マンションの相続税評価額とは?最新計算方法・特例・手続きまで徹底解説

マンションの相続税評価額とは?最新計算方法・特例・手続きまで徹底解説
最終更新日:2025/11/24
この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭(税理士)
相続が発生したとき、故人の財産だけでなく借金も引き継ぐことになるため、負債が多い場合には相続放棄を検討する必要があります。しかし、相続放棄と限定承認の違いや手続きの流れ、注意すべきポイントを理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクもあります。本記事では、相続放棄の基本的な仕組みから手続き方法、よくある誤解まで、相続に強い税理士の視点で徹底解説します。

マンション相続税評価額の基本と全体像

マンション相続では建物と敷地を別々に評価し合計額が課税対象となります。評価額の算出方法は国税庁の財産評価基本通達によって定められており、一戸建てとは異なる区分所有特有のルールが適用されます。

相続税評価額とは何か

相続税評価額とは、相続税を計算する際の財産の価値を示す基準額です。実際の市場価格とは異なり、路線価や固定資産税評価額といった公的指標をもとに算定されます。

マンションの場合は建物の固定資産税評価額と敷地の路線価評価額を組み合わせて計算します。2024年以降、居住用の区分所有財産(自用)については区分所有補正率の適用対象となります。一戸建てと大きく異なるのは、マンションでは土地の所有形態が敷地権(共有持分)である点です。敷地全体を戸数や専有面積に応じて按分した持分割合で評価するため、土地評価額が比較的小さくなる傾向があります。

マンションの相続で評価対象となる資産

評価対象となるのは、建物部分(専有部分+共用部分の持分)土地部分(敷地権)の2つです。

建物部分については、区分所有者が専有する住戸内のスペースだけでなく、エントランスや廊下、エレベーターといった共用部分も持分割合に応じて所有しています。固定資産税評価額にはこれらすべてが含まれており、毎年市区町村から送付される固定資産税課税明細書で確認できます。

土地部分は敷地権と呼ばれ、マンションが建っている土地全体を各区分所有者が共有する形態です。登記事項証明書には「敷地権の割合」として記載されており、この持分割合に応じて土地の相続税評価額を按分計算します。たとえば敷地全体の評価額が10億円で自分の持分割合が1/100であれば、土地評価額は1,000万円となります。

相続税評価額が相続税額に与える影響

相続税評価額は相続税額を決定する最も重要な要素です。基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えるかどうかのボーダーライン付近では、評価額の数百万円の違いが「相続税がかかるか・かからないか」を左右します。

たとえば相続人が配偶者と子2人の場合、基礎控除額は4,800万円です。マンションの評価額が3,000万円、その他の財産が2,000万円なら合計5,000万円となり、基礎控除を200万円超えるため相続税申告が必要です。しかし小規模宅地等の特例を適用して評価額を圧縮できれば、基礎控除内に収まり相続税はゼロになります。

評価方法を誤ると過少申告による加算税・延滞税のリスクがある一方、特例を見落とすと過大な税額を支払うことになります。

マンション相続税評価額の計算方法

マンションの相続税評価額は建物と土地それぞれに異なる計算方法を用い、2024年1月以降の相続では居住用の区分所有財産について区分所有補正率も考慮します。利用状況(自宅か賃貸か)によっても計算式が変わるため、正確な評価が重要です。

建物部分の評価方法

建物部分は固定資産税評価額をベースに、自己居住か賃貸かで評価額が変わります。

自己居住用の建物評価

マンション建物の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま用いるのが原則です。自己居住用(自用)の場合、毎年届く固定資産税課税明細書に記載された「家屋の価格」欄の金額がそのまま相続税評価額になります。

固定資産税評価額には専有部分だけでなく、エントランス・廊下・エレベーターなどの共用部分の持分も含まれています。課税明細書が手元にない場合は、市区町村の資産税課で評価証明書を取得すれば確認できます。

賃貸マンションの建物評価

賃貸に出している場合は評価額が減額されます。

計算式:

