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税理士コラム

吉田信康税理士事務所ブログ

かばんの真実 その52
2008.12.05

この事件は遺言書の真贋で二回も最高裁で争われることになりそうで
結果的に遺言書の作成方法ということで
大変参考になる事案になりましたね。

「遺言書の書き方のすべて」
の本なんか書く時に (書いたらどうかな?と正直今思っています。
「超簡単!遺言書」なんてどうですか・・)
必ず紹介される事例になるかもしれませんね。

お話を戻すと長男の方から「第二の遺言書」が出てきた時、
三男は「この遺言書は無効だ!」という裁判を起こした訳です。

「第二の遺言書」を見ていただけると分かるのですが、
市販の便箋にボールペンで書かれたものです。
「第一の遺言書」が巻紙で毛筆で書かれたのとまったく異なります。
でも、「巻紙は有効で便箋はダメ」という法律もないですからね。

以前ある弁護士が
カレンダーの裏にかかれた遺言書で争った経験がある」と言っていました。
要するにどんな紙でもいいのでしょうね。

また同様に「毛筆は有効でボールペンはダメ」
という法律もないのですね。

また裁判の論点で非常に興味があるのは、ハンコですね。
「第一」が実印に対して「第二」が認印でした。
これも「実印は有効で認印はダメ」という法律もないのですね。

ただ今後の裁判に注目したいのですが、
最初の裁判で印鑑が「一澤」ではなく、使わない「一沢」であったので、
「おかしい」と三男は主張したのに対して、結局最高裁はそれでも有効としたのです。
でも今度の大阪高裁は「やはり一沢ではおかしい」としたみたいです。

最初の裁判で最高裁の判断は「やはりそうなのか。」と思っていたのですが、
今後どうなるのですかね・・・。

「超簡単!遺言書」
を税理士なんかが、お気軽に書いたらやはり怒られそうです・・・。残念。


かばんの真実 その51
2008.12.04

この遺言書の「後出しジャンケン」のお話は
大事なのでもう少しご説明しておきましょう。
民法の1023条にバッチリ定められているお話なのです。

「前の遺言が後の遺言と抵触する時は、その抵触する部分については、
後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」

要するに、遺言の内容をいくらでもあとから書き換えられるということなのですね。

でも、この一澤家の遺言書は、やはり内容がまるっきり異なります。
第一の遺言書は三男信三郎氏を後継者とするのに対し、
第二の遺言書は長男信太郎氏を後継者としています。

これを見て
「おかしいのではないか!」
と信三郎氏が文句を言ったのも納得できます。

ただ、一澤帆布事件はどうあれ、遺言書作成の際に、
もし弁護士など専門家が作成アドバイスしていたとしたら、

「民法の規定によりあとから改定することも認められている。
ただその場合作成した私の責任もあるので、必ず連絡相談して欲しい。」
など説明するべきなのでしょう。(多分そうしたとは思います。)

そうでなければ、わざわざおカネを弁護士に支払ってまで
作成する意味がないです。
また自社株式を相続させる意味を、ご本人にもっと噛んで含んで
分かりやすく説明する必要があったのではないかとも思います。
(そう説明したとも思っています。)

また本来なら、遺言書を作成したご本人が、
「弁護士先生に遺言書の作成の面倒をかけたのだから、
今度万が一書き換える際には相談しよう。」
と思ってしかるべきお話なのです。
そういった人間関係も構築されておくべきものなのでしょう。

どうも一澤帆布事件はこのあたりが何故か欠如していたのではないかなと思います。
(これは私の個人的な勝手な意見です)


かばんの真実 その50
2008.12.03

平成13年3月15日に
三代目信夫氏が亡くなります。
すると長男信太郎氏は「第二の遺言書」がある旨を親族に言い出しました。

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それは平成12年3月9日付で作成されたもので、
「信夫氏保有の株式80%を長男信太郎氏に
残りの20%を四男喜久夫氏に相続させる」
という内容でした。

お分かりの通り、まったく第一の遺言書とは正反対のものですね。
しかも、いままで経営にタッチしていなかった長男に
株式の大半を相続させるという内容になっています。

さあ!遺言書が二つ出てきました!!
何となくこのあたりの、火曜サスペンス劇場(!?)のような
ドラマティックな展開になってきましたね。

・・面白がっていないで、
まずこの事例を通して真面目に学んでいただきたいことなのですが、
遺言書が二つ出てきた場合、日付があとのものが正式なものとされます。
これはぜひ知っておいて頂きたいことです。

ということは、遺言書の作成にいくらお金をかけ、例えば
公正証書にしたり、弁護士に作成を依頼し、執行人まで指定していても、
その後にまた遺言書が作成されてしまったら、
最初のものは無効になってしまうのです。

この一澤帆布事件で、まず押さえていただきたい大事な点です!




(おかげさまで、ついに「かばんの真実」50話突破!!
・・ほとんど自己満足・・)


かばんの真実 その49
2008.12.02

思いのほか、マスコミの報道もすぐ終わってしまいましたね。
あまり一澤帆布のお話はニュースバリューがないのでしょうか・・・。
再三申し上げている通り、これで遺言書を巡る事業承継を勉強するには
この事件は格好の題材になりましたね。
裁判所でも意見が分かれるくらいですから、
これは日本の司法の最先端!?を行く事例なのでしょうか。

やはり一澤帆布事件のことかよく分からない方も多いでしょうから、
予定通り「第一の遺言書」からご説明していきましょう。

平成9年12月12日。「第一の遺言書」が作成されます。
内容は、三代目信夫氏保有の株式(発行済株式のうち6万2000株)のうち
67%を社長(当時)の三男信三郎夫妻に、残りの33%を四男喜久夫氏に、
銀行預金のうち75%を長男信太郎氏に残り25%を四男喜久夫氏に、
自宅を四男喜久夫氏に相続させるという内容でした。

これで生前贈与した分を合わせ、結果的には信三郎夫妻に
約70%を承継させることができます。

70%というのは重要な数字です。
商法で会社の重要な事項(定款の変更・取締役の解任など)を
決定するのには、特別決議といって3分の2以上の議決権が
必要ですからね。
つまり、これで安心して社長業に邁進することができます。

なんと巻紙で毛筆で書かれていたそうです。

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弁護士に預けられていた状況からすれば、
弁護士が作成指導して、多分弁護士が遺言執行人となる予定では
なかったでしょうか。
これで万事が「メデタシ!めでたし!
となるはずでした・・・。


かばんの真実 その48
2008.12.01

もう!ビックリ!!の判決が出てしまいました。
このブログでいよいよ佳境のところだったのですけどね。
年末に掛けて遺言書のクライマックスにしようかと思っていたのに
ちょっと残念!ですね。
まあ私の先見の明があったということでしょうか!?

もう新聞やテレビなどで週末出てしまったので、ご存知の方が多いでしょう。
これからご説明する二つの遺言書のことで
最高裁まで争われて一応決着がついていたのです。
これが大阪高裁で遺言書はやはり偽造だとされてしまったのですね。

ブログで数ヶ月かも掛けて、この一澤帆布を取り上げていたのは、過去に
「トンでもない判決!が出てしまった!
これを教訓に事業承継は気をつけましょう!!」
とオチにしたかったのですね。

それと解任されてしまった三男信三郎氏を微力なりとも
応援しようという意図も若干あったのですが、
やはり日本の司法も捨てたもんではないようです。
まともな裁判官もいらっしゃるということでしょう。

でも最高裁まで争われて決着ついたものが、
大阪高裁でひっくり返すことができるのでしょうか。
解任された社長さんがすぐ復帰できるのでしょうか?
法律的な意味もまだまだ分かりませんし、どうなるのですかね。

でも三男を解任して社長の座に納まった長男の方は
今後一澤帆布をどうされるのでしょうか?

しかし、法律的なお話よりやはり永年のファンの方を
ぜひ大事にしていただきたいかなと思います。
そういう意味でも目が話せませんね。
"一澤帆布ウオッチャー"としても大事な研究テーマです。
これはいっそのこと「ライフワーク」にでもしましょうかね。


かばんの真実 その47
2008.11.28

「遺言書を自ら書いたか。」
「遺言書を誰からか言われて書かせられたか。」
これは大変重要なことなのです。
遺言書が出た時の状況を想定したら、誰でも分かることでしょう。

三男信三郎氏のHPには
「父は、巻紙に毛筆で書き、実印を押した遺言書を
会社の顧問弁護士に預けていました。」
と記載しています。
つまり「父の意思」で書いたと言っているのでしょう。

一方で長男信太郎氏はある雑誌で
「平成9年に母が亡くなりました。すると信三郎はほかの兄弟に黙って、
父に遺言書を書くように強く迫るようになりました。
食事の世話などをしてもらっている負い目も感じていたのでしょう。
父は信三郎の意に沿った遺言書を書かざるを得なかったようです。」
と言っています。

もちろん本当のところは分かりません。
でも昨日書きましたように、私が顧問税理士なら遺言書を書いておくように
当然勧めたかもしれません。
遺言書は法律的な要件さえ整えれば当然有効なものです。
弁護士に預けていたということから、弁護士の指示に従った有効な遺言書で
あったことも間違いありません。
残念ながら「他の兄弟には黙って」という信太郎氏の記述が気になりますが、
当時の兄弟の仲を考えたらやむを得ない選択だったかもしれません。
でも確かに遺言書作成時に兄弟の話合いがされていれば
良かったのでしょう。

これから有名な兄弟ケンカが始まるのですが、
あとでご説明する民法の改正は、
「兄弟間で話し合って事前に自社株を生前贈与すれば特例を与えます」
というものです。
そんなうまく話合いができるものなのでしょうか。
話合いがうまくいかないから、兄弟の仲が悪いから「遺言書」が
登場するのではないでしょうか・・・。
どうもこの改正は考えれば考えるほど矛盾するようなお話なのです・・。




・・・ブログ書いていたら昨日画期的な判決が出てしまいました!
何てタイムリーなブログなのでしょう!? 詳細は来週!お楽しみに!!


