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年金関係課税事件(3・特約年金二重課税まとめ)
2008.10.31

昨日、一昨日と長崎の特約年金二重課税事件について紹介してきました。

地裁(長崎地裁平成18年11月7日判決)は、
夫の死亡に基づき妻に年金として支給される特約年金について、
相続財産として相続税が課せられながら、雑所得ともなるのは、
二重課税に該当し、許されないと判断したが、
高裁(福岡高裁平成19年10月25日判決)は、
特約年金については、夫の死亡を基因として生じた年金受給権と
毎年の年金を受け取るための支分権とは、別個の権利であるから、
年金受給権に対して相続税を課し、支分権に所得税を課すことは
二重課税に当たらないと判断したのである。

本件は生命保険会社にとって非常に頭の痛いところであろう。
最高裁に上告されたのかどうか、不明であるが、
もしこのまま判決が確定するとしたら、
死亡後の年金払特約について、相続税の対象であり、所得税の
対象にもなるということを説明しなかった場合、
代理店の説明義務違反を問われることになるからである。

「法は不知を許さず」

ですから、知らなかったでは済まされません。
大変な事態ですね。

高裁判決を見ると、保険金受給者が保険料を支払っていないのに、
相続を基因として年金受給権を得ているから、相続税の対象だ、
と読めます。つまり、高裁の論理は、支分権として発生する
年金の受給については雑所得の対象とすることが前提となり、
保険料を支払っていない年金受給権は相続税の対象とする、
というものではないでしょうか。

また、控訴人(被告)が主張した立法当時の税調答申の見解は、
高裁判決の判示の中でも是認されていますが、
立法当時から相続税と所得税とは別の税目だから、
二重課税に当たらないと考えられていたわけです。

この点については、法人における認定賞与の問題と同じ論理です。
認定利息も、法人税で役員賞与として損金性を否認して、
役員賞与となるから、役員の源泉所得税の増差税額となるわけです。

税目が違えば二重課税に当たらないというのは、
昔から問題視されてきましたが、国税当局は是正するそぶりを
一切見せていません。
法律が認めている、都合よく課税できるポイントでもありますから、
政治家の皆様がこの点をよく理解して政治主導で是正しない限り、
おそらく直らないでしょう。

本件は、残念ですが、解釈論では、逆転の余地はないようです。

また、本件は地裁では弁護士を付けない本人訴訟で行われた事例です。
原告の担当税理士は、地裁判決後の平成19年2月に
東京税理士会館で講演されましたが、
熱の入ったすばらしい講演だったそうです。
私は所要で出席できなかったのですが、聴きたかったですね。

高裁では、九州北部税理士会きっての理論家の皆様が
補佐人税理士として参加されていたのですが、解釈論では勝てませんでした。

年金の問題は、近年注目されてきましたが、
年金や保険にかかわる税金問題は、
これから大きな問題になってくる可能性が高いですね。
今のうちにおかしなものをどんどん明確にしていく必要があるのでしょうね。

皆さんも、保険契約の際には、
税金がどうかかわっているのか、
頭の片隅で考えてみて下さい。

保険は金融商品ですから、自己責任原則が強く働きます。
自分が入っている保険がどういうものなのか、理解して、
いい保険に入りたいものですね。

次回は、本件とは逆に、支給日が後になった年金の受給権が
いつ確定したのかが争われた山形の事件
(最高裁平成19年9月25日判決)を検討します。


年金関係課税事件(2・特約年金二重課税高裁判決)
2008.10.30

昨日は、納税者勝訴の地裁判決を紹介したが、
高裁では一転して逆転敗訴でした。
高裁判決を検討してみよう。

1.控訴人の主張
(1)所得税法9条1項15号は、「相続により取得するもの」
については、所得税を課さない趣旨を規定している。
そして、相続税法3条1項は、同項各号に掲げる場合において、
当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は
遺贈により取得したものとみなす旨規定しているから、
所得税法9条1項15号にいう「相続により取得したものと
みなされるもの」とは、相続税法3条1項所定のみなし相続財産
を指していることは明らかである。
相続税法3条1項1号の立法趣旨は、実質的に相続又は遺贈
による財産の取得と同視すべきものを相続税の対象とする
ものであるところ、同号にいう「保険金」は、金銭そのもの
ではなく、相続開始時において存在する保険金請求権を
意味するものである。そして、被相続人の死亡により、
生命保険契約に基づき、相続人その他の者が年金受給権等を
取得した場合においては、その相続開始時に存在するのは、
基本権としての年金受給権等のみであって、基本権に
基づいて発生する支分権としての受給権は未だ発生していない。
そうすると、その後に発生する支分権及びその行使として
給付される個々の年金等それ自体は同号にいう「保険金」に該当しない。

(2)所得税法9条1項15号の趣旨は、相続税法の規定により
相続税又は贈与税の課税対象となる財産の取得に対し、
相続税又は贈与税と所得税の二重課税が生じることを排除
するため、当該財産の取得に係る所得には所得税を課さない
ようにする点にあるものと解される。同号の規定は、
その名文で規定する範囲を超えて、「実質的・経済的」な
二重課税なるものを排除することを目的として、相続税又は
贈与税の対象となる財産とは法的に異なる財産の取得に
対しても所得税を課することを禁止する趣旨ではない。

(3)所得税法9条1項15号の立法に際しても、生命保険契約に
基づく死亡保険金として支払われる年金は、所得税の課税対象
となると解されていた。現行法は、税制調査会の昭和38年
12月6日付「所得税法及び法人税法の整備に関する答申」を
踏まえて立法された法律であるところ、同答申は、被相続人が
掛金を負担した年金契約に基づく年金受給権は、相続財産として
時価により評価し、相続税の課税が行われ、さらに相続人が
その年金受給権に基づき支払を受けるときは、その年金から
被相続人が負担した掛金を控除した残額に対して所得税が
課税されることになっていることについて、所得税と相続税とは
別個の体系の税目であることから、両者間の二重課税の問題は
理論的にはないものと考えるとしており、これによれば、
当時、既に、旧所得税法上、生命保険契約に基づく死亡保険金
として支払われる年金に対し所得税が課税されるという解釈が
定着しており、現行の所得税法が定められたといえる。

2.被控訴人の主張
(1)基本権と支分権とは、民法上は別個の債権ではあるが、
2個の財産的価値が存在するのではなく、一対として基本的価値を
実現させる債権である。したがって、確かに、受給権(基本権)を
取得する権利・所得と支分権に基づく年金の所得は、形式的・
表面的には別異と認識できるが、2個の財産的価値があるとは
到底考えられない。このような場合は、租税原則及び法の趣旨に
則り、たとえ形式的には別異の権利・所得に該当するとしても、
実質的・経済的には同一の資産に関して二重に課税することは
明らかであり、所得税法9条1項15号の趣旨により許されない。

3.裁判所の判断
(1)相続税法3条1項柱書は、同項各号のいずれかに該当する場合に
おいては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続
又は遺贈により取得したものとみなす旨を規定し、同項1号は、
被相続人の死亡により相続人が生命保険契約の保険金を取得した
場合においては、当該保険金受取人について、当該保険金のうち
被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る割合に相当する
部分を掲げている。その趣旨は、被相続人が自己を保険契約者
及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人
と指定して締結した生命保険契約に基づく死亡保険金請求権は、
その保険金受取人が自ら固有の権利として取得するものであり、
被相続人の相続財産に属するものではないが、相続財産と
実質を同じくするものであり、被相続人の死亡を起因として
生ずるため、公平の見地から、これを相続財産とみなして
相続税の対象としたものと解される。

所得税法9条1項15号は、相続、遺贈又は個人からの贈与により
取得するものについては、所得税を課さない旨を規定している。
その趣旨は、相続、遺贈又は個人からの贈与により財産を取得した
場合には、相続税法の規定により相続税又は贈与税が課される
ことになるので、二重課税が生じることを排除するため、
所得税を課さないこととしたものと解される。
この規定における相続により取得したものとみなされるものとは、
相続税法3条1項の規定により相続したものとみなされる財産を
意味することは明らかである。そして、その趣旨に照らすと、
所得税法9条1項15号が、相続ないし相続により取得したもの
とみなされる財産に基づいて、被相続人の死亡後に相続人に
実現する所得に対する課税を許さないとの趣旨を含むものと
解することはできない。

(2)本件年金受給権は、乙を契約者及び被保険者とし、
被控訴人を保険金受取人とする生命保険契約に基づくものであり、
その保険料は保険事故が発生するまで乙が払い込んだものであって、
年金の形で受け取る権利であるが、乙の相続財産と実質を同じくし、
乙の死亡を基因として生じたものであるから、相続税法3条1項1号
に規定する「保険金」に該当すると解される。そうすると、
その取得は相続税の課税対象となる。

被控訴人は、将来の特約年金の総額に代えて一時金を受け取る
のではなく、年金により支払を受けることを選択し、特約年金の
最初の支払として本件年金を受け取ったものである。本件年金は、
10年間、本件年金受給権に基づいて発生する支分権に基づいて、
被控訴人が受け取った最初の現金である。
そうすると、本件年金は、本件年金受給権とは法的に異なるもの
であり、乙の死亡後に支分権に基づいて発生したものであるから、
相続税法3条1項1号に規定する「保険金」に該当せず、
所得税法9条1項15号所定の非課税所得に該当しないと解される。

(4)本件年金受給権と個々の年金の取得とは、別個の側面がある。

まず、後者についてみると、被控訴人は、本件保険契約において、
将来の特約年金を受け取るものであるが、これは、被控訴人が
自ら年金契約等の定期金給付契約を締結して自ら掛金を負担し、
年毎に年金等の定期金を受け取る場合と異なるところはなく、
いずれにしても所得があるのである。そうすると、両者を
区別することはできず、これらの所得は所得税の対象となる。

前者についてみると、被控訴人は、本件保険契約において、
自ら保険料を支払ったものではないのに、乙の死亡により、
本件年金受給権を取得したのであるから、これは、前者とは別個に、
相続税の対象となる。このように考えると、本件年金受給権の
取得に相続税を課し、個々の年金の取得に所得税を課することを、
二重に課税するものということはできない。


年金関係課税事件(1・特約年金二重課税地裁判決)
2008.10.29

特約年金分を年金としてもらうと、相続財産になりながら、
暦年で雑所得として所得税が課せられることが争われた
長崎の特約年金二重課税事件
長崎地裁平成18年11月7日判決(TAINSコードZ888-1185)
福岡高裁平成19年10月25日判決(TAINSコードZ888-1293)
のうち、地裁判決を紹介することにしよう。

1.事件の概要
乙は、平成8年、乙を契約者及び被保険者、原告を受取人とする
本件保険契約を締結し、その保険金を支払っている。この保険契約では、
保険事故が発生した場合に主契約に基づいて支払われる一時金に加え、
生活保障のため特約年金が支払われる特約が付されている。
この特約では、保険事故が発生した場合、年金を主契約の受取人に
対して10年間支払うものとされ、特約年金の受取人は、
年金支払期間中、将来の特約年金の支払にかえて、特約年金の
未支払分の現価の一時支払を請求することができるものとされている。

乙は、平成14年に死亡した。原告は、乙の死亡により、本件保険契約に
基づき、死亡保険金4000万円を受け取る権利と、年金払生活保障特約年金
として、平成23年までの10年間、毎年230万円ずつ受け取る権利を取得した。
第一生命は、原告に対し、死亡保険金、本件年金、配当金から契約貸付金、
貸付利息、源泉税を差し引いて、4190万円余を支払った。

原告は、原告が行った平成14年分の確定申告について、給与所得が
漏れており、他方、本件年金の源泉徴収税が所得金額から差し引かれる
金額として追加されるべきであるとして、更正の請求を行った。
これに対し、税務署長は、原告が受け取った保険金のうち、
本件年金230万円から必要経費を引いた220万円余を同年中における
原告の雑所得と認定し、本件更正処分を行った。

