生活防衛資金とは?いくら必要?目安を独身・2人家族・4人家族の場合別に解説 | MONEYIZM
 

生活防衛資金とは?いくら必要?目安を独身・2人家族・4人家族の場合別に解説

生活防衛資金は、万が一の際に備えておくお金のことですが、実際にいくら必要なのか気になる人もいるでしょう。実際に必要な金額の目安は、世帯構成によって異なるため、自身の状況に合った目標額を定めた方がよいです。
 

本記事では、生活防衛資金の概要や、世帯構成別の目標額の目安、生活防衛資金を効率よく貯める方法について解説します。

生活防衛資金とは万が一のトラブルに備えた資金のこと

まず、生活防衛資金とは何かについて解説します。
 

生活防衛資金とは、人生で起こり得る万が一のトラブルに備えた資金のことです。生活防衛資金を用意しておくことで、トラブルによる金銭的困窮を防ぎやすくなります。
 

例えば病気やケガで高額な医療費を負担することになったり、会社が倒産して収入が途絶えたりと、生きていくなかでは何らかの事情で金銭的に困るような事態も起こり得ます。
 

一応、生命保険や傷病手当金など、トラブルに備えたサービスや制度もありますが、支給までに時間がかかる可能性があります。そのような場合は、当面の生活費で困ることになるでしょう。
 

そのため、生活防衛資金を用意し、不測の事態に備えておくことが重要です。
 

ちなみに、生活防衛資金と貯金は別物です。生活防衛資金は不測の事態に対応するための資金であるのに対し、貯金は結婚や出産、マイホーム購入など、将来発生する可能性が高いイベントの出費に対して備えるものです。
 

生活防衛資金には、基本的に手を出さないようにしましょう。なぜなら、生活防衛資金が減ってしまうと、万が一の際に必要なお金を捻出できなくなる可能性があるためです。
 

「生活防衛資金はいらない」という意見もありますが、不測の事態に備えて貯めておいたほうが安心でしょう。

生活防衛資金はいくら必要?目安額について世帯構成別に解説

生活防衛資金として必要な金額は、世帯構成の違いによって異なります。そのため、以下の見出しでは、世帯構成ごとに必要な生活防衛資金の目安額について解説します。これらを参考に、必要な金額をシミュレーションしてみるのがおすすめです。

独身一人暮らしの場合

まず独身一人暮らしの場合ですが、生活防衛資金は「生活費の3カ月~半年分」を用意しておくとよいとされています。
 

総務省統計局のデータ(2022度)によると、独身一人暮らしの生活費の目安は、16万1,753円とされています。つまり生活防衛資金の目安は、約48万円~96万円となります。

2人家族(夫婦のみ)の場合

2人家族(夫婦のみ)の場合も、生活防衛資金は「生活費の3カ月~半年分」を用意するのがおすすめです。ただし共働きの場合は、生活防衛資金を減らせる可能性もあります。
 

総務省統計局のデータ(2022年度)によると、2人家族の平均支出は月あたり25万5,318円とされています。よって、必要な生活防衛資金は約77万円~154万円となります。

4人家族(夫婦と子2人)の場合

4人家族(夫婦と子2人)の場合、生活防衛資金額は「生活費の6カ月~1年分」を目安とするとよいでしょう。
 

子がいる家庭の場合、教育費が必要になったり、転職活動中の生活資金を多めに用意する必要があったりするため、生活防衛資金額は余裕を持たせて用意しておいたほうが安心です。
 

総務省統計局のデータ(2022年度)によると、4人家族の平均支出は月あたり33万355円とされています。よって、必要な生活防衛資金は約198万円~396万円となります。

生活防衛資金の効果的な貯め方

生活防衛資金を貯めるのは、なかなか難しいと思われるでしょう。しかし、以下の見出しで解説する効果的な貯め方を実践することで、生活防衛資金は着実に積み上がっていくはずです。

