【2026年最新版】年収の壁が178万円に引き上げ!年収別の減税額シミュレーションを紹介

[取材/文責]マネーイズム編集部

既婚女性を中心に年収の壁を意識しながら働いている人は少なくありません。実は2025年に引き続き、2026年にも年収の壁に大きく影響する制度変更が予定されています。

この記事では、2026年に行われる年収の壁の変更点について解説します。自身や家族の収入にどのような影響があるのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。

1. 2026年「年収の壁」とは?複数の壁が存在する理由と最新の変更点

年収の壁とは、収入が一定金額を超えると社会保険料や税金の負担が大きくなる仕組みを表す言葉です。これまで年収の壁といえば所得税の支払い義務が発生する「103万円の壁」、社会保険料の支払い義務が生じる「130万円の壁」を指すのが一般的でした。

しかし、税制改正や制度変更により、2026年からは意識すべき年収の壁の数が増えます。

「年収の壁」が複数存在する理由:税金と社会保険の2つの制度

2025年以前より「年収の壁」が複数存在している理由は、税金と社会保険の2つの制度の影響を受けているためです。日本には、一定以下の年収の人は所得税や住民税、年金保険料などの支払い義務が免除される仕組みがあります。

また、配偶者の収入が一定以下である場合、税金面で優遇される配偶者控除の制度もあります。しかし、これらの制度の対象となるかどうかを判断する年収の基準額がバラバラであるため、「年収の壁」が複数存在しているのです。

2025〜2026年の主要な制度改正スケジュール一覧

働く人本人に所得税が課せられる年収は、長らく103万円以上とされてきました。しかし、2025年より、いわゆる所得税の壁は160万円へ引き上げられています。さらに2026年1月からは178万円へ変更されます。

一方、社会保険の加入義務が生じる106万円の壁は、2026年10月に撤廃されることが決定しました。また、配偶者の社会保険に加入している人が被扶養者から外れる基準は、130万円で変わりませんが、2026年4月から判定方法が変わります。

従来の年間収入見込みではなく、労働契約書ベースでの判定となるため、繁忙期などで一時的に労働時間が増え、収入が増加してもすぐに社会保険の加入義務が発生するわけではありません。

2026年1月から適用される「178万円の壁」決定までの経緯

2026年1月から「178万円の壁」が適用される背景として、2024年10月に行われた衆議院議員選挙により、与党の議席数が過半数を割り込み、野党の発言権が増したことが挙げられます。

年収の壁の見直しは、国民民主党が従来から掲げてきた主要政策の一つです。2025年10月に高市早苗氏が首相に就任した後、物価高を背景に国民の関心が高まる中、自民党と国民民主党は政策協議を重ねました。

その結果、2025年12月、両党は所得税におけるいわゆる「年収の壁」を178万円まで引き上げることで合意したのです。

年収665万円以下が対象:物価連動で2年ごとに見直しの仕組み

今回の「年収の壁」引き上げにより恩恵を受けるのは年収665万円以下の人です。年収200万円を超える人は、段階的に基礎控除額が少なくなり、665万円を超えると基礎控除と給与所得控除を合わせた127万円だけが課税所得から控除されるようになるため、従来の制度と変更はありません。

しかし、労働者の約8割が年収665万円以下とされているため、今回の変更は多くの人にとってメリットがあるといえます。なお、2026年度改正では178万円の壁とされましたが、今後の物価変動の状況を見て2年ごとに金額は見直される仕組みとなっています。

2. 【所得税の壁】178万円・160万円・123万円:税制改正による影響を詳しく解説

所得税の壁とは、働く人本人に所得税を納める義務が生じる年収額のことです。ここでは、非課税枠と配偶者控除など各種の控除について税制改正の影響を解説します。

2025年分は160万円、2026年分は178万円:所得税非課税枠の拡大

2025年より所得税が非課税となる年収の上限が従来の103万円から160万円まで大きく引き上げられました。160万円の内訳は、基礎控除95万円+給与所得控除65万円です。

