食事補助の非課税枠が42年ぶりに改正!【2026年4月】企業が今すぐやるべき要件と必須対応

[取材/文責]マネーイズム編集部

食事補助の非課税枠に関して、42年ぶりの改正が、2026年4月1日に施行されました。非課税枠が月額3,500円から7,500円へと約2倍に引き上げられたこの改正は、企業の規模に関係なく経営者や従業員に直接影響する内容です。

ただし、新たな制度を適切に活用するためには、要件を理解し、社内の規程を整えることが重要です。本記事では、改正の経緯をはじめ、2つの要件・試算・実際の実務対応まで解説します。

1. 42年ぶりの大改正が4月にすでに始まっている 食事補助の非課税枠とは何か

従業員の食事費用の一部を会社が補助する際、税金がかからない制度です。食事補助が給与所得として課税されないためには、一定の条件を満たす必要があり、限度額が国税庁の通達によって定められています。非課税限度額は、長年にわたって据え置かれていましたが、2026年4月1日から変更されました。

1984年から変わらなかった月3,500円が2026年4月1日に7,500円へ倍増した経緯

非課税限度額は、1984年から42年間にわたり改訂されておらず、月額3,500円でした。しかし、この間に物価や外食費は大幅に上昇しているため、3,500円(20日出勤として計算すると1日約175円)では、福利厚生として十分に機能しにくい状況が続いていました。

このような実態を踏まえ、2026年4月1日から非課税限度額が月額7,500円へ引き上げられ、従来の約2倍に変更されたのです。非課税限度額が拡大されたことで、従業員の手取り額を増やす選択肢として注目されています。

国税庁通達改正の正式な根拠と施行日 公式情報を確認しておく

今回の改正は、2026年3月31日に国税庁により法令解釈通達が改正されたことで、2026年4月1日以降の食事補助については、引き上げ後の非課税限度額が適用されています。なお、従業員の自己負担要件は残っているため、注意が必要です。

自社の制度変更を検討する際は、国税庁の最新情報を参照し、ルールに適合しているか確認しておくことが重要です。後述しますが、社会保険に関しては基準が異なるため、食事補助が税務上の非課税要件を満たしていても、社会保険上は算定対象とされる可能性があります。

2. 「知らないまま損している」会社が多い理由 非課税にするための2つの要件

食事補助を非課税として扱うためには、2つの要件を満たす必要があります。どちらか1つでも満たせなければ、会社負担分はすべて給与とみなされ、課税対象とされてしまいます。
また、提供方法にも注意が必要です。

ここでは、非課税として扱うために必要な2つの要件と、提供方法について解説します。

要件①従業員が食事代の半額以上を負担していること 見落としやすい判定基準

1つ目の要件は「従業員が食事代の50%以上を自己負担している」ことです。たとえば、1食800円の弁当を会社が提供する場合、従業員が負担する金額が400円以上でなければなりません。

会社が500円補助し、従業員が300円しか自己負担していないようなケースでは、要件を満たさないため、会社が負担する金額は全額従業員への給与とみなされ課税されます。

要件②会社負担が月7,500円(税別)以下であること 税込計算は即アウトになる

2つ目の要件は「会社負担が月額7,500円(税別)以下である」点です。ここでの注意点は「税別」で判定することです。

会社負担が税抜で7,500円を超えると、超えた金額分だけでなく、企業が負担する金額のすべてが課税対象とされます。たとえば、会社負担が月額10,000円、従業員負担が月額10,000円の場合、「従業員が食事代の50%以上を負担していること」は満たしています。

一方で「会社負担が月額7,500円(税別)」を満たしていません。そのため、会社が負担している10,000円が課税対象とされるのです。税込で大まかに管理していると、知らないうちに非課税枠を超過してしまう場合があるため、注意が必要です。

現金支給・ランチ手当は非課税にならない 支給方法で損をしている会社の典型パターン

支給方法によっては、非課税の対象とならないため注意が必要です。非課税とされるのは、食事の「現物支給」である場合です。具体的には、社員食堂、弁当支給、食事に使用するのが明確な食事券、専用ICカード、専用アプリなどで支給する必要があります。

「ランチ手当」として給与へ上乗せしたり、現金で手渡したりすると、給与所得として課税対象とされるため注意が必要です。

3. 非課税で運用すると会社と従業員にどれだけ得か 具体的な試算

制度の大きな魅力は、現金支給と比べて、従業員の手取り額を増やしやすいことです。ここでは、月額7,500円の制度を活用すると、どの程度の差が生じるか比較します。

年換算9万円が非課税 現金で同額を賃上げした場合との手取り差を比較

非課税限度額である月7,500円の食事補助を1年間提供すると、年間9万円です。これを給与として提供した場合、所得税・住民税・社会保険料が差し引かれるため、従業員の手取りは6~7万円前後まで減少します。(あくまで一例であり、年収やその他の条件によって異なります)

一方、非課税の食事補助として提供できれば、実質的に9万円相当の食事支援を受けられるのです。(社会保険料が生じる場合は差し引かれるため、9万円をそのまま受け取れないケースもあります)

