ふるさと納税、基礎控除104万円で上限も増える?年末前に知りたい3つの変更を税理士が解説

ふるさと納税の寄附が年末に向けて本格化する時期になりました。2026年は、ふるさと納税にかかわる変更が3つあります。
1つ目は、所得税の基礎控除が最大104万円に引き上げられたこと。2つ目は、2027年の寄附から住民税の特例控除額に193万円の上限が設けられること。3つ目は、10月から自治体の指定基準が厳しくなったことです。
基礎控除が増えれば、ふるさと納税の上限も増えるのでしょうか。193万円の上限は、誰に関係するのでしょうか。税理士に聞きました。
変更1:基礎控除が上がっても、ふるさと納税の上限はほとんど変わらない
所得税が減ればふるさと納税の上限も変わりそうに思えますが、多くの人の上限額は大きく変わりません。自己負担2,000円で済む上限額は、住民税の特例控除が「住民税所得割額の20%」までと決まっていることから逆算されます。今回引き上げられたのは所得税の基礎控除で、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれています。そのため、多くの人の上限額はほぼ昨年並みです。ただし、給与収入220万円以下の人などは、住民税の給与所得控除の引き上げによって上限額が下がる場合があります。
なお、104万円の基礎控除が受けられるのは合計所得金額489万円以下の人です。489万円超655万円以下では67万円、655万円超2,350万円以下では62万円となります。年末調整で戻るお金が増えたからといってその分を寄附に上乗せすると、上限を超えるおそれがあります。
変更2:193万円の上限、影響があるのは給与収入1億円前後からで大半の人は対象外
2027年中の寄附分(2028年度の住民税)からは、住民税の特例控除額に193万円の上限が設けられます。ただし、影響を受けるのは給与収入が1億円前後を超えるような人で、大半の人には関係ありません。国税庁の2025年分の調査では、年収2,500万円を超える給与所得者でも全体の0.4%程にとどまります。総務省のモデルケース(独身または共働きで給与収入のみ)でも、年収1,000万円の上限約18万円、2,000万円の約57万円、5,000万円の約211万円は、いずれも改正後に変わりません。
193万円は、他の控除等がないと仮定した場合に、同じモデルで給与収入1億円の人がちょうど使い切る水準で、この人が自己負担2,000円で寄附できる額は約438万円です。扶養や所得控除の状況、給与以外の所得の有無によっては、1億円を下回る水準から影響が出る場合もあります。
影響が大きいのはそれを超える人です。給与収入3億円の人の場合、自己負担2,000円で寄附できる額は約1,346万円から約438万円に下がります。同じ1,346万円を寄附すると、特例控除額が約593万円から193万円に減るため、自己負担は約400万円増える計算です。なお、193万円は寄附額そのものの上限ではありません。超えた分についても、所得税の寄附金控除や住民税の基本控除は、それぞれの限度額の範囲内で受けられます。
該当する人にとっては、2026年が従来の上限を使える最後の年です。ただし、使えるのは2026年分の上限だけです。来年分をまとめて今年寄附しても、上限を超えた分は自己負担になります。控除は寄附した年の扱いになるため、12月31日までに決済を済ませてください。
変更3 自治体の指定基準が厳しくなり、寄附前の「指定」確認がより重要に
10月1日から、自治体がふるさと納税の対象に指定されるための基準が厳しくなりました。寄附金から返礼品代や送料などの募集費用を除き、自治体が使える割合を今期は52.5%以上とする基準が加わりました。この割合は、2029年10月からの指定では60%以上に引き上げられます。
※割合は、2026年10月~52.5%、2027年10月~55%、2028年10月~57.5%、2029年10月~60%と段階的に上がります。
基準を満たさない自治体は指定を取り消されることがあり、指定のない自治体への寄附は住民税の特例控除が受けられません。所得税の寄附金控除と住民税の基本控除は受けられるものの、自己負担は2,000円では済まなくなります。
10月からの今期(2027年9月30日まで)は、申し出た1,781団体がすべて指定され、今回新たに対象外となった自治体はありません。一方、制度に参加していない東京都と、過去に指定を取り消された6市町は、引き続き対象外です。
6市町は、須坂市(長野県)、総社市(岡山県)、吉備中央町(同)、みやき町(佐賀県)、雲仙市(長崎県)、山都町(熊本県)です。このうち総社市、みやき町、雲仙市、山都町は2025年9月30日付で取り消されました。2025年9月29日までにこれらの自治体へ寄附した人が今年も同じ自治体に寄附しても、特例控除の対象になりません。
取り消しは指定期間の途中で起きることもあり、須坂市と吉備中央町は2025年6月に期中で取り消されました。昨年と同じ自治体でも、寄附の直前に総務省のふるさと納税ポータルサイトで指定団体を確認してください。
まとめ
所得税の基礎控除が引き上げられても、住民税の基礎控除は据え置かれているため、多くの人のふるさと納税の上限額は大きく変わりません。2027年からの193万円の上限も、影響するのは給与収入1億円前後を超える人などに限られ、大半の人はこれまでどおりの計算で寄附できます。今年の寄附額は2026年の所得見込みで上限を試算し、寄附先が現在も指定を受けているかを確認したうえで、12月31日までに決済を済ませましょう。
▼参照サイト
総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」
総務省 報道資料「ふるさと納税指定制度に係る総務大臣の指定」(令和8年9月25日)
総務省 報道資料「ふるさと納税の対象となる地方団体の指定の取消し」(令和7年9月26日)
財務省「令和8年度 税制改正の解説(所得税法等の改正)」
地方税法(e-Gov法令検索)
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有限責任あずさ監査法人(KPMG)にて、金融商品取引法監査、会社法監査、海外レポーティング業務等に従事。その後ミャンマーに渡り、ミャンマーの国際会計事務所にて、会計・税務アドバイザリー業務、デューデリジェンス業務、国際税務業務、会社設立業務、監査業務等にジェネラルマネージャーとして従事。帰国後、税理士法人Suinasを設立。
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