他方、原告は、税務署長に対し、乙を被相続人とする相続税の申告書を提出し、
その申告に係る相続財産の中には、本件年金受給権の総額2300万円に
0.6を乗じた1380万円が含まれている。

2.争点
本件年金が相続税法3条1項1号のみなし相続財産に当たるか、
所得税法上の所得に当たるか、所得税法9条1項15号により非課税とされるか

3.原告の主張
(1)生命保険金が年金で支払われる場合、同条項の「保険金」は、
年金受給権と支分権に基づいて支払われる年金のすべてを包含したものと
解すべきであり、基本権である年金受給権のみを指すものではない。
(2)相続税法3条1項1号の「保険金」を「受給権」と解釈した場合、
その財産的価値は、受給権という債権が将来現金化することにほかならず、
債権が現金化することは権利の性質が変わるだけのことであるから、
所得税法9条1項15号を適用するまでもなく、本件年金は、所得の発生に
あたらない。また、年金受給権について相続税を課し、更に、当該受給権の
支分権に基づいて支払われる年金に所得税を課することは二重課税に当たる。
(3)本件年金が雑所得に当たるとして課税するのであれば、一時払の
保険金であっても、相続開始時に受給権が発生し、その後、保険金を
取得するのであるから、その取得時において一時所得又は雑所得として
課税すべきことになるが、そのような取扱いになっていない。
また、売掛金債権を相続し、将来それを回収して現金化した場合、
その現金に対して課税はされないが、将来年金を受け取った際、
年金に対して所得税を課すべきでないことは、上記売掛金債権の相続の
場合と同様である。

4.被告の主張
(1)本件年金受給権
相続税法3条1項1号は、被相続人の死亡により相続人その他の者が
生命保険契約の保険金又は損害保険契約の保険金を取得した場合においては、
当該保険金受取人について、当該保険金のうち被相続人が負担した
保険料の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに
払い込まれたものの金額に対する割合に相当する部分を相続により
取得したものとみなす旨規定しているが、この「保険金」とは、
正確には保険契約等に基づく死亡保険金等の受給権を意味するものであり、
現実に受領する金銭を意味するものではない。
したがって、本件のように、保険契約に基づいて年金受給権を取得した
場合も、その年金受給権は相続税法3条1項1号の「保険金」に該当し、
被相続人の死亡を原因として取得した相続財産とみなされる。

(2)本件年金
本件年金は、現実に支給された230万円という現金であり、それ自体
定期金に関する権利ではないから、相続税法3条1項1号にいう「保険金」
には該当しない。また、基本債権たる本件年金受給権に基づく権利
ではあるが、一定期日に到来によって生み出された支分権、すなわち
基本債権とは異なる権利に基づいて取得した現金であり、また、
2回目以降の各年金も、本件年金受給権に基づき、一定期日の到来に
よって生み出されてゆく支分権に基づくものであって、雑所得として
所得税が課される。
なお、所得税法9条1項15号は、相続という同一原因によって
相続税と所得税とを負担させるのは、同一原因により二重に課税する
ことになるので、これを回避し、相続税のみを負担させるという
趣旨であり、本件年金のように被相続人の死亡後に実現する所得に
対する課税を許さないという趣旨ではない。

6.裁判所の判断
(1)本件年金受給権は、乙を契約者兼被保険者とし、原告を保険金
受取人とする生命保険契約に基づくものであり、その保険金は
保険事故が発生するまで乙が払い込んだものであるから、年金の形で
受け取る権利であるとしても、実質的にみて原告が相続によって
取得したのと同視すべき関係にあり、相続税法3条1項1号に規定する
「保険金」に当たると解するのが相当である。

(2)他方、本件年金は、本件年金受給権に基づいて保険事故が発生
した日から10年間発生する支分権に基づいて原告が保険会社から
受け取った最初の現金である。上記支分権は、本件年金受給権の部分的な
行使権であり、利息のような元本の果実、あるいは資産処分による
資本利得ないし投資に対する値上がり益等のように、その利益の受領
によって元本や資産ないし投資等の基本的な権利・資産自体が直接
影響を受けることがないものとは異なり、これが行使されることによって
基本的な権利である本件年金受給権が徐々に消滅していく関係にある。
そして、相続税法による年金受給権の評価は、将来にわたって受け取る
各年金の当該取得時における経済的利益を現価に引きなおしたもの
であるから、これに対して相続税を課した上、更に個々の年金に
所得税を課税することは、実質的・経済的には同一の資産に対して
二重に課税するものであることは明らかであって、所得税法9条1項15号
の趣旨により許されないものといわなければならない。

(3)所得税法施行令38条は、生命保険契約等に基づく年金に係る
雑所得の計算方法を定めている。もともと命令の規定から法の解釈を
することは本末転倒というべきであるが、生命保険契約には、被保険者
ないし年金受取人の死亡という保険事故ないし事実が発生しなくとも
年金の支払をすることを内容とするもの等多様なものがあるから、
施行令38条のうち、生命保険契約に係る部分は、上記のような保険事故
ないし事実を前提としない同契約に基づく年金に係る雑所得の計算方法を
定めたものと解釈することができる。したがって、この規定が置かれる
ことは、被告のような解釈をすることの根拠とはならない。


解散風はドコへ?
2008.10.28

asahi.com 28日03:01記事によると、

朝日新聞社が総選挙に向けて25,26の両日に実施した第3回
連続世論調査(電話)によると、衆院の解散・総選挙の時期について、
「早く解散すべきだ」が33%で、「急ぐ必要がない」の57%を
大きく下回った。福田前首相の辞任表明直後の調査(9月2,3日)
では「早く」が56%、「急ぐ必要がない」が33%だったが、
状況が逆転した。内閣支持率は41%(10月11,12日の
前回調査42%)、不支持率は38%(同38%)で横ばいだった。
解散・総選挙については、特に自民支持層で「早く」が16%、
「急ぐ必要はない」が78%と先送りする意見が圧倒。9月調査で
46%対47%だったのと比べ、解散熱が著しく冷めた。
民主支持層は「早く」64%、「急ぐ必要がない」34%だが、
無党派層は33%対53%だった。
また、金融危機への対応で麻生首相に期待するかどうかを聞くと、
「期待する」が52%、「期待しない」は40%で、期待が上回る。
内閣不支持層でも27%、民主支持層でも36%が「期待する」としている。
「期待する」層では、総選挙を「早く」が21%、「急ぐ必要はない」
は72%と解散先送り論が強く、「期待しない」層では、
51%対42%となお解散を望む声が強い。


リーマンショックに端緒を発したアメリカ発の金融危機は
麻生新政権に期待する役割さえ変容し始めたようですね。
選挙管理内閣を国民が期待したはずなのに、麻生さんは
選挙用というよりも実務的な仕事をしたいぞという布陣にしていました。
結果的には、良かったのかもしれませんね。
11月中に解散がなければ、予算編成が間に合わなくなるので、
3月末まで解散先送りですね。
麻生さんにとって良い結果になるかどうかは、
これからの手腕にかかってくるように思います。
それまでには小沢さんの完全復活を望みたいものです。

予算を乗り切って危機管理能力を示した麻生さん
 VS
健康不安を払拭した実力者の小沢さん

これからの日本を任せるべきはどちらになるのでしょうか。
4月に上の図式での選挙戦を楽しみにしたいところです。


検証!藤山税務訴訟判決(渡辺充、ぎょうせい2008)
2008.10.27

今日は、判例研究をやっている税理士にとって、避けて通れない
いわゆる藤山判決を取り上げた本を紹介したいと思います。

先月出たばかりの本で、

『検証!藤山税務訴訟判決〈税理士実務からのアプローチ〉』
渡辺充 著 (ぎょうせい)

です。

著者の渡辺先生は税理士でもある明治学院大学の教授で、
小樽や仙台の大学に在籍していたころから、税理士会の研修を
熱心にご担当されていたことから、北海道や東北地方の税理士には
非常に著名な先生だと思います。

本書は、速報税理に約3年間に渡って連載された原稿をまとめたものです。

はしがきにもありますが、
藤山判決の功罪は様々なところで議論を呼びましたが、
渡辺先生は、租税法の発展に大きく寄与した功績は大きいと考えられています。
また、本書の元になった連載のきっかけとして、
目黒支部の朝倉洋子税理士がTAINSで公表した藤山判決星取表
が挙げられています。今や税法の判例研究を行ううえで、
TAINSの存在抜きには語れなくなりつつあります。

判例研究のスタイルですから、本書の内容は、
事実関係・争点・判決要旨・評釈、から成り立っています。
本書の特長としては、評釈の後に、実務の対応がついていることでしょう。

判例研究に慣れていらっしゃらない方は、裁判については、
判決の結果だけをみて、勝った負けた、だけを考えているケースが多いでしょう。
しかし、裁判は、結果だけでは何も分かりません。
私が争った事例では、地裁で負けて高裁で勝ちました。
しかし、判決文からは事実認定以外で違いがありませんし、
判決文本文を読まなければ、なぜひっくり返ったか絶対に分かりません。
実務への適用を考えた場合には、判決文のどこを読めばいいのか、
これを知らないと、判決を生かした実務にはならないのでしょう。
本書は、そのためのヒントだと考えていただけるといいのではないでしょうか。

平和事件最高裁判決が、事例集に記載されている事項であっても、
判例等を勘案して検討しなければ、専門家として責任を問われるよと
判示してくれたために、判例を読みこなせなければ、
節税コンサルティングは成り立ちえません。

これからの税理士業界の発展のためにも、我々税理士がぜひとも
熟読したい書籍である。


ソフトウェア業における工事進行基準の適用
2008.10.25

平成19年12月27日に企業会計基準委員会(ASBJ)から
企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」
企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針」
の2つが公表されている。

これによると、受注生産のソフトウェアに関しても、
工事進行基準を適用することを求められている。
しかし、会計基準でさえ、いまだに明確な基準の線引きが行われていないのが、
ソフトウェア業に関する工事進行基準の適用に関する明確な指針である。

なぜなら、実務対応報告(全国大学会計人会サミットでも立命館大学の意見
として出ていましたが、ASBJの会員でなければ閲覧が出来ませんので、
会員である日本公認会計士協会を始めとする会計研究者とそのスポンサー企業
以外見ることができません。もちろん、税理士や弁護士であっても
会員にならなければ閲覧は不可能です。会計諸則集にも掲載されていません。)
第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」
(平成18年3月30日公表)は工事完成基準の適用に関するものであるため、
工事進行基準の適正な適用を監査しなければならない公認会計士さえ、
その明確な基準をいまだに示してもらえていないのである。

また、平成20年度版「中小会社の会計に関する指針」73項(3)は、
長期の請負工事に関して、工事完成基準又は工事進行基準により、
収益計上することを求めるのみであり、その根拠条文には、
企業会計原則及び同注解が示されるのみであり、中小企業に対しては
企業会計基準及び同適用指針、実務対応報告を適用させないというのが、
日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、ASBJの
現状における見解であるとみることも出来る状況にある。

ところで、企業会計基準第15号は、本基準の適用事業年度を
平成21年4月1日以後開始する事業年度から適用される(基準23項)ことに
なっているが、同項但書きは本会計基準公表日以後、平成21年3月31日以前に
開始する事業年度から適用することができる、と規定していることから、
すでに工事進行基準を適用して、売上を前倒しで計上することが
会計基準上容認されているのである。
それも、工事進行基準の適用は、本基準を適用する最初の事業年度以後に
着手する工事契約から適用される(基準24項)ことが原則であるが、
本基準を適用する最初の事業年度の期首に存在する工事契約のすべてについて、
一律に本基準を適用することができる(基準25項)ため、
すでに期中監査を実行している法人の中には、工事進行基準への切り替えを
行っているところもあろう。その点については、従来からの工事進行基準の
議論以外に明確な基準が示されていない点なのである。
早急に実務対応報告の改訂が望まれるところであり、また、会員以外が
閲覧することが不可能な基準というものが、プロフェッショナルに対する
公的な基準として機能させているASBJの官僚的な態度を改めて頂くよう、
日本税理士会連合会及び日本弁護士連合会からも提言して頂きたいものである。

