不動産の相続税はいくらかかる?計算方法から節税対策まで徹底解説

不動産の相続税はいくらかかる?計算方法から節税対策まで徹底解説
最終更新日:2025/06/24
この記事の監修者
スエナガ会計事務所
代表 末永 寛

不動産相続でかかる税金の基本

基礎控除により約9割が相続での税負担なし

不動産を相続したからといって必ずしも相続税がかかるわけではありません。相続税には基礎控除 (3,000万円+600万円×法定相続人の数)が設定されており、正味の遺産総額(不動産を含む全財産から負債を差し引いた額)が基礎控除額以下であれば相続税は発生せず申告も不要です。

例えば相続人が配偶者と子2人なら基礎控除額は4,800万円となり、遺産総額が4,800万円を超えなければ相続税はかかりません。

実際のところ、令和5年分の国税庁統計 では相続税の課税割合は全体の約9.9%にとどまり、多くの方は相続税を心配する必要がないのが現実です。ただし都市部の不動産を所有している場合や複数の不動産を持っている場合は、基礎控除を超える可能性が高くなるため注意が必要です。

相続税は全財産で計算される仕組み

重要なポイントは、相続税は不動産の評価額のみで計算されるのではなく、被相続人の全財産(不動産、現預金、有価証券、生命保険金等)の合計額に基づいて算出されることです。

つまり「不動産の価格がいくらだから相続税はいくら」と単純に計算することはできません。相続税の税率表(速算表) も、不動産評価額に直接当てはめるものではなく、相続税計算プロセスの中で各相続人の法定相続分に応じた取得金額に対して適用されるものです。この点を誤解すると税額を大きく見誤る可能性があるため注意しましょう。

相続税以外にも発生する税金・費用

不動産を相続する際には相続税以外にも以下の税金・費用が発生します。

登録免許税

登録免許税は不動産評価額の0.4%で、名義変更(相続登記)の際に必要な税金です

不動産取得税

遺言によって相続人以外の人が不動産を取得した場合には不動産取得税が課税されるケースもあります。

維持費用

不動産を相続した後も固定資産税等の維持費が毎年かかることも念頭に置いておく必要があります。

これらの税金は相続税とは別に、不動産を所有し続ける限り、継続的に発生するため、不動産相続の際は総合的なコストを考慮した準備が必要です。

不動産の相続税計算5つのステップ

STEP1:相続人を確定する

相続税の計算を始める前に、まず誰が相続人になるのかを確定します。法定相続人(配偶者や子ども、親など)の範囲を確認し、隠れた相続人(認知された子や養子など)がいないかも注意します。相続人の確定は遺産分割や税額に直接影響するため、最初に必ず行う重要なステップです。戸籍謄本を取得して相続関係を明確にし、相続人の数を正確に把握することで、後の基礎控除額の計算に反映させます。

STEP2:相続財産を洗い出し、不動産の評価額を算定する

次に、被相続人が残した相続財産のリスト(財産目録)を作成し、その評価額を計算します。不動産については、国税庁の財産評価基本通達に基づき評価しなければなりません。不動産の評価は、土地と建物に分けて行います。

土地の評価について

土地の評価には2つの方式があり、土地の所在地により決まっています。

路線価方式による評価

都市部や住宅地など、道路に路線価が設定されている地域では路線価方式を使用します。路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額(千円単位)のことです。

計算式:評価額 = 路線価 × 各種補正率 × 土地面積

例:路線価280千円、面積150㎡、補正率1.0の場合 280千円 × 1.0 × 150㎡ = 42,000千円(4,200万円)

路線価は国税庁のホームページ で毎年7月に公表されます。土地の形状(角地、不整形地など)に応じて補正率を適用します。

倍率方式による評価

路線価が設定されていない地域では、倍率方式 を使用します。固定資産税評価額に国税庁が定める評価倍率を乗じて計算します。

計算式:評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

例:固定資産税評価額1,800万円、評価倍率1.2の場合 1,800万円 × 1.2 = 2,160万円

建物の評価について

建物の相続税評価は、自用か賃貸かによって計算方法が異なります。

自用建物の場合:

