個人事業主・自営業・フリーランスはどう違う?それぞれのメリットとデメリットとは | MONEYIZM
 

個人事業主・自営業・フリーランスはどう違う?それぞれのメリットとデメリットとは

働き方が多様化し、会社を辞めて個人で仕事をしている人も増えています。個人で仕事をしている人は、個人事業主・自営業・フリーランスと自己紹介しますが、それぞれの違いが分かっている人は意外と少ないです。
 

しかし個人で仕事をしていこうと考えている人は、個人事業主・自営業・フリーランスがどう違うのか理解したうえで名乗るべきです。そこでこの記事では、個人事業主・自営業・フリーランスがどう違うのか、メリットとデメリットを含めて解説します。

個人事業主・自営業・フリーランスはどう違う?

個人事業主・自営業・フリーランスは混同されがちですが、それぞれ意味が異なります。それぞれの違いを理解したうえで、使う必要があるでしょう。ここでは個人事業主・自営業・フリーランスの違いについて説明します。

個人事業主とは

個人事業主とは個人で事業を行う人のことを指します。ただし一般的には働き方ではなく、税法上の区分を指すことが多いです。そのため開業届を出して確定申告をしている人は個人事業主になります。
 

税制上の区分になるため、個人で事業を行っていたとしても、法人の場合は個人事業主にはなりません。

自営業とは

自営業は会社に属さないで、自分で仕事をする人であるため、個人事業主だけでなく法人も含みます。そのため法人化して店舗を経営している人も自営業となります。

フリーランスとは

フリーランスは企業に所属しないで働く働き方のこと。企業に所属していないため、複数の企業から仕事を請け負って働くことができます。フリーランスは働き方を指すため、個人事業主や法人化した個人も含まれます。
 

ただし経営者になって店舗運営をする場合は、企業に属することになるのでフリーランスではありません。

個人事業主・自営業・フリーランス、それぞれのメリットとデメリットは?

個人事業主・自営業・フリーランスにはそれぞれメリットとデメリットがあります。ここではどのようなメリットとデメリットがあるかについて解説します。

個人事業主のメリット・デメリット

個人事業主になるメリットとしてまずあげられるのが、青色申告ができることです。最大65万円の青色申告特別控除が受けられることと、家族などに事業を手伝ってもらう場合、青色事業専従者給与として経費にできるというメリットがあります。

また赤字が3年間繰り越し可能です。たとえば前年が100万円の赤字で今年が50万円の黒字の場合、今年は50万円の赤字扱いになります。そのため税金がかかりません。また前年が100万円の黒字で、今年が50万円の赤字の場合、純損失の繰戻しが可能となり、赤字分の税金額が還付されます。

このように個人事業主になって青色申告をすれば、税制上で大きなメリットがあります。他にも所得が低い場合は法人よりも税率が低いというのもメリットでしょう。もちろん売上がある一定の額以上になった場合、法人化した方が税金は安くなりますが、それまでは個人で事業をしていくことで節税につながります。

このようにメリットが多い個人事業主ですが、デメリットもあります。前述した青色申告をする場合、複式簿記が必要となり、業務が増える点です。税理士に依頼することもできますが、その分、経費がかかります。

また所得が高くなると税率が法人よりも高くなります。先ほども述べたとおり、ある一定の売上になった場合は、法人化の手続きが必要になるでしょう。

自営業のメリット・デメリット

自営業の場合、自分のやりたいことができるというメリットがあります。自分で事業をするわけですから、嫌な仕事はしないということも可能です。働き方や時間も自分で選べ、自分が頑張りさえすれば、収入も増えていきます。
 

またいつまででも働ける点もメリットです。自分が仕事をやめなければ定年退職はありません。老後資金の問題がよく報道されますが、仕事をし続けることで、老後資金問題をクリアにできる可能性もあります。
 

もちろん自営業にもデメリットがあります。自営業は自分で事業をしているわけですから、ひとりの責任が大きいです。会社であれば、何かミスをしても会社が責任をとってくれますが、自営業では、そうはいきません。
 

