税金が2年間免除?消費税の課税が
3年目まで引き延ばせる法人設立とは

税金が2年間免除?消費税の課税が  3年目まで引き延ばせる法人設立とは
公開日:
2019/11/12
 
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法人を設立すると、2年間消費税が免除になるといわれています。確かに預かった消費税を預金口座にプールできれば、設立法人の資金繰りの助けになります。しかし、度重なる税制改正により、消費税が免除できる法人の範囲が狭くなっています。そこで、法人設立前に知っておくべき消費税の知識について解説します。

消費税が2年間免除できる真相とは

消費税法第五条に「事業者は、(中略)消費税を納める義務がある。」と規定されているため、事業活動をすれば消費税の納税義務が発生するのが原則です。しかし、事業の開始年度から2年間は消費税が免除されます。それでは、その真相に迫ります。

原則、基準期間の課税売上高1,000万円超が消費税の課税事業者

課税事業者(消費税の納税義務者)の基準は、基準期間の課税売上高(消費税が付随する売上)1,000万円超であることが原則です。基準期間とは、2期前の期間のことを指します。たとえば、2019年度の課税売上高が1,000万円超なら、同年度(2019年度)が2期前になる2021年度は課税事業者になります。

法人設立後、2期目まで基準期間が存在しない

法人設立後、1期目と2期目には2期前の基準期間が存在しません。そのため、存在しない年度の課税売上高も0円になり、1,000万円超に該当しません。それが2年間消費税免除できる真相です

 

特に法人設立から事業が軌道に乗るまでの間、消費税免除により預かった消費税をプールできることで、資金繰りの助けになり、最大限活用したいところでしょう。

法人成りは個人事業主の過去の実績もリセットされる

すでに実績のある個人事業主も法人成りをすることで、2年間の消費税免除の制度を利用することができます。消費税法上、法人成りをすれば基準期間が存在しないため、事実上、過去の実績(課税売上高)がリセットされるためです。

 

たとえば、ある個人事業主の2018年の課税売上高が1,000万円超なら2020年は課税事業者になります。しかし、2019年中に法人成りをすれば、2020年は免税事業者(消費税の納税義務がない事業者)になることができます。

法人設立をしても消費税が2年間免除されないケースがある

そもそも免税事業者の制度の正式名称は、消費税法第9条「小規模事業者に係る納税義務の免除」であり、規模の小ささが消費税の免除される理由です。そのため、基準期間が存在しなくても、一定規模以上の法人は例外的に設立年度から課税事業者になります。

 

消費税の節税の視点から小規模事業者として確実に免税事業者になるような法人設立をしたいものです。

基準期間が存在しなくても消費税が課税されるケース

基準期間が存在しなくても、一定規模以上の法人として消費税が課税されるケースを紹介します。

資本金の額が1,000万円以上の場合

資本金の額が1,000万円以上なら小規模事業者に該当せず、設立年度から課税事業者になります。厳密には、1期および2期の事業年度開始の日の時点における資本金の額が1,000万円以上かどうかで課税事業者または免税事業者の判断をします。

 

たとえば、法人設立時点の出資額が500万円で、1期の途中で500万円増資して資本金の額が1,000万円になった場合、1期目は免税事業者、2期目から課税事業者になります。3期目以降は原則、基準期間の課税売上高で判断します。

特定期間の課税売上高および給与等が1,000万円以上の場合

特定期間の課税売上高および給与等(給与・賞与など給与所得となる支払い)が1,000万円超なら小規模事業者に該当せず、基準期間の存在しない法人でも2期目は課税事業者になります。言い換えれば、特定期間の課税売上高または給与等のいずれかが1,000万円以下なら免税事業者です。

 

  • 例1)特定期間の課税売上高および給与等が1,000万円超:課税事業者
  • 例2)特定期間の課税売上高は1,000万円超、給与等は1,000万円以下:免税事業者
  • 例3)特定期間の課税売上高は1,000万円以下、給与等は1,000万円超:免税事業者

 

特定期間とは原則、前年度の開始日から6ヵ月間までの期間のことを指します。たとえば、2期目が4月1日~3月31日の場合、特定期間は設立日から6ヵ月間の期間になります。

大会社のグループ企業が出資した法人の場合

大会社のグループ企業が出資した法人の場合、特定新規設立法人として設立年度から課税事業者になります。

 

特定資金設立法人とは、設立法人の1期目の基準期間に相当する期間(例:2019年度に設立した場合は2017年度が該当する)における課税売上高5億円超の法人が出資し、設立法人の株式の50%超を保有している場合を意味します。ただ、設立法人の株式の50%超を保有しているかどうかのルールが複雑なため、事前に税理士などの専門家に相談すべきでしょう。

設立2年目に消費税を納めたほうが得するケースもある

免税事業者になれる法人でも、設立2年目は消費税を納めるほうが得するケースがあります。ただ、消費税を納税する選択をするかどうか慎重に検討しないと損する可能性が潜んでいます。それでは、詳しく見ていきましょう。

初期投資が多額ならあえて課税事業者を選択する

そもそも消費税は「売上に付随して預かった消費税(売上税額)-税抜価格に付随して支払った消費税(仕入税額)」で計算するため、「売上税額<仕入税額」なら、差額分が還付(返金)されます。しかし、消費税が還付されるのは課税事業者に限られ、免税事業者は関係ありません。そのため、売上高は少ない傾向にある設立年度の場合、初期投資が多額なら「売上税額<仕入税額」になる確率が高くなるため、自ら課税事業者を選択したほうが得する可能性が高くなります。

課税事業者の選択に2年または3年縛りがある

いったん課税事業者を選択すると、2年または3年縛りにより、免税事業者になれないため、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも2期目または3期目まで課税事業者として納税しなければなりません。

 

通常は2期目まで強制的に課税事業者ですが、調整対象固定資産や高額特定資産を取得した場合、取得年度から3期(3年間)は免税事業者になれません。たとえば、設立年度に調整対象固定資産を購入した場合、3期目まで強制的に課税事業者になります。

 

調整対象固定資産とは税抜価格100以上の固定資産(商品などの棚卸資産を除く)であり、高額特定資産とは、一回の購入額が1,000万円以上の販売土地などの棚卸資産や固定資産が該当します。

事前に損得をシミュレーションする

そもそも還付金額が設立2年目で納める消費税よりも多い場合、課税事業者を選択したほうが得します。そのため、消費税の還付金額と納付金額を事前にシミュレーションする必要があります。

 

ただ、損得のシミュレーションには消費税の専門知識が求められるため、初期投資が多額になる場合、事前に税理士などの専門家に相談しないと的確な判断が難しいでしょう。

まとめ

法人設立後、消費税が2年間免除になるのは小規模事業者のためです。そのため、一定規模以上なら設立年度から納税義務が発生し、資本金の額が1,000万円以上などのさまざまな基準が存在します。「法人設立=消費税免除」にするためにも、設立前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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