また2026年からは基礎控除が99万円、給与所得控除79万円の合計178万円まで所得税非課税枠が拡大します。

「160万円の壁」や「178万円の壁」は、年収200万円以下の人に限定して適用されるものではなく、所得税がかかり始める課税最低限の目安として用いられている表現です。年収が200万円を超えると、段階的に非課税枠は縮小される仕組みとなっています。

配偶者控除・扶養控除の年収上限が103万円→123万円に引き上げ

配偶者や親の収入が一定以下である人は、38万円が所得から控除される配偶者控除・扶養控除の仕組みも変更され、年収上限が103万円から123万円へ引き上げられました。2026年からは配偶者や親の収入が123万円を超えた場合に配偶者控除・扶養控除が使えなくなります。

年収別の減税額シミュレーション:手取りはいくら増える?

年収の壁が178万円へ引き上げられることで手取りがどの程度増えるのか、年収別にシミュレーションしました。

150万円:変化なし
200万円:約10,000円
300万円:約27,000円
400万円:約56,500円
600万円:約36,500円

上記の手取り増加は主に所得税の減税効果によるものです。
※シミュレーションは独身・給与所得のみ・社会保険料率一定と仮定した目安です。

住民税110万円の壁と配偶者特別控除150万円・201.6万円の壁

ここまで解説してきた年収の壁は主に所得税に影響するものでしたが、住民税も収入に応じて課される税金の一つです。住民税の非課税枠は自治体によって異なるものの、多くの自治体が110万円に設定しているため、110万円の壁と呼ばれることもあります。

また、配偶者控除の対象外となる年収123万円以上の配偶者がいる人は、配偶者特別控除が利用できる可能性があります。2025年以降、配偶者特別控除が満額適用される年収の上限は160万円へ引き上げられました。なお年収が201.6万円を超えると控除額はゼロになります。

3. 【社会保険の壁】106万円・130万円:2026年4月・10月の重要な変更点

厚生年金ならびに健康保険といった社会保険は手取り額に大きく影響するため、加入義務が生じる年収上限を意識して働いている人は多いでしょう。2026年には、社会保険に関しても変更が予定されています。

106万円の壁とは?2026年10月に賃金要件撤廃で実質廃止へ

106万円の壁とは社会保険への加入義務が生じる年収額106万円のことです。厳密には年収を含めて、以下の5つの条件を満たすときに加入義務があるとされてきました。

・勤務時間が週20時間以上
・学生でない
・従業員51人以上の企業で働いている
・月額賃金8.8万円以上
・雇用期間が2か月を超える

上記のうち、月額賃金に関する規定は、2026年10月以降撤廃されることになりました。そのため、週20時間以上働いている人は、年収を問わず社会保険に加入するのが原則となります。

130万円の壁の判定方法が変更:2026年4月から「労働契約ベース」に

年収130万円を超えると配偶者の社会保険に入っている人が被扶養者でなくなり、自身で社会保険に入る義務が生じます。2026年4月以降も基準額の130万円は変わらないものの、判定方法が労働契約ベースに変更されます。

従来は今後一年間の年収見込みで判定されていたため、2ヶ月連続して月額賃金が10.8万円を超えると社会保険に加入する必要がありました。

一時的な残業で130万円超過しても扶養維持できる新ルール

130万円の壁の判定方法が変わったことによるメリットは、一時的に月額賃金が10.8万円を上回っても、すぐには配偶者の社会保険から抜ける必要がないことです。収入を抑える、いわゆる働き控えが減るため、繁忙期・閑散期の差が大きい企業は人手を集めやすくなると期待されます。

社会保険加入による負担増と将来のメリット(年金・傷病手当金)

