ペットのブリーダーが「巣ごもり特需」の申告漏れ ところで「所得隠し」のペナルティはどれくらい? – マネーイズム
 

ペットのブリーダーが「巣ごもり特需」の申告漏れ ところで「所得隠し」のペナルティはどれくらい?

税務調査により、税金の「申告漏れ」を指摘されるケースが、今年も後を絶ちません。10月には、ペット用の犬や猫を繁殖させて販売するブリーダー6人が、総額約2億3,500万円の申告漏れを指摘されていたことが明らかになりました。また、7月には、大阪の中堅ゼネコン銭高組が4億円の申告漏れを指摘された、というニュースもありました。これらの税逃れが明らかになった場合、当然「不足分を払う」だけでは済みません。各種「加算税」などのペナルティが課せられることになるわけですが、具体的にはどのくらいが「追徴」されることになるのでしょうか? 詳しく解説します。

相次ぐ申告漏れ

ペット販売数などを過少に申告

ブリーダーの不正は、ペット業界が「巣ごもり需要」に沸く中で、個人事業主であるブリーダーの申告内容に疑義を抱いた国税局の集中的な調査によって、発覚したものでした。滋賀県内でブリーダー登録されている男女6人が、それぞれペットショップやオークション会場で犬や猫を販売した際、多額の売り上げを得ているにもかかわらず申告していなかったといいます。ブリーダーは毎年、犬や猫の所有数や繁殖数、販売数を登録先の自治体に報告する義務があるのですが、中にはこうした数を過少申告し、所得を故意に隠すような悪質な手口も確認されました。
 

大阪国税局が指摘した申告漏れは、2020年12月までの5年間に総額約2億3,500万円で、このうち約1億6,000万円が悪質な「所得隠し」と認定され、後で説明する「重加算税」が課せられたものとみられます。それを合わせた追徴税額(本来支払うべき税=本税+ペナルティ)は、約7,800万円となりました。

4億円の申告漏れで1億円の追徴に

一方、銭高組は、大阪国税局の税務調査を受け、2021年3月期までの4年間で約4億円の申告漏れを指摘されました。このうち約4,500万円は、外注費として支払った金を下請け会社から払い戻し(キックバック)させたリベートと認定されました。同社を含む3社の共同企業体(JV)が手がけた兵庫県西宮市の鉄道工事で、同社の現場所長が下請け会社から複数回にわたって現金の払い戻しを受けていたそうです。
 

この行為は、悪質な仮装隠蔽を伴う所得隠しと認められ、やはり重加算税の対象となったもようで、追徴税額は総額約1億円に上っています。

これらは「強制調査」だった

ところで、2つの案件とも「大阪国税局」によって調査が行われました。このように国税局査察部(通称「マルサ」)が行う税務調査は、「強制調査」といって、調査官がいきなり令状を持って乗り込んできます。
 

一般的に税務調査といえば、管轄の税務署(国税局の下の組織)が行う「任意調査」で、事前に調査の連絡があり、税理士の同席も認められます。「任意」なので、拒否することも可能です(ただし、正当な事由なく拒否することはできません)。
 

2つとも、手口が悪質かつ申告漏れが高額だったため、「国税局マター」として、しっかりと証拠固めをしてから調査に入ったことがうかがえます。
 

【関連記事】:「税務調査」はいつ来るのか? どんな場合に「狙われ」やすい?

ペナルティの種類と中身を解説

マルサが調査に入るような案件では、金銭的なペナルティとしては最も重い「重加算税」の対象となる可能性が高まります。それも含めて、どんなペナルティがあるのか、その中身と合わせて説明します。

過少申告加算税

期限内に確定申告を行ったものの、本来の税額よりも申告した税額が少なかった場合に課せられる税金です。
 

・税率は、追加で納めることとなった税額の10%です。ただし、追加で納付する税額が「当初申告した納税額」と「50万円」のどちらか多い方の金額を超えた場合、その超過部分には5%が加算され15%が課税されます。

無申告加算税

期限までに確定申告を行わず、なおかつ納付すべき税金があった場合に課せられる税金です。なお、申告期限から1カ月以内に自主的に申告すること及び納めるべき税額の全てが法的納期限までに完納しており、過去5年で無申告加算税または重加算税が課税されたことがなく、かつ期限内申告をする意思があったと認められた場合は、課税されません。
 

・原則として納める税額が50万円までは、納付税額の15%、50万円を超えた場合部分については20%が加算されます。税務署から指摘される前に、自主的に納付した場合は、5%に軽減されます。

不納付加算税

源泉徴収義務のある者が、従業員の給与や賞与から徴収した源泉所得税を期限までに納付しなかった場合に課せられる税金です。
 

・税率は、納付すべき税額の10%ですが、税務署から指摘される前に、自主的に納付した場合は5%に軽減されます。

重加算税

重加算税は、加算税の中で最も重い税率が課せられるものです。上の各加算税が課税される場合で、仮装や事実の隠ぺいにより申告した、または申告を怠るなど悪質な税逃れがあった場合に課税されます。

・税率は、「過少申告加算税」に代えて課せられる場合は、追加で納付する税額の35%、「無申告加算税」に代えて課せられる場合は、納付すべき税額の40%、「不納付加算税」に代えて課せられる場合も、納付すべき税額の35%が加算されます。

延滞税

申告漏れによって加算税の納付が必要になった場合には、延滞税も併せて納付しなければなりません。これは、期限までに納税しなかったことに対するペナルティとして課される税金です。税金の納付期限の翌日から完納されるまでの日数を基に計算されますが、本税が1万円に満たない場合には発生しません。
 

・原則として納付すべき日から2カ月までは7.3%、2カ月を過ぎると年14.6%が本税にかかります。
 

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追徴課税は一括納付しなければならない

もし、こうした追徴課税が発生した場合には、原則として全額を一括で支払わなくてはなりません。税務署との協議で猶予(免除ではありません)や分割払いになる可能性もありますが、あくまで例外です。高額になると、その支払いで事業の存続が難しくなったりすることも考えられます。
 

ちなみに、税逃れの状況によっては、追徴課税だけではすまず、刑事告発されることもあります。税金については、甘くみないほうがいいでしょう。
 

また、今の延滞税にも注意が必要です。最初の2つの事例でも、調査の時点からかなりの年数を遡った申告漏れが指摘されています。この間、15%近い「延滞利息」が課税されていたことになるのです。仮に無申告の所得があるような場合には、早めに税理士に相談して対処すべきでしょう。

まとめ

4億円の申告漏れの結果、1億円の税金を追徴されたという事例がありました。税金の申告漏れ、特に意図的に隠したり仮装したりして納税を逃れる行為には、重いペナルティが避けられません。申告に不安がある場合などには、すぐに税理士に相談するようにしましょう。
 

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マネーイズム編集部
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