さて、このような状況にあるソフトウェアに関する工事進行基準の
適用問題であるが、ソフトウェア業を取り上げるのは、今回の基準の改正により、
ソフトウェアが工事進行基準の適用対象に入ったからに他ならない。

ソフトウェア業界は、ソフト開発型企業とSE派遣業に大別されるのであろうが、
今回対象になったのは、ソフト開発型企業のみである。

つまり、本基準は、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、
基本的な仕様や作業内容を顧客の指図によって行う工事契約を対象としています。
このため、請負契約ではあっても専らサービスの提供を目的とする契約や、
外形上は工事契約に類似する契約であっても、工事に関する労働サービスの
提供そのものを目的とするような契約に関しては、本基準は適用されない。
(基準30項)
また、工事の進行途上においても、その進捗部分において成果の確実性が
認められる場合には、工事進行基準が適用されるが、この要件を満たさない
場合には工事完成基準が適用されることになっています。(基準9項)

したがって、信頼性をもって工事収益総額を見積もるためには、
工事の完成見込みが確実であることが必要であり(基準10項)、
工事契約において当該工事についての対価の定めがあることが必要である。
それも、将来の不確実な事象に関連付けて定められていることが必要である。
(基準11項)
また、信頼性をもって工事原価総額を見積もるためには、工事原価の事前の
見積もりと実績を対比することにより、適時・適切に工事原価総額の
見積もりの見直しが行われることが必要である。(基準12項)

ところが、中小のソフトウェアベンダーではここまでの会計処理を会社で
実行できるところがどれだけあるのであろうか。税理士がどこまで
フォローできるのであろうか。はなはだ疑問である。

さらに問題は、ここまで検討した会計基準と平成20年度改正において行われた
税法の規定に大きすぎるほどのズレがあることであろう。

法人税法は、平成20年4月1日以後開始する事業年度より、
長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例
(法人税法64条同施行令129~131条)において、その対象範囲に
ソフトウェアの開発が追加され、工事期間要件1年以上(改正前2年以上)、
請負金額要件10億円以上(改正前50億円以上)の工事については、
本会計基準の制定に対応した改正として、工事進行基準の適用を容認した。

会計基準は、全ての工事契約について工事進行基準の対象とするが、
実質的に人材派遣である場合や、合理的な見積もりがないために信頼性を
欠く場合に限って工事完成基準を容認するというスタンスであるが、
法人税法は、工事完成基準が原則であり、長期大規模工事に関しては、
会計基準を尊重して工事進行基準を認めるというスタンスである。

なぜ、このようなズレが生じるのか。
保護する対象の違いとしか言いようがないのであるが、
会計基準は、公認会計士監査によって適正処理を担保することにより
自己責任を取らなければならない投資家の判断を誤らせない必要があり、
しかも、グローバル化した経済では、保護されるべき投資家は
日本人に限られないため、会計基準はできるだけ世界中で統一する
必要があります。
しかし、税法は、課税権の行使は国境を越えることができないから、
(もし越えたら相手国への内政干渉以外の何物でもないですね)
保護すべきは債権者(税という債権を挟むと国等が債権者として捉えられる)
ですし、商法の会計規定の目的も債権者保護にありますから、
税法では税務調査、商法では監査役(明治44年商法までは検査役規定が
ありました)の監査によって、間違いがないことを確認できればいいわけです。

目的が違うから、方向性が違ってきても仕方がないことではないでしょうか。
しかし、少なくともお互いの基準を参考にい合えることが求められます。
会計基準が国際的調和化の流れの中で大きく変わっていくことは
日本経済のためには必要なことであるだけに、少なくとも、
会計基準を利用することが多い税務の専門家である税理士や
法律の専門家である弁護士が見ることの出来ない会計基準や、
適用期限が直近に迫ってきながら公表されない会計基準を作ることは
ご勘弁願いたいものである。


麻生内閣追加経済対策、骨格決まる
2008.10.24

24日3:01のYOMIURI ONLINEによると、

新たな経済対策による積極的な財政支出で景気回復を図る一方、
中期的な視点で社会保障などの財源を確保し、財政規律を
維持するのが狙いだ。消費税率は、3年後の2011年以降の
引き上げを想定していると見られる。

首相は住宅ローンの一定割合を所得税から差し引く住宅ローン減税を、
減税額の上限が過去最大の500万円程度となるよう拡充して
実施することを決めた。減税措置は08年末に切れる予定で、
現在は160万円が上限となっている。
首相はこのほか、09年度からの道路特定財源の一般財源化に伴い、
国の特定財源分(約3兆3000億円)から地方に1兆円を交付することも
指示した。
新たな経済対策を30日に最終決定し、首相が記者会見で発表する。
定率減税は2兆円規模となる見込みだ。

という。


今回の麻生内閣の追加経済対策は目新しいものはないが、
小泉改革によって改廃された制度の復活が多いように思います。

麻生内閣の方針として特に感じるのは、地方の保護ですね。
その多くは福田政権によって準備されていたものなんですが、
麻生さんはその方向性がより鮮明になっているように思います。
今回も道路特定財源の一般化によって得られた財源の3分の1を
地方に還元するようにしています。

福田内閣が制定して、この10月からようやく実施に至った
地方法人特別税・地方法人特別譲与税も、法人事業税の減税分を
一回国に納めさせて、そこから地方法人2税の偏在を是正するよう、
国から地方へ還元するための措置でした。
この点については、税務弘報2008年12月号に原稿を書きましたので、
ご興味のある方は参考にして下さい。

また、家計や中小企業に重点を置いた減税策を考えているようです。
この方向性は民主党との相違がわかりにくくなるかもしれませんね。

麻生さんが地方重視・中小企業重視を打ち出してくるのは、
麻生さんのこれまでの活動を考えれば当然のことでしょう。
それが自民党の中では若干色合いの違う方となっていた
理由でもあったわけですから。

まずは経済対策といい続けてきた麻生さんもこれで一段落なんですかね。
ここで解散しないと、予算編成が間に合わなくなるのでは?
また、平成21年度の税制改正大綱も、従来12月の2週目に
発表されているわけですし、麻生自民党と小沢民主党のどちらが
勝つかによって、実施される経済政策・税制改正が異なるわけですから、
我々税理士にとって、大問題になるわけです。
特に昨年の民主党税制改正大綱は12月26日に公表されていますから、
一昨日書きました福岡高裁の判示事項を考えると、事実上3日しか
クライアントに税制改正に対応した対策を提示する時間がないかもしれない。

インドの首相との会談さえドタキャンするような小沢さんの体調も
心配ですが、どちらが政権をとるにしろ、早めの結論(総選挙)を
出して頂けなければ、我々税理士にとってはリスクが高まる一方です。

麻生首相の決断が待たれるところです。


他の税理士が投げ出した税務調査
2008.10.23

最近、紹介された会社の税務調査の立会をしました。

紹介された時の話では、税務調査が原因でもめて、
税理士に契約解除されてしまった、ということでしたが、
実のところは、税務調査の最中に、前の税理士が
「私には責任負えない」ということで投げ出されてしまった案件でした。
そこで、私が税務調査を引き継いだ形になります。

その会社は、経理については、前の税理士に丸投げ状態で、
前の税理士も決算処理の具体的内容を説明していないようでした。
最初は、社長に説明しても数字嫌いの方で、やるだけ無駄だ、と
判断されたのかなと思いましたが、
細かい話を確認するために、社長と経理担当者を交えて打ち合わせしてみた
ところ、経理担当者のレベルはそこそこ高く、社長も具体的な仕訳となると
分かりませんが、お金の流れを把握しているし、
法律的にもかなり細かいところまで理解しておりました。

私は、前の税理士(社長の話ですとお一人でやっていて、かなりお忙しい
先生のようです。)の処理が、じっくりと腰を据えて判断した処理ではなく、
片手間仕事でほとんど吟味もせずに、機械的に処理しただけ、
という感じを受けています。

税務調査にも慣れていないようで、調査官がどこにポイントを置いて
調査に着手し、どこをターゲットに絞ってきたのか、わかっていない気がします。

税務調査は、納税者の権利を保護するためには、非常に重要な局面です。
我々税理士が、納税者の側に立って、支払うべき税金を隠すことはおかしいですが、
支払ういわれのない税金を支払うことがないよう、闘ってあげなければ、
税の素人であるクライアントが、税のプロフェッショナルである税務署や
その担当である税務調査官と対等に交渉できるはずがありません。

前の税理士は重課といわれておびえていたようですが、
重課になるような処理をしていなければ、おどしになりようがないですね。
おびえていたということはそのような処理をしていたのでしょうか。
元帳を見させて頂いた限り、一部に疑問のある経費があることは確かですが、
税務署が前の税理士に要求していた金額ではありえないはずです。
調査官もその点は理解してくれたように思います。
ただ、私も疑問に思う点については、闘えないですが、
もしその点が架空経費であったとすると重課になりますが、
そうであっても負担すべき税額は、要求額から減額されます。

今は調査官からの連絡待ちになっていますので、どうなるか判りませんが、
調査官の対応からすると、理由のある主張にはきちんと応えてくれる
のではないかと、期待しているところです。


遡及適用違憲訴訟、福岡高裁逆転敗訴
2008.10.22

時事ドットコム2008年10月21日18:58記事によると、

マンションの部屋を売った後に改正された法律を根拠に、
税務署が所得から売却損を控除しなかった処分の是非が争われた
訴訟の控訴審判決が21日、福岡高裁であった。
山口幸雄裁判長は、処分を違憲無効とした一審福岡地裁判決を
取り消し、原告側請求を棄却した。原告は福岡市の女性。
改正租税特措法は2004年4月に施行。長期間所有した不動産の
売却損を他の所得から控除できなくなり、同年1月1日以降の
売却に遡及し対象とした。
その上で、控除を狙った駆け込み売却を防止する必要や
年途中からの実施は徴税の混乱を招く恐れから、
「遡及適用の必要性は高い」と指摘。納税者への周知も
ある程度されており、「改正法は違憲とはいえない」と判断した。

という。

私はここでも過去に遡及適用の是非について書かせて頂いたが、
私の結論とは真っ向反対の判決であり、当然のごとく、
研究論文等を用いて、今後、反論させて頂く所存です。

そもそも納税者不利の遡及適用が認められるのであれば、
憲法84条が、

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、
法律又は法律の定める要件を必要とする。

などという書き方はしないであろう。

手元に古い版しかないのですが、
芦部信喜「新版憲法」(岩波書店1997)323ページによれば、

「法律」による議決を要する事項は、納税義務者、課税物件、
課税標準、税率等の課税要件と、税の賦課・徴収の手続である
(最大判昭和30・3・23民集9巻3号336頁)。これによって、
法的安定性ないし予測可能性が確保される。

とされている。

つまり、裁判官が勉強しているはずの東大の憲法の大家は、
課税要件を法律で決めることは、予測可能性を確保するために
必要だ、と言っている訳です。

今回の遡及適用は、適用限界まで僅か2週間しかない時期に
新聞の片隅に掲載された税調大綱の記事のみで、
「納税者への周知もある程度できている」から、
遡及適用は違憲とはいえないと結論付けているのである。

税調大綱は断じて法律ではない。
それどころか、通達でもない。
諮問機関ではあるけれども、公的見解を公表できる機関ではない。
この判決の結論を実務に活かしていいのであれば、
与党税制改正大綱で出された意見を、先行して適用して申告したとしても、
税務署がこれを否認する場合には、信義則が適用されるとでも言うのだろうか。