  • 貸家の評価額 = 固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

借家権割合は全国一律30%です。たとえば固定資産税評価額1,500万円のマンションを第三者に賃貸している場合(賃貸割合100%)、評価額は1,500万円×(1-0.3×1.0)=1,050万円となり、450万円の評価減が受けられます。

賃貸割合は課税時期において賃貸されている床面積の合計が全体に占める割合で計算します。空室部分は賃貸割合に含まれません。

土地(敷地)部分の評価方法

マンション敷地の評価は路線価方式または倍率方式を用い、自分の持分割合を乗じて算出します。

路線価方式による評価

路線価方式は市街地で用いられる方法で、国税庁が毎年7月に公表する路線価(道路ごとの1㎡あたり評価額)をもとに計算します。

計算式:

  • 敷地全体の評価額 = 路線価 × 地積 × 各種補正率
  • 自分の土地評価額 = 敷地全体の評価額 × 敷地権割合

たとえば路線価300千円(30万円/㎡)、敷地面積2,000㎡、補正率1.0のマンションで、自分の敷地権割合が1/100の場合、敷地全体=30万円×2,000㎡×1.0=6億円、自分の持分=6億円×1/100=600万円となります。

路線価は一般に公示地価の概ね80%程度の水準とされていますが、地域により異なります。

倍率方式による評価

路線価が設定されていない地域では倍率方式を用います。

計算式:

  • 敷地全体の評価額 = 固定資産税評価額(土地) × 評価倍率
  • 自分の土地評価額 = 敷地全体の評価額 × 敷地権割合

敷地権割合は登記事項証明書の「敷地権の割合」欄に記載されています。マンション全体の敷地面積や路線価は管理組合や不動産会社に問い合わせるか、国税庁の路線価図で確認できます。

区分所有補正率の適用(2024年以降)

2024年1月以降の相続では、居住用の区分所有財産について市場価格と評価額の乖離を是正するため区分所有補正率が適用されます。

区分所有補正率とは

区分所有補正率は、居住用の区分所有財産(分譲マンション)の市場価格(時価)と従来の相続税評価額の乖離を是正するための措置です。

評価乖離率は、築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度の4要素を用いて計算されます。国税庁が公開している計算明細書で自動算出されます(係数は毎年の様式に従ってください)。

評価水準は、1÷評価乖離率で計算します。

区分所有補正率の適用:

  • 評価水準 < 0.6 → 区分所有補正率を適用(評価額増額)
  • 0.6 ≦ 評価水準 ≦ 1 → 補正なし(従来の評価方法)
  • 評価水準 > 1 → 区分所有補正率を適用(評価額減額)
計算式:

  • 補正後の評価額 = (建物評価額 + 土地評価額) × 区分所有補正率

補正の対象となるマンション

主に以下の特徴を持つ物件が対象です。

  • 築年数が浅い
  • 階数が高い(タワーマンションなど)
  • 高層階に位置する
  • 1戸あたりの敷地面積が狭い(都心の高層マンションなど)

築浅・高層階・敷地持分が小さい等の条件が重なる物件では増額となる場合があります(具体的倍率は物件条件により異なります)。一方で条件次第では補正なし(従来評価のまま)となる場合も多くあります。

計算は複雑なため、国税庁が公開している「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」を使用するか、税理士に依頼することをおすすめします。

賃貸マンションへの適用

賃貸住戸(貸家)は原則、貸家・貸家建付地の評価を適用し、区分所有補正率の対象外となります。詳細な適用関係については、国税庁の「居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A」をご確認ください。

賃貸マンションの土地評価(貸家建付地)

マンションを賃貸に出している場合、敷地部分も評価減が受けられます。

計算式:

  • 貸家建付地評価額 = 敷地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合30% × 賃貸割合)

借地権割合は地域ごとに30%~90%の範囲で路線価図に記載されています(都心部ほど高い傾向)。たとえば借地権割合70%の地域で、土地評価額600万円、賃貸割合100%の場合、貸家建付地評価額 = 600万円 × (1 - 0.7 × 0.3 × 1.0) = 474万円となり、賃貸により126万円の評価減が受けられます。

