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遺言の中身を確実に実行「遺言執行者」を知っていますか?

遺言の中身を確実に実行「遺言執行者」を知っていますか?

2019年6月20日

自分の望み通りの遺産分割を行い、同時に相続人たちにそれをめぐって無用の争いを起こさせないために、遺言書の作成が推奨されます。ただ、きちんと遺言書を残していても、死後に相続に関してさまざまな問題の起こることが、実際にはあるのです。そうした事態への対応も含めて、遺言書に示された遺志を実現する役目を果たすのが、「遺言執行者」。その権限や任務、誰がなれるのか? などについて解説します。

そもそも遺言執行者とは?

遺言執行者(「遺言執行人」とも言います)は、ひとことで言えば「被相続人の残した遺言書の内容を実現するために、必要な手続きなどを行う人」です。ですから、遺言書を書かずに亡くなった人の相続には、「執行人」も存在しません。と言っても、遺言書を書いたら必ず「執行人」が必要になるかと言えば、そんなこともありません。遺言書で子の認知(※1)や、推定相続人の廃除(※2)がされた場合などを除き、遺言執行者はいなくても問題なし。その有無が遺言書の有効性に影響を与えるようなことは、まったくないのです。

 

ただし、「遺言執行者がいたほうが、遺言書の中身は、より確実に実行される」と言うことはできます。遺言執行者には、次に述べるように、遺言書に書かれたことを実現するために必要な一切の行為をする権限が与えられています。特に「考える通りの遺産分割を、100%実行してもらいたい」「遺言書を残しても、子どもたちが揉める可能性が高い」などという場合には、その選任を検討する余地が大いにあるのではないでしょうか。

 
※1 婚姻関係にない女性との間に生まれた子どもは、男性が自分の子どもであると認める=「認知」することで、相続人の資格を得ることができる。この認知が遺言書で行われた場合には、遺言執行者が認知届を作成し、届け出る必要がある。なお、男性が認知しないまま死亡した場合でも、DNA鑑定などによる「死後認知」が認められる可能性がある。   ※2 「廃除」とは、相続人となると推定される人間の相続権を剥奪すること。遺言書で行う場合には、やはり遺言執行者が家庭裁判所に申し立てる必要がある。

どんな仕事をしてくれるのか? メリットは?

では、遺言執行者は具体的にどんな任務を行うのか、あらためてみておきましょう。遺言執行者に就任してから業務完了までの主な仕事を、大まかな流れに沿って挙げると、次のようになります。

 
  • 遺言執行者に就任したことを、相続人全員に通知
  • 戸籍などの証明書の収集
  • 相続財産を調査し、財産目録を作成
  • 金融機関に対する預貯金の解約手続き
  • 相続不動産の法務局への登記申請手続き
  • 株式など有価証券の財産の名義変更手続き
  • 売却して分割する財産についての換価手続き
  • その他、遺言内容の実行
  • 相続人全員に業務完了報告
 

いかがでしょう? 遺言執行者が、相続に関して幅広い権限を持つことが、わかっていただけたと思います。繰り返しになりますが、遺言書を書く人にとってのメリットは、そうした権限を使って、その内容を確実に実行してもらえること。

 

例えば、遺言書で相続人以外の人が不動産を譲られた場合、その名義変更を行うためには、原則として相続人全員の同意、協力が要ります。協力が得られにくいケースもあるでしょう。でも、遺言執行者がいれば、その人が登記義務者となって名義変更の手続きを進め、被相続人の遺志をスムーズに実行できるのです。

 

相続では、想定外の事態も発生しがち。ある税理士さんは、何回かこんな経験をしたそうです。預金者が亡くなったことを知ると、金融機関は、その人の口座を一時「凍結」します。遺産分割協議が整う前に、一部の相続人が勝手にその口座からお金を引き出すようなことを防ぐためです。

 

普通は、法的に有効な遺言書が確認できたら、凍結は解除されます。ところが、金融機関によっては、「遺言執行者が選任されていない」ことを理由に、凍結解除に応じないことがあるというのです。最初に説明したように、遺言執行者の有無は、遺言書の有効性には影響しないはず。しかし、金融機関の側には、そうした建前とは別に、「遺言書通りにお金を渡して、後で他の相続人からクレームを受けたらたまらない」という理屈があるのです。裏を返せば、「遺言執行者が決まっていて、その人がお金の引き出しを求めるのならば、問題なく応じます」ということ。実際には、「教科書通り」とは言えない、こんな現実もあるわけです。

誰がどうやってなるのか

多くの権限を持つ遺言執行者ですから、いつでも誰でも勝手に決められるというわけではありません。選任に当たっては、次の3つの方法が定められています。

◆遺言書で指名する

「この遺言書の執行者に次の者を指定する」と書いて、住所、氏名を記述します。遺言執行者には、未成年者と破産者を除き、誰でもなることができます。相続人でもOK。とはいえ、さきほど説明したような業務内容を考えても、税理士、司法書士、弁護士などの相続に詳しい第三者のプロになってもらうのが、安心でしょう。遺言執行者は、承諾を拒否することもできますから、誰に頼むにせよ、生前に了解を取っておくべきなのは、言うまでもありません。

◆遺言書で遺言執行者の選任者を指定する

遺言執行者が遺言を書いた当人よりも早く亡くなるといったリスクに備え、執行者自体ではなく、それを選ぶ人を指定するというやり方です。

◆家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる

被相続人の遺言書に記載がなくても、家庭裁判所に申し立てを行うことによって、遺言執行者を決めることができます。申し立てができるのは、相続人や受遺者(遺言書により財産をもらった人)、遺言者の債権者などとなっています。

 

遺言を残す人にとってメリットのある制度ですが、遺言執行者には、報酬を請求する権利が認められています。報酬額に規定はありませんが、遺産の額や仕事量、頼む相手などによって、20万円程度から数百万円まで、さまざまなようです。

 

なお、遺言執行者には、法人がなることもできます。不動産の相続などを通じて関係のできた銀行、信託銀行などを選任することも可能。ただし、そうした金融機関に依頼すると、報酬額がかなり割高になるケースもありますから、注意が必要でしょう。

まとめ

思い通りの遺産分割をするために、遺言書+遺言執行者は、最強のコンビ。遺言執行者には、相続に詳しい専門家を選べば安心です。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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