裁判所がそこまでの覚悟で判決を書いたとはどうしても思えない。
東京地裁事件、千葉地裁事件を係争中の東京高裁の判断や、
本件に対する最高裁の判断が、信義則適用の危険性まで分かった上で
判断されることを望むばかりである。


事業再生セミナー
2008.10.21

昨日は、経営創研株式会社が主催する
会計事務所向け顧問先収益向上セミナーに参加してきました。

セミナーの内容に、違和感を持った方が多かったように思います。

このセミナーの実態は、事業再生セミナーだったからです。

内容は非常に充実していて、再生事業によって再生中の社長さんや
再生を支援している東京商工会議所出身の中小企業診断士さん、
経営創研の事業再生コンサルタントさんの講演がありました。

私が非常に印象に残ったのは、診断士さんが指摘した
中小企業のホームドクターとして税理士が果たすべき役割についてと
事業再生コンサルタントさんの具体例による再生計画の話ですね。

実際に、クライアントにどこまで納得してもらえるコンサルが
出来ているのか、ちょっと自分のことを考えながら、話を聞いていましたが、
金融機関の審査については、自分の認識の甘さが認識され、
この点については、クライアントに謝らないといけないかな。

ただ、下町のよろず相談所を標榜して、父の時代から、
何でも聞いてください、というスタンスでやってきたことについては、
自信を持っていいのかなと感じました。

私には、自称敏腕サービサーという友人がおりますので、
もともと事業再生に興味を持っていたんですが、
昨日のセミナーを受講して、本腰を入れて検討してみる価値があるなと
感じています。クライアントに万が一の時には、
我々税理士がフォローしてあげなければ、救えないケースもあるでしょう。

この厳しい時代、クライアントとともに、乗り切るだけではなく、
事業再構築(本来リストラはこの意味なんですが)を通じて、
成長を実感できるまで頑張りたいですね。


田中弘「時価会計不況」(新潮新書2003)
2008.10.20

今日は、昨日ちらっと紹介した、
田中弘「時価会計不況」(新潮新書2003)
を紹介したいと思います。

5年前に出版された新書ですが、今読み返してみると、
田中先生の危惧が、現実化されていることに気付かされます。

田中先生は、本書19ページで

「なぜ、規制緩和の時代に、会計だけが規制を強化されるのでしょうか。
それを理解するためには、金融ビッグバンのもう1つの柱である
「自己責任の原則」とはいったい何なのかを考えなければなりません。」

と問題提起した上で、22ページにおいて、

「東京都をはじめとする多くの都市では、条例によって犬の放し飼いは
禁止されています。散歩のときには、綱でつながなければなりませんし、
庭で飼うときも鎖でつないだり檻に入れたりしなければなりません。
これが犬を飼うときの「規制」です。「規制緩和」とは、飼い主に、
犬を放し飼いにする自由を与えることです。
 一方、「自己責任の原則」とは、「犬が放し飼いにされていますから
気をつけて下さい。もし噛まれたら、あなたが悪いのですよ。
自己責任ですから」ということを指します。「自由」を与えられた人と、
「責任」を課せられた人が、まったく別人なのです。人を噛むような
猛犬を放し飼いにする方が悪いはずなのに、噛まれた方が悪いなんて、
理不尽な話だと思いませんか。「規制緩和」と「自己責任の原則」は、
常識的に考えれば、成り立たない概念なのです。」

と指摘しています。

そして、これが会計ビッグバンに対しては、

「規制緩和の恩恵を受ける企業や金融機関に対し、「規制強化された
会計基準」に則った財務諸表の作成を義務付けた上で、財務状況や
商品の性能・性質などを正直にすべて「ディスクローズすることを
徹底」させるのです。それらの条件がそろって初めて、消費者・
契約者・預金者の「自己責任」を問えるようになるという考え方です。
 本来は成立しないはずの「規制緩和される側」(企業)と
「自己責任を求められる側」(投資家・契約者・消費者)の利益を
ともに成立させる命綱が、厳格な会計制度です。」(23ページ)

と言い換えるわけです。

この図式は、昨日のサミットでも問題視された
「指針」の厳格化の理由として説明できることになります。

また、時価会計の本質について、34ページで

「時価会計とは、持っている有価証券などを「期末に売っていたら」
ということを前提にして、財産と利益を計算することです。それも、
「期末時点の時価で売った」ことにして計算します。
 証券市場の知識が少しでもあるとわかることですが、市場で
成立した価格(期末の時価もそうです)というのは、遅れていった
バーゲンセールの特価みたいなものです。そのときに市場に参加
していなければ利益も特価も自分のものにできません。
 日常では、こうした「手にしていない利益」(株の含み益)を
「捕らぬ狸の皮算用」といいますが、時価会計では「狸を
捕ったことにして」皮算用するのです。」

と指摘している。

まさにこの点が重要で、アメリカ型の投資情報中心の時価主義会計は
株価という会社の価値(商品開発力や社員のモラルハザードは全部無視)
だけを重視して、全てを現在の金銭的価値で捉えようとするものでした。
ホリエモンの「金で買えないものはない」といった嘯いた態度も
このような価値判断から来ていたものでしょう。彼は、株価上昇のために
粉飾をしてでも株価を高めようとして、失敗したわけです。

また、本書の第3章のタイトルは

「株は時価で売れる」という妄想

今となっては至言としか言いようがありませんね。
アメリカの金融不安は、投資家が保有している株が、
時価で売れないかもしれないという不安が引き起こしたことと
いってもいいでしょう。
株が時価で売れないから売れる価格まで下がるわけです。

また、マネーゲームといわれて久しいですが、
本書の第4章のタイトルも

錬金術に毒されたアメリカ型資本主義

本書では、92ページから96ページにかけて
ワールドコムやエンロンの不正のトリックを紹介し、
98ページから102ページにかけて
V字回復のトリックを紹介しています。
数字のトリックを専門家を抱きこんで利用してしまえば、
会計上の利益は錬金術のように作り出せるものでもあるのです。

田中先生は、
「会計学者の一人として、自省の念をこめていいますが、
わが国の会計学は、その産物たる会計基準も、その基準の遵守を
生命線とする監査も、利益操作の抑止力としてはほとんど
機能してきませんでした。
 嫌われることを覚悟していえば、会計理論を担う学者も、
その理論を実践するはずの経営者も、理論や基準が遵守されて
いるかどうかを監査する会計士も、ネガティブにかポジティブにかの
差はあるでしょうが、何らかの形で、直接間接に利益操作に
加担してきたといってもよいかもしれません。」(129ページ)
と、実に耳の痛い指摘をしている。

会計数値というのは実にデリケートなもので、
価値判断を加え、選択可能な判断基準を、上手く利用することによって
いかようにも動かせてしまう代物です。
そのため、田中先生は、

「原価をベースとした会計情報には、その企業のよき経験も悪しき経験も
反映されますが、いまだ行われていないことや未決定のことは
反映されません。原価は、あくまでも、その企業に固有のデータであり、
その企業が経験したことの履歴です。したがって、原価によって
測定された収益力とかキャッシュフロー創出能力などは、
その特定の企業に固有の能力を示しているのです。」(131ページ)
「もちろん、「現在の実力はいかほどか」といった現在情報・時価情報が、
その企業の実力を知る上で役に立つことも否定できません。
しかし、それが、低下傾向にあるのか上昇傾向にあるのか、それとも、
フロック(まぐれ)なのかは、時価情報(現在の実力)だけでは
わからないのです。今日明日といった短期的なことは時価情報によって
知ることができますが、半年先、一年先、二年先といった中・長期的な
実力とか収益力を知るには、歴史情報・原価情報が必要なのです。」(133ページ)

と指摘するように、時価主義偏重の新会計基準に危惧を表明し、
取得原価主義への回帰を主張されていました。

猫も杓子も時価、の時代に、時価批判をされていた田中先生の
鋭い見識に感服する次第です。

私も法政大学時代、大下先生の下で時価会計を研究しておりましたが、
私の主張も、ダブルスタンダードとなったとしても、コンピュータ会計が
普及した現在では、時価会計と原価会計の2本立ての財務諸表を
作るべきではないか、というものでした。
今から思うと、あながち間違った方向性ではなかったかなと思っています。

田中先生は、最後に、時価会計がその時々の問題の解決のために
華々しく登場するも、失敗してきた歴史に触れ、ものさしである
会計基準がおかしくならないことを希望してきたのです。

アメリカ的時価偏重主義に破綻が見えた今だからこそ、
田中先生の指摘に今一度耳を傾けようではありませんか。


第12回全国大学会計人会サミット
2008.10.19

昨日(10月18日)専修大学にて、第12回全国大学会計人会サミットが
19大学120名を超える参加を得て、盛大に開催されました。

私も法政会計人会の幹事として参加させて頂き、
また、今回のサミットのテーマである
「中小会社の会計に関する指針」について
法政を代表して意見を出させて頂いた関係で、
サミット本会議において、発言させて頂きました。

サミットでは、
「中小会社の会計に関する指針」作成検討委員会委員長でもある
専修大学 安藤 英義 教授をお招きして、基調講演をして頂きました。

安藤先生のお話は非常に分かりやすく、また
立場を明確にされていたので、非常に興味深く聞かせて頂きました。

基調講演を受けて、事前に各校から出されている意見を踏まえて、
本会議では、非常に活発な意見交換がなされ、
最終的には以下のようなサミット宣言が宣言されました。


サミット宣言

われわれ、第12回全国大学会計人会サミット参加者一同は、
以下の課題を共有し、各加盟団体の連携のもとに、これらの
実現に向けて宣言する。

1.中小企業の会計の質の向上に貢献するため、会計の専門家として
「中小企業の会計に関する指針」の普及定着を推進します。
2.「中小企業の会計に関する指針」の活用を通じて、実務家として
中小企業の経営を応援します。
3.「中小企業の会計に関する指針」の改善進歩を図るため、日本公認
会計士協会及び日本税理士会連合会を通して積極的な提言を行います。
4.大学との交流を促進し、勉学と実務の融合を目指します。
5.母校の学生に対して、実務経験を生かした支援を行います。

平成20年10月18日
第12回全国大学会計人会サミット


細かい点には異論はあるものの、総論として、中小企業の会計の質の
向上を図るために「指針」を改正しつつ、普及定着させていくべき
という方向性が明確になったように思います。

私の持論からすると、投資情報優先のアメリカ的な時価至上主義を
標榜し始めてきた新会計基準(会計ビッグバン以降の基準)と、
債権者保護を標榜する商法、課税の公平を標榜する税法とでは
そもそも目的が違うのであるから、全て同じ基準でやることには
無理があるし、投資家保護の視点が限りなく低い非公開中小会社
にとっては、投資情報としての時価情報はいらないと考えていますので、
若干の違和感はありますが、「指針」のもつ役割と重要性は
認識しているつもりではいます。

ここ数日の株価乱高下を受けて、時価主義の適用を緩和しようではないか
という議論が出てきておりますが、このような状況は
すでに神奈川大学の田中弘教授が5年前に指摘していたとおりですね。

田中弘「時価会計不況」(新潮新書2003)185ページによると、

会計基準は企業の実態を測る「ものさし」であるから、悪い結果が出る
からといって会計基準を変更するべきではないという意見があります。
私は、時価会計を使えば債務超過やBIS基準不達成になるからやめよう、
と言っているのではありません。時価会計という「ものさし」では、
企業の本当の姿が映らないと言っているのです。


まさに、アメリカの様々な問題が、過度の時価主義から来ていることは
明白です。客観性のない時価を理論値によって求めた公正価値では
生きた経済を反映できないことは、明らかにされたといってもいいでしょう。

