住宅ローンの変動金利は今後どうなる?2026年「5年ルール」と確認したい5つの対策

[取材/文責]マネーイズム編集部
松﨑会計事務所所長 松﨑 雄太(公認会計士・税理士)

日銀が2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げ、いわゆる「金利のある世界」が本格化するなか、変動金利型の住宅ローンを利用している方からは「今後どうなるのか」「返済額はいくら増えるのか」といった不安の声が増えています。変動金利には「5年ルール」「125%ルール」という返済額の急増を抑える仕組みがありますが、その内容を正しく理解しておくことが大切です。本記事では変動金利の今後の見通し、5年ルール・125%ルールの仕組みと注意点、そして金利上昇局面で確認しておきたい5つの対策を中立的に整理します。最終的な判断はご自身の家計状況によって異なるため、必要に応じて専門家にご相談ください。

1. 変動金利は今後どうなる?2026〜2027年の見通し

1-1. 日銀の追加利上げの見通し

日銀の政策金利は、2024年3月のマイナス金利解除を起点に段階的な引き上げが続いてきました。2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%、そして2025年12月に0.75%へと引き上げられています。
市場関係者の多くは、2026年中にさらに0.25%の利上げが複数回行われ、最終的に1.0〜1.25%程度まで上昇するとの見通しを持っています。次回の利上げ時期については2026年6月または7月とする予想が中心ですが、あくまで市場の見通しであり、経済情勢によって変わる可能性があります。

2026年に入り「金利のある世界」が日常化しつつあります。市場予測に一喜一憂せず、仮に金利が1〜1.5%程度まで上昇した場合でも事業が回るかどうか、少し厳しめのシナリオを想定してシミュレーションしておくことが重要です。

松﨑会計事務所所長 松﨑 雄太(公認会計士・税理士)

1-2. 変動金利と短期プライムレートの連動

住宅ローンの変動金利は、銀行が優良企業向けの短期貸出に適用する「短期プライムレート」に連動するのが一般的です。短期プライムレートは政策金利の動きを反映するため、2025年の日銀利上げを受けて、すでに多くの金融機関で引き上げが進みました。
変動金利型の住宅ローンは、一般的に年2回(4月・10月)金利が見直されます。すでに変動金利で借りている方の場合、適用金利の上昇が返済額に反映されるタイミングには後述の「5年ルール」が関わってきます。

2. 知っておきたい「5年ルール」と「125%ルール」

変動金利型住宅ローンには、金利が上昇しても返済額が急増しないよう配慮した2つのルールがあります。ただし、これらはすべての金融機関が採用しているわけではない点に注意が必要です。

2-1. 5年ルール:返済額は5年間据え置き

5年ルールとは、変動金利が上昇しても毎月の返済額は5年間変わらないという仕組みです。金利は年2回見直されますが、返済額そのものの見直しは5年ごとに行われます。
金利が上がった場合、返済額のうち利息の割合が増え、元金の割合が減ります。返済額は同じでも、内訳が変化する点を理解しておきましょう。

2-2. 125%ルール:見直し後も増額は1.25倍まで

125%ルールとは、5年ごとの返済額見直しの際に、新しい返済額は従前の1.25倍(125%)が上限となる仕組みです。たとえば毎月8万円返済している方の場合、6年目以降の返済額は最大でも10万円までに抑えられます。
急激な金利上昇が起きても、返済額の増え方が緩やかになるため、家計の急変を和らげる効果があります。

2-3. 注意点:未払い利息と「ルールがない金融機関」

2つのルールは返済者にとって安心材料ですが、いくつか注意点があります。

・未払い利息のリスク:金利が大きく上昇すると、毎月の返済額より利息が大きくなり、元金が減らない「未払い利息」が発生する可能性があります。未払い利息は返済期間の最後に精算が必要になる場合があります。

・ルールを採用していない金融機関がある:ネット銀行を中心に、5年ルール・125%ルールを採用していない金融機関もあります。この場合、金利上昇が比較的早く返済額に反映されます。ご自身の借入条件を契約内容で確認しておくことが大切です。