※借家権割合は全国一律30%で、借地権割合と異なります。

区分所有の場合、自分が所有する1戸ごと、または複数戸所有している場合には各戸ごとに判定します。

監修者

徳永 圭

記事監修者からのワンポイントアドバイス

複雑な計算が行われていますが、特に注意すべきポイントは2024年1月1日以降の改正点となる為、直近の改正と言えます。過去の評価方法が使えないという事を認識する必要があります。
以前タワーマンションにおいて高層階と低層階で敷地権に係る評価方法は変わらない、しかし、市場価格は大きく異なるというギャップを利用した、いわゆる「タワマン節税」が横行しました。時価と相続税評価の乖離が大きくなるのを是正する為、今回の改正に至っています。
改正内容を簡潔に述べると区分所有補正率が導入され、築浅・高層階にあるマンションは、これまでの相続税評価額から増額するよう補正した処理が追加されます。当該記事で紹介している計算方法など最新情報を参考にして正しい評価額で申告しましょう。

マンション相続税評価額を下げる特例と節税ポイント

相続税には評価額を大幅に減額できる特例制度があり、適切に活用すれば数百万円から数千万円単位で税負担を軽減できます。特にマンション相続では小規模宅地等の特例の効果が大きく、要件を満たせば評価額を最大80%減額可能です。

小規模宅地等の特例

被相続人が居住または事業に使用していた宅地について、一定面積まで相続税評価額を大幅に減額できる制度です。マンションでは主に特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等が適用されます。

特定居住用宅地等(自宅マンション)

被相続人が居住していた自宅マンションについて、最大330㎡まで評価額を80%減額できます。

主な適用要件:

  • 配偶者が相続する場合、無条件で適用可能
  • 同居親族が相続する場合、相続税申告期限(10か月)まで居住継続・所有継続が必要
  • 同居していない親族(家なき子特例)、一定の要件を満たす場合に適用可能

マンションの場合、敷地権割合に応じた土地部分が特例の対象です。例えば専有面積が80㎡の場合、ある程度敷地権割合が大きくても330㎡の上限に達しないため、多くのケースで全額が特例対象になります。

貸付事業用宅地等(賃貸マンション)

被相続人が賃貸していたマンションについて、最大200㎡まで評価額を50%減額できます。

主な適用要件:

  • 相続後も相続税申告期限まで賃貸事業を継続すること
  • 相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等でないこと

ただし、相続開始前3年を超えて引き続き特定貸付事業(事業的規模)を行っていた場合は、3年以内に貸付を開始した宅地でも特例を適用できます。事業的規模は5棟10室基準が目安ですが、実務では戸数・賃料収入・管理状況等の総合判断となります。

併用時の注意点:
特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合、以下の調整計算式で上限を判定します。

  • 特定居住用の適用面積 + 貸付事業用の適用面積 × 200/330 ≦ 330㎡

小規模宅地等の特例を適用するには相続税申告が必須です。特例適用により税額がゼロになる場合でも期限内に申告しなければ特例が使えなくなるため注意してください。

配偶者の税額軽減と二次相続への配慮

配偶者の税額軽減(配偶者控除)は、配偶者が相続した財産について1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか大きい金額まで相続税がかからない制度です。マンションを配偶者が相続すれば多くのケースで相続税負担がゼロになります。

ただし配偶者が多額の財産を相続すると、その配偶者が亡くなった際の二次相続で子どもの税負担が重くなるリスクがあります。一次相続・二次相続を通じたトータルの税額シミュレーションが重要です。

マンション相続でよくある節税対策の注意点

タワーマンション節税の規制強化や賃貸不動産投資のリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

タワーマンション節税と総則6項のリスク

2024年から区分所有補正率の導入により、評価乖離が大きいマンションは評価額が増額調整されるため、節税効果が縮小しました。

さらに相続開始直前の購入や、明らかに租税回避目的と認められる取引については、税務署が財産評価基本通達6項(総則6項)を適用する可能性があります。総則6項とは「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定です。