サミットに出席させて頂き、基準を安易に作ってしまうことの
恐ろしさを改めて感じている今日この頃です。


ひき逃げ死亡、飲酒運転止めなかった同乗者に賠償責任
2008.10.17

危険運転致死傷罪が適用されて以来、
飲酒運転に対しての厳罰化が図られ、

「乗るなら飲むな、飲むなら乗るな」

が徹底されてきているように思います。

元福岡市職員が引き起こしたひき逃げ事件など、
飲酒運転が引き起こした痛ましい事故はあいかわらず
マスコミを賑わしているようですが、
一般論からいえば少しは減ってきたんではないでしょうか。

そこで、この事件を紹介したいと思います。
「ひき逃げ死亡、飲酒運転止めなかった同乗者に賠償を命じる」
(鹿児島地裁平成20年1月15日判決)です。

私もWeb記事上でしか確認できておりませんが、
YOMIURI ONLINE 10月15日13:36記事によると、

鹿児島県・奄美大島で2003年に起きた飲酒ひき逃げ事故で、
次男(当時24歳)を亡くした大分県国東市遺族が、
「危険な飲酒運転を止めなかったのは違法」として、
事故を起こした元少年(当時19歳)と酒を飲み、
自己直前まで元少年の乗用車に同乗していた鹿児島県内の
男性(24)に慰謝料など約5300万円の損害賠償を求めた
訴訟の判決が15日、鹿児島地裁であった。

小田幸生裁判長は男性に全請求額の支払いを命じた。

交通事故裁判に詳しい弁護士らによると、飲酒運転事故で、
事故前に降車した同乗者の責任を認めた判決は極めて異例。


私の両親の故郷である奄美大島での事件ですが、
画期的な判決が下されたものだと、裁判長の勇気に頭が下がる思いです。

飲酒運転が後を絶たないのは、酒を飲ます側にも
原因があると思っています。
人間の意思なんてそんなに強いものではありませんから、
周りが楽しく飲んでいたら、1杯だけ、なんて
スケベ心が出てきてしまっても仕方がないかもしれません。
でも、それで飲んでしまったら、乗ったらいけないんです。

奄美のように、鉄道がなく、バス網しかないところでは、
車がなければ通勤・通学にも支障があるのです。
父の時代とは違うのでしょうが、父は中学の途中から
自宅を離れて、寄宿舎に移ったそうです。
そういう地域では、ちょっと1杯はヤバイのです。

車に乗る人に飲ませないためには、この判決のように、
車であることを知りながら飲ませた人間にも厳罰を下すしか
ないのではないかと思うのですが、皆さんはどう思いますか?


スミセイ異業種交流会に参加してきました
2008.10.15

昨日14日、住友生命が主催する異業種交流会に参加してきました。

今回で2回目の参加でしたが、前回と違い、
すし詰め状態ではありませんでしたが、
元来、人込みが苦手なもので、どうも勝手が違います。

また、営業しにきました!って感じの方も多々あり、
少々辟易していた・・・って私が言える立場じゃありませんね。

まあ、自分の持つ人脈では出会えない方々との
出会いの場になるという意味では、
異業種交流会というのも面白いのかもしれません。

こういいながら、次回も出る予定でおりますが・・・

せっかく出会えたご縁、大切にしたいものです。


保険会社主催の交流会では、通常はすでに事業をされている方々の
参加になりますので、私のような税理士の場合、営業をしようと思っても、
既に税理士がついていらっしゃる方々ばかりですから、
営業という意味では効率は悪いでしょうね。

私は営業に繋がればうれしいですが、
それよりもいろんな業種の方にお会いして、
自分の引き出しを増やしに行っているんですね。

私の場合には、開業している税理士であるという一面だけではなく、
ゼミを持つ大学講師という一面も持っておりますので、
私が人脈を拡げるということは、学生がアプローチできる
人脈を拡げるという意味も出てくるわけです。


こんな変な税理士もいるんですよ、ということを知ってもらうには、
僕自身が動く必要があるわけです。
私はまだ知名度ありませんからねえ。

誰も知らない変な奴、じゃあ、シャレにもなりませんね。

それでも、10年後にはビッグネーム
この夢だけは捨てるわけにはいきません。

頑張るぞ!


米銀行協会、時価会計に関するFASB新指針を批判
2008.10.14

トムソンロイター発、14日10:24ネットニュース記事によると、

アメリカ銀行協会は、アメリカ財務会計基準審議会(FASB)が
発表した時価会計に関する新ガイドラインについて、
内容に問題があるとして、証券取引委員会(SEC)に
ガイドラインを無効とするよう求めた。

SECとFASBは、先月30日、金融機関の時価会計について、
価格設定が困難な資産を評価する際は著しく低い価格で必要はなく、
企業が内部で算出する想定価格が公正価格として適用可能であると表明。
FASBは今月10日に、この方針を正式なガイドラインとして発表した。

銀行協会は、新ガイドラインが公正価格を算出する際に
流動性リスクを評価するよう求めている点を問題視。

同協会はコックスSEC委員長に書簡を送り
「(FASBのガイドラインは)現実を理解していない」とし
「この問題の重要性、金融危機への影響、またFASBが機能停止に
陥った市場で時価会計の問題について効果的な対策を打ち出す
能力がないとみられることを考えると、SECが法的な権限を
発動して、この問題に介入しFASBのガイドラインを無効にする
必要がある」との認識を示した。

銀行協会は、FASBが公表したガイドラインが複雑すぎ、
大手金融機関・監査法人では対応が極めて難しいと批判。
中小銀行でも作業負担が大きすぎると指摘している。

と、している。

時価会計の評価方法が問題となっているのであるが、
時価会計の恐ろしさを示しているところではないだろうか。

私は時価を投資判断のための指標としては優れているが、
業績評価のための会計指標としては歴史的原価としての取得原価に
客観性の点から劣っているのではないかという持論を持っているが、
この問題も時価評価を恣意性の高い企業内部で算定した想定価格を
適正な時価として容認している点に問題がある。
もしこの時価の適正性を判定しようとするのであれば、
この時価処理の監査を行う公認会計士の事務量は膨大になることは
明らかであり、また、公認会計士にそれ相応のリスクを
負担して頂けないのであれば、銀行は受け入れ難いであろう。

会計基準として、そのような危険な基準を容認してしまうとは、
FASBも落ちたものだ。投資判断指標としての時価至上主義も
行き着くところまでいってしまったのであろうか。

こんなことをやっているから、世界中からアメリカ経済のあり方に対して
今回のような評価を受けることになるのではないのか。

我々も、何が実態であるべき姿なのか、
自分なりの指標をきちんと持っていないと、
何も見えないままで終わってしまう危険がありますね。


アジア株反発、G7合意効果か
2008.10.13

G7による公的資金投入合意から一夜明け、
世界各国で株式市場が再開しました。
週明けの13日のアジア各国では、週末までの急落から反発。
香港市場の主要銘柄で構成するハンセン指数は、
先週末から10.24%上昇し、10日の下落分を回復したという。

日本の夕方から再開したヨーロッパ市場も、
株価上昇に転じている。

アメリカ下院における金融安定化法案否決がきっかけになって起きた
世界同時株安もどうやら沈静化の方向に向かってくれそうです。

しかし、アメリカの下院議員の良識には困ったものである。
これもパスポートさえ持っていない下院議員が多いという
アメリカ独特の状況が生んだものかもしれないですね。

アメリカの正義を信じて疑わず、外国から学ぼうともしない
頑固なまでのナショナリズム。
アメリカ人には意外と多いのではないでしょうか。
これは日本人にも言えることなのですが、
自国のことしか考えていないから国際感覚がないんですね。

一度外に出ると、自分の考え方がいかに狭いものなのかが
嫌って言うほど分からされます。

日本人は語学へのアレルギーのある人が多いので、
国際感覚が身につかないのかもしれませんが。

語学アレルギーという意味では、私の学生時代は勇気を与えるかもしれませんね。
私は高3の5月に某大手予備校の模試で英語の偏差値28をとりました。
ここから1浪で大学に入り、大学院まで進みました。
大学院時代には、受験予備校で、英語の講師も経験しましたが、
私の場合には、研究のため、必要に迫られて、
読むための語学に特化して、翻訳されている専門書を対訳にして
2年間で、とにかく量をやりましたね。
また、予備校を使ったのも良かったのかもしれません。
おかげで、今では読むだけなら英語・ドイツ語に対応しています。

話が逸れましたが、資源のないわが国は、とにかく外に向かって
出て行くしか生き残る道はないのだから、
国際感覚は大事に育てていきたいものです。

中川財務相は、預金の全額保護も復活を検討するというコメントを
していましたが、そこまでしないでもすみそうですね。
必要な財政出動は必要ですが、タイミングを間違えると
将来に禍根を残しますからね。そういう意味では、
麻生内閣では、与謝野経産相がいい歯止めになっているんですかね。

アジア市場の反発を見て、ちょっと安心しています。


G7公的資金投入に合意
2008.10.12

主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、
公的資金を使った金融機関への資本注入に合意した。

世界が、いうなれば「日本がかつて来た道」を踏み出すことになったのである。

しかし、その課題も多い。

アメリカは議会の顔色を窺いながらの実行になるであろうし、
資本注入額を決める資産査定の方法さえあいまいなままであるからだ。

日本は、バブル崩壊後の住専問題に絡み、金融機関への公的資金の投入を決断。
不良債権処理を進めるため、積極財政への転換を踏み切った結果、
現在では、一部の金融機関を除き、不良債権処理は一段落し、
マネーゲームの様相さえ、呈してきていた。
しかし、投資価値最優先の近視眼的なアメリカ的な価値観が浸透し、
研究投資や人材育成がないがしろにされ、従来型の人材育成の結果、
現在の労働市場にそぐわなくなった中高齢者のリストラが進み、
人材育成が行われないまま労働市場に放り出された若年層は、
正社員としての評価を得られないまま、非正規労働者として
安く買い叩かれている社会を生み出してしまったように思える。

今まではアメリカ的な価値観が常に正義のように思われていたからかもしれない。

しかし、アメリカ的な近視眼的な経済社会は、
2000年のエンロン破綻、それに伴う名門監査法人
アーサーアンダーセンの解散という結果を伴って、破綻の兆候を見せていた。
今回のリーマンショック、AIG経営危機等は、このタイミングで
アメリカの矛盾が一斉に吹き出した格好になってしまったのではないか。

サブプライム問題は、日本の住専問題と見事なまでに重なって見える。
日本がサブプライム問題でさほどの被害を受けなかったのは、
バブル崩壊時の痛手をまだ忘れていなかったからだけではないだろうか。
今回破綻した大和生命のビジネスモデルの特殊性を見ると、
そう思えてならない。

保険会社は投資利回りを確保しなければ、保険利回りをカバーできないだけに、
株式投資に積極的になるのは当然であろう。しかし、保険商品というものは
元来リスクヘッジ商品なのだから、保険会社がリスキーな投資に手を出すこと自体、
矛盾した行為ではないのか。彼ら経営陣が、投資の自己責任を果たせるほど、
プロフェッショナルな投資家であったとは思えないのだが、どうだろうか。

アメリカ的な近視眼的な投資価値優先の経済はアーサーアンダーセン事件を
生んでしまったにもかかわらず、今回も同じ轍を踏んでいるように思えてならない。

ライブドア事件も、同社を監査していた監査法人が解散したことも含めて、
専門家が知識を集約して行った粉飾であり、非常に良く似ていた。
アンダーセン事件について以下の書籍を紹介しておきたい。

「マンガ 不正会計の真実」パンローリング社から2008年8月に
出版された文庫本サイズの、マンガを使って説明した本である。

今、会計の世界で何が起こっているのか、一般の方にも分かって頂かないと、
これからの社会は先が読めない時代になりそうです。

積極財政への転換は、将来世代への借金を拡大させることになりますが、
世界同時株安を少なくとも日本ではある程度の歯止めを打っていかないと、
せっかく底を見せていたわが国経済の底が破れてしまう可能性さえあるわけです。

苦しい財政運営になるでしょうが、今の麻生内閣の経済運営が失敗すれば、
この次がなくならないとも限らないだけに、
少なくとも、今は麻生さんの経済手腕、中川さんの世界への指導力に
期待するしかないような気がしますね。

若者の未来のためにも、頑張ってくれー!