・ルールは「返済の先送り」でもある:5年ルール・125%ルールは返済額の急増を抑える一方、支払うべき利息総額が減るわけではありません。金利上昇局面では総返済額が増える可能性がある点も理解しておきましょう。

3. 金利上昇局面で確認しておきたい5つの対策

ここからは、変動金利を利用している方が状況に応じて検討できる選択肢を5つ紹介します。いずれもメリットと注意点があり、どれが適しているかは家計や残債、ライフプランによって異なります。

3-1. ①繰上返済で元金を減らす

手元資金に余裕がある場合、繰上返済で元金を減らすと、その後にかかる利息を抑えられます。特に返済初期は利息の割合が大きいため、早めの繰上返済ほど効果が出やすい傾向があります。

・メリット:利息負担の軽減・総返済額の圧縮

・注意点:手元資金が減るため、急な出費や収入減に備えた生活防衛資金は残しておく必要があります。新NISA等の運用機会を逃す可能性も考慮しましょう。

3-2. ②固定金利への借換を検討する

将来の金利上昇リスクを避けたい場合、固定金利型への借換という選択肢があります。返済額を確定できるため、家計の見通しが立てやすくなります。

・メリット:金利上昇リスクを回避でき、返済計画が安定する

・注意点:2026年5月時点では固定金利が変動金利より2%近く高く、当面の返済額は増えます。借換には事務手数料・保証料等の諸費用もかかります。

変動から固定への借り換えは「安心料」として割り切れるかがポイントです。すでに固定金利が上昇している局面では当面の負担が増すため、目先の損得だけでなく、家計の「精神的な安定」をどれだけ重視するかで判断してください。

松﨑会計事務所所長 松﨑 雄太(公認会計士・税理士)

3-3. ③他の金融機関への借換見積もりを取る

同じ変動金利でも、金融機関によって適用金利や優遇幅は異なります。複数の金融機関で借換の見積もりを取り、現在の条件と比較することで、より有利な条件が見つかる場合があります。

・メリット:金利・諸費用の比較で総負担を抑えられる可能性

・注意点:借換には諸費用がかかるため、金利差・残債・残期間を踏まえた損益分岐の試算が必要です。一般に「残債1,000万円以上・残期間10年以上・金利差1%以上」が借換メリットの目安とされます。

3-4. ④家計の固定費を見直し返済余力を作る

保険・通信費・サブスクリプションなどの固定費を見直すことで、返済余力を確保するという考え方もあります。金利が上昇しても対応できる家計体質をつくっておくと安心です。

・メリット:返済額の変動に対応しやすくなる・繰上返済の原資づくりにもなる

・注意点:過度な節約は生活の質を下げる可能性があるため、無理のない範囲で行いましょう。

3-5. ⑤運用と返済のバランスを考える

低い変動金利で借りている場合、繰上返済をせずに新NISA等で資産運用に回すという選択肢もあります。運用利回りが住宅ローン金利を上回れば、資産形成の面で有利になる可能性があります。

・メリット:低金利を活かして資産形成を進められる可能性

・注意点:運用には元本割れのリスクがあり、確実に利益が出る保証はありません。金利上昇で住宅ローン金利が運用利回りを上回る局面もあり得ます。リスク許容度に応じて判断しましょう。

4. 借入額別・金利上昇シミュレーション

金利が上昇した場合に返済額がどう変わるか、借入額3,000万円・返済期間35年・元利均等返済の前提で試算します(あくまで概算であり、実際の返済額は金融機関の計算方法により異なります)。

3,000万円借入・35年返済の月返済額(概算)

・変動0.5%:約77,876円/月

・変動1.0%:約84,685円/月(+6,809円)

・変動1.5%:約91,855円/月(+13,979円)

・変動2.0%:約99,378円/月(+21,502円)

金利が0.5%から1.5%へ1ポイント上昇すると、月々約1.4万円・年間約17万円の負担増となります。5年ルールがある場合は返済額の見直しが5年ごとになるため、上昇分が反映されるタイミングは契約により異なります。具体的な試算は、住宅金融支援機構などのシミュレーターも活用してみましょう。