計算式:建物評価額 = 固定資産税評価額

貸家(賃貸建物)の場合:

計算式:建物評価額 = 固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

借家権割合は全国一律30%です。例えば固定資産税評価額1,500万円のアパートが満室(賃貸割合100%)の場合、評価額は1,500万円 × (1 - 30% × 100%)= 1,050万円となります。

固定資産税評価額は、毎年市区町村から送付される固定資産税納税通知書で確認できます。

その他の相続財産と負債の整理

不動産以外の財産(現預金、有価証券、生命保険金など)も評価し、同時に負債(借入金、未払税金、葬儀費用など)も洗い出します。生命保険金には非課税枠(500万円×法定相続人の数)があることも忘れずに確認しましょう。これらすべてを整理することで、相続財産の全体像が明確になります。

STEP3:正味の遺産総額を計算し、基礎控除額を差し引く

STEP2で洗い出した財産と負債をもとに、実際に相続税の対象となる金額を計算します。

正味の遺産総額の計算

まず、すべての相続財産から負債を差し引いて正味の遺産総額を求めます。

正味の遺産総額 = プラスの財産合計 - マイナスの財産合計

計算例:

  • 不動産:5,000万円
  • 現預金:3,000万円
  • 有価証券:2,000万円
  • プラスの財産合計:1億円
  • 借入金:1,500万円
  • 未払税金:300万円
  • 葬儀費用:200万円
  • マイナスの財産合計:2,000万円
  • 正味遺産総額:1億円 - 2,000万円 = 8,000万円

基礎控除額の計算と課税遺産総額の算出

次に、正味遺産総額から基礎控除額を差し引いて、実際に課税される金額を求めます。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

計算例(法定相続人3人の場合): 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 3人)= 4,800万円

課税遺産総額 = 正味遺産総額 - 基礎控除額

課税遺産総額 = 8,000万円 - 4,800万円 = 3,200万円

相続税の有無の判定

課税遺産総額がプラスになれば相続税が発生し、ゼロ以下であれば相続税はかかりません。上記の例では3,200万円の課税遺産総額となるため、相続税の申告と納税が必要になります。このステップで、相続税がかかるかどうかと、その対象金額が確定します。

STEP4:課税遺産総額を法定相続分で按分し相続税の総額を計算する

課税遺産総額が求まったら、相続税の総額を算出します。ここでは実際の遺産分割に関係なく、法定相続分で相続したと仮定して計算します。

法定相続分での按分

課税遺産総額を各法定相続人の法定相続分で按分します。

計算例(課税遺産総額3,200万円、相続人:配偶者と子2人):

法定相続分:

  • 配偶者:1/2
  • 子(長男):1/4
  • 子(長女):1/4

各人の仮の取得額:

  • 配偶者:3,200万円 × 1/2 = 1,600万円
  • 長男:3,200万円 × 1/4 = 800万円
  • 長女:3,200万円 × 1/4 = 800万円

相続税の速算表による税額計算

各人の取得額に相続税の速算表 を適用して税額を計算します。

各人の相続税額:

  • 配偶者:1,600万円 × 15% - 50万円 = 190万円
  • 長男:800万円 × 10% = 80万円
  • 長女:800万円 × 10% = 80万円

相続税の総額:190万円 + 80万円 + 80万円 = 350万円

STEP5:各相続人の納税額を確定する(税額控除の適用)

最後に、相続税の総額を実際の遺産分割に応じて各相続人に振り分け、各種控除を適用して最終的な納税額を確定します。

実際の遺産分割による税額の振り分け

相続税の総額を、各人が実際に相続した財産の割合で按分します。法定相続分と異なる分割をした場合は、実際の取得割合で調整します。

税額控除の適用

各相続人ごとに適用できる税額控除を適用して最終納税額を算出します。

主な税額控除:

  • 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除

計算例での最終納税額:

