個人事業主が支払った固定資産税は経費になる?
固定資産税と税金の関係

個人事業主が支払った固定資産税は経費になる?  固定資産税と税金の関係
公開日:
2019/10/31
最終更新日:
2019/11/08
 
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所得税や住民税など個人が支払う税金には、様々なものがあります。固定資産を所有している時に支払う固定資産税もその1つです。実は、税金には経費になるものとならないものがあります。では、個人事業主が支払った固定資産税は経費になるのでしょうか。ここでは、個人事業主が支払った固定資産税の処理方法を解説します。

固定資産税とは 固定資産税と償却資産税

固定資産税と償却資産税の違いとは

皆さんは、固定資産と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。土地や建物を思い浮かべる人も少なくないでしょう。しかし、個人事業主が所有している固定資産は、土地や建物だけではありません。パソコンや製造用の機械などの固定資産も所有しています。

 

実は、土地や建物と、パソコンや製造用の機械などの土地や建物以外の固定資産では、課税方法などが異なります。そこで、土地や建物を所有していることに対する税金を「固定資産税」、土地や建物以外の固定資産を所有していることに対する税金を「償却資産税」と区別しています。

 

固定資産税は、毎年1月1日に土地や建物を所有している人が、償却資産税は、毎年1月1日に土地や建物以外の固定資産を所有している人が、その資産が所在する市区町村に支払う地方税です。

 

固定資産税や償却資産税の金額は、固定資産税評価額(課税標準額)に標準税率を乗じて算出します。固定資産税も償却資産税も自分で税額を計算することはないため、計算方法を詳しく理解する必要はありませんが、違いを理解するため、簡単に説明すると、固定資産税評価額(課税標準額)の求め方や非課税枠などが、それぞれで異なります。

①固定資産税評価額(課税標準額)の違い

固定資産税では、市町村長が決定した固定資産税評価額を使いますが、償却資産税では、資産ごとに設定された減価率を用いて計算します。

 

固定資産税の固定資産税評価額(課税標準額)は、市役所などで取得できる固定資産評価証明書、もしくは毎年、市役所などから送られてくる納税通知書などに記載されています。

一方、償却資産税では複雑な計算をして求めます。

 

固定資産税の税率は、原則1.4%(自治体によって異なる場合あり)です。土地や不動産の場合、自治体によっては、別に0.3%以下の都市計画税がかかることもあります。

②非課税枠の違い

非課税枠は、固定資産税の場合、土地30万円まで建物20万円までです。償却資産税の場合は、課税標準額(全ての資産の合計額)が150万円以下の場合には、償却資産税はかかりません。

償却資産の申告期限と固定資産税の納付時期

では、固定資産税と償却資産税の手続きについて見ていきましょう。

①申告手続き
  • 固定資産税
    土地や建物は所有した際に、登記簿に所有権の登記をします。各自治体も登記簿でどの土地や建物を所有しているのかわかるため、毎年、固定資産税の申告は不要です。
  • 償却資産税
    土地や建物以外の固定資産は、車などを除き原則、購入時にどこかに登録することはありません。そのため、各自治体は、固定資産の所有の有無を確認できません。そこで、個人事業主の場合は、毎年、各自治体に「償却資産申告書」を提出する必要があります。
    償却資産申告書は、毎年、各自治体から送付されてきます。
②納税手続き

固定資産税、償却資産税ともに、4月、7月、12月、2月の年4回の分割で支払います。

また、納期は自治体によって異なります。毎年6月ぐらいになると、4回分の納付書(金額記載済)が届くため、それを使って納めます。

固定資産は経費になる?経費になる税金とは

では、固定資産税や償却資産税が経費になるかどうかを見ていきましょう。

個人事業主の必要経費とは

そもそも個人事業主にとって必要経費とはどのようなものでしょうか。それは、必要経費という名称からも分かるとおり、事業を行うために必要な支出(経費)です。原則、どこからどこまでが、必要経費であるかという基準は法律では定められていません。そこで、個人事業主が自分で、日々の支出の中からプライベートのものと事業の必要経費のものに分ける必要があります。

個人事業主で経費になる税金の種類

必要経費は、事業を行うために必要な支出(経費)です。これは税金でも同じで、事業を行うために必要な次のような税金は経費になります。

  • 個人事業税
  • 消費税
  • 償却資産税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 印紙代

例えば、行っている事業で公共のサービスを受けることに対する税金である個人事業税や、消費税はもちろん経費になります。償却資産税も事業用資産に対する税金のため経費です。固定資産税や自動車税については、事業で使っている土地や建物、車に対するものであれば、経費になります。印紙代も同じです。逆にプライベートで使っている自宅などの土地や建物、自家用車に対する税金は経費にならないため、注意が必要です。

固定資産税を支払った場合の処理方法

固定資産税を支払った場合の処理には2つある

事業に必要な固定資産税や償却資産税は、経費になります。では、いつ経費になるのでしょうか。これには2つの考え方があります。原則は支払う税金の金額が決まった日(賦課決定があった日)に経費にします。この場合は、支払いがまだでも、賦課決定があった日に経費で処理します。もう1つが、支払い日に経費にする考え方です。この場合は、支払った分だけ経費になります。

 

所得税では、どちらの処理も認められています。ただし、どちらも毎年同じ方法を継続する必要があります。

固定資産税を支払った時の仕訳例

賦課時点で経費にする方法と支払時点で経費にできる方法、経費にならない場合の3つの仕訳を具体例を挙げて説明する

 

では、上述した2つの方法と、プライベートの固定資産税や償却資産税を支払った場合の処理を仕訳で確認しましょう。

 

例)1月に固定資産税8万円の賦課決定があり、4月以降の各納期に2万円ずつ事業用の現金で支払った。
①賦課決定があった日に経費で処理する方法

賦課決定のあった日

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
租税公課 8万円 未払金 8万円 固定資産税

 

4月、7月、12月、2月の納付日

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
未払金 2万円 現金 2万円 固定資産税
②支払い日に経費で処理する方法

賦課決定のあった日

仕訳なし

 

4月、7月、12月、2月の納付日

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
租税公課 2万円 現金 2万円 固定資産税
③プライベートの固定資産税の場合

賦課決定のあった日

仕訳なし

 

4月、7月、12月、2月の納付日

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
事業主貸 2万円 現金 2万円 固定資産税

 

事業に必要な固定資産税は、「租税公課」で処理します。賦課決定があった日に経費で処理する場合、賦課決定には支払いがまだのため、「未払金」で処理し、支払い日は未払金を支払った処理を行います。

 

プライベートの固定資産税は経費にはなりません。そのため、プライベートの現金で支払った場合は帳簿付け不要です。ただし、事業用の現金で支払った場合は、帳簿と手もとにある事業用の現金の残高を合わせるために、帳簿付けをする必要があります。この場合、借方勘定科目は租税公課ではなく、「事業主貸」を使って処理します。

まとめ

様々な税金の中で、事業用資産に対する固定資産税や償却資産税は、経費にすることができます。節税のためにも、経費にできる税金がある場合は、忘れずに帳簿付けしましょう。

その場合は、帳簿付けが必要です。処理方法には、賦課決定があった日に経費で処理する方法と支払い日に経費で処理する方法の2つがあります。毎年継続が条件ですが、どちらで処理しても問題ないため、やりやすい方法で処理を行えば問題ありません。

この記事を参考に、ぜひ、正しい処理を行ってください。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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