5. 経営者・個人事業主が押さえておきたい視点

経営者・個人事業主の場合、住宅ローンの変動金利だけでなく、事業性ローン(運転資金・設備資金)の金利上昇も同時に考える必要があります。短期プライムレート連動の事業性融資はすでに段階的な引き上げが進んでおり、住宅ローンと事業の借入を合わせた「家計と事業の総返済負担」を把握しておくことが大切です。

・住宅ローンと事業性ローンの金利改定スケジュールをそれぞれ確認する

・金利上昇を前提に、事業のキャッシュフロー計画を見直す

・必要に応じて、税理士やファイナンシャル・プランナーに家計と事業を合わせた相談をする

経営者の場合、住宅ローンだけでなく事業用借入の金利上昇も直撃します。個人の家計と法人のキャッシュフローを一体で捉え、銀行との交渉や資金調達計画の見直しを、顧問税理士などの専門家と早急に進めておきましょう。

松﨑会計事務所所長 松﨑 雄太(公認会計士・税理士)

6. まとめ

2025年12月の日銀利上げを受け、変動金利は今後も上昇する可能性があると見られています。変動金利には「5年ルール」「125%ルール」という返済額の急増を抑える仕組みがありますが、未払い利息のリスクや、ルールを採用していない金融機関がある点には注意が必要です。

・まずはご自身の借入条件(5年ルール・125%ルールの有無、適用金利、残債、残期間)を確認する

・繰上返済・固定への借換・他行借換・家計見直し・運用とのバランスなど、複数の選択肢を知っておく

・各選択肢にはメリットと注意点があり、最適解は家計やライフプランによって異なる

住宅ローンの選択や借換、繰上返済の判断は、金利動向だけでなくご自身の収入・資産・ライフプランを総合的に踏まえて行うものです。判断に迷う場合は、税理士・ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談しながら、ご自身が納得できる形で進めることをおすすめします。

記事監修者 松﨑税理士からのワンポイントアドバイス

住宅ローンの金利上昇局面において最も大切なのは、市場の動向を過度に恐れることではなく、「自分の家計や事業がどこまで金利上昇に耐えられるか」という正確な現状把握です。
5年ルールや125%ルールは急激な返済負担増を防ぐ盾にはなりますが、最終的に支払うべき総利息が減るわけではないため、根本的な解決策にはなりません。まずは現在の借入条件(適用金利、残債、残期間、ルールの有無)を整理した上で、繰上返済、借り換え、家計の固定費削減など、手持ちの選択肢からご自身の状況に合った最適な組み合わせを選びましょう。
特に経営者や個人事業主の方は、事業資金の返済負担増とのダブルパンチを防ぐ視点が欠かせません。家計と事業の両輪を見据え、中長期的なライフプランに合わせた柔軟な出口戦略を、ぜひ顧問税理士と共に描いていくことをお勧めいたします。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

松﨑会計事務所所長 松﨑 雄太(公認会計士・税理士)

現プライム上場企業の経営企画部、大手監査法人を経て独立。スタートアップの会社を中心に、会計・税務だけでなく経営戦略の策定支援、DX支援、経営管理体制支援など戦略的アドバイスも提供し、顧問先の成長をサポート。『お城の街』姫路市の会計事務所。

事務所詳細はこちら
事務所公式ホームページはこちら

新着記事

人気記事ランキング

  • banner
  • banner
マネーイズム マネーイズム

5分で読める、
お金に関する得する情報を見逃さない

毎週火曜日、経営者が「今週知るべき」
ニュースをまとめてお届けします。

毎週の内容
今週の注目税務トピック
お金に関わる最新ニュース
今月の税務カレンダー
得する情報を受け取る

登録無料・いつでも解除できます

5分で読める、お金に関する
得する情報を見逃さない

毎週の内容
▶ 今週の注目税務トピック
▶ お金に関わる最新ニュース
▶ 今月の税務カレンダー
得する情報を受け取る →