2022年度の「相続人のいない遺産」およそ769億円,過去最高額を更新

2022年度における「相続人のいない遺産」は、過去最多の768億9,444万円であることが、明らかとなりました。
2022年度に亡くなった日本人は150万人以上に上り、少子高齢化や未婚率の上昇が「相続人のいない遺産」が増えた原因であると、専門家は話しています。
遺産の使い方を自分で決めたいなら「遺言書」の作成を
これまでの「相続人のいない遺産」は上昇傾向にあり、2001年度はおよそ107億円、2011年度はおよそ332億円でした。このことから、21年間でおよそ7倍に膨れ上がっていることが分かります。なお、2021年度における相続人のいない遺産はおよそ647億円です。
そもそも「遺産相続」とは、自身の死後に残る遺産を生きている人に分配することで、遺産を受け取る「相続人」は、基本的に親族のみと民法で定められています。
民法で定められている「相続人」「優先順位」「相続の割合」は、以下のとおりです。
∟配偶者
第一順位(1/2)
∟子ども
第二順位(1/3)
∟親
第三順位(1/4)
∟兄弟・姉妹
民法で定められた相続の割合に従うと、配偶者が遺産の半分を、その他の親族に関しては、各相続人の人数でさらに分割されます。ただし、遺言書や相続人同士での話し合いによって、相続の割合は変動します。
そして、これらの相続人がいない状態で亡くなった場合、亡くなった人の遺産は、国庫に収められるのです。
国庫とは、外交や防衛、社会保障、道路整備などに使われる「国庫金」を管理する財源のことで、財産の権利は国が保有しています。つまり、相続人がいない状態で亡くなると、これまで蓄えてきた財産は、すべて国の収入になると言えるのです。
このように、自身の遺産を国庫に入れないためには「遺言書」を作成し、自身の死後に残る遺産をどのように引き継ぐか、早いうちに書き示しておく必要があります。
遺言書を作成すると、自身の死後に自分の遺産の使い道をあらかじめ決められ、親族以外にも「お世話になった施設への寄付」「友人や恩人への遺産分配」なども可能です。ただし、民法で定められた相続人以外が遺産を受け取ると、「遺贈(いぞう)」となるため、相続税の割合が高くなるなどの注意が必要です。
神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。
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