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親がいくらお金を貯めているのか あなたは知っていますか?

親がいくらお金を貯めているのか あなたは知っていますか?

2019年10月11日

「老後資金は2000万円必要」。そう指摘した金融庁の審議会の報告書が、物議を醸しました。年金生活になる前に、どのくらいお金を貯める必要があるのかは、みんなの関心事です。ところで、あなたは今まさに「老後」を迎えている自分の親の資産状況を、どれくらい把握しているでしょうか? 2019年8月に、明治安田総合研究所がアンケート調査を基に「親の財産と金融リテラシーに関するシニア世代の意識と実態」というリリースを行いました。それも踏まえながら、「親子が財産の情報を共有する大切さ」について考えます。

50代で親の預貯金額を知っているのは約4割

調査(「財産管理に関する実態調査」)は、55歳~79歳の男女(男性は現在か過去に正社員、女性は専業主婦かその時期が長かった人)を対象に、19年3月に実施されたもので、回答数は計5,225人でした。注目されるのは、「親の金融資産をどれだけ把握しているのか」についての回答です。

・「預貯金」について

「全てを把握している」「おおよそ把握している」(以下、「把握している」)と答えたのは、〈50歳代後半〉で男性37.6%、女性40.1%、〈60代後半〉で男性51.9%、女性50.6%、〈60代後半〉で男性63.7%、女性50.5%。

・「有価証券」について

「把握している」のは、〈50歳代後半〉で男性33.1%、女性34.9%、〈60歳代前半〉で男性48.1%、女性42.6%、〈60歳代後半〉で男性59.5%、女性46.4%。

・「保険」(かんぽ、共済などを含む)について

「把握している」のは、〈50歳代後半〉で男性29.9%、女性33.8%、〈60歳代前半〉で男性45.0%、女性44.4%、〈60歳代後半〉で男性55.9%、女性49.5%。

以上のような結果でした。男女とも、年代が高くなるにつれ、親の金融資産の「把握率」は高まる傾向が見て取れます。ただ、子が50代後半ということは、親は80~90歳くらい。その世代で、「おおよそ」も含めて預貯金の額を知っているのが男女とも約4割という数字に表れているように、「親の財産を知らない子ども」がけっこうたくさんいるようです。ちなみに、その年代層で親の預貯金の状況を「全く把握していない」と回答した人が、男性で28.6%、女性では29.5%いました。

親の財産を知らずにいると発生する「困った事態」

「親にいくら貯金があるのかなんて聞きづらい」。そう考える人は、少なくないでしょう。親にしてみれば、「わざわざそんなことを聞くのは、財産目当てなのか?」と疑心暗鬼になる場合もあるかもしれません。しかし、その財産状況を子どもが知らないまま親が認知症になったり、亡くなって相続になったりすると、いろいろと困ったことになる可能性があります。それが「争続」の火種になることもあるのです。

「認知症になると、銀行口座が凍結される」という話を聞いたことがあると思います。正確に言うと、判断基準は「認知症かどうか」ではなく、「本人の意思確認が取れるかどうか」。「この口座からいくら引き出したい」という本人の意思が明確にわからないような状態だと、付き添って窓口に行っても、払い出しを拒否されたうえに、口座を凍結される可能性が高いのです。ATMで引き出そうとしても、暗証番号が思い出せなくなればアウト。そもそも、通帳や銀行印、キャッシュカードをどこにしまったのかを忘れてしまうこともあるでしょう。

「相続になって、子どもが知らなかった通帳や有価証券がたくさん出てきた」というのも、あまり好ましいシチュエーションとは言えません。遺産を分けてもらえるのは嬉しいけれど、「誰が何をどれだけもらうか」をめぐって、トラブルが発生しやすくなるからです。相続税がかかる場合には、その申告期限は、親が亡くなってから10ヵ月以内。それまでに、遺産分割のやり方を決めなくてはならないのです。ちなみに、預貯金の口座は、金融機関が名義人の死亡を確認した段階で、やはり凍結されてしまいます。

生命保険の死亡保険金も、保険のかけ方によっては、相続の際に争いのもとになる場合があります。親が死んで受け取った保険金は、基本的に親の相続財産には含まれません。つまり、遺産分割の対象にはならずに、受取人が全額をもらえるのです。

子ども全員が同額の保険金を受け取るのならいいのですが、問題になるのは、例えば長男だけが受取人になっていた場合。相続財産を等分に分けたうえに保険金も手にするわけですから、「兄貴だけずるい」という話になりかねないわけです。

この場合、1人の受け取る保険金が遺産総額の50%を超えるような高額になる場合には、特別受益(※)として相続財産に含められることもあります。そこまで高額ではなく、「長男には少し多めにお金を渡したい」といった目的で使われることもある生命保険ですが、他の相続人が〝寝耳に水〟だと、感情的なしこりの残る可能性もありますから、注意が必要です。

※特別受益
相続人の中に被相続人から生前贈与を受けた人がいる場合、他の相続人との平等を図るために、贈与された分をいったん相続財産に戻し、その金額を基にそれぞれの相続人の相続額を計算するという考え方。

やはり親の口座の情報は知っておくのがベスト

親の財産に「無知」でいることのリスクを、理解していただけたでしょうか。では、どうしたらいいのか? 家族の状況によってさまざまだとは思いますが、あとあと困った事態を生まないためには、やはりそれを把握しておく、特に預貯金の口座やカードの暗証番号は知っておくのが理想です。

親に話をする場合には、ある程度時間もかけて、今説明したような具体的なリスクを理解してもらうのが大事だと思います。例えば高齢の方の中には、そもそも銀行口座が凍結されることがあるということを知らない人も多いはず。

とはいえ、子どもの口から「暗証番号を教えてほしい」とは、なかなか言い出しにくいのも事実。親のほうから話し合いを提案して、「財産目録」を渡すような姿勢を見せるのが、最も事がスムーズに進む方法なのは、間違いありません。いざという時に面倒を見てもらうためにも、子どもがピンチに陥らないためにも、親の世代は「財産の情報公開」を前向きに考えてみるべきでしょう。

まとめ

親の財産を知らないことのリスクを認識しましょう。そのリスクを親とも共有し、いざという時に慌てないための手立てを打っておくことが大事です。通帳やキャッシュカードの保管場所、暗証番号は、親が元気なうちに聞いて(伝えて)おきましょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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