家計簿をつけて毎月貯蓄可能な金額を把握し余計な出費を減らす

まずは、家計簿をつけることが重要です。家計簿をつけることで、毎月具体的にいくら収入があり、どのような用途にいくら支出しているのかが明確になります。
 

また、支出が明確になることで、不必要な支出も把握できます。毎月余計な支出が発生している場合は、積極的に削ってみましょう。
 

削減できる可能性の高い支出の例として、おもに以下のものが挙げられます。 

●保険料:加入しすぎている可能性がある
●スマホ代:格安SIMに切り替えることで大幅にコスト削減できる
●サブスクリプション:現在使用していないものに加入し続けている可能性がある
●光熱費:電力会社の切り替えなど
●酒タバコなど娯楽費:なくても生きているものであるため、支出の目的として優先順位は低いと考えられる

毎月先取りで確保する

毎月の収入から一定額を先取りで確保することも、効率よく生活防衛資金を貯めていくうえでおすすめです。
 

貯蓄というと「毎月余ったお金を回そう」と考えられることが多いですが、実際はなかなかうまくいかない傾向があります。人は思っているよりも、お金はあるだけ使ってしまいがちであるためです。
 

したがって、確実に毎月一定額を生活防衛資金として貯めたいのであれば、先にその分を収入から天引きするとよいでしょう。先取りすることによって、半強制的に残った金額で生活することになり、無駄遣いを防ぎやすくなります。
 

ただし先取り額は、あくまで無理のない範囲にしましょう。無理をして生活が苦しくなってしまっては、本末転倒です。

別途定期預金口座を用意する

生活防衛資金の預け先は、普段使っている口座と分けるのがおすすめです。
 

なぜなら、口座を分けることで貯まった生活防衛資金額が明確になり、モチベーションを維持しやすくなるためです。また、目標額までの金額も把握できるため、計画が立てやすくなるというメリットもあります。
 

生活防衛資金用の口座を別途開設する場合は、別途定期預金口座を選ぶのがおすすめです。その理由は、おもに以下の3つです。
 

●簡単に引き出せないため無駄遣いを避けやすい
●設定した金額を指定日に自動送金してくれることが多い
●必要に応じて解約できる
 

別途定期預金口座にはこのような特徴があるため、生活防衛資金の預け先として適しています。

生活防衛資金を貯めた後は余剰資金を投資するのがおすすめ

生活防衛資金が貯まったあとは、それまで貯蓄に回していた分をどうすべきか悩むでしょう。
 

この場合は、資産運用に回すのがおすすめです。そうすることで、より資金を大きく増やし、豊かな生活を送れるようになる可能性があります。
 

ただし資産運用には、いくつか注意点があります。
 

まず、リスクの高いものは避けましょう。例えば、FXや仮想通貨などが挙げられます。これらは短期的に大きな利益を上げられる可能性もありますが、再現性が低く、最悪の場合資金をすべて失うことになるケースもあります。
 

また、資産運用に回すのは、あくまで余剰資金のみとしましょう。生活資金や生活防衛資金まで資産運用に回してしまうと、元本割れした際、生活に支障が出る可能性があります。
 

一方投資信託は、リスクが低めで投資知識もそれほど求められず、約15年以上の長期運用前提の場合は比較的安全に資産を増やしやすいです。また「iDeCo」や「積立NISA」を併用することで、節税しながら資産を増やせます。

まとめ

生活防衛資金は、病気による大きな出費や勤め先の倒産による収入減など、人生で起こり得る金銭的リスクに対応するためのものです。生活防衛資金を用意しておくことで、有事の際も安心できます。
 

生活防衛資金を効率よく貯める場合は、余計な支出の削減や先取りで確保するのがおすすめです。生活防衛資金が貯まったら、余剰資金は資産運用に回し、資産の増加を目指すとよいでしょう。

鈴木翔馬
フリーランスライター。学習塾勤務時代のブログ運営を通じてライティングやSEOについて学び、これらのスキルを活かして2021年に独立。専門ジャンルは金融・不動産。保有資格は宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。