  • 配偶者:190万円 - 190万円(配偶者控除)= 0円
  • 長男:80万円(控除なし)= 80万円
  • 長女:80万円(控除なし)= 80万円

最終的な相続税の総納税額:160万円

このように各種控除を適用することで、実際の納税額は大幅に軽減される場合があります。以上が不動産を含む相続税の基本的な計算プロセスです。

監修者

末永 寛

記事監修者からのワンポイントアドバイス

不動産を相続した場合に、相続税の計算で行う財産評価の中で「土地」の評価は一番難しく、確認する事が多くなります。
ただし、土地は隣地などの買い増しなどを行い増築などがない限り、形状が変化する事は想定されません。よって、生前に相続対策の一環として土地の評価を行っておくことは有効です。これは、土地の形状が変化しない事を利用し、時間の余裕がある間に、財産評価を前倒しで行っておく方法です。
路線価方式の場合、不整形地(土地の形が四角形ではない土地)を正しく財産評価するには、専門的な知識が必要で、一般の方では難易度が非常に高くなります。
また、一度算定しておけば、その後の路線価の推移を把握するのみで土地の概算評価額が確認でき、一般の方でも経年把握する事が可能となります。

不動産相続税の節税方法

小規模宅地等の特例:宅地評価額を最大80%減額

被相続人が居住していた自宅の土地など一定の宅地については、小規模宅地等の特例 を適用することで相続税評価額を大幅に減額できます。

例えば評価額5,000万円の自宅土地でも、この特例を使えば評価額が1,000万円に圧縮され相続税が大幅に軽減されます。

特例の種類と減額率

特例が使える土地の種類と適用要件は以下の通りです。

  • 特定居住用宅地等(被相続人の自宅):330㎡まで80%減額
  • 特定事業用宅地等(被相続人の事業用地):400㎡まで80%減額
  • 貸付事業用宅地等(賃貸物件の敷地):200㎡まで50%減額

適用条件に注意

ただし適用するには、相続後もその土地を保有し続けることや同居親族が相続することなど様々な条件があります。どんな土地でも無条件に適用できるわけではないため、対象となる土地の種類と要件を確認し、該当する場合は漏れなく適用しましょう。

配偶者の税額軽減:1億6,000万円まで非課税

配偶者の税額軽減(配偶者控除) とは、残された配偶者にかかる相続税を大幅に減額できる制度です。

控除の内容

配偶者が取得した遺産額については、1億6,000万円まで、または配偶者の法定相続分相当額までは相続税が一切かかりません。配偶者の生活保障の観点から設けられた制度で、適用すれば配偶者が不動産を相続しても税負担がゼロ、または大幅に軽くなります。

二次相続への配慮が必要

ただし、配偶者が多額の財産を相続してその後亡くなった場合、次の二次相続で相続税負担が大きくなる可能性もあります。配偶者控除を適用して税額がゼロになると申告自体は必要ですが納税は不要です。配偶者なら無制限に非課税という誤解を避け、正確な適用限度を把握しておきましょう。

未成年者控除・障害者控除

相続人が18歳未満の未成年者である場合や85歳未満の障害者である場合、相続税から一定額を差し引ける仕組みがあります。未成年者控除 は、「(18歳-相続時の年齢)×10万円」を相続税額から控除できる制度です(例えば相続時15歳なら3年間分で30万円控除)。なお、2022年4月以降は適用年齢が「18歳未満」に引き下げられています(2022年3月31日以前の相続では20歳未満)。

また障害者控除 は、障害のある相続人について「(85歳-相続時の年齢)×10万円(特別障害者は×20万円)」を税額控除できます。いずれも相続人の年齢や状況に応じて税負担を軽減するための制度で、該当するケースでは忘れずに申告時に適用しましょう。控除しきれない額がある場合、扶養義務者(親など)が代わりに残額を控除することも可能です。

相次相続控除

相次相続控除は、前回の相続から10年以内に次の相続が発生した場合に適用できる税額控除です。例えば8年前に父親が亡くなり相続税を納めていて、今回母親が亡くなったようなケースでは、立て続けに相続税を負担すると過重になるため救済措置として控除が認められます。

具体的には、前回(先代)の相続で納めた相続税額の一部を今回の相続税から差し引く形で計算します。期間が短いほど控除額が大きく、10年経過で控除額はゼロになります(1年につき10%ずつ減少)。家族内で相次いで相続が起きた場合には、この控除を適用して過重な税負担を緩和できます。