かばんの真実 その46
2008.11.27

さあ!いよいよ問題の遺言書が登場しました。

そこでその遺言書の中味を見る前に、
やはりこの遺言書が作成された経緯が非常に重要だと思うのです。
三代目信夫氏自ら、これを書いておこうとしたのでしょうか。
もちろん。このあたりの真実は当事者しか預り知らないところです。

ただ、この時点で一番遺言書を書いて欲しい方は四代目信三郎氏です。
ここでハッキリしておかなければ社長の座が確保できません。
でも、ご承知のとおり、遺言書を書く方は三代目信夫氏です。
どんな経緯で遺言書を書いたかが重要です。

税理士としての経験から、
「将来のために一筆書いておこう!」
自らの意思で遺言書を書こうとする人は稀です。
誰かが
「後々困るからお父さん書いておいて。」
と頼むケースがほとんどでしょう。
その後、ご本人ではなくその親族から、
顧問の税理士か弁護士に相談することになります。

でもここが最初のポイントです。
誰かの依頼であればなおさら、その依頼者の意図が入ってしまうものです。
だからあとで問題にもなりやすいのです。

先日ある研究会で講師の弁護士が
「税理士が関わって『書かせた』遺言書はあとで揉めることが多い。」
そういっていました。
何となくそうかなと思います。
どうしてでしょうか。
つまり、依頼者が有利な遺言書になりがちだからです。
一澤帆布の場合も、もし顧問税理士が作成に関わっていたとしたら
(ここは重要なのですが、もちろん本当のところは分かりません)
やはり、クライアントである信三郎氏の立場で作成したと思うのです。
だから先ほどの講師の弁護士の発言からも納得するかもしれません。
でもそれは当然だと思うのです。

どうしても四代目は経営権を確保したかったに違いありません。
20数年間、心血注いで発展させた一澤帆布。
どうしても社長の座はゆずれないと思っていたに違いないのです。
私がもし当時一澤帆布の顧問税理士であったとしたら、
私も当然そうアドバイスしたかもしれません
一緒にその会社と苦楽を共にしてきた顧問税理士なら
当然のことでしょう・・・。


かばんの真実 その45
2008.11.26

相続の現場では、配偶者の方が先に亡くなると、
対策の必要性が現実味を帯びてきます。

昨日ご説明した「配偶者の税額軽減」というのは
税金計算でいかに重要なものかお分かりになっていただけたでしょうか。
もう一度「庶民感覚」を打破するために、遺産を仮に10億円としてみましょうか。
この税額軽減は、遺産の半分か1億6000万円のどちらか大きい方が
税金かからなくなるのです。
10億円の半分は5億円ですね。当然1億6000万円より大きいです。
となると、もし仮に相続が発生しても配偶者が存命なら、
配偶者に半分の5億円を相続すれば、配偶者の方は税金がかかりません。
これが、もし配偶者の方が先に亡くなってしまっていたら、
当然この特例は使えないのですから、税額が跳ね上がることになります。
以前ご説明したように相続税の税率は3億円超なら50%ですからね。
トンでもない天文学的数字になります!

一澤帆布の4代目は、実際税に相続税を試算でもしたのでしょうか。
「これは大変なことになる!」
というお話に多分なったのでしょう。(想像です)
これは税理士としての経験からも、本当によくあるお話なのです。
配偶者がご存命ならそれほど税金かからなかったはずなのに、
亡くなったトタン、急に対策が必要になる・・。
(ただこの特例は今度の税制改正で大幅に変更される予定です。
詳細はそのうち・・・)

しかも問題は相続税のお話だけではありません。
相続権は兄弟三人なら3分の1となります。
経営権の確保という重要な問題があります。
つまり、社長の座を守る必要があるのですね。
現経営者である四代目信三郎氏は専門家に当然相談でもしたのでしょう。
(ここも想像です)

ここで、その後大問題に発生する遺言書が作成されます。
お母様が亡くなった平成9年の12月12日の日付でした。
第一の遺言書」の登場!です。


かばんの真実 その44
2008.11.25

相続税のお話で大変重要なのでこれもご説明しておきましょう。
配偶者の方が先に亡くなるとどうなるのか?」
逆に「配偶者がいると税金はどうなるのか?」

ぜひ知っていていただきたいお話です。
税金、ここでは相続税のお話なのですが
自分の配偶者への財産の移転に対しては、極端に緩和された税金となっています。

よく「夫婦で築き上げた財産」といういい方しますね。
ご主人の財産の半分はすでに奥様のもの!なので、
それを相続により移転しても税金はかからないのです。
それこそ離婚した時に「財産分与」というお話さえあります。
(離婚の税務は結構重要なので・・知りたくないですか!?
・・またそのうちブログで・・)

実は、相続税も「配偶者の税額軽減」という制度があります。

配偶者の税額軽減の詳細はこちら

ちょっと難しいお話かもしれませんが、簡単に言えば1億6000万円!まで
相続により配偶者へ財産を写しても税金はかからないのですね。
「財産が1億6000万円も財産ない!」
という方は良かったですね。
奥さんに
「お前に私の財産を無税で残してあげる準備はしている!」
と自慢しておいてください!?
「1億6000万円では少ないのでもっと下さい。」
と万が一!奥さんから言われたら
「大丈夫! 私の財産の半分はキミのものだよ。」
と安心させてください!?

この特例により
奥さんに1億6000万円以上を無税で渡すには3億2000万円以上!
の財産を築きあげる必要があるのですね。

・・相続税はやはり、なかなか「庶民感覚」では難しいお話のようですね。
やはり毎晩ホテルのバーに通って感覚を磨いておいてください・・・。


かばんの真実 その43
2008.11.21

平成9年に三代目の奥様が先にお亡くなりになります。
これは相続のお話でこれは大変重要なことなのです。

一般論として考えてみてください。
仮に兄弟が3人いて、父親が亡くなっても、もし母親が生きていれば
揉めることは比較的少ないのです。
お母さんの言うこと聞かないの!」
その一言で済みます。

法律的に考えても、以前お話した「法定相続分」も母親には2分の1ありますし、
何より、自分を生んでくれた母親に逆らってまでも
揉めることはやはりあまりないのです。
(でもご高齢であったなどそれでも揉めたこともありました・・・)
ここでもし、母親の方が先に亡くなった場合には、
たいがい兄弟間で揉めてしまうものです。
自分の税理士としての過去の経験則でもそうでした。
本当に揉めるケースは兄弟だけが残された場合です。
法律的には、先ほどの法定相続分も兄弟3人なら、
3分の1ずつということになり、
母親が生きていた場合より、各兄弟間の相続分も倍に増えてきます。
当然主張も多くなるのでしょう。

一澤帆布の場合でも、「もし三代目にもしものことがあったら・・・」と
その時の社長が考えてもおかしくなかったと思います。
ましてや、どうも兄弟間がうまく行ってなかったようです・・。

それとこれも経験則ですが、
長男の方が弟達と年が離れていて、しかも長男が家業を継ぐような場合にも
揉めることは少ないです。
これも同じですね。
お兄ちゃんのいうこと聞けないのか!」
この一言でおしまいです。

でも残念ながら一澤帆布の場合は三男が後継者でしたし、
お母様が先に亡くなれていた。
もうこれはこれだけで将来揉める要素十分でした・・・。


かばんの真実 その42
2008.11.20

お待たせしました!
いよいよ相続のお話の開始です。
以下、マスコミ等で記事にされたものを元に
自分なりにコメントをつけて発表していきます。
事実とは異なるかもしれませんが、文責吉田でご説明していきましょう。

まず、三代目信夫氏が亡くなったのは
平成13年3月15日です。

それまで、再三ご説明したように、
四代目信三郎氏は一澤帆布を発展させていきます。
しかしながら、自社株の生前贈与はうまく進まなかった・・・。

そこで、遺言書が登場するのですが、それがなぜ必要であったか。
これも専門家の立場からも説明してみましょう。
具体的によくあるお話で、非常に参考になるケースです。

まず兄弟間の仲のことからご説明しましょう。これも推定のお話です。
信三郎氏のHPから、その相続の5年ほど前の平成8年12月に
四男喜久夫氏がまだ45歳の若さで一澤帆布を退社してしまいます。
それまで三男信三郎氏と協力して会社を発展させてきたとは思いますが、
どうして辞めたのか本当のところはもちろん分かりません。
そのHPから
「もう仕事はしたくない。好きなことをして暮らしたい。」
といったそうです。
その後一大騒動のあと長男と組んでしまう経緯から考えれば、
少なくとも三男と四男のお二人の関係が、うまくいってなかったのかも
しれません。
この兄弟間の仲というのが、やはり非常に大事なことなのです。
話し合いがうまくできないからこそ、この遺言書が必要となるのは
いうまでもないことですからね。

でもその次に、もっと決定的なことが起こってしまいます・・・。


かばんの真実 その41
2008.11.19

なかなか一澤帆布のお話が進みませんね。

でも敢えて贈与税のお話をシツコク続けているのは、
この税金が一般の「庶民の人」には分かりえないものだからなのですね。
取りあえず、庶民感覚!?を捨てて相続問題を考えてみてください。
相続税に悩む人は、カップラーメンが一ついくらかさえ知らないものです!?
(12000円もらったら、これで「総理に何個買ってあげられるかキャンペーン」
でもやったら面白いですね・・・)

バブル当時には、こんな贈与税の特例がなかったのです。
だからこそ、あえて申し上げますが、大変申し訳ないですが、
一澤帆布は生前贈与に「失敗」したのです。
贈与税の支払に躊躇して、結局自社株の生前贈与がうまくいかなかった・・。
それで仕方がないので遺言書を作成した・・・。でも結局・・・。
そんなお話なのですね。
ただ、別に一澤帆布に限らないのです。
この特例が作られる前は、
どこの会社でも生前に自社株を動かすということは
至難のワザであったのです。

ここで昔の制度をいくら説明しても、まったく意味がないですし、
これからの事業承継対策は、この特例をうまく使って
生前に株式を移動させていくしかないのです。
だから、敢えてシツコク贈与税のお話をしている次第です。
それとあとで出てきますが、この贈与によって、
遺留分(いりゅうぶん)という大変難しいお話がでてくるのですね・・・。
これこそが今度の改正のキモなのですね・・・。

さあ、横道それていないで、そろそろ本題に入りましょうか!


