住民税はいつから給与天引きされる?新卒・転職者向け2026年版完全ガイド

[取材/文責]長谷川よう

会社員になると、毎月の給与から所得税と住民税が天引きされます。ところが所得税が入社した月から天引きされるのに対し、住民税の給与天引きは入社してすぐには始まりません。これが「入社2年目の6月から急に手取りが減った」と感じる原因です。

本記事では、新卒社員・転職者の住民税天引き開始時期を2026年版として解説します。また、経営者・人事担当者向けに中途採用時の住民税手続きも合わせてご案内します。

住民税の基本──所得割と均等割の仕組み

 

そもそも住民税とはどんなもの

住民税は、都道府県や市区町村といった地方自治体に納める税金です。所得税が国に納める税金であるのに対し、住民税は居住地の行政サービスを支えるために使われます。

住民税には都道府県に支払う「都道府県民税」と、市区町村に支払う「市町村民税(市民税)」の2種類があります。実際の納付は市町村にまとめて行い、市町村が都道府県分を分配します。

また、住民税は1月1日時点の住所地の自治体に納付するのが原則で、年の途中で引っ越しをしても、その年の住民税は引っ越し前の自治体へ納付します。

 

住民税の決まり方とは

住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があります。

種類 内容 税率(2026年度)
所得割 前年の課税所得に応じて課税される 合計10%
(都道府県民税4%+市町村民税6%)
均等割 所得に関係なく一律に課税される 5,000円
(都道府県民税1,500円+市町村民税3,500円)

課税所得とは、給与収入から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除などの各種控除を差し引いた金額です。新卒の1年目は前年の所得がないため、所得割・均等割ともに課税されず住民税はゼロです

住民税の徴収方法と納付方法

住民税の納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。会社員の場合は原則として特別徴収(給与天引き)が義務づけられています。

 

特別徴収(給与天引き)の流れ

特別徴収とは、会社が毎月の給与から住民税を天引きし、従業員の代わりに市区町村へ納付する方法です。手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 毎年1月末:会社が従業員の「給与支払報告書」を市区町村に提出する
  2. 5月末頃:市区町村から会社に「特別徴収税額通知書」が届く
  3. 6月〜翌年5月:給与から毎月1/12ずつ天引きして市区町村へ納付する

つまり、住民税の天引きは毎年6月開始・翌年5月までの12回払いです。6月の給与明細を見て「急に天引き額が変わった」と感じるのは、このタイミングで切り替わるためです。

 

普通徴収(自分で納付)

個人事業主や、退職して再就職先が決まっていない方などが対象となる納付方法です。市区町村から届く納付書を使い、年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて自分で納付します。会社員でも、副業収入分は普通徴収を選択できます。

新卒社員はいつから?ケース別 住民税の天引き開始時期

 

新卒社員の場合──入社1年目はゼロ、2年目の6月から始まる

前年に収入がなかった新卒社員は、入社した年(1年目)は住民税が一切かかりません。住民税は「前年の所得」に対して翌年に課税されるため、前年に所得がなければ住民税もゼロです。

天引きが始まるのは、入社した翌年の6月からです。

時期(2025年4月入社の例) 住民税 備考
2025年4月〜2026年5月(1年目) ゼロ 前年に所得なし/6月切替前
2026年6月〜2027年5月(2年目) 天引き開始 2025年1〜12月の所得に対して課税

2年目の6月から手取りが急に減るのはこのためです。月収25万円では月5,000〜10,000円程度の天引きになることが多く、あらかじめ把握して家計を準備しておきましょう。

 

転職した場合──前職の住民税の扱いに注意

転職の時期や状況によって、住民税の扱いが異なります。

退職時期・状況 住民税の扱い
退職時に次の就職先が決まっている場合 再就職先で特別徴収を継続
1月〜5月退職・次が未定 退職月の給与・退職金から残り分を一括天引き
6月以降退職・次が未定 原則、普通徴収に切り替わる(納付書が届く)

転職先が決まっている場合は、前職の会社に「特別徴収継続の申し出」を行い、転職先へ引き継ぐことで手続きが簡単になります。転職先が未定の場合は、普通徴収の納付書が届く期限(各期の期日)を忘れず確認しましょう。

 

退職して個人事業主になった場合

会社を退職して独立・開業した場合は、普通徴収に切り替わります。毎年5〜6月頃に市区町村から納付書が届くので、年4回の期限内に納付します。確定申告をすると、その年の所得をもとに翌年の住民税額が決まります。

2年目に「手取りが減る」仕組みと活用できる節税策

入社2年目の6月に住民税の天引きが始まると、所得税・社会保険料との合計で手取りがまとまって減ります。これに備えるために活用できる制度を確認しておきましょう。

  • ふるさと納税:翌年の住民税から控除(ワンストップ特例なら確定申告不要)
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除になり、住民税も軽減
  • 生命保険料控除・医療費控除:年末調整・確定申告で翌年の住民税が下がる

経営者・人事担当者が知っておくべき住民税対応

従業員を雇う経営者・人事担当者にとって、住民税の特別徴収手続きは重要な実務です。特に中途採用時には適切な対応が必要です。

 

中途採用時の「特別徴収切替届」手続き

転職者を中途採用した場合、前職退職後に普通徴収に切り替わっていることがあります。その場合は、市区町村に「特別徴収切替届(普通徴収から特別徴収へ)」を提出することで、会社側での給与天引きを開始できます。

  1. 採用者に住民税の納付状況(特別徴収・普通徴収の別)を確認する
  2. 普通徴収になっている場合は、採用者の住所地の市区町村に切替届を提出する
  3. 市区町村から特別徴収税額通知書が届いたら、給与天引きを開始する

手続きを怠ると、従業員が自分で住民税を納付しなければならず、滞納リスクが生じます。採用時のチェックリストに組み込んでおくと安心です。

 

特別徴収の義務と注意点

原則として、従業員を雇う事業者は特別徴収義務者として住民税の給与天引きが義務づけられています。常時2名以上の従業員がいる事業者は、特別徴収を行う必要があります。

住民税の管理や節税対策(ふるさと納税の上限額の計算など)については、税理士に相談することで従業員へのアドバイスや会社としての対応策も検討できます。

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新卒社員が知っておきたい「住民税」、給与天引きはいつから始まる?【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】

【新住所?旧住所?】引っ越し後、住民税の切り替わりはいつから?

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まとめ

住民税の給与天引き(特別徴収)のポイントをまとめます。

  • 新卒社員の1年目は住民税ゼロ。入社した翌年の6月から天引きが始まる
  • 住民税は毎年6月〜翌年5月の12回払いで、6月の給与から切り替わる
  • 2年目の6月に手取りが減るのは住民税天引き開始が原因
  • 転職時は前職の住民税の扱い(継続・一括・普通徴収切替)を必ず確認する
  • 経営者・人事担当者は中途採用時に「特別徴収切替届」の提出を忘れずに
  • ふるさと納税・iDeCoなどを活用することで翌年の住民税を軽減できる

住民税の金額の試算や節税対策については、お気軽に税理士にご相談ください。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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