賃貸不動産による評価減

不動産を誰かに貸している場合、その土地や建物の相続税評価額は低く評価されるしくみがあります。

貸宅地の評価減

土地に他人の権利(借地権)が付いている貸宅地では、土地評価額から借地権割合分が差し引かれます(借地権割合は地域ごとに30~90%で設定)。

貸家建付地の評価減

自分の土地にアパート等を建てて貸している貸家建付地の場合は、「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算され、大幅な評価減が受けられます。借家権割合は全国一律30%です。

例えば更地のままよりもアパートを建てて賃貸にしておくと、相続時にその土地の評価額を大きく圧縮でき、かつ家賃収入も得られるため、生前の相続対策として活用されることもあります。

適用条件に注意

ただし駐車場のように更地をそのまま貸す形では借地権が発生せず評価減は受けられないなど、条件があります。今現在貸している不動産がある場合は、評価減を適用して税負担軽減を図りましょう。

不動産に特化した生前対策

不動産の相続税対策として、生前に活用できる制度があります。特に自宅不動産については、配偶者への贈与で大きな節税効果が期待できます。

配偶者控除(おしどり贈与)の活用

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、2,000万円まで贈与税が非課税になる特例があります。この制度を活用すれば、将来の相続財産を事前に減らすことができ、相続税の節税につながります。

ただし、この制度には適用要件があり、贈与後も引き続きその不動産に居住することなどが条件となります。また、贈与時には登録免許税や不動産取得税が発生する点も考慮が必要です。これら生前対策は専門的な判断が必要なので、早めに税理士など専門家と相談して検討することをお勧めします。

監修者

末永 寛

記事監修者からのワンポイントアドバイス

不動産相続の際に考えられる節税策は、「小規模宅地等の特例」です。
先でも述べたように、この特例は条件に合致すれば最大80%土地の価格が下がります。
ここで検討したいのが「土地を引き継ぐ人」です。土地を引き継ぐ人により、この特例が使えるか否かが決まります。特に、土地を複数所有している場合は、どの土地から優先的に適用するかをシミュレーションし、優先順位を明確にする必要があります。
よって、相続が発生してから(亡くなってから)、引き継ぐ人を検討したのでは、この特例が適用できず恩恵を受けられないことも想定されます。
そのためには、相続が発生する前の元気なうちに、引き継ぐ人を検討(できれば引継ぎ予定者の意思も確認)し、適用可否を確認しておくことをお勧めします。

不動産相続の重要な手続きと期限などの注意点

相続税申告は10か月以内

相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と法律で定められています。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税など余計なペナルティが科される可能性があるため注意が必要です。

延納制度の活用

申告期限までに納税資金が用意できない場合は、税務署に申請して延納(年賦払い)制度を利用することもできます(相続税額が10万円超など一定条件あり、利子税がかかります)。

物納制度という選択肢

延納でも難しい場合、一定の要件下では不動産そのものを納める物納も認められています。ただし物納できる財産には制限があり、被相続人から相続した不動産に限られ、担保設定された不動産などは対象外です。

事前の資金計画が重要

相続税額が高額になりそうで不安な場合は、事前に概算をシミュレーションして納税資金の確保策を検討しておきましょう。いざ納税段階になって資金不足だと、不動産を慌てて安値で手放す羽目になることもあります。

必要に応じて延納・物納や不動産の売却、金融機関からの借入なども選択肢となるため、早め早めの準備が肝心です。

相続登記の義務化

相続によって不動産の所有者が変わった場合、相続登記(名義変更)の申請が義務化されました(2024年4月1日施行)。正当な理由なく相続登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。期限は相続開始を知った日から3年以内です。

この新ルールは施行日前に発生した相続にも遡って適用されるため、まだ登記をしていない不動産がある場合は注意しましょう。

相続人申告登記という暫定措置

遺産分割協議がまとまらず3年以内に名義を確定できない場合は、相続人申告登記という暫定的な手続きを行うことで義務を果たすことが可能です。相続人申告登記は、とりあえず相続が発生した事実のみを登記する制度で、法務局で申請できます。