かばんの真実 その40
2008.11.18

この相続時精算課税の税率20%というのは
今までの贈与税に比べたら、「とんでもなく」安いのです。

以前ご説明したとおり(11月10日のブログ)、
1000万円を超える贈与税は税率なんと50%となってしまいますからね。
だからこそ今まで、高額な贈与が行われてこなかったのですね。
「相続対策で生前に財産を移転しておきましょう。」
といくらご説明しても、やはり税金というキャッシュが出て行くのは
嫌われるのです。

ここで、もう一つ説明しておかなければいけませんが、
今までの贈与税の税率と相続税の税率を比べたら、
だんぜん相続税の税率の方が安いですからね。

相続税の税率表はコチラ

この相続時精算課税制度ができる前は、無理して、生前に贈与するより、
亡くなったあとから相続により財産を移転した方が、
結局税金が安くなるということが実際多くあった訳です。
(ここ説明するともっと難しくなるのでサラッと・・・突っ込み禁止です!)

だからこそ、今まで贈与というのが「嫌われて」いた訳です。
お分かりになりますか。

この制度改正によって、国を挙げて事業承継対策を後押ししてくれたのです。つまり、

「税率安くするので、もっと贈与税を好きになってください。」
と国税庁が言い出した訳なのです・・・!?


かばんの真実 その39
2008.11.17

相続時精算(そうぞくじせいさん)課税制度とは
実に難しそうな名前ですね。
もっと「やさしい」名前を付ければよかったのですけどね。
でも事業承継対策には非常に有効なのです。
間違いなく相続対策のために作られた制度なのですが、
何故か広まらないのですね。ご存知ない方も多いようです。
「そんな制度があるのですか?」
よく言われます。
一澤帆布のように、
将来自社株の相続でもめそうな」会社には本当に有効なのです。

こういう制度を分かりやすく説明できない税理士がいるから
広まらないのでしょうか!?
(すいません。また言い過ぎたでしょうか?)

やはり、少し簡単にご説明しておきましょう。
名前の通り、贈与税を「相続時に精算しよう」という制度なのですね。
財産の移転を行い、その贈与税の申告をして、贈与税の税金を納めて
おいて、その税金を相続開始時、つまり亡くなったときに相続税の計算を
やり直して精算しようというものなのです。
払いすぎたら返して(還付)もくれます。
つまり、簡単に言えば「相続税の先払い制度」なのですね。

ただ本当に相続で困っている人には有効な面も多くあるのです。
まず有効なお話は、2500万円までが非課税で贈与できること。
それと2500万円を超えても税率は一律20%しかかならないのです。
でも「20%しか」という点を、まかなかご理解いただけないでしょうか・・・。


かばんの真実 その38
2008.11.14

贈与税のお話をもう少し。
そもそものことなのですが、
この世の中で贈与税の申告をした経験のある方は少ないのです。
だから、ほとんどの方がこんな税金知らないでしょう。
大金持ちのウチに生まれた方ならまだしも、
普通のウチに生まれた方に、急に親から大金をもらって申告することなど
通常あり得ないのです。
そういうウチの方(麻生総理のような大金持ち)は
キチンと顧問税理士がついていて、何らかの相続対策の指導は
受けているはずです。
それでなかったら、自分の相続税が心配で夜もぐっすり寝れません。
多分毎晩ホテルのバーで優雅に酒なんか飲んでいられません!?

ところで、よくある贈与のご相談は、そんな相続対策でも何でもなく
「今度マンションを買おうと思っているのだけど、
足りない1000万円を親から出してもらうのですが大丈夫ですか?」
というような類のご相談です。
借りたことにすればよいのですか?」
この質問何度聞かれたことでしょう。
その回答はブログなんかでは、アップできません(!?)

「税務署もヒマでないので、そんなに普通の方の贈与までは・・・。」
と心では思いつつ(これ本音ですが内緒)、贈与税の特例
丁寧にご説明してあげます。(でもそれが正しいのです)

・・・そろそろ、ご存知な方に突っ込まれそうなので、
平成15年より改正された、贈与税の特例
ご説明しておきましょう。
ちょっと難しいので、ブログで詳細は語れません。

詳しくはコチラ

要するに2500万円まで贈与税がかからない仕組みができたのです。
今までの制度とはまったく違います。先ほどのマンションの取得なんかもそうです。
でも、この制度あまり知られていないですね。
当初は、実は一澤帆布のような自社株の贈与を想定して作られていたのです・・・。


かばんの真実 その37
2008.11.12

贈与税のお話は、事業承継とこれからお話しする民法の改正で、
結構重要なのでもう少し続けましょうか。

贈与に関しては税理士としていろいろ経験しました。
でも本当にこれだけ嫌われる税金も珍しいですね!?
どうして嫌われるかお分かりになりますか?
他の税金、例えば所得税や法人税は、
基本的には儲けに対して課税されるので、通常は儲かっているのだから、
キャッシュがあるのですね。これで税金払えるのです。
これを難しい専門用語で「担税(たんぜい)力」といいます。
要するに課税されても払えるキャッシュが存在するのです。
(通常のお話です・・・。ここらでこの不況に喘ぐ中小企業の社長さんから
文句がでてきそうです・・・。)

でも、金銭ではなく「もの」を贈与した場合の贈与税と言うのは
「支払うべき」キャッシュはないのです。
他からおカネを持ってきて支払わなければならない・・・。
だからこそ嫌われるのですね。
特に自社株を後継者に贈与する場合は、おカネそのものは渡らないので、
その税金分のおカネをどこからかもってこなければいけない・・・。

ここが重要なのですね。お分かりになりますか。
財産をもらう人が税金を支払うのですね。
つまりオヤジが後継者の息子に自社株を贈与した場合、
税金を払うのは息子なのですね。息子がおカネを一杯持っていれば
いいでしょうけど、通常はオヤジの方がおカネ持っているはずですよね。
これ当たり前のことだと思われるかもしれませんが、
でも海外の場合では、贈与する人が課税されるところもあるのです・・・。
オヤジが税金払うのならやりやすいのですね。
(この制度を利用(悪用?)した相続対策のお話はまたいつか・・)

結局、日本の場合は後継者に自社株を贈与するのには、
同時にキャッシュも贈与してやる必要があったりして、
この納税資金の面から、やはり承継がうまくいかない場合が
多かったのですね。

一澤帆布の場合も、いろいろ対策を講じてみたようでしたけど
以前アップしたように4代目には、
結局26.6%しか生前贈与されなかったのです・・・。


かばんの真実 その36
2008.11.11

昨日アップした贈与税の税率表では、最高税率50%でした。
(ご覧になりましたか?アップの仕方をちょっと工夫してみました・・)
ところが、この平成13年度の改正前は最高税率が1億円超の贈与の場合、
なんと70%もあったのです。
最低税率10%から始まっているのですが、これでは「累進課税」にも程がありますね。
この贈与税の税率では、このころの生前贈与がうまくいかなかった
ということがお分かりになると思います。
実際に一澤帆布の生前贈与もかなり苦労したようでした。

ここで私の研究成果(!?)を発表します!
実際どうやったか推定してみましょう。
会社の登記簿謄本でも確認しましたが、
(会社の登記簿謄本は今ではネットで誰でも取れるのです。ご存知ですか?)
もともと昭和36年設立時には、
資本金1000万円で1株500円で2万株発行されていました。
多分3代目を全額もっていたと推定されます。
登記簿謄本を見ると、昭和63年12月に2万株増資して
資本金2000万円に、さらにその後6万株増資し、
資本金5000万円までに引き上げています。
これで都合、合計10万株の株式が発行されたことになります。

なぜこのように増資したかと言うと、
多分一株あたりの金額があまりに高額になりすぎて、
動かすのに莫大な贈与税がかかると計算されたので、
増資をして一株あたりの金額を小さくしてから
少しずつ贈与したのではないかと思います。(これも推定です)
でも結果的に全部を贈与しきれずに終わってしまった・・。
これが大問題につながっていくのです。
贈与税の支払を悩んだがために・・・。


かばんの真実 その35
2008.11.10

ところで生前贈与というのは、
当然ですが「贈与税」という税金がかかります。
贈与税と言うのは、税金の中では比較的高い税率が課されのですね。

贈与税の税率はコチラ

例えば1000万円を超える贈与は税率がなんと50%にもなってきます。
ですから、生前贈与のご相談があった際に、具体的に税金を計算すると
「そんなに高いの!」
とビックリされてしまう方も多いようです。
何もしなければ納めなくてもよいのに、わざわざ財産を動かすことにより、
余計な税金が出てしまうのにかなり抵抗があるようですね。

このお話をしているころには、基礎控除が60万円でした。
平成13年度の税制改正によって、
この基礎控除は110万円まで引き上げられたのですが、
どうもこの贈与税というのは嫌われる税金のようです。
「60万円までなら税金はかかりません。」
と説明したトタン、
「では毎年60万円ずつ贈与しましょう。」
と大抵はなってしまいます。
60万円を10年繰り返しても600万円の財産の移転にしかなりませんけど・・・。

でも、これは昔からある相続対策の基本中の基本です。
比較的知られたお話のようです。
よくおじいさんが孫のために毎月5万円ずつ定期にしていた
というのを、相続の現場で何度も見たことがあります。

嫌われる贈与税なのですが、この「贈与税との戦い」が
あとでお話する民法の改正のキーワードにもなってきます!