給与として提供した場合と、食事補助として90,000円相当の支援を受けた場合では、手取り額に年間20,000〜30,000円前後の差が生じるのです。このように、要件を満たせれば、食事補助は会社の負担を抑えながら、従業員の手取り額を増やす選択肢として活用できます。

社会保険料の算定への影響 食事補助の形態によって扱いが変わる点に注意

ここまでは、食事補助に対する税金は、一定の要件を満たす場合に、非課税とされることを解説しました。

一方で、社会保険料がかかるかどうかの基準に関しては、要件が異なる点を理解しておくことが重要です。社会保険上、現金で支給される食事補助は、標準報酬月額の算定(報酬)に含まれます。

また、弁当や社員食堂で食事を提供している場合は「現物給与」として扱われ、標準報酬月額の算定(報酬)に含まれる場合があります。ただし、厚生労働大臣が都道府県ごとに定める現物給与価額の3分の2以上を従業員が自己負担している場合は、標準報酬月額の算定に含まれません。

そのため、食事補助が税務上の非課税要件を満たしていても、社会保険上は算定対象とされる可能性があります。さらに、提供方法や規程の整備状況によって判断が異なることもあるため、制度導入時には日本年金機構や社会保険労務士への確認が必要なケースもあります。

4. 今すぐ動くために必要な実務対応チェックリスト

制度改正の恩恵を受けるには、実務対応が欠かせません。制度の趣旨に適した食事補助を提供していても、社内規程や手続きが整備されていない場合、税務調査の際に否認されるリスクがあるのです。また、すでに食事補助の制度がある会社でも、今回の改正を機に見直すべき点があります。

ここでは、今すぐ動くために必要な実務対応についてまとめます。

就業規則・福利厚生規程への明記が必須 口頭運用は税務調査で否認リスクがある

食事補助の非課税枠を利用する場合、「福利厚生規程」や「就業規則」に明記しておくことが重要です。「口頭での取り決めで運用している」「慣習として補助している」といった曖昧な運用では、税務調査において「実態は給与である」と、認定されるリスクが高まる可能性があります。

以下のような内容を規程に盛り込みましょう。

・制度の目的と趣旨
・対象とする従業員の範囲(パート・アルバイトを含むか正社員のみか)
・補助の金額
・従業員の自己負担額と割合
・支給方法(現物、食事券、専用カードなど)
・申請と精算のルール

社労士や税理士と連携すると、適切に整備を進められます。

食事券・ICカード・補助アプリ 導入形態別のメリットと選び方

食事補助の提供手段には、いくつかの種類があります。

ただし、現金で支払ったり給与へ上乗せしたりすると、食事補助の非課税枠を活用できないため、以下のような方法から選択する必要があります。

・社員食堂
・宅配弁当
・食事券
・ICカード
・食事補助専用のアプリ

社員食堂は、従業員の満足度は高いものの、広いスペースや多額の費用が必要なため、導入のハードルが高いでしょう。宅配弁当は、外食や買い出しにかかる移動時間がかからない一方で、注文や受け取り、管理の手間がかかったり、内容に飽きたりすることがあります。

一方で、食事券やICカード、アプリは、導入しやすく在宅や外回りの従業員も利用しやすい方法といえます。食事券は低コストで運用でき、導入しやすい点がメリットです。

飲食費に限定したICカードは、全国の提携している飲食店やコンビニで利用できることから従業員の利便性が高く、シンプルなため会社も管理しやすい点がメリットです。補助アプリは、利用できる店舗を検索したり、残高や利用履歴の確認ができたりと、利便性が高い点がメリットといえます。

オフィスの環境や従業員の働き方、管理のしやすさなどを踏まえて選びましょう。

すでに3,500円ベースで運用中の会社がやるべき見直し手順

すでに旧制度の3,500円で運用している場合は、次の手順で見直します。

1.現状の確認:支給形態・会社の負担額・従業員の負担額
2.規程の見直し:支給方法や運用ルールの見直し・会社の負担額変更・従業員の負担額変更(新たな規程が要件を満たしているか確認)
3.規程の整備:規程に制度の目的と趣旨・対象とする従業員の範囲・補助の金額・従業員の自己負担額と割合・支給方法・申請と精算のルールなどを明記
4.運用:従業員への周知・領収書や履歴の保管

社内規程を新たな基準に適合するよう整備し、食事補助の新たな制度を活用していきましょう。

まとめ

食事補助の非課税枠が42年ぶりに見直され、2026年4月1日より、月額7,500円へと引き上げられました。食事補助は、要件を正しく理解して運用すれば、会社の負担を抑えながら、従業員の手取りを増やせる施策といえます。

重要なポイントは、非課税利用するためには、「従業員が50%以上負担する」「会社負担が月額7,500円(税別)以下である」といった2つの要件を、いずれも満たす必要があることです。ただし、現金支給やランチ手当は非課税対象外とされているため、提供方法には注意を要します。

すでに旧制度の3,500円で運用している場合も、新たな制度に対応するためには、現状の確認・規程の見直し・規程の整備が必要です。制度改正のメリットを最大限に活かすには、早めの確認と準備を進め、社内体制を整えておくことが欠かせません。

正しく運用すれば、従業員の手取り額向上と企業のコスト最適化を実現できます。今回の改正を機に、自社の制度改善を検討してみましょう。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

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