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2022年度税制改正で相続税・贈与税はどう変わる?住宅取得資金の贈与税非課税措置などについて解説

2022年度税制改正で相続税・贈与税はどう変わる?住宅取得資金の贈与税非課税措置などについて解説

2022年1月11日

2022年度の税制改正の最大の注目点は、暦年贈与の見直し=「贈与税と相続税の一体化」でした。結局、今回の抜本改革は見送られましたが、一部で贈与税の非課税制度が改められるなどの変更が行われています。どこが変わるのか、ポイントを解説します。

注目された贈与税の見直しとは?

暦年贈与が廃止に?

2021年と22年度の税制改正大綱には、2年続けて「相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、本格的な検討を進める」という内容が書き込まれました。「相続時精算課税」というのは、簡単に言えば贈与税非課税で一括贈与を受け、相続が発生したときに相続税で「清算」する制度。これに対して、「暦年贈与」は、年110万円という贈与税の基礎控除(免税部分)を踏まえて、毎年少額ずつ贈与するやり方で、効果的な節税策として、広く行われています。

「問題視」されたのは、この暦年贈与です。特に富裕層が節税しつつ資産移転を行えるという現実に批判が集まり、諸外国並みに贈与税と相続税を一体化させる、すなわち暦年贈与の制度をなくして、基本的に贈与された資産も含めて相続税として徴収する、という方向性が示されました。

「見送り」だが「棚上げ」ではない

ただ、今回の税制改正では、贈与税・相続税に関する抜本的な改正は見送られました。暦年贈与を行っているのは、富裕層に限りません。一気に制度を変えれば、別の混乱、批判を招きかねないことなどが考慮されたものとみられています。

とはいえ、最初に触れたように、国は“改革”の旗を降ろしたわけではありません。今後早い時期に暦年贈与にメスが入る可能性は、かなり高いとみるべきでしょう。「廃止」の前段として、「相続前3年間」という「持ち戻し期間」(この間に行われた贈与は、相続財産にカウントされる)の延長が実行されるのではないか、という見方も強まっています。

「駆け込み贈与」は有効か?

ということで、今後具体的にどうなるかは流動的ですが、少なくとも22年中までの暦年贈与には、節税効果が期待できます。基礎控除の110万円というのは、受贈者(贈与を受ける子や孫)1人当たりの「枠」ですから、できるだけ多くの人に贈与すれば、それだけ相続財産を減らし、大きな節税につながるでしょう。

ただし、「節税ありき」で焦って資産の移転を行うと、後々トラブルの原因になるかもしれません。例えば、相続税にも「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。相続人が3人ならば、遺産4,800万円までは非課税なのです。そもそも自分のケースが相続税の対象になるのか、実際にいくらくらい課税されるのか、といったことはしっかり調べたうえで、冷静に対処する必要があります。

22年からどこが変わるのか?

では、今回の税制改正で、贈与税・相続税はどこが変わるのか、個別に見ていくことにします。

暦年贈与が廃止に?

●適用期限
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税については、2021年12月31日が期限でしたが、これが23年12月31日まで2年延長されました。

●非課税限度額
非課税限度額は、これまで住宅用家屋の取得等に関連する契約の締結時期に応じて定められてきました。しかし、改正により契約時期にかかわらず、住宅用家屋の区分に応じて次のようになりました。
・耐震、省エネ、バリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
・上記以外の一般の住宅用家屋 500万円

●適用となる既存住宅用地の要件
適用対象となる既存住宅用家屋の要件については、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋であることが加えられました。また、登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなし、耐震証明書は不要になりました。

●受贈者の年齢要件
これらの改正は、2022年1月1日以降に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税から適用されます。受贈者の年齢要件については、202年4月1日以降の適用です。

財産債務調書制度の対象に「総資産10億円以上」が加わる

「財産債務調書」とは、一定以上の所得や資産がある人が、税務署に届け出を義務付けられているものです。今回の税制改正で、その提出義務者、提出期限、記載内容が次のように見直されました。

●提出義務者
従来、次の3つを満たす場合に提出が義務付けられていました。
・確定申告書の提出義務がある
・所得基準:所得2,000万円超
・財産基準:12月31日時点で総資産3億円以上、または有価証券等を1億円以上保有
今回の改正で、これらに
 ・財産基準:総資産10億円以上(所得基準なし)
という基準が加えられました。たとえ所得がゼロでも、総資産が10億円以上であれば、調書の提出が求められるということです。

●提出期限
翌年3月15日が「翌年6月30日」に改められました。

電子申告による相続税申告の添付書面等記載事項の提供方法の見直し

相続税申告は、戸籍、印鑑証明書、金融機関の残高証明書など申告書に添付する書類が多岐にわたり、申告を電子申告で行う場合にも、これらは別途郵送しているケースが多いものとみられます。そのような状況を改善するため、添付書面等記載事項の提出方法に、「光ディスク又は磁気ディスク」が加えられました。

相続に係る所有権の移転登記等に対する免税措置の延長、適用対象の変更

相続に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について、次の措置を講じたうえで、その適用期限を2025年3月31日まで3年延長します。

・適用対象となる土地の範囲:市街化区域外のみ→市街化区域内もOK
・適用対象となる土地の価額:10万円以下→100万円以下

まとめ

2022年度の税制改革では、焦点となっていた「贈与税と相続税の一体化」は見送られました。ただし、暦年贈与の見直しの検討は継続される見通しです。贈与・相続に関しては、今後も国レベルでの議論の行方に注意が必要です。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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