かばんの真実 その34
2008.11.07

ご説明してきたように四代目信三郎氏が大変努力され、
この一澤帆布の業績を伸ばしていきました。
でも
「自分の親にもしものことがあったらどうなるだろう?」
そうご本人が常に思っていたかどうか分かりません。
多分4代目はそんなこと思わないような経営者で
しかも職人気質の方ではなかったでしょうか。
これも私の過去の経験則ですが、仕事一辺倒な方が
自分のことを省みたり、ましてや親の相続まで想定することなど
まったくないように思います。

ただ、周りの税理士や弁護士あたりが、
多分入れ知恵したはずです。(これも推定です)
以前書きましたように、この頃の銀行や証券会社
この株式の相続問題で大騒ぎ(!?)していましたので、
こういうお話は誰も言わなくても自然と耳にはいってきたかもしれません。
相続対策をしないと大変なことになります!」
そう「挨拶代わりに」銀行の担当者は常に言っていたはずです。
ついでにこれも付け加えていたはずです。
借金して・・・すれば・・・」と。

実は私の調べたところによれば、
やはり自社株の生前贈与が行われていたようです。
「26.6%が四代目信三郎氏側へ生前贈与されていた」
という記事がこの問題を取り上げた雑誌にありましたので、
多分そうだと思います。
三代目のお持ちの自社株を贈与したのだと思います。
でも、やはり株価が高すぎて動かすのに
かなりの税金がかかったはずです。


かばんの真実 その33
2008.11.06

ところで、これから申し上げていくことは私の推定のお話です。
私は一澤帆布の顧問税理士でもないのでハッキリとしたことはわかりません。
事実とは異なるかもしれません。
でも本当の顧問税理士であれば、当然守秘義務があるので
こんな勝手なことも発言できないとも思いますが・・・。
よって、クレームが起きないように、私が机上で調べたことを前提とした
フィクションとお断りさせていただきます。
また、このブログで特定の一族のことを根掘り葉掘りアップしていることに
私自身いささか後ろめたい感じも実はしています。
ブログを始めてまだ3ヶ月あまりですが、
ブログというのが分かっていないのでしょうか。
ただ、ありきたりのつまらない日記ブログにはしたくない(スイマセン本音です)
ですし、何らかの主張や示唆に富むものにしたいとも考えています・・・。
よって個人的な見解も含めて検証していきたいと思っています。
文責はこの吉田です。ご意見ご批判は甘んじてお受けする覚悟です・・。




さて一般論ですが、相続でもめる事案と言うのは、まずその親族内でもともと
兄弟間の仲が悪いということもいえます。
生前贈与であれ、遺言書の作成であれ、後にもめそうだからとか
事実すでに仲が悪いからこそ起こりうるお話なのです。
特にもめていなかったら、相続後に遺族で話し合って「遺産分割協議書」で
定めれば問題もないのです。
それをあえて事前に行うとか、死後の分割を指定したいというのは
やはり何らかのもめる要素があるからです。
これも私の想像ですが、やはり一澤家内でやはり前提となる兄弟間の仲が
よくなかったのではないかとも感じています。(これこそ推定です)

・・・もう一言。特定の事案を面白おかしくいうつもりもありません。

一澤帆布の一ファンでもあり、やはり税務の専門家として
どうすればよかったのか、
また、この一澤帆布の例から何を学び何を考えるべきかという観点から
お話を続けたいとと思います。


かばんの真実 その32
2008.11.05

さあ、ここで本題の株式のお話なのですが、
これもお話を創業時まで戻しますが、
昭和36年当時から、多分三代目信夫氏が全株持っていたはずです。

では、ここで相続が仮に起こったとしたらどうなるでしょう。
まず基本的な相続の法律的なお話からご説明していきましょう。
税金の計算というお話は最後にしましょう。
(難しいので多分やらないと思います!?)
取りあえずこの株式の行方が重要なのです。

経営しているのは四代目信三郎氏ですが、実は法律により
三代目がお持ちの自社株全株は「法定相続」されてしまいます。

このあたり、以前ご説明したように、戦前は「家督相続」という制度が
あったのですが、やはり戦後民主主義の発展と共に、
公平な制度に変更されてしまっているのですね。

経営している社長さんに全株引き継がれるわけではないのです。
つまり、民法の法定相続により、公平な相続分が決まっています。
ところで「法定相続」とは難しい民法の用語を出して恐縮です。
一応法律で決まっているのです。

でも難しく考えなくてもよいです。
「平等に」しかも「公平に」分けられるということなのです。

どういうことかというと、配偶者にまず2分の1が、
その残りを兄弟間に均等に相続されることになります。
ということは、兄弟3人ですので、社長である信三郎氏には、
残りの2分の1の3分の1、つまり
6分の1しか相続権がないということになります。

これではマズイということで、通常の相続対策として、
自社株の生前贈与ということが行われるのです。
もしくは、「あとで大問題に発展する」遺言書の作成なのです・・・。


かばんの真実 その31
2008.11.04

いつまでも「後ろ向きの」お話をしていても仕方がないので、
前向きな」お話をしましょう。
ところで、一澤帆布のお話に戻しましょうか。
どこまで書いたか、私も忘れてしまいました・・・。
(誰も覚えていないと思いますが・・・)


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再三申し上げている通り、
このお話は相続対策を勉強するにはもってこいの事例なのです。
もう前置きはよいでしょうから、
(もういい加減にしてくれ!と言われてしまいそうです・・。)
これから相続の本題に入っていきましょう。

さて、お話を前に戻しますが、
この一澤帆布の4代目信三郎さんが社長になったのは昭和58年でした。
その後、以前詳しくご紹介したように、この4代目の力で
会社の業績を飛躍的に伸ばしていきます。
売り上げ増加に対応しながらも、「京都商法」にこだわり、
昭和60年に地元に作業場を竣工し、その後平成4年にも
今の新店舗も竣工させています。
このあたりの見事な経営手腕についても、もっといろいろ書きたいのですが、
相続の本題が重要でしょうから、話をすすめていきましょう。

これも何度か、ご説明したように一澤帆布の株価
どんどん高くなっていったはずです。
やはり、この株価が高くなりすぎてしまって
非常に困ったことが起きてしまうのです・・・。


かばんの真実 その30
2008.10.24

当時の金融機関を「詐欺師」呼ばわりするのは
ちょっと言い過ぎかもしれませんね。
クレームが来る前に、一応少しだけ(!)反省しておきましょうか・・・。

でも、最近読んだ本で 「逆転を呼ぶ気功仕事術

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というのがあります。
著者は大畑敏久氏で今急成長している「外為どっとコム」の社長さんです。
気功に興味があったといいうより、副題の「外為どっとコム躍進の秘密」というのに
つられて買ったのですが、非常に面白かったです。

この方は、東大を卒業して東海銀行(一澤帆布の長男と一緒ですね)に勤めて、
バブル当時の池袋と神戸支店の支店長を経験しているのですね。
まさに暴露本かもしれませんが、「当時は皆が狂っていた・・。」
と振り返っています。
「銀行間の激しい貸し出し競争に勝たなければ生き残れないと思っていたから、
胡散臭さを感じても気付かないふりして貸しまくった・・。」
バブル時代の裏話でしょうか・・・。

私もバブル時代の証券会社を経験していますし、生き証人(!?)です。
当時の新人研修は、必ず中小企業の株価算定を教わりました。
(多分今もどこの金融機関でも、やるとは思いますが・・・)
会社の決算書が2期分あれば、簡便的にすぐ株価を計算されるように
誰でも研修で叩き込まれます。

セールストークとしては
「社長!御社の株価は高すぎますね!これでは相続税が大変です。
株価を下げるには、利益を抑えて、配当をゼロにすればいいのですよ・・・。」
というような具合で、あたかも税制の専門家のごとく説明するのですね。
「利益をゼロにするには・・・。」といって自社の商品を勧めるのです。

やはり、税理士でもないものが税を切り売りしているような気が正直していました。
それがきっかけで税理士を目指すようになった訳です。

実は他にも税理士を目指した理由がたくさんあるのですが、
それもよく皆様に聞かれることなので、またブログネタですね。
いずれまた。お楽しみに・・・


かばんの真実 その29
2008.10.23

老人の弱みにつけ込むのが、今話題の「振込み詐欺の集団」です。
相続税に苦しむ方につけ込むのが、
当時の「相続コンサルタントの集団」ではなかったかと思うのです。
・・・こんな過激なことを言うのは私くらいでしょうかね。

でも、冷静にバブル当時のことを、思い返していただきたいのです。
当時は確かに「相続破産」というものすごい言葉が社会問題になりました。
ここで相続コンサルタントといっても、「自称」が就く方々です。
税理士ではないものが、相続についてよく分からない弱い立場の方々に対して
相続対策で・・・」という過激な(脅しの!?)セールストークが
大変流行った時代です。

まず銀行です。
「借金をすれば、マイナスの財産ですので相続対策になります・・・」
建築会社では
「借金してアパートを建てれば相続対策になります・・・」
保険会社では「借金で一時払い保険に加入すれば・・・」
証券会社では、「自社株を引き下げるには・・・。」
皆必死な異常な時代だったのではないでしょうか。
浮かれていた・・といってはいいすぎでしょうか。
本当に当時の銀行マンのバックには、ゴルフ会員権のパンフレットが入っていた・・・。

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「相続対策のために当行で融資しますので、
関連会社の〇〇ゴルフサービスで会員権を・・・。」
もう猫も杓子も相続対策・・・・。


かばんの真実 その28
2008.10.22

ここ数日、「株価が暴騰して困っている」お話を続けていますが、
ここでまず勘違いされては困るのですが、
この今のご時勢にそう思わないとは思いますが、上場企業の株式ではありません。
「公開されていない」中小企業の株価なのですね。
でも暴騰しても喜ぶ人もあまりいないのです。いっそのこと、
「税務署が値上がりした値段でいつでも買い取ってくれる仕組みがあればよい」
のですが、税務署の買取の値段ではなく、あくまで評価額なのですね。
いつこれが評価されるかというと、やはり相続時、つまり所有者が亡くなって
初めて付けられる値段なのですね。だからこそ困るのです。

流動性のない中小企業の株価を10億円と評価されてしまって、
その税額が仮に3億円だとすると本当に困ってしまいます。
それでも税務署は「キャッシュで納めろ!」といってきます。
現金がないとなれば、「延納」といっていわゆる借金も認められますが、
いずれは払わなければ困るのですね。
これに本当に困っている相続人の方も多かったように思います。
いっそのこと商売をやめてしまって土地ごと売却してしまおうか
というご相談も多くありましたね。

でも一澤帆布のように代々商売をやっているとその土地を
なかなか離れなれないものです。

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やはりその商売もその土地にあってこそという会社ばかりでした。
それよりも、やはり「寺内貫太郎」のような頑固な経営者が多く、
オレの目の黒いうちには!」という方も多かったように思います。

でもこんなに困っている方々に対して、
この当時のバブル時にはもっと困った方々が出てきました。
もう振り込み詐欺の集団(!?)より達の悪い人たちです・・・?

