課税額も少額になる。
現行では、65歳未満では老齢年金の受給額が108万円以上、65歳以上では158万円以上にならないと課税されない。もちろん、国民年金や厚生年金の受給額と合計して考える必要があるが、退職金を年金として受け取っても一時金と比べ税務上不利にならないケースもある。長い老後を考えれば、年金として毎月確実な金額を受け取ったほうが安心という見方もできる。ここは税務だけにこだわらず慎重に選択したい。
新着記事
人気記事ランキング
-
「相互関税」の影響でどう変わる?企業が今すぐ始めるべき事例を解説
-
大阪万博2025の全貌!注目の見どころ・費用・楽しみ方を徹底解説
-
2025年の税制改正により何が変わった?個人・企業のポイントを解説
-
日鉄のUSスチール買収、頓挫による影響はどれぐらい?
-
トランプコインは投資チャンス?投資する前に知るべきリスク
-
飲食店の倒産が過去最多!その要因と生き残り戦略を徹底解説
-
初任給の引き上げ最新動向と業界別の比較や影響について解説
-
日本の相続税は世界一高い!? 最新のランキングとそれぞれの「事情」を解説
-
引っ越し・家賃補助は当たり前?従業員満足度と定着率を高める新生活支援とは
-
ペットの面倒がみられなくなったらどうする? それに備える「ペット信託」を解説