町田市、グーグルストリートビューに規制求める
2008.10.10

東京都町田市議会が、9日の本会議で、
グーグルの地図と写真を組み合わせた検索サイトである
ストリートビューについて、
国に対して規制を検討すべきとの意見書を、賛成多数で採択しました。

asahi.com 10月10日3時6分の記事によると、
地域や個人への撮影告知も公開許可願もないとして、
個人や住宅などを無許可撮影、無断公開する行為を
都道府県迷惑防止条例上の「迷惑行為」に加えることの検討や、
必要に応じた法整備などを国に求めた、という。

また、同記事によれば、山田健太・専修大准教授(メディア論)は
「表札などは全世界の人にさらされることを予定しているわけではない」と
グーグルに自粛を求めつつ、意見書について「公道での写真撮影や
そのネット公開が制約されることは、市民の自由な言論公共空間を
狭めることになりかねない」と指摘している、という。


私も、ストリートビューには疑問を呈しているところである。
私の家は、ある事情から特殊な表札になっているが、
ストリートビューの画面で見ると、ボカシが入っているものの、
表札から私の家であることがバレバレなのである。

風景写真として町並みを撮るときに、表札をばっちり写しませんよね。
しかし、ストリートビューは、表札まではっきり分かるほど
正面から撮影されています。実に忌々しい限りです。

また、仕事で車を走らせているときに、撮影しているらしき
車両の後ろをしばらく追走することになったこともありました。
僕が写っているとしたら嫌だなあと思いながら走っていたので、
正直、気分が悪かったですね。

便利な機能である反面、プライバシーの保護の観点からは
複雑な問題を孕んでいることを、グーグルはどう考えているのだろうか。

INTERNET Watch 8月5日の記事によれば
グーグルが8月5日に行った説明会では、
「問題のある画像については報告して欲しいと説明。
また、報告用のページでは、プライバシーに関する画像として
「人の顔」「ナンバープレート」「自宅」といった項目が
設けられており、自宅の画像が公開されたくないという
要望についても、メールのやりとりなどで確認が取れれば
対処していくとした。
一方、「インターネットに接続しておらず、どのような画像が
公開されているかも確認できないような人への対応はどうするのか」
という質問に対して河合氏は、「難しい問題だが、まずはユーザーに
見ていただいて、その中に本人でなくとも、この画像には
プライバシーの問題があるのではないかといったことを、
ユーザーに教えていただきたい」と回答」している。

しかし、この記事からすれば、私のように、表札がぼかしでも
誰のものか分かるようなケースは、画像処理をして表札自体を
消してもらわない限り、直らないですね。
そこまでする気もないけれども、忌々しさは残りますね。

町田市議会の決議は、法的には問題はなくとも、
感情的なしこりが残りかねないようなケースにも
対処出来るようにするためには、
国による統一的な処理が必要という考えによるものではないでしょうか。

インターネットによる情報公開は、
自分では予想もしないような苦情、反論があり得るわけですから、
自分に都合のいい解釈ではなく、
あらゆる場合を想定する必要があるのでしょうね。

私は口の悪い方ですから、注意しないといけませんね。


ゼミ合宿でいない間に・・・
2008.10.09

6-8日、国士舘大学法学部の私のゼミ生を連れて
札幌に研修合宿に行ってきました。
国士舘大学法学部では学校の公式行事として、授業期間中に
ゼミ合宿が行われることになっています。
本来は7月上旬に予定していたのですが、はしか騒動で
学校行事の全てがストップしてしまった関係で、
昨日までの日程に延期になっていました。

小学生の社会科見学よろしくあちこち行ってきましたが、
大学生ともなると、小学生とは異なる味わいがあると思います。
特に旭山動物園の商品(こう言っていいのか分かりませんが・・・)の見せ方は
企業経営者にも考えさせられるのではないでしょうか。
また、白い恋人ミュージアムもなかなか考えさせられる見せ方でした。
まあ、飲兵衛の私としては、サッポロビール園が一番でしたが。

ところで、私が東京を離れている隙に、
興味深いニュースが飛び交っていましたね。
ノーベル賞受賞に沸いている一方で、
株式市場はブラックマンデーを彷彿させるほどの急落。

株式市場がここまで落ちてしまうと、
実体経済への影響が出てしまう可能性が高いですね。
アメリカの自己責任社会の代償が
世界にここまでダメージを与えてしまうことを予想出来ませんでした。
麻生内閣の経済運営の手腕を見守りたいところです。


バカでエースがつとまるか!(堀内恒夫著)
2008.10.08

今日は、ちょっと意外な話が書かれていた本を紹介します。
巨人のエースとして活躍して、今年野球殿堂入りを果たした
堀内恒夫さんの「バカでエースがつとまるか!」
ベースボール・マガジン社新書(2008年9月)です。

悪太郎と異名をとった堀内さんでしたので、
どちらかというと感性で野球をやられてきた方のような印象を持っていました。
解説においても、緻密な分析という印象もなかったので、余計かもしれません。
しかし、本書を読むと、堀内さんの選手として生き残るためにやってきた
努力の跡がよく見えてきます。天才というよりも努力の人だったんだなあと。

本書には、ビジネスマンが身に着けるべきことのヒントがたくさん隠れています。
僕が非常に印象に残ったのは、
第2章 記憶力の悪いピッチャーはエースになれない
第5章 「野球バカ」になるな、金でもめるな
ですね。

「コンピューターが伝えるバッターの特長や数字をたくさん積み上げても、
経験値ほどの重みはない。積み上げた数字による選択とは、まったく逆の
ボールを選択するときもある。どれだけ痛い目にあったか。そして、
痛い目にあった文だけの”免疫”をきちんとつくれているか。
ピッチャーは”免疫”の抗体が多いほど、一流といえるかもしれない。
二流ピッチャーは打たれた痛みを忘れて、前と同じボールを同じコースに
投げて、同じ結果を繰り返す。自分のボールに根拠のない自信を持っている
からなのか、ただ単にバカなのかはわからない。同じ過ちを繰り返す
ヤツには、己を知らなすぎると言いたい。」(P39-40)

「スクラップをしていると、改めて情報の大切さを痛感する。特にけがの
情報は貴重だ。今季絶望といった大きなけがなら、テレビのスポーツ
ニュースでも放送されるが、小さなけがは、スポーツ新聞に小さく載る程度。
球団が発表したもの、記者が独自で取材して描いたもの、とさまざまだが、
この情報は武器にもなった。
情報をどう分析して自分のピッチングにつなげていくか。情報の生かし方も、
一流と二流の分かれ道になると思う。」(P44)

「メディアの発達によってプロ野球選手には影響力が出てきた。選手の
言動にファンは良くも悪くも影響を受ける。選手は、ファンに対して、
きちんとしたメッセージを伝えていかなければいけない時代になった、
とオレは思っている。
野球だけできて、まともに受け答えができない「野球バカ」は、
昔ならよかっただろうが、いまは本当にバカにされてしまう。
「プロ野球選手ってやっぱりバカなんだ」なんて言われたら、
オレたちだって恥ずかしいよ。
ダルビッシュがあるテレビで、好きな言葉は何かと聞かれたとき、
持っていたボールにこうペンを走らせた。
”Keep the faith”(信念を貫け)
ピンチになるとこの言葉を思い浮かべるという。いい言葉だと感心した。
オレの心にも響いてきた。ファンも聞いたら、オレと同じような気持ちに
なるだろうと思った。」(P115)

細かい話は本書を読んで頂くとして、
実力だけではなく、自分の力と相手の力を推し量り、相手に勝つための
事前準備を怠らなかったからこそ、堀内さんは通算203勝を積み上げられたのだ。
相手に勝つための準備として情報を集め、分析し、戦略を練る。
戦略論として言い尽くされてきたことであるが、そういう考えを
堀内さんも持っていたんですね。やはり成功した人には、
共通の努力のような気がしますね。


変貌する現代会計(石川純治著)
2008.10.07

今日は、以前、紹介すると書いたまま紹介できずにいた
石川純治先生の「変貌する現代会計」日本評論社(2008年7月)
を紹介しようと思います。

本書については、是非、前著である
石川純治「変わる社会、変わる会計」日本評論社(2006年5月)と、
石川純治先生のHPにおける記事とを合わせてお読み頂けると幸いです。
石川先生のウェブサイトは以下のアドレスからアクセスして下さい。
http://www.komazawa-u.ac.jp/~ishikawa/profile.htm

石川先生とは縁もゆかりもないのですが、先生が大阪大学にいた
15年前くらい(私にとっては法政のマスター時代)から注目していました。

先生に限らず、井尻先生の系統の方は注目していたというべきでしょうか。
昨今の先生方の隆盛から見ると、私の注目の仕方も
あながちずれていなかったんだなと思っています。

さて、本書は、企業会計原則中心だった時代から大きく変容してきた
わが国の会計について、その変容の「形」と「方向」をしめすことを
目的としています。

石川先生の秀逸な点は、いくら変容し、いわゆる新会計基準が、
企業会計原則を既に過去の遺物と言わんばかりの扱いをしていたとしても、
あくまで企業会計諸基準は、企業会計原則が端緒にあるというスタンスを
崩さないところにあろう。つまり、史的なアプローチを常に念頭に置き、
また、わが国の制度である以上、わが国の法規範を無視することなく、
存在を認めた上で、会計側が進むべき道を模索されているのである。

本書も、第1章に「企業会計原則」と今日、を置き、
時価主義を唱えるいわゆる新会計基準が、いかにも時価は1つであると
言わんばかりに、割引現在価値に重点を置いていたとしても、
性質の異なる時価の議論がこれまで4つの時価として議論されてきたことを
明らかにしています。そして、「英米ばかりみず、これまで蓄積された
日本の会計理論にもっと目を向けてもらいたいものです。日本の古典的理論は、
けっして役割を終えた過去の遺産といったものではありません。
メーテルリンクの「青い鳥」ではありませんが、身近なところにこそ
宝物があったりするものです。」(本書P75)と、投資情報重視のアメリカ基準に
べったり追従し、日本的に改良すればよいという傾向を批判する。

また、利害調整会計と意思決定会計という2つ会計の役割について、
「A:「企業会計原則」の基礎には分配可能利益計算の枠組みがあり、
そのもとで利害調整会計および意思決定会計の双方が遂行されてきたと
いえます。「企業会計原則」は、したがってこの双方の目的を担う
会計原則という役割を合わせもち、そうした二重の構造の上に立っています。(略)
Q:しかし、今日は意思決定有用性会計が優位に立っていますね。
A:そうです。金融商品会計などに代表される今日の新たな会計基準は、
意思決定有用性を軸にした情報開示会計の優位性の見地から
出てきています。」(本書P182-183)と指摘し、
「商法改正そして新会社法における省令委任方式による開示規制の
金融商品取引法化、および配当規制の性格や質も含めて大きな変容が
なされようとしているわけですから、情報開示会計と利害調整会計の
分離傾向はこれまでの商法との調整という枠を超えて、いっそう
強まるものと思われます。」(本書P183)と指摘する。