今だから言えるお話をちょっと内緒で(!?)してみましょうか。


かばんの真実 その27
2008.10.21

15年位前のお話なのですが、
以前新宿のある会計事務所に勤めていたことがありました。
私のつらく苦しかった修行時代のお話です。
その事務所は近隣の商店主がメインの顧客でした。

新宿西口は今では高層ビルで有名ですが、
戦後は駅前に広い空き地と、かつては浄水場なんかもありました。

そのあたりでご自分の土地をもって商売をされていたお客さん達は、
戦後商法が改正されて、皆こぞって会社を設立していました。

バブルの頃、新宿地区はまさに地上げの対象にもなり、
土地が高騰しました。多くは売却され買い替えなど税法上の特例を使って
郊外に移転していきました。
しかし、問題なのはその土地の上で代々商売をやっていた方々です。
個人で所有している土地が高騰しているのですが、
会社で建物を所有していたから、難しい問題が起きてしまいました。

どういう問題が発生したかお分かりですか。
会社に借地権という目に見えない巨額の財産が生じてしまったのです。
借地権というものは、税務上大変難しいお話です。
これはまた、いずれブログネタ(!)なのですが、
簡単に言えば、「建物を会社名義で持っていると
土地を所有しているのと同じくらいの値段に評価されてしまう」
のです。

私の担当している会社は皆これに悩んでいました。
普通の会社でも、株価を正式に評価すると
10億円以上にもなってしまうケースが本当にありました。
バブルの頃「相続破産」という言葉がありましたが、
まさにそれに該当するような会社ばかりでした。

一澤帆布のように利益が出続けて株価があがるのではなく、
その所有する財産(ここでは借地権)が値上がりして
結果的に会社の株価が上がってしまったお話です。


かばんの真実 その26
2008.10.20

先週までで株価が100倍になるような夢のようなお話をしましたが、
どうもこのあたり、なかなかご理解いただけないようです。
すいませんがもう少し脱線して、株のお話を続けましょうか。

上場企業の株式が2倍や3倍になることはよくあります。
しかし、未公開の会社の価値が本当に100倍になるようなこともあるのです。
本人にしてみたら、宝くじにあたったような思いかもしれませんが、
より確実に利殖で儲けようというお話なら、株式会社を設立して、
その価値を上げることなのですね。

ただ、一澤帆布のように数十年間も増収増益をすることが前提となります。
こういう会社は、本当に株式公開でもしたら本当に100倍どころか、
1000倍やそれ以上になることもあります。
数年前のITバブルの時に株長者が多数輩出されました。
ホリエモンも一時期、個人金融資産が数千億円!なんて騒がれましたね。

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ただバブルのように泡と消えてしまったホリエモンでは
ちょっと例としてよくないでしょうね。
株式公開までしなくても、未公開企業の価値が
10億円以上になることは本当にあります。

ではまだよくご理解いただけない方のために、
具体的に私が経験したことでご説明していきましょう。


かばんの真実 その25
2008.10.17

では一澤帆布の株価はいったいいくらになったのでしょうか?
昨日机上の空論ながら、10年で7倍になったお話をしましたが、
ある書籍ではこの会社は
25年間売上が伸び続けている」
と出ていましたし、ある雑誌には
「会社は倍々ゲームで成長してきました。」
という社長さんのコメントもあります。
これは想像ですが、これは多分株価は数十倍になっていてもおかしくないのでしょう。

それには私なりの理由があるのですが、
どうもこの社長さん数字と言うか、税金にまったく無頓着の方のようです。
(大変失礼な発言でスイマセン。税金なんか考えているより
良いかばんを作ることに興味があるということです。)

先日この会社には関連会社が存在しないと説明しました。
私が顧問税理士なら、いわゆる節税策ということで、
「関連会社を設立しましょう。」と勧めたはずです。
一般論ですが、よく関連会社を多く作って、節税策を図ることも多いです。
(ただ、申し訳ないですがブログで節税策は詳細に公表しません。
国税庁の方が見ているかもしれませんからね!? 残念!!)

税金を気にしなければ、利益は会社に毎年内部留保され、
株価はどんどん上がっていったはずです。

本当に25年間増収増益の会社だったら、
1000万円の株価が10億円くらいに!?


かばんの真実 その24
2008.10.16

ここ数日株式市場が乱高下していますね。
証券マンだった頃はこんな時は眠られない日々が続いていました・・・。
今は株は持っていないので他人事のようです。
(持っている方。スイマセン・・。)

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このように上場企業の株式をお持ちだったら相続も説明しやすいのです。
中小企業の株式は、当然ながら毎日売買されるわけがなく、
値動きがしないわけですのでそんなに株価が上がるものなのでしょうか?

難しい相続のお話の前に、
(おっと、またここで脱線か?)未公開企業の株式の価格について、
"脱力系で" 少し説明しておきましょう。

例えば1000万円のキャッシュを用意して資本金1000万円の株式会社を
設立したとします。
当然出来たばかりなら、1000万円の価値ですね。
これが明日急に1割上昇することはありません。当たり前ですが。

一年間頑張って営業活動して、1000万円の利益が出たとします。
そうするとキャッシュは理屈上2000万円になっているはずですね。
それなら株価が倍になったというとそうではなく、
そこから税金を払わなければいけません。
実効税率(要するに税率ということです)は40%とすると
400万円になります。
差し引いて600万円手元に残るから、結局元手の1000万円が
1600万円になった計算になります。
要するに、株価が一年で6割増しになったということになります。

では理屈の上ですが、例えば10年間1000万円ずつ儲かったとしたら、
手元には毎年600万円ずつ残り、株価は10年で7000万円!
何と10年で7倍にもなってしまうのです。
(分かりやすく説明しているつもりなので、
税法に詳しい方はつまらない突っ込みはヤメテください・・・。)
どうでしょうか。
未公開企業の株価も上がることがあると分かりやすくご説明した次第です・・・。


かばんの真実 その23
2008.10.15

一澤帆布の経営哲学は非常に参考になるものの、
一応専門家として、ここらで大変僭越ながら「突っ込み」も入れておきましょう。

このような職人気質というか、売上や利益にまったく無頓着な経営者の方には
仕事柄よくお会いします。
例えば、税理士として一生懸命作り上げた「決算書」や「試算表」など、
まったく興味がない方が・・・。(なんかグチになってきたような・・・)

こういう方に、税金や経営をあれこれ伝授するのは至難の業です。
「数字なんか信用しない。信じるのは自分の腕だ・・・。」
よくそう言われます。
職人さんだけでなく、板前さんなんかもそういう方が多いです。
「オレのやり方に間違いはない。信じるのはオレの舌だ・・・。」
普通のサービス業の社長さんでもたまにいますね。
いっそ数字がキライな方といった方がよいのか・・・。

でもちょっと待ってください。
会社にとってやはり大事な場面もあるのです。
「今の資金繰りは・・・。」というような具合で、必死に説得することもあります。

一澤帆布の社長さんは多分、そんな数字に興味のない方なのでしょうか。
(想像です。間違っていたらスイマセン。)

でも再三申し上げるように、時には専門家がキチンと説得する場面も
多分必要だったのでしょう。
特にこれからご説明していく相続のお話は、(なかなか説明しないけど・・)
やはり素人の方には分かりえないお話なのです。

自分の目の届くところで経営するために、「一社に集中して経営する」ことは
経営学の観点から正しいとは思います。
でもその会社が利益を連続して出し続けたら、一方で相続の観点から考えたら、
その会社の価値(株価)がとんでもなく上がってしまうということも
時には説明してあげるべきだったのでしょう。


かばんの真実 その22
2008.10.14

ここまで一澤帆布のことを調べてみて、私はまたユニクロを思い出しました。
ご存知の通り、この会社は製造部門を中国に移管して、
劇的な安売り戦略で、業績を伸ばしましたね。
私はこの会社のおかげで「フリース」なるものを知りました。

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正直、私もオヤジルックよろしく、ユニクロで、
たまに1990円とか2990円のズボンなどを買うこともあります。
あの安さは確かに衝撃的ですね。

しかし、多分一澤帆布の社長さんは、
中国とかベトナムに製造拠点を持とうなんて、
今まで一度も思ったことはないのでしょう。

調べたところ、確かに作業場のビルを京都に新設しています。
これも京都以外に作ろうなんて思ったこともないと思います。
先日書きましたように、自分の目の届くところで必ず作業場を設けるはずです。
しかも、当然日本人の正社員を採用して、
的確に日本語で作業を指示するのでしょう。
自分の納得する商品を作らせるために。
多分ユニクロのように「1990円でカバンを売ろう」
何て頭の片隅にもまったく考えてもいないのでしょう。
これが「京都商法」というか「一澤帆布商法」なのです。

あるホームページで社長さんの書かれていた言葉。
これがすべてを表しています。
「僕は会社を広げていきたいとか、社員を増やしたいとか、売上を上げたいとか、
そういうことは全然気にならん。
そういう方向性で商売をやっていこうと考えたこともない・・・。」

見事な経営哲学です。


かばんの真実 その21
2008.10.08

次にものを売る方にとって、非常に参考になるお話を。
価格設定のお話です。
価格をみてみると、
人気のトートバックで10,500円、ショルダーバックで13,650円です。
ファッションにあまり詳しくない私でも、若干高いのではないかと思います。

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でも社長さんはこう豪語されます。
「使っていて値打ちがなかったと言われたことは一度もない。」
つまり、「値段」ではなくまさに「値打ち」にこだわっているのでしょう。
この「値打ち」こそ、この「京都商法」の秘密があるのではないかと思います。
これも、製造直売だからできることなのです。

もし、これが製造だけしかやらない会社だったら、
多分、卸会社から「高くて売れないので安くしろ。」と必ずいってくると
思います。
それを社長は絶対に言われたくないのです。
デパートに卸さないのはそのためなのでしょう。
デパートに卸すとなると、実際には卸値をかなりたたかれることなります。
デパートとしてみれば「天下の〇〇屋で売らせてあげるのだから、安く卸せ。」
と必ずいってくるはずです。
そうなると1万円で売るものの原価を、例えば3000円くらいに抑えなければ
利益が出てこないということになります。
デパートに限らず、通常の卸売りをするとなると流通コストやマージンが
入ってくるので一般的にはそうなるはずです。