社会保険料の負担は比較的大きいため、年収の壁に合わせて収入を抑える人は少なくありません。しかし、社会保険に加入することには、将来もらえる年金が増えることのほかに、働けなくなったときに傷病手当金が受け取れるといったメリットもあります。妊娠・出産を考えている女性にとっては、健康保険から出産手当金や育児休業給付金が支給されるのもメリットです。

社会保険料の負担は増えるものの、基本的には年収の壁を超えて収入を増やせば手元に残る金額も増えます。世帯全体の状況も考慮する必要がありますが、あえて社会保険に加入して働くのも選択肢の一つです。

4. 年収別シミュレーションと最適な働き方:自分に合った年収ラインの選び方

年収の壁は複数あるため、自分や世帯の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。ここでは、年収ライン別のメリット・デメリットや学生の子どもを持つ親が使える控除などの制度を解説します。

年収ライン別のメリット・デメリット比較(110万・123万・130万・150万・178万円)

年収ライン別のメリット・デメリットは以下の通りです。

【110万】
メリット:税負担がほとんどない
デメリット:多くの自治体で住民税が課税となる

【123万】
メリット:配偶者控除を受けられる
デメリット:超えると配偶者の税負担が増え、世帯全体の手取り額が減る可能性がある

【130万】
メリット:社会保険に加入することで年金や傷病手当金を受け取れるようになる
デメリット:社会保険料の負担が増える

【150万】
メリット:学生でアルバイトをしている子どもを社会保険の被扶養者にできる、控除が利用できる
デメリット:子どもの年収が150万円を超えると控除額が縮小するものの、188万円以下までは特定親族特別控除が利用できる

【178万円】
メリット:所得税の負担がない
デメリット:超えると年収665万円まで段階的に非課税枠が縮小する

手取り逆転現象に注意:130万円を超えるなら150万円以上を目指すべき理由

特に配偶者の社会保険の被扶養者となりながら働いている人は、130万円の壁を意識していることが多いでしょう。扶養から抜けて自身で社会保険に加入したり、配偶者が控除を利用できなくなったりすることで手取りが大きく減ることが少なくないためです。

ただし、試算では年収が150万円以上になると、社会保険料の負担が増えることで収入を増やす前より手取りが減るいわゆる逆転現象は解消されます。待遇や働き方などにより年収が130万円を超えそうなときは、いっそのこと150万円を目指すことで収入増が期待できます。

配偶者手当・家族手当の支給基準は企業ごとに異なる:確認すべきポイント

配偶者手当・家族手当などの制度がある企業の多くが、対象となる家族の収入額に制限を設けています。支給基準は企業ごとに異なるため、これらの手当を受け取っている方は一度基準や手当の額を確認しましょう。

そのうえで、手当を受け取り続けるのがいいのか、収入を増やすほうがよいのか判断することが大切です。

大学生(19〜22歳)の年収150万円の壁:特定親族特別控除の新設

19〜22歳の子どもを持つ親が利用できる特定扶養控除については、2025年より子どもの年収の上限額が103万円から123万円へ引き上げられました。また、新しく特定親族特別控除の制度が設けられ、子どもの年収150万円までは、所得税・住民税の控除が受けられます。

なお、子どもの年収が150万円を超えると控除額は段階的に縮小し、188万円を超えると控除額はゼロになります。

2027年以降の制度変更に備える:今後の見通しと注意点

現在のところ、2027年以降の制度変更について決定事項はないものの、物価上昇が続くなど社会のニーズがあれば、年収の壁の見直しが行われる可能性はあります。年収の壁は自身の手取りだけでなく、世帯全体の収入にも影響を与えるため、定期的にニュースをチェックし制度変更に対応しましょう。

まとめ

2026年から所得税の非課税枠が178万円へ引き上げられることが決定し、そのほかにも年収の壁に関するさまざまな変更が予定されています。年収の壁を超えると自分だけでなく世帯の手取り額にも影響することがあります。本記事を参考に、自分に最適な働き方や年収を選びましょう。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

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