石川先生が指摘するように、会計諸基準と法が求める会計規制とに
目的の相違が顕在化し、矛盾が出てき始めているだけに、
この指摘は実に深いものがある。

また、石川先生は、中小会社の会計に対しても、
新会社法は公開大会社ではなく、むしろ中小会社の方がその基礎と
なっているにもかかわらず、「中小会社の会計基準に関しては、
公開大会社向けの会計基準の”簡易バージョン”といった位置づけ
となっています。大幅に省令委任された会計ルールは、(略)
公開大会社向けの金融商品取引法会計といえますが、会社の規模や
公開・非公開を問わず1つの経済実態には会計ルールはただ1つ、
というのが基本スタンスのようです。」(本書P187)と指摘し、
「グローバルな資本主義のあり方を受けて、グローバル化を
いっそう進める企業会計と、国内法である租税法に基づく
税務会計とは、本来的にその目的や性格を異にしています。
また、(略)今日の企業会計は情報開示志向をいっそう強めていますが、
税法は所得計算が任務です。この情報開示と所得計算との乖離、
そして(略)利益計算と所得計算との乖離は、企業会計と税法との
一体的関係の何らかの修正か、もしくは分離主義の方向に
傾くといえるでしょう。」(本書P200)と指摘する。

私の持論でもありますが、本来目的の異なる会計と税法とが
同じ基準で処理しようとすることがおかしいのであり、
確定決算主義に基づく損金経理を廃止し、確定決算主義から離脱すべきであろう。

石川先生はここまで明確には言われていないが、会計と税法・商法との
乖離がこれ以上進むことの矛盾を是正すべきとの見解は
こういう議論を表に出さない主流派の研究者が多い中で、
我々実務家からは、非常に心強い思いで本書を読ませて頂いたところである。


税理士新聞に載りました
2008.10.06

先週、税理士新聞が事務所に届きましたが、
私が講演した記事が掲載されていました。

講演は9月12日に法政会計人会の総会に伴う講演会で
発表させて頂いたもので、当日は、
他校会計人会からの来賓も含め、30名近い出席者を得て行われました。

内容は、「税理士補佐人の経験から」
東京高裁平成20年7月10日判決(TAINSコードZ999-8202)において、
税額3億円を超える軽油引取税の不当課税について逆転判決を勝ち取った
私が補佐人としてついた事例をテーマに、私の裁判運営における役割であるとか、
裁判に勝つためにどういうことを主張したのか、といった点を中心に
講演させて頂きました。

実際に補佐人の経験がある方がまだまだ少数ということもあって、
ピンとこないことも多いかと思いますが、業界を守っていくためにも、
税のプロフェッショナルとして、税務訴訟においては
弁護士さえもリードできるくらいの実力を身につけ、
民事訴訟手続を知っておくべきでしょう。

私もはじめての訴状作りでしたので、面食らいましたが、
裁判所は、こちらが主張しなければ、争いがないものと判断しますので、
相手が税務署ではないことを念頭において取り組むべきでしょう。

当日は、日本税務会計学会訴訟部門有志35名で共著した
「税理争訟ガイドブック」(民事法研究会)
が出版されたばかりということもありましたので、
民事法研究会の安倍様が会場まで書籍を持ってきて下さいました。
本書は、私にとって書籍デビューでもありましたので、感慨深いものがあります。

12月4日東京税理士会葛飾支部研修会では、ほぼ同じ内容で話す予定です。
法政会計人会では40分程度の持ち時間でしたが、地元葛飾支部では
3時間研修を予定しておりますので、さらに突っ込んだ話が出来るかと思います。

また、12月12日MJS租税判例研究会では、
判例研究として、本件を取り上げさせて頂くことになりました。

たまたま先行事例で勝つことが出来ただけに(実は最高裁待ちですが)
税務訴訟に対する啓蒙活動を積極的にやっていかなければなりませんね。


3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術(マーク富岡著)
2008.10.05

今日は、先日出席したセミナーで講師をされていた
マーク富岡さんの「3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術」
(サンマーク出版)を紹介したいと思います。

マーク富岡さんは、サラリーマンとして世界中をビジネス交渉の
ために飛び回っていらっしゃいます。
先日のセミナーの時に名刺交換させて頂きましたが、
その名刺には、ご自分のことをこのように紹介されています。

ユダヤ商人を手玉に取る海外マーケター
世界75カ国を飛び回り、相手の心をつかむ交渉で、数々の難航案件や
数十億単位の商談までも取りまとめてきた交渉のプロフェッショナル。
ユダヤ商人を手玉に取り、これまでにイエスと言わせたアメリカ人は
1万人にものぼる。現役海外マーケターとして「交渉のノウハウ」を
指導するセミナー・コンサルティングは高い実績を誇り、成功事例は多数。

これだけ書くと自慢話ばかりの方のように感じられるかもしれませんが、
セミナーの内容もむしろ自分の失敗談というか、マイナス事例を
自分と同じような失敗をして欲しくないからあえて公開しますよ、
というスタンスがよく見える、印象に残るものでした。

さて、本書の内容ですが、
大学卒業後、一部上場の大手メーカーの海外営業部に配属された頃には、
英語での国際電話がかかってくれば、間違い電話のふりをしてしまうような
方だったそうですが、そんなマークさんが、社会人10年選手となって
それなりの交渉が出来るようになってきた後の出会いから始まります。

ドイツでのビジネスにおいて交渉の仲介役として出会った
ユダヤ人のマイヤーさんから教わった先を行く交渉の極意を
マークさんなりの視点で紹介しているのが本書なのです。

本書の特徴はChapter2ですかね。
・アメリカ人から学ぶ「一気に主導権を握る」技術
・イタリア人から学ぶ「場の雰囲気を盛り上げて成功する」技術
・スペイン人から学ぶ「ワインと食事と会話でわかり合う」技術
・アラブ人から学ぶ「気に入られて成功する」技術
等、ビジネスマンであれば、誰でも経験的にある程度は体得している
であろう問題を、ケーススタディーとしてまとめています。
こういうものは余り見なかったような気がしますね。
多くの方が経験を語れないと考えているからかもしれません。
先輩と飲みに行って、説教交じりに、こういうことがあった、
というレベルでなら聞いている話かもしれませんが、
説得力のある話として本にまでまとめたのはすごいことかもしれませんね。

本書は6月に出版され、アマゾンキャンペーンの結果、
アマゾンランキングで、ハリーポッターの上に行って1位を取っています。

セミナーでそのときの奮闘振りを離していましたが、
読んでみると、キャンペーンだけではなく、実態が伴っているから取れた
1位という気がします。

昨日書きました、井上さんのアマゾンキャンペーンにも、
マークさんは協賛しています。非売品の提供という、
仲間だからというよりも井上さんにも成功して欲しいからという
思いがあふれる協力ではないでしょうか。

友情ってありがたいですね。


井上さん、アマゾンで1位を獲得
2008.10.04

以前、ここで紹介致しました
井上裕之さんの「自分で奇跡を起こす方法」が
アマゾンのベストセラーランキングで1位になりました。

井上さんの本をアマゾンで10/1-5に買われた方は
井上さんのアマゾンキャンペーンが変わっていたことに気付かれたことでしょう。
アマゾンキャンペーンだと、キャンペーングッズがブックカバー
という場合が多いかと思いますが、
井上さんへの勝手連的な応援団がそれぞれご自分の商品を
キャンペーングッズとして提供されていました。

出会いがきっかけになって出来た人脈の力なんでしょうね。

私も世間が狭い経験はたくさんしてきました。

カミさんとの出会いもその1つだったりしますが。
紹介者の方がビックリするようなケースで、
カミさんの大学院での同級生が、私の予備校時代の恩師の奥様。
カミさんの勤め先は、大学の受験サークルの先輩の事務所。
紹介者よりもよっぽど強いパイプが実はあったんですね。

私は国士舘のマスターを修了した後、実務修行を経て開業、
その後ドクターへの進学を果たしましたが、
国士舘のマスターの時に師匠からは関西でドクター進学を
しないかということを勧められていました。
その時ご紹介頂いた先生の弟弟子の一番弟子が法政の時の恩師でした。

父の逝去もあり、結果としてその時にはドクター進学を断念したのですが、
結果的に進学し、大学に残れたのですから、結果オーライですね。

ちなみに私の座右の銘は、人間万事最奥が馬。
どう転んでも前を向いているつもりです。

人脈を作ることは簡単ですが、一度作ったルートを
使える人脈として維持し続けることは非常に大変です。

一期一会、と申します。

ここで出会えたことも何かの縁。
しっかりと繋がり続けていたいものです。


第6回勇気ある経営大賞
2008.10.03

東京商工会議所は10月3日、第6回勇気ある経営大賞の懸賞式典を
目黒雅叙園にて開催し、革新的技術を開発するなど、
創造性あふれる中小企業やベンチャー企業を顕彰します。

「勇気ある経営大賞」は、東京商工会議所が、厳しい経営環境の中で
勇気ある挑戦をしている中小企業またはグループ(以下、企業)を
顕彰する制度です。
革新的あるいは創造的な技術・技能やアイディア、経営手法等により、
独自性のある製品・サービスを生み出している企業の顕彰を行い、
その活動を広くPRすることで、後に続く企業に目標と勇気を与え、
ひいては経済の活性化に資することを目的としています。
応募にあたっては、業種・業歴やベンチャー・既存企業の別は問いません。

第6回の大賞は、
ナノテク研究開発用装置の開発・製造を行う(株)エリオニクス
特殊鋼合金の製造・機械加工の大和合金(株)三芳合金工業(株)
の2社が選ばれました。

フジサンケイビジネスアイ2008年10月3日号記事を紹介しましょう。

今年も、挑戦意欲にあふれ個性の光る中小企業に多数応募いただき、
大変難しい選考になりましたが、結果としては異なった特色を持つ
2社を大賞として顕彰する運びとなりました。エリオニクスは、
世界で最も細い線幅による三次元ナノ加工が可能な装置の開発に
成功したハイテクメーカーです。一方で、大和合金・三芳合金工業は、
銅合金という従来型の産業ですが、技術に磨きをかけた結果、
画期的な新合金の開発に成功した企業です。分野は対照的ですが、
どちらも人材育成に熱心に取り組み、自社固有の技術に磨きを
かけてきた結果が成功に結びついています。


東京も大阪も表彰されている中小企業には共通の特徴があります。
人材育成に熱心に取り組んで、イノベーションを実行できているということ。
現状に甘んじることなく、自己革新を繰り返しているからこそ、
変化の著しいこの時代を乗り切ることができるのでしょう。
また、経営理念のしっかりした会社が多いのも特徴といえるでしょう。
トップがブレないからこそ、現場から思い切った提案が出せるのでしょう。

松下幸之助は、「社長の仕事は心配すること」とおっしゃったことがありました。
社長があらゆる点に気を配って、仕事のしやすい環境を作れば、
仕事の効率は向上し、生産性が向上するということでしょう。

今回表彰された会社のように、時代に負けず、元気に頑張っている
中小企業は、まだまだあります。
勝ち負けのはっきりする時代ですが、自分から覚悟を決めて
行動することが、時代に負けない強い会社を作ります。

皆さん、頑張っていきましょう。


税法における住所ってドコですか?(8・ユニマット事件高裁判決)
2008.10.02

前回は地裁判決について紹介いたしましたが、
今日は、高裁判決を紹介したいと思います。

ユニマット事件では、高裁への控訴後、国税側から新たな主張として
1.住所認定の判断基準日を本件譲渡期日である平成13年1月12日ではなく、
株券の引渡日である平成13年1月6日が収入すべき時期にあたる
2.被控訴人が国内に引き続き1年以上居所を有していたこと
の2点を主張してきました。
1は主張の変更であり、2は追加的予備的主張です。