よって、もしデパートに卸すようなことをすると、
見栄えだけ似たような帆布にして、糸も2回縫うところを1回にするとか、
経費の削減を図るために、どこかに手を抜かざるをえなくなるから
そんなことは絶対にやりたくないわけです。

代々守り続けてきた一澤帆布の丁寧な仕事をし続けるには、
それなりの製造コストを維持する必要があるのです。
だからこそ、価格設定を自由にできる製造直売にこだわっているのです。

非常に参考になるお話です。お分かりになっていただけますか。


かばんの真実 その20
2008.10.07

自分の商品が有名デパートで売られることは、
作り手にとって大変名誉なことだと思うのです。
私もある飲食関係の会社の顧問を引き受けた時、
その社長さんは「いつかデパ地下で売ってみたい。」と
夢を語っていました。

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しかし、一澤帆布はなぜ京都一店舗にこだわるのでしょうか?
これは4代目の確固たる経営哲学なのです。
あくまで製造直売にこだわるのです。
本当に一澤帆布は、京都にある自前の工場で作っていて、
下請けの製造部門も、販売部門の関連会社すら持っていません。

社長は、
自分の目の届く範囲の仕事をしているのが一番間違いなく、確かだ。」
そう思っているのです。
事実、一社で一人の社長さんがすべてを取り仕切っています。

またこれも有名なお話ですが、売り場の横に社長夫妻の机があります。
店からお客さんがあふれかえるほどなのに、敢えて売り場を拡張せず、
売り場の横に机を設けて社長夫妻が陣取っているのです。
これは、修理サービスやお客さんの細かな注文、時にはクレームなどに
応じて、お客さんの動向や商品ニーズをつかむためなのです。

以前ご紹介した牛乳瓶配達用のカバンあれが改良されて、
その結果、大ヒット商品であるトートバックに進化しました。

やはり、これも製造直売だからできる絶大なメリットなのでしょう。


かばんの真実 その19
2008.10.06

一澤帆布の「売り切れ御免」「日本のルイ・ヴィトン
という言葉と、さらに「京都商法」ということが話題になりました。
これもマスコミに何度か登場したお話です。

これだけ売れ続けているのであれば、デパートに卸しをしないかとか、
店を出さないかという話が来ることを誰でも想像つくと思います。
私が、高島屋のやり手バイヤーだったら、
本当に社長のところに日参してでも出店を勧めていたでしょう。

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また銀行の凄腕支店長だったら、
「もっと売り上げるために、いくらでもお金をお貸ししますから、
地方に工場を作りませんか」とか、
それこそ今なら「中国ベトナムに工場でも作りませんか」
という提案をするでしょし、
敏腕証券マンであれば会社の上場を勧めるし、
有能経営コンサルタントであったなら、拡大経営を勧めたでしょう。

でもこの4代目はすべてお断りしたのです。
なぜだかお分かりになりますか。
この点、経営哲学として非常に興味を持ちました。

マスコミもこの点よく理解していなかったのではないかとも思います。
単に京都にこだわるから「京都商法」ではないと思うのです。
これから申し上げることは、この不況を乗り切る処方箋でもあり、
まさに実践「カバン経営学」です!


かばんの真実 その18
2008.10.03

先日「行列のできる!ブログ税理士事務所」のお話をしましたが、
私の熱心なブログファン(いるの!?)なら、
これから私が何を言いたいのかもうお分かりですね。

そうです!一澤帆布こそが
元祖 「行列のできる!カバン製造販売所
なのです。今も行列ができるそうです。

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再三ご説明している丁寧な「ものづくり」の基本姿勢から
熱烈なファンを増やしたと思います。
しかし、私の調査結果(!?)ですが、
正直ラッキーな時代の後押しもあったかもしれません。

一澤帆布は代々広告宣伝を特にしてこなかったのですが、
十数年前に若い女性向けの雑誌「nonno」などに
集中して取り上げられました。
マスコミの影響力は強大ですし、
今の若い女性の方々の購買力はすさまじいものがあります。
その結果、遠方から大挙して駆けつけ、店の商品を買いあさってしまう
くらいで、店の商品がすべて買いつくされ、仕方がないので
閉店したことも
何度もあったそうです。
またそれが話題になり、マスコミにも再三登場します。
それでまた、さらなる購買意欲を煽る結果となったのです。
日本のルイ・ヴィトン」と、この頃から呼ばれるようになりました。

私はここで中野の名店「ラーメン青葉」を思い出しました。
ここも行列ができることで有名です。
しかも、麺がなくなるとその日は閉店です。
確かにおいしく魚介スープが絶品で、私も青葉ファンの一人なのですが、
両店とも、この時代に「売れ切れ御免」の見事な戦略です。
(行列のできる!ラーメン屋のお話もまたそううちに・・・)


かばんの真実 その17
2008.10.02

明治の創業以来、一澤帆布の代々の当主は、
「とにかく丈夫で長持ちする商品を作ること。」
に徹底的にこだわってきたようです。

例えば、手で持つ柄の部分の縫い合わせに関していえば、
普通布製のバックならこのあたりから痛んでくると思いますね。
それで、通常2本縫えば十分なところを、わざわざ3本の糸で縫っています。
しかも、糸の結び目に関して、ミシンの返し縫い(こっちの方が簡単でしょう。)
では目が汚くなり、また使っていて擦り切れやすくなるというので、
わざわざ手で結んで、小槌や金槌で叩いて、さらに接着材で
止める処理までしています・・・。

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もう参りましたね。そこまで丁寧な仕事をしているのです。
しかも、その仕事を支えているのが一澤帆布の職人達でした。
4代目が引き継いだときは10人程度だったのが、
20数年経って70人ほどの大所帯になっていました。
しかも全員が正社員。アルバイトもいません。
ましてや派遣社員などもいないのです。
これも、「偽装派遣でものを作っている」どこかのメーカーの社長さんに
お伝えしたいお話ですね

社長とこの職人達との絆もかなり深かったようです。
社長が解任された時、前にご説明した生地卸会社と同様、
70数名の社員も全員残らず辞め、社長についていってしまいます・・・。
(この解任のお話もそのうちに・・・)


かばんの真実 その16
2008.10.01

これに対して、この4代目の社長さんの取った行動はすばらしいです。
生地卸会社との強力な関係を築き上げていきます。
あるメーカーに5段階もある厚みの布のすべてを糸から選別して織らせ、
一澤帆布の専用使用にして、しかも色も独自の色に染めさせてもいます。

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写真は現在の信三郎帆布のHPからですが、
こんなにキレイでカワイイカバンも作っているのです。
これ以上の開発のお話は企業秘密だと思いますが、
この開発に相当努力されたのだと思います。

その結果、生地卸会社との絆はそうとう深くなったのだろうと想像がつきます。
その理由は、その後4代目は相続問題でなんと解任されてしまうのですが、
その生地卸会社も、この4代目についていってしまうくらい
かなり密接な関係だったからです。
(この解任のお話はあとでご説明します。)

これでは同業他社が太刀打ちできないというのも納得できるでしょう。
服飾メーカーが、同じような製品をつくることが過去何度か
あったらしいですが、この良質な材料が確保できないということと、
次にご説明する職人の技能という
圧倒的な二つの参入障壁により、
結局は2、3年で消えていったということです。

そこまで天然素材にこだわったことで、さらに顧客のこころをつかんでいきます。
化学繊維全盛のこの現代に、天然繊維の帆布を素材にしていることで、
まず目新しいということがいえますが、実際に使っているうちに柔らかくなり、
馴染んでくる点など、化学繊維にはない天然繊維自体の風合い
楽しむことができるのです。
そういったことで新たなファンを開拓していったのだと思います。


かばんの真実 その15
2008.09.30

一般的には、天然繊維の帆布は重量があり、
長い間使用していると日に焼けて色褪せたり、
縮んだり型崩れする欠点があります。
しかし、化学繊維は丈夫だし、腐らないし、退色もまた縮まない
といういいこと尽くめなのです。
よって現在では、合成繊維の帆布が主流になってしまった
というのはだいたい想像つくと思います。
本当に今や帆船の帆もヨットの帆も全部ナイロンになっているのですね。

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事実、帆船の帆だけでなく、戦後屋外で使用する帆布は、
綿から99.9%化学繊維にとってかわっているそうです。

そうなると、戦後は帆布の業界はどうなったかお分かりになりますか。
結果的に、天然繊維の帆布の需要が激減してしまったことで、
質も低下してきてしまったのです。
ということは、天然繊維を取り扱う一澤帆布にとって、
良いカバンを作り続けるために、良質な材料をいかに確保することが
経営上重要なポイントだったかお分かりになると思います。

この難題に対して、一澤帆布の社長さんはどうしたでしょうか。
やはり、ここで優れた経営手腕を発揮していくのです・・・。


かばんの真実 その14
2008.09.29

ものづくり」のお話をもう少し。
この会社の強さです。素材についてのウンチクを・・。

・・・でもなんか、
日テレの「行列のできる法律相談所」みたいになってきましたね。
あの番組は、回り道が多くて、なかなか法律の話になりませんね。
法律番組ではなく、まったくのバラエティー番組ではないかと・・・。
「脱線していないで早く!相続のお話の続きを!」
と言われていそうですが、もう少し回り道します!
しかし、いっそのこと
行列のできる!ブログ税務相談所
なんて作りましょうか・・・。(すいません。また回り道・・・)

しかし、「帆布」なんてものは、普通の方はピンとこないと思うのです。
名前のとおり「帆の布」つまりヨットの帆で説明してみましょう。

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昔は帆船の帆もヨットの帆も全部「綿帆布」でした。
綿帆布は、戦前から日本では原綿自体は輸入していますが、
日本でダイワボウとか東繊などのメーカーが帆布を織っていました。
戦争中にアメリカで化学繊維が発明されてしまうのですね。
それで大変なことが起こってしまうのです・・・。