ただし、不動産を売却したり担保に入れたりする際には正式な相続登記が必要になるため、なるべく早期に遺産分割をまとめて本登記を済ませることが望ましいでしょう。

共有相続のリスクと回避策

不動産は分割が難しい財産のため、相続人が複数いる場合に共有名義で相続するケースがあります。しかし、不動産の共有は将来的なトラブルのもとです。

共有相続の問題点

共有者全員の同意なしには売却も建替えもできず、相続人の世代が進むにつれて共有者同士が面識のない人になってしまうこともあります。その結果、意思統一ができずに使われないままの不動産(いわゆる空き家問題)に発展するケースも少なくありません。

代替案の検討

こうした事態を避けるため、可能な限り不動産の共有相続は避けたほうが良いでしょう。代わりに、遺産分割方法として代償分割(特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に相応の代償金を支払う方法)や換価分割(不動産を売却し現金を分割する方法)を検討するのがおすすめです。

代償分割であれば不動産を手放さずに済みますし、換価分割であれば公平に分配できます(ただし売却には時間や費用がかかり、譲渡所得税も発生し得る点に留意)。共有せざるを得ない場合でも、後々トラブルにならないよう十分話し合いを行いましょう。

賃貸不動産相続時の追加手続き

被相続人がアパート経営等をしていたケースでは、相続税以外にも必要な手続きがあります。準確定申告(被相続人の死亡日から4か月以内に行う所得税の申告)や、引き継いだ賃貸事業で青色申告を続けるための青色申告承認申請(相続人が引き継ぐ場合、所定期間内に税務署へ申請)が必要です。

これらの手続きを怠ると税務上の特典を受けられなくなる可能性があるため、賃貸不動産を相続した場合は忘れずに対応しましょう。

債務超過時の対処法

被相続人に多額の借入金など負債があり、相続した財産より借金のほうが多い場合、そのまま相続すると相続人が借金を抱えてしまいます。

相続放棄という選択肢

こうしたケースでは、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きを行えば、一切の遺産(プラスもマイナスも)を承継しない選択が可能です。ただし相続放棄をすると思い出の自宅などプラスの財産も放棄することになってしまいます。

限定承認で自宅を守る

そこで検討したいのが限定承認という制度です。限定承認とは、「相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみ負債も返済する」という条件付きで相続する方法です。

例えば遺産に評価1億円の自宅、負債2億円がある場合、限定承認を選択すれば自宅(1億円)と借金1億円までを相続し、超過する借金1億円は返済を免れることができます。

限定承認も相続放棄も家庭裁判所への申述期限は相続開始から3か月以内です。自宅を守りつつ債務超過のリスクを避けたいときは、この限定承認を検討しましょう(専門家への相談が推奨されます)。

まとめ

不動産の相続は評価額が高く税額計算も複雑なため、早めの対策と準備が重要です。また、法律や税制改正による手続き義務もあるため注意が必要です。今回解説したように、相続税は全財産で計算される仕組みや各種特例を把握することである程度の見通しは立てられますが、実際の申告や手続きは煩雑で専門知識が求められます。

相続税に不安がある方や節税対策を万全にしたい方は、ぜひ当サイト、相続財産センターなど専門家のサポートを活用してください。相続財産センターでは相続税に強い税理士の紹介を行っており、複雑な不動産の評価や相続税申告も安心して任せることができます。

プロの力を借りることで、適切な特例適用や手続き漏れの防止ができ、結果的に節税にもつながります。大切な不動産を円満に引き継ぐためにも、早めに専門家へ相談し、余裕をもって相続税対策を進めましょう。

この記事の監修者
スエナガ会計事務所
代表 末永 寛
専門学校卒業後、一般企業において経理事務を約25年経験。39歳で一念発起し、働きながら税理士試験に合格。税理士法人勤務を経て、2023年スエナガ会計事務所開業。特に「相続税」分野を強みとし、相続や中小企業の事業承継(後継者問題)について、相談に応じたり、セミナーを開催したりするほか、金融機関の勉強会やハウスメーカー主催の相続情報や相続対策の講演なども行っている。趣味はマラソンで、これまで100レース以上に出走、現在も記録更新中であり、将来はバイク(自転車)で47都道府県制覇を狙っている。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部

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