相続専門税理士の実態と業界構造
相続専門税理士の定義は法律で定められていませんが、業界では年間20件以上の相続税申告を継続的に手がけ、相続税申告が収益の過半を占める税理士を相続専門と呼ぶのが一般的です。日本には約8万人の税理士が登録されていますが、相続専門と呼べる税理士は限られています。
相続税は法人税や所得税と異なり、土地評価の専門技術、民法の相続規定への深い理解、遺産分割協議への関与能力が必要です。法人税をメインに扱う税理士が年に数件相続税申告を受けても、この専門知識と実務経験は蓄積されません。相続専門税理士は不動産鑑定士や司法書士との実務レベルでの連携体制を持ち、特殊な評価減の適用経験を豊富に持っています。申告後の税務調査対応も含めた一貫したノウハウが、専門税理士と一般税理士の決定的な違いです。
相続専門税理士の疑問を税理士に聞いてみた
相続専門税理士を見極めるには、税理士業界の内側からしか見えない実務的な違いを理解する必要があります。ここからは、ホームページだけでは分からない本物の専門性の見分け方について、実務経験豊富な税理士に本音で伺っていきましょう。
「相続専門」と明記していない税理士事務所でも相続税の相談は可能?
質問: 「相続専門」と看板に書いていない普通の税理士事務所でも、相続税の相談はできるのでしょうか?

徳永圭先生
相談可能です。税理士である以上、様々なご相談に対応できるようにある程度は研鑽と訓練を積んできています。専門的な分野に入ると即答はできないかもしれませんが、一般的なご相談であれば相続専門の看板を掲げていなくとも対応可能と考えます。ただし、訓練する期間が無かった経験の浅い税理士(年齢とは無関係)、訓練の場が会計事務所ではなく法律事務所や監査法人であった弁護士さんや公認会計士さんが税理士登録した場合には税務相談への対応には苦労するかもしれません。ただ、その場合であっても税理士は支部などを通して横に繋がっています。放置されることはなく、相続に強い税理士を紹介してくれるはずです。ご安心ください。
相続専門税理士かどうかを見分けるには?
質問: 税理士と面談する際、相続専門かどうかを見分けるには何を確認すればいいですか?

徳永圭先生
見分ける方法は難しいというのが本音です。例えば、大手事務所や中堅事務所では面談に対応する税理士が申告手続きに全く関与しないこともあり得るからです。各事務所、面談で好印象を残したいのは同じでありエースが対応に当たります。皆さんは面談に対応した税理士の印象で依頼を検討することになるでしょう。しかし、実際の担当者は違うかもしれません。この点には留意する必要があります(経験上違う事の方が多い)。
その上で、実務を担当する方とも面談可能か、その方の経験値、資格の有無なども確認されてみては如何でしょうか。重要なのは事務所としての経験値ではなく担当者が誰になり、その人が優秀であるかです。
複数の相続専門税理士からどう選ぶべき?
質問: 検索して複数の相続専門税理士が見つかった場合、他に何を基準に選べばいいでしょうか?

徳永圭先生
皆さんが何を重視するかで変わります。値段重視なら最安価格を売りにしている税理士を探しましょう。対面での面談が希望であれば地元の税理士を選ぶ方が時間的な面で優位性があると考えます。遺産分割が揉めそう、相続後に登記手続きが控えているといった場合は、司法書士と連携している税理士を選んだ方が書類のやりとりが少なく、手間が省けます。土地の評価が難しい案件であれば不動産鑑定士との連携も確認したいところです。ご自身のニーズに合わせて面談で確認してみてください。
個人的には値段重視は総額で見て損する危険性があるのでおススメしません。皆さんは税理士(もしくは職員)が言う間違ったアドバイスを見極めることができません。特例の適用を間違える、見落とすなどといった事態が裏で起きている可能性も無いとは言い切れないのです。セカンドオピニオンという仕事があるのはこういった事情があるからです。
相続財産の構成による専門税理士の必要性
質問: 相続財産の内容によって、頼むべき税理士は変わりますか?

徳永圭先生
不動産が相続財産の30パーセント以上を占める場合は専門税理士の方が望ましいです。現金・預貯金・上場株式のみなら一般税理士でも対応できますが、土地評価は税理士による評価額の差が最も大きく、1,000万円単位で変わります。特に、形状が不整形な土地、傾斜地や崖地、私道持分がある土地、広大な土地では専門税理士の評価技術が不可欠です。非上場株式や賃貸不動産がある場合も専門税理士に依頼した方が良いと思いますが、金融資産のみで基礎控除額の1.5倍以内(相続人3人なら7,200万円以内)なら一般税理士でも問題ありません。
報酬が相場より安い税理士は何が違うのですか?
質問: 同じ「相続専門」でも報酬に大きな差がありますが、安い税理士は何が違うのでしょうか?

徳永圭先生
報酬が相場の半額以下の場合、おそらく有資格者(税理士)は申告手続きに積極的に関与しません。経験の浅い職員に対する教育としての意味合いが強い仕事になるはずです。それであっても半額だと赤字にはなるので現地調査を省略する、書面添付を付けない、申告後のフォローをしないなどコスト削減を図るでしょう。相続税申告の報酬相場は遺産総額の0.5~1.0パーセントで、1億円の遺産なら50~100万円です。
仮に報酬30万円を謳う事務所があった場合、コスト削減の為、土地評価を路線価のみで簡易計算し、評価減の検討を省いている可能性があります。結果として本来なら500万円減額できた土地を満額で申告し、報酬は安くても納税額が高くなります。また、申告後に追加報酬を請求する事務所もあるため、必ず見積段階で「基本報酬に含まれる業務」を確認しましょう。
相続専門にこだわらなくても良いケース
質問: 逆に、相続専門税理士でなくても問題ないケースはありますか?

徳永圭先生
相続財産が現金・預貯金のみで基礎控除額の1.2倍以内、相続人全員が合意済み、申告期限まで6か月以上ある場合は一般税理士でも対応できます。この条件なら財産評価も計算も単純で、税務調査のリスクも低いためです。ただし、不動産が1つでもある、生前贈与が複数回ある、相続人に連絡が取れない人がいる、二次相続対策を相談したいといった要素が1つでもあれば専門税理士に依頼すべきです。判断に迷う場合、複数の税理士と面談し、提案内容と見積金額を比較しましょう。
まとめ
相続専門税理士の見極めには、年間申告件数より担当税理士個人の累計経験件数、書面添付制度の標準提供、現地調査の実施有無を確認してください。不動産が相続財産の30パーセント以上を占める場合は専門税理士の方が望ましいですが、金融資産のみの単純な案件なら一般税理士でも対応できます。報酬の安さだけで選ぶと土地評価の簡略化で結果的に損をするため、見積内容と実務経験を総合的に判断してください。
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