かばんの真実 その13
2008.09.26

「一澤帆布は相続問題で有名になって、
結果的にカバンが売れるようになった・・・。」
そんなお話を相続のセミナーで弁護士さんから聞いたことがあります。

それは、まったくの誤解だと思うのです。多分一澤帆布をよくご存じない
のでしょう。
そういう先生は、きっとカバンを見たことも買ったこともないのでしょう。
確かに、最近相続のお話でマスコミに頻繁に登場して、名前がかなり知れ渡りました。
でも、これだけ人気になったのは、
やはり老舗としての「ものづくり」の姿勢が
高く評価されてきたからだと思うのです。

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この有名なラベル一つとってもそうです。
漢字で書いてありますし、住所まで書いています。
このラベルが初めてできた20数年前なら、
普通はローマ字で「ICHIZAWA」のようにつけたと思うのです。
それをあえて漢字にした。「一澤」というのもいい響きです。
これが「木村」とか「山本」のような、それこそ「吉田」のような「陳腐な」
名前だったらどうだったでしょうか。

住所が書いてある理由。何だかお分かりになりますか。
「この住所に来て頂いたら修理します」という製造責任をうたっているのです。
保証期間が一年と決まっている訳ではないのですが、
もし使って1年も経っていないのに具合が悪くなったりしたら、
たいてい無料で修理するか、新品を送ってくれるそうです。
往復の送料も負担してくれます・・・。

こんな会社は本当に少ないと思うのです。
自分の製品に対するゆるぎない自信の表れなのでしょう。
最近の「偽装してまで売ってしまう」社長さんたちにお伝えしたいお話です。


かばんの真実 その12
2008.09.25

昭和58年信三郎氏は35歳の若さで社長になります。
社長に就いた直接のきっかけは、
信夫氏が巻き込まれた地上げ騒動だったらしいですが、
難局をうまく乗り切り、名実とも社長になりました。
信夫氏は、社員の前で、
「これからは信三郎が社長や。」と報告し、得意先にも共に挨拶回り
したそうです。
再三言っていますが、挨拶なんかどうでもよく、
ここで本当の事業承継をすべきだったのでしょう。

また昭和58年というところがミソです。
この意味お分かりになりますか。
その後バブルが訪れてしまうのですね。
結果論かもしれませんが、そこで株式の移動が行われていれば
その後の悲劇は防げたと本当に思うのです。

その後に起きる相続と言う不幸にまったく気がつかず、
お二人で力を合わせて会社発展させていきました。
その後25年間会社は売上を延ばし続けていきます。
結果的に会社の価値を引き上げ、株価も上がっていったのでしょう。
経営者としてすばらしい力をお持ちなのに・・・。

こういうこともあるということを専門家として心得ておくべき事案です。
ただお二人のファンとしても何とかしてあげたかったと本当に思います。
誠に残念!


かばんの真実 その11
2008.09.24

お待ちどおさまでした。
いつまでも自慢話!?にお付き合いさせては申し訳ないので、
お話を戻しましょうか。

昭和55年、三男信三郎氏が朝日新聞を退社し、一澤帆布に入社します。
しかし、その当時は「会社とは名ばかりで、実質的な赤字経営で
給料の支払いにも困るような状態」だったそうですが、やはり、
父親の信夫氏が
「ええ会社におったのにすまんな。」と何度も言って喜んだのは当然でしょう。

以前指摘したように、事業承継としての株式の譲受けもないままに
この4代目信三郎氏は会社を一から変えていきました。

「私も背広をジーパンにはき替えてシートの修理やテントの取り付けにも
出向きました。
子供たちは保育所に預けて、妻と共に注文書を印刷し、職人たちを
日給制から月給制にして、会社の形態を整えることから始めました・・・。
我々夫婦は一つずつ会社の基礎を築いてきたのです。」(HPより)

信三郎氏の経営術は本当に参考になります。
これはまた、「一澤帆布から学ぶ経営術」としてブログネタですね。
書籍も見つけたので、そのうちに詳しくご紹介していきましょう。

この会社をいろいろ調べましたが、この信三郎氏と奥様の恵美さんとで
力を合わせて会社を発展させたのは間違いないようです。

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勝手ながらお二人の写真をアップします。
すばらしいご夫婦です。本当にいいお顔されています。

私としてもこのお二方のファンになりました。


かばんの真実 その10
2008.09.11

登記簿謄本で調べたところ、
一澤帆布は昭和36年に、資本金1000万円で設立されています。
多分、三代目信夫氏が全部保有していたと思います。(推定です。)

そこで、その価値(つまり株価)が問題になりますが、
「当時の会社は実質的な赤字経営で給料の支払いに困るような状態でした・・・。」
(信三郎氏HPより)と言っていることからことから、多分赤字会社であれば、
価値としてはそれほど高くはなかったはずです。
思い切って、そこで持ち株を後継者の信三郎氏に贈与すればよかった
のでしょう。

ただ、ここで「生前贈与をしたい・・」と自ら言い出すような経営者は
誰もいないはずです。
顧問弁護士や税理士が正しくアドバイスすべきであったと思うのです。
そうすれば、その後の悲劇は防げたはずなのです。
そこで、もし長男の方が文句を言ってくるのであれば、
それこそ、そこで兄弟間で、しかも三代目がお元気なうちに
本当にちゃぶだいをひっくり返しても、よく話合いができたと思うのです。

厳しい言い方しますが、
この事件は顧問の先生の指導ミスでもあったのではないか
とさえ私は思うのです。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、顧問業をなりわいとしている身として
他人事でもいられません。

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ところで、ここで「贈与」といった瞬間!
「将来の遺留分の・・・」と突っ込んでくる真面目な弁護士先生が
でてくるでしょう。
良かったですね。これから行われる民法改正がここで話せるのです!
私がこれまで一生懸命説明したネタをどうぞ使ってください。

ただ私はこのお話を今するとややこしくなるのであえて触れません。
お得意の弁護士先生に教えを請うてください・・。
喜んで訳の分からない説明をしてくれるでしょう!?

(今「誰でも分かる遺留分物語」を"脱力系"執筆中です。そのうちに・・・。)


かばんの真実 その9
2008.09.10

まず「事業承継とは?」という初歩的なお話からしていきましょう。
「社長が代わることではないの?」
正解です。
ただ専門家として申し上げたいのは、
会社の持ち株」の承継こそが、事業承継だと申し上げたいのです。

でもよく聞かれます。
「他人に売れない、中小企業の持ち株に意味があるの?価値があるの?」
これは結構一般の方もよく理解しないところなのでしょう。
税金のことより、持つことの意味をよく理解しないで、
遺産分割の際に、何となく法定相続分で(つまり親族間で適当にバラけて)
相続してしまう会社も本当に多いです。
経営権の確保という意味でも重要ですし、また経営しない人にとって持ち株は
無用の長物なのです。

私も相続の申告を依頼された際、被相続人(つまり亡くなった方)が
会社を経営されていると、株価の算定を必ずやります。
持ち株も立派な財産なのですね。
「赤字会社でもそんなに価値があるの?」
「そんなに税金がかかるの?」
結構驚かれる方が多いものです。

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ただ、この税金の問題が出てくるのは、特にバブル以降のお話です。
お話を戻すと、一澤家で事業承継が議論された時点、
多分昭和54、55年当時ですので、
それほど株価は高くなくて、大して税金は出なかったと思うのです。
だからこそ動かすチャンスであったのです。


かばんの真実 その8
2008.09.09

この時兄弟間で話し合いがされました。
その結果、長男ではなく、実家の近くに住んでいた三男の信三郎氏が
せっかく9年間も勤めた朝日新聞を退職して、
家業を手伝うことになったのです。

長男信太郎氏は、後にこう言っています。
「父としては、家督は長男が継ぐものと考えていましたから、
私が実家に戻るのが自然な流れであったかもしれません。
私もいつかは京都に戻って、一澤帆布を継ぐことになるだろうと
思っていました。
父は当主は長男の私で、普段の経営は信三郎にやらせておけばよい
と考えたのでしょう。」

そう本当に言ったのかもしれませんが、
私は何となく都合のよい解釈のような気がしています。
長男の方が銀行をここで辞める気があったかどうかは分かりません。
ただ、ここでも大事なことは、「家督相続」の考えを長男は
述べていることです。

一方で、信夫氏の弟の恒三郎氏(つまり叔父さん)は
「長男信太郎氏は銀行で出世し家業には興味がなかった・・。」
こういう証言もあります。
確かに長男は銀行で支店長まで出世し、その後定年まで勤め上げています。

ただこの時点が私は事業承継の大事なポイントであったと思うのです。
ここで明確な事業承継がされていれば、その後の悲劇は起こらなかったはずです。

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いろいろ書いてきましたが
「一家庭のあれこれを面白おかしく詮索する」
そこらの芸能レポーター
ワイドショー的なお話になってきたような気がしてきたので、
専門家としての正しい「突っ込み」を入れていきましょう。


かばんの真実 その7
2008.09.08

長男信太郎氏は京都大学を卒業して、
東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入社してしまします。
この時点で、三代目信夫氏はまだまだ働き盛りであり、
長男の方が卒業と同時に家業を継ぐということはないでしょうし、
経営者の後継者候補が、一度他人の釜の飯を食うため、
銀行に入ることは昔も今もよくあることです。

二男の方は、生後すぐ亡くなったそうです。
(あとの民法の説明上重要なので、大変恐縮ですが、
あえて説明させていただきました。相続人は3人ということです。)

三男信三郎氏も優秀でした。
地元同志社大学を卒業して朝日新聞に入社してしまいます。
朝日新聞といえば、
昔からマスコミ志望の大学生の人気ナンバーワン企業です。
本人もマスコミ業界で活躍したかったのだろうと思います。

結局四男喜久夫氏が、当初家業の跡目候補として
手伝いをすることになりました。
絵心があったらしく、かばんの半分が喜久夫氏のデザインです。
後に有名になった「一澤帆布製」と書かれたネームタッグも彼の発案でした。

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ただ残念ながら身体が弱かったらしく、会社には週に2日程、それも
午後からしか出てこない状態で、とても将来の社長は勤まりそうもありません。
一方で、三代目だけでなく十数人の職人達も高齢化してきて、
このままでは「老舗一澤帆布」の廃業の危機です!
さあ!困りました!!