高裁は以下に示した点以外は地裁判決を引用したいわゆる引用判決で、
国税側の主張を退けました。

(1)判断基準時について
本件株式譲渡契約によれば、本件株式の譲渡の実行日を平成13年
1月12日とし、同日に本件株式の引渡しと本件代金の支払を同時履行
することが約定され、本件代金の支払は同日に行われたところ、
本件株式については、同契約が締結された同月6日に交付されているが、
これは上記約定を前提として譲受人であるUグループの要請により
行われたもので、契約の履行に先立って株券が預託されたものと
解されるから、これによって、同契約に係る株式の譲渡が行われたものと
評価することはでき(略)ない。

(2)原告の職業について
控訴人は、本件特別顧問契約書及び投資顧問契約書が譲渡所得に対する
課税を回避する目的のために将来の税務調査に備えてシンガポールでの
業務の必要性を仮装するための資料として日付をさかのぼらせて作成
されたと主張するが、被控訴人は、(略)シンガポールにおける2000年度の
所得(略)を書面で確定させておく必要があり、また、新事務所に移転
した費用の分担等に関しても書面にしておく必要が生じたために、
同12年12月4日時点において存在した口頭の契約内容を確認するために
上記各契約書を作成した旨の被控訴人の主張は、不自然な点はなく、
合理的なもので、採用することができ、被控訴人が日付をバックデートさせた
ことを自ら述べていることに照らしても、上記各契約書が将来の税務調査
に備えてシンガポールでの業務の必要性を仮装するために作成されたものと
認めることはできず、控訴人の主張は採用することができない。

(3)資産の所在について
これら(平注:国内)の被控訴人所有名義の不動産は、いずれも被控訴人の
居住用資産ではなく、本件譲渡日前後において、ほとんど管理がされて
いないか、又は被控訴人の関連会社又は不動産管理会社に管理を委ねて
いたものと認められる。

(4)まとめ
以上の検討の結果からすると、本件譲渡日当時における被控訴人の
住居が国内になく、むしろシンガポールにあったものと認められること、
被控訴人の職業についても、シンガポールにおいて株式取引を開始した
時点でその生活の本拠がシンガポールに移転したものと見ることができること、
国内において生計を一にする被控訴人の家族又は親族は存在せず、かつ、
被控訴人が継続して居住するに適する場所を有していなかったこと、
国内に所在する資産についても、シンガポールに居住しながら管理することが
困難とまではいえないと認められることなどを総合的に考慮すると、
本件譲渡期日当時、被控訴人が国内に住所を有していたと認めることはできない。

(5)租税回避目的について
被控訴人が我が国における課税を回避するためにその住所をシンガポールに
移転させたものとうかがわれる余地もあり得るが、上記各契約書の日付を
さかのぼらせて作成したことについては、(略)課税回避の目的で作成した
ものとまでいうことはできず、また、シンガポールではなく、香港において
契約の締結、履行をしたこと自体は、我が国における課税回避の目的の
有無とは関係がないものである。

(6)被控訴人が国内に引き続いて1年以上居所を有していたかについて
「国内に引き続いて居所を有する期間」(略)について所得税基本通達
2-2(略)は、居住者の該当性についての判断要素として相当であると
認められる。そうすると、(略)その間に在外期間が含まれる場合には、
在外期間中も、国内に、それまで生計を共にしていた配偶者その他の親族
を有し、再入国後生活する予定の居住場所を保有し、又は生活用動産を
預託していて再入国後直ちに従前と同様の生活をすることができる状態
にあるなどして、一時的な出国であることが必要になると解される。

被控訴人は、本件譲渡日前1年間に、平成12年11月8日から同月13日
まで、同年12月4日から同月17日まで及び同月30日から同13年
1月3日までそれぞれシンガポールに滞在し、同月6日に香港に滞在していた
ところ、それ以外の期間のうち、従前の国内住所を転出した同12年
11月28日から本件譲渡日までの間には、いずれもIホテル又はNに
宿泊していたものである。
Nは、被控訴人が平成5年に入会金を払って入会し、その後毎年年会費を
支払ってスポーツクラブとして利用していた施設であり、施設の一部として
宿泊用の部屋があり、これを含む施設を会員及び会員紹介のゲストが
施設利用料を支払って使用できるようになっていたものであって、
宿泊施設としての年間契約等は存在しないものであり、その宿泊は、
一般のホテルの宿泊と同様のものと解される。そうすると、被控訴人が、
Iホテル又はNに一定期間継続して宿泊している場合に、同所をもって
居所と認める余地はあるが、被控訴人がシンガポール等へ出国した在外期間中
においてIホテル又はNを居住場所として保有していたということはできない。

また、被控訴人は、国内に複数の不動産を有しており、また、その
経営する会社の事務所を賃借するなどしていたが、いずれも再入国後
生活する予定の居住場所ということはできないし、国内に配偶者その他
生計を一にする親族もいなかったものである。さらに、被控訴人は、
上記在外期間中に、帰国した際に使用する自動車を保有し、これを
成田空港駐車場に駐車させていたが、これをもって、上記通達にいう
生活用動産を預託していたということもできない。


高裁は、以上のように判断して、地裁判決を支持して、
国税側の主張を退けたのである。

内容をよく吟味してみると、武富士事件との相違が際立ってこよう。
武富士事件では、国内に生活用動産が残存しており、生計同一親族
とはいえないかもしれないが、少なくとも帰国時には同居する親族が
国内に残存している。しかし、ユニマット事件は国内に生活用財産も
生計同一親族も存在せず、帰国中もホテル住まいである。
高裁が明確に通達の規定を用いて否定している通り、ユニマット事件は、
外国に居住する者の一時帰国であって、多少の財産があるとしても
生活用財産でない以上、国内に住所があるとはいえないのである。
まさに、生活の拠点の認定として正当な判断であろう。

そして、租税回避目的があったとしても、租税回避=否認という図式は
租税法律主義に反し、憲法違反ともいえる暴挙であるから、
租税回避目的が認識されうるケースであっても、課税の公平を根拠に
否認することは法治国家として許されないのである。
不公平な状態となっていたとしても、それは政治家の怠慢のためであって、
そんな政治家を当選させ続けてきた国民の責任ではないのだろうか。
租税回避を全面的に容認するつもりはないが、
それは少なくとも早期の立法が求められる話であって、
法の効果を否定する危険と比べれば仕方がないことあろう。


税法における住所ってドコですか?(7・ユニマット事件地裁判決)
2008.10.01

今日と明日でユニマット事件を検討したい。
ユニマット事件は、
東京地裁平成19年9月14日判決(TAINSコードZ888-1301)
東京高裁平成20年2月28日判決(TAINSコードZ888-1320)
のことであり、納税者勝訴で確定している。

今日は、東京地裁平成19年9月14日判決を紹介する。

<事件の概要>
 本件は、処分行政庁が、平成13年分の株式譲渡所得に係る
決定処分等をしたところ、原告は、海外において株式を譲渡
した時期(平成13年1月12日)には日本国内に住所を有して
いなかったので納税義務を負う居住者ではないと主張して、
決定処分等の取消しを求めた事案である。

(1)住所の定義
住所とは、各人の生活の本拠を指すものと解するのが相当であり
(最高裁昭和29年10月20日判決)、生活の本拠とは、
その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を
指すものである(最高裁昭和35年3月22日判決)。
そして、一定の場所がその者の住所であるか否かは、租税法が
多数人を相手方として課税を行う関係上、客観的な表象に
着目して画一的に規律せざるを得ないところからして、
一般的には、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の
親族の居所、資産の所在等の客観的事実に基づき、総合的に
判定するのが相当である。これに対し、主観的な居住意思は、
補充的な考慮要素にとどまるものと解される。

(2)原告の住所について
住民票の記載上、原告の住所は平成12年12月4日をもって
シンガポールに転出したことになっているところ、原告のシンガポール
及び日本の各滞在日数については(略)、有意の差はないもの
といえる。しかしながら、原告は、(略)日本に帰国する都度、
Kホテル等の宿泊施設にチェックインして滞在し、日本を出国する都度、
同施設をチェックアウトするなどしていた状況を認めることができる
ところ、このような状況に照らせば、この間、日本国内において
原告の住居といい得る場所は存在しない。

原告は、(略)シンガポールのFアパートを平成12年12月から
同14年11月まで継続して賃借し、同月7日にはNHKの番組を
視聴するためにケーブルテレビの加入契約を締結するなどして、
シンガポールに滞在する間はFアパートで起居していたと認める
ことができること、これについて、被告は、Fアパートにおける
滞在はホテルにおける滞在と実質的に大差がない旨主張するが、
その賃貸借期間の長さや、Fアパートがキッチンなどを備え、日常生活を
送るに十分な設備を有しているものと認めることができること、
原告がシンガポールを離れ、日本その他の地域に滞在する間も、
身の回りの品などの動産をFアパートに置いて保管することが
可能であったことなどの諸事情を勘案すると、上記期間における
原告の住居は日本国内には存在せず、むしろシンガポールに存在した
ものと認めるのが相当である。

(3)原告の職業について
被告は、原告とHの間の本件特別顧問契約について、少なくとも
本件譲渡期日である平成13年1月12日の時点においては、
原告がHの特別顧問としての活動をしていなかった旨主張する
(略)。しかしながら、原告とHの間では、特別顧問契約に基づく
報酬が本件特別顧問契約に基づく報酬と相殺されて、原告が本件
特別顧問契約から現実に収入を得ることができないことが約定
されていたことにかんがみれば、本件特別顧問契約等を締結した
原告のそもそもの意図としては、(略)Hと協力又は提携関係を
築き、ヘッジファンドを運営するHから株式取引等に関する助言を
受けて本件関係会社のために行う株式取引等から収益を上げる
こと(略)などが主たる目的であったと認めることができる。
この点、原告は、平成12年12月4日にシンガポールに渡航して
間もなくHの事務所等において株式取引を開始しているところ、
インターネットによる取引という性質上、日本に滞在しなければその
取引が困難となるものとはいえず(略)、日本国内においては
同年3月ころに証券取引法違反に係る有罪判決が確定し、
このころ営んでいた経営コンサルティング業も不調であった原告としては、
むしろHからの助言等を適時に受けることができるシンガポールに
おいて株式取引に従事する方が、より多くの収益を上げることが
期待できる(略)などの事情に照らせば、具体的に原告の業務が
開始されていなかった(略)としても、(略)株式取引を開始した
ころから、原告の職業上、その生活の本拠がシンガポールに移転した
ものと見ることが可能である。

(4)原告が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を
有するか否かについて
本件譲渡期日当時、日本国内において生計を一にする原告の家族
又は親族は存在しなかったことが認められる。
本件株式譲渡契約を締結するような経済規模を有する原告の家族
又は親族間における(略)経済的支援をもって、直ちに原告の住所が
日本国内にあったと認めることはできない。

(5)資産の所在について
本件譲渡期日前後において、確かに原告はシンガポールにおける
よりも日本において多くの資産を有していたものと認められるが、
さりとて必ずしも原告が日本に居住しなければその使用、収益
若しくは処分又は管理等が困難であるといえる資産が存在した
とまでは認めることができず、したがって、資産の所在をもって、
本件譲渡期日当時、直ちに原告が日本国内に住所を有していたと
認めることはできない。

(6)租税回避目的について
原告が我が国における課税を回避するためにその住所をシンガポールに
移転させたものとうかがう余地もあり得るが、他方において、
住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の
所在等の客観的事実に基づき総合的に判断した結果、本件譲渡期日
当時、原告が日本国内に住所を有していたと認めることができない
ことは上記のとおりであり、そうである以上、原告が日本国内に
真実の住所を有していたにもかかわらず、シンガポールに住所がある
ように偽装したと認めることはできず、この限りにおいて、
原告が租税回避を目的としていたか否かによってその住所の
認定が左右されるものではない。


ユニマット事件の地裁判決は、以上のような判断で、原告の住所が
日本ではなくシンガポールにあるとして、課税処分を取り消す判決が
下されている。

では、高裁はどうだったのか。次回検討することにしよう。


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