また働けなくなると収入がなくなります。たとえば病気になって仕事ができないと、その間の収入はありません。仕事が取れない場合も同様です。そのため毎月決まった収入にならないことも多いです。仕事がないと収入がないというのは、自営業にならないとなかなか実感できないでしょう。

フリーランスのメリット・デメリット

フリーランスのメリットとしてまずあげられるのは、好きな場所で好きな相手と仕事ができる点です。嫌な仕事であれば断ることも可能です。またさまざまな会社と仕事ができます。たとえお金にならなくても、おもしろいと思った企業と仕事をすることもでき、それが今後のキャリアにつながることもあります。
 

他にも開業資金やランニングコストが少ないことが多いのもメリットです。ウェブ系の仕事であれば、パソコンひとつでどこでも仕事ができます。中には日本全国を旅しながら仕事をしている人もいるくらいです。
 

ただしフリーランスにもデメリットがあります。個人で仕事をしている人に共通していますが、収入が安定しないことです。継続的に仕事を依頼される方はよいですが、常に単発で終わってしまう方は、月によって収入が大きく変わることも多いでしょう。
 

また信用度が低いこともデメリットのひとつです。賃貸物件を借りられなかったり、クレジットカードの審査に落ちたりすることもあります。また大手企業がフリーランスとは取引してくれないということもあります。そのため法人化して信用度を高める人も多いです。
 

最後に公私の区別がつきにくいというデメリットもあります。家で仕事をすることが多く、仕事とプライベートの区別がつきづらくなり、ずっと仕事をしてしまうこともあります。もちろんそれでも問題がないのですが、気づいたら体の具合が悪くなっていることもあるので、注意が必要です。

個人事業主・自営業・フリーランスが支払う税金や社会保険は?

まず個人の場合は所得税、法人の場合は法人税を支払う必要があります。住民税は会社員と同様、個人でも法人でも支払わなければなりません。個人で事業を行う人が支払う個人事業税は所得金額が290万円以上で、職種によって税率が決まっているので、確認が必要です。
 

今後大きく変わるのが消費税の納税です。2023年10月からインボイス制度が始まり、「適格請求書発行事業者」でないと、消費税の仕入額控除ができなくなります。そのため適格請求書発行事業者に登録しなければ企業が取引をしてくれない可能性もでてきます。
 

また「適格請求書発行事業者」になると、売上が少なくても消費税を納めなければなりません。そのため実質的な増税になる人も多いでしょう。
 

社会保険は法人の場合や従業員が常時5人以上の個人の場合、加入する必要があります。常時5人以上を雇っている法人なら厚生年金と「協会けんぽ」に入ることになり、それ以外は国民年金と国民健康保険になります。

個人事業主・自営業・フリーランスはどうはじめる?

フリーランスは働き方を指すため、誰でも名乗れます。そのためフリーランスとして許可や登録が必要ではありません。個人事業主になるには前述したように、開業届が必要です。個人事業主になる場合は、開業届を準備して、税務署に提出しましょう。また青色申告を希望する場合は、青色申告承認申請書も出しておきましょう。
 

もし自営業で法人化したい場合は、法人登記が必要になります。法人登記には手続きが必要で時間もかかるので、法人化して事業を始めたい場合は、早めに準備しておきましょう。

まとめ

ここまで個人事業主・自営業・フリーランスの違いと、メリット・デメリットについて解説してきました。会社をやめて事業を始める場合、自分が個人事業主・自営業・フリーランスのどれに該当するのか、説明できるようにしておきましょう。

福井俊保
渋谷区で一から立ち上げたプログラミング教室スモールトレインで代表として、小学生に対するプログラミングと中学受験の指導に従事。またフリーランスのライターとしても活躍。教育関係から副業までさまざまな分野の記事を執筆している。
著書に『AI時代に幸せになる子のすごいプログラミング教育』(自由国民社)、共著で『#学校ってなんだろう』(学事出版)がある。
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