かばんの真実 その6
2008.09.05

長男信太郎氏は大変優秀だったようです。
地元の難関京都大学経済学部に入学してしまいます。
職人の親から見たら自慢の息子だったに違いありません。

・・・と、ここまで調べたところ、
私は子供の頃見た、TBSドラマ「寺内貫太郎一家」を思い出しました。

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主人公小林亜星が扮する石屋の三代目と、その長男を西城秀樹が演じていました。
息子は石屋を継ぎたくなくて、大学を目指して浪人中です。
毎回のように
「石屋なんて継がないよ!」
「キサマ!親に向かって何てこと!!」
と、ちゃぶ台をひっくり返して大喧嘩です。
そのシーンを思い出しました。
昔はどこにでもいたのですね。あのようなちゃぶ台も雷オヤジも。

一澤家のご長男の方は跡を継ぎたくなくて、必死に勉強したかどうかは分かりません。
でも長男というのは事業承継では大事な役割なのです。
ただ一澤家の三代目も、多分あの貫太郎のような頑固オヤジであったような
気がしています・・・。
(間違っていたらすいません。)


かばんの真実 その5
2008.09.04

お待たせしました。
さあここで相続人登場です!

三代目信夫氏には男の子が三人いました。
話を終戦直後まで戻しますが、信夫氏が戦地から帰りカバン作りを再開したころ、
長男信太郎氏が生まれました。
ここで、昭和20年生まれということが大事なところです。

戦前は、今と違って、「家制度」というものがあり、戸主の地位は、
戸主の財産権とともに「家督相続」という制度により、承継されていました。
要するに原則長男がすべての財産と地位を引き継ぐのですね。
今の相続とはまったく違います。
制度がなくなった今でも「本家」とか「分家」という言葉をよく聞きますね。

この制度が、昭和22年日本国憲法の施行と共に廃止されるのですが、
当然長男は、四代目=跡継ぎ ということで親族や周りの職人から
言われ育ったはずです。
また本人もそう思って育ったかもしれません。
一般論ですが、今でも 長男=跡継ぎ という考えは根強く残っていますね。

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そのあたりから、この一澤帆布問題はスタートしていると私は思うのです。
本人も「家督」は長男が継ぐものと思っていたと後日述べています。

さあ、「事業相続」と「家督相続」。
このあたりがキーワードです!


かばんの真実 その4
2008.09.03

三代目一澤信夫氏になり、その弟恒三郎氏とともにさらに
業容を伸ばしました。信夫氏が経営を、恒三郎氏がミシンを担当し、
まさに昔ながらの家内工業そのものなのですが、職人仕事に徹した製品は
品質にこだわる顧客を引きつけ、地道にファンを増やしていったようです。

その一澤帆布の名を世間に知らしめたのはテントでした。
昭和35年京都大学山岳部はヒマラヤ登頂に成功し、
それをサポートしたのは一澤帆布の製品だったのです。

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今のアウトドア用品のさきがけといったところでしょうか。

その信夫氏も65歳になったとき、
いよいよ事業承継という難題が持ち上がりました。

ただここで事業承継という観点から、大事な点なのですが、
その時の会社の状態です。
ある方の三代目への追悼文の一節です。
「今とは違って、店はせまく古ぼけた店のガラス戸を開けると、
種々なバック類や作業服が並んでいた。奥からはミシンの音が
聞こえてきた・・・。」
大変失礼な言い方かもしれませんが、それほど繁盛している訳でもなく、
どこにでもある商店街の一角の古い老舗といったところでしょうか。

何となく想像がつくのですが、採算を度外視した職人気質の経営。
それでも老舗という大事なカンバンを守らなければならない・・・。
当時も今もある日本の典型的な承継問題だったのでしょう。


かばんの真実 その3
2008.09.02

二代目一澤常次郎氏から帆布を本格的に作り始めました。
主に牛乳屋や大工、植木屋などの職人用のかばんを手がけ、
戦後にはリュックサックや学童用のランドセルなども作り出しました。

帆布(キャンパス地)とは綿や麻で織られた厚手の織物です。
それを職人さんが手作りで一つ一つ丁寧に作り上げていきます。
しかも製造直売で対面販売し、購入したお客さんの要望を聞きながら、
さらに改良も加えていっています。

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これはなんと!牛乳屋配達用に考案された「牛乳袋」です。
底が丸くこれで牛乳瓶が20本も入るように考えられています。
しかも、自転車のハンドルに引っ掛けて運ぶので、
側面を二重の布で補強もしてありますし、
持ち手はわざとロープにしています。
さらに牛乳瓶が割れた時(!)のために穴まであけています。

このようにお客さんの要望に一つ一つ親切に応えていますし、
本当に職人さんの愛情が感じられる作品です。

この牛乳袋一つ見ただけで、職人さんの心意気を感じるところですし、
一澤帆布の実に親切な仕事ぶりもよく分かります。


かばんの真実 その2
2008.09.01

では、一澤帆布の歴史から説明していきましょう。
創業者 一澤喜兵衛氏は大変ハイカラな男だったようです。
まず明治19年に、京都で初めてドライクリーニング店を開業しています。

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また、文明開化の中、西洋バンドに憧れ、「京都バンド」を結成し興業でも
活躍しました。
この頃に家一軒くらいの値段だった(!)ミシンを買い、
天幕や帆布を作り出しました。これが明治38年、一澤帆布の創業です。

もうここまでで、「突っ込みどころ」満載ですね。
つまり、明治の「元祖ベンチャー企業」だった訳です。
しかも、いわば桑田圭佑が青山学院で学生ベンチャーを起こし
巨額の資金を投入して電子計算機を開発したような、(すこし変な喩えか・・・)
初代はなかなかの人物だったと思います。

事業承継の観点から大事なことは、京都という地域性に着目したいと思います。
日本の伝統文化を受け継ぐ土壌が備わったところです。
当然事業承継ということが重要視される土地柄でしょう。
また、明治の創業という「老舗」という呪縛も大事な点です。


かばんの真実 その1
2008.08.29

前置きが長くなって恐縮ですが、本題に入る前に
会社と登場人物について説明していきましょう。

私は相続の事案を受けると、亡くなった方(被相続人といいます。)と
その相続人(相続を受ける人)について、こと細かくお聞きするようにしています。
相続の申告はよく「一生の清算」と呼ばれます。
その清算のために、被相続人がどのような人生を歩まれたのか、
相続人も含め関係者すべてから、その生い立ちから出身の学校、仕事、
趣味にいたるまで、(申し訳ないですが根掘り葉掘り)いろいろとお聞きします。
事業承継であれば、そのご商売や会社を丹念に調べます。

それが結構大事なのです。
相続は本当に複雑な人間関係が織り成す人間模様そのものなのです。
特に、その相続人がどんな考え方、どんな人生観をお持ちなのか。
遺産分割にあたって大変それが重要なのです。

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よって、この事案についても詳細に調べてみました。
決して興味本位ではないということもご理解ください。
前に申し上げた「ワイドショー的ではなく」という言葉と
ちょっと矛盾しますかね?(すいませんが仕事柄です。)


一澤帆布事件 その3
2008.08.28

実はこの事件に関して書籍をかなり探したのですが
何も出版されていないのです。税理士会の資料室にもありませんし、
裁判の記録も探したのですが判例集にもなく、また論文もないようです。
それで仕方がないので、登記簿謄本を取り寄せ
また国会図書館などに通って、当時の雑誌等で資料を探し出しました。
よって一澤帆布事件に一番詳しい税理士になったでしょうか!?

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ただ、論文のない理由は分かりました。
あとで詳しく説明しますが、法律的には裁判そのものは
あまり論点にはならなかったようです。
法律家から見たら、民法の常識、当たり前の事件ということなのでしょうか。
でも素人の方からみたら、相続対策を勉強する題材としては
大変面白い事件だと思うのです。
このような題材こそ、弁護士先生からやさしく説明してほしいものです。

私が幻冬舎のやり手営業マンなら、
とっくに当事者を説得して原稿をお願いしているでしょうし、
(初版30万部間違いなし!)

私がNHK京都支局のディレクターであったら、
すでにNHK土曜ドラマとして放映していたでしょう!?

私が代わりに脚本を書いてあげましょうか!
題名は
かばんの真実!」


一澤帆布事件 その2
2008.08.27

一澤帆布事件は、かつてかなりマスコミに取り上げられました。
京都では100年以上の歴史を誇る、布製かばんの老舗「一澤帆布」。
丈夫さとデザインのよさで全国のご婦人からも支持されるブランドです。
ただ正直ファッションに うとい私は申し訳ないですが知りませんでした。
調べてみると、同志社小学校の通学カバンにも採用されています。

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京都のお受験ママの憧れのブランドなのでしょうか。
写真ではよく分からないでしょうけど、
GPSつきのオリジナルバックということがすごいです。

ブログでこのような固有名詞を上げてよいものか迷いましたが、
当事者が事件の内容を、あえて自社HPでも公開しているようですし、
単なる興味本位な、いわばワイドショー的な取り扱いではなく、
専門家として事業承継の法律的な意味合いを中心に
コメントしていきましょう。


一澤帆布事件 その1
2008.08.26

"脱力系ブロガー"として、相続税の改正のお話をどうやって
分かりやすく説明できるか、ここずっと考えております。

ただ、のんびりしていられないのが、この10月1日からその改正に先駆けて、
事業承継に関係する民法の改正も施行されてしまうのですね。
一応「中小企業経営承継円滑化法」というのですが、
でも多分皆様ご存じないでしょうね。
何でそんなに難しそうな法律名なのでしょうか。

昨日申し上げたように、専門家がやたら難しく取り上げ、
実は税理士会でも分かっている方は少ないのです。(多分です)
研究会に出席しても、皆が「ちんぷんカンプン?」(失礼!)
というような状況です。
せっかく改正されても、それをお客様に正確に伝えることができなければ
税理士としても申し訳ないと思うのです。

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ここで面白い事件をご紹介していきましょう。
ご存知の方も多いでしょうが、
テレビなどマスコミに取り上げられた京都のカバン屋さんでのお家騒動
一澤帆布(いちざわはんぷ)事件」です。
これは今回の民法の改正を理解するには、もってこいの事件なのです。

私なりに"脱力系"でやってみましょう!


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