令和4年4月の最高裁判決では、評価乖離の存在のみで直ちに通達外評価が許されるものではないとしつつ、租税回避目的など特段の事情がある場合には総則6項による評価も許容され得るとの枠組みが示されました。相続開始直前の取得など事案次第で否認リスクは残ります。

節税目的が明白な取引は否認リスクが高いため、過度な節税策は避けるべきです。

賃貸不動産投資のリスク

賃貸マンション経営は評価減効果がある一方で、空室リスク・修繕費用・管理の手間・換金性の低さといったデメリットもあります。相続後に相続人が管理できない、売却したくても買い手がつかない、といった事態も起こり得ます。

また借入金でマンションを購入する債務控除による節税も、返済負担や金利上昇リスクを考慮しなければなりません。節税対策を検討する際は相続税に強い税理士に相談し、法令遵守と実効性のバランスを取った計画を立てることをおすすめします。

監修者

徳永 圭

記事監修者からのワンポイントアドバイス

マンション節税に限らず、行き過ぎた節税をすれば「評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産」に該当し、例外規定である国税庁長官の指示を受けた評価(つまり時価)に是正される可能性があります。
また、金額の乖離とは別に購入目的についても問われます。相続発生が間近に迫ってから突然、賃貸経営・不動産投資を始める、売却までの期間が短い、などの状況を見て世間はどう見るでしょうか。税金を減らす為にやっているのでは?と思われるかもしれません。
税制は一般常識にとても敏感です。タワマン節税が最高裁(2022年)で否認された理由も「不公平」を是正するのが妥当と判断されたからです。事業目的を明確にし、直前になってからではなく早めの対策が重要となります。

マンション相続税評価額の計算事例

具体的な計算事例を通じて、マンションの相続税評価額がどのように算出されるかを解説します。自宅・賃貸・共有名義といった異なるパターンで評価額がどう変わるか、特例適用でどれだけ税負担が軽減されるかを見ていきましょう。

自宅マンションを相続した場合

ケース設定:
父が所有していた自宅マンションを長男が相続。相続人は配偶者(母)と長男・長女の3人。長男は父と同居していた。

物件情報:
建物固定資産税評価額1,200万円、土地(敷地全体)路線価250千円、面積3,000㎡、補正率1.0、敷地権割合1/150、利用状況自己居住

計算:
建物評価額=1,200万円、土地評価額=25万円/㎡×3,000㎡×1.0×1/150=500万円、マンション評価額(補正前)=1,700万円

小規模宅地等の特例適用後:
土地評価額(特例後)=500万円×20%=100万円、建物評価額=1,200万円(建物は減額対象外)、マンション評価額(特例後)=1,300万円

特例により400万円の評価減が実現しました。長男は父と同居していたため特定居住用宅地等の要件を満たし、相続税申告期限まで居住・所有を継続すれば特例を受けられます。

賃貸マンションを相続した場合

ケース設定:
父が投資用に所有していた賃貸マンション1棟(6戸)を長男が相続。全戸満室で賃貸中。

物件情報(1棟全体):
建物固定資産税評価額4,500万円、土地評価額6,000万円(路線価方式で算定済)、借地権割合70%、賃貸割合100%(全戸満室)

計算:
建物評価額(貸家)=4,500万円×(1-0.3×1.0)=3,150万円、土地評価額(貸家建付地)=6,000万円×(1-0.7×0.3×1.0)=4,740万円、賃貸マンション評価額=7,890万円

自用の場合(1億500万円)と比較すると、賃貸により2,610万円の評価減となります。

小規模宅地等の特例(貸付事業用)適用:
敷地が500㎡の場合、200㎡分は特例対象、残り300㎡分は通常評価となります。特例による減額=4,740万円×200/500×50%=948万円、土地評価額(特例後)=3,792万円、賃貸マンション評価額(特例後)=6,942万円

共有名義マンションの相続

ケース設定:
父と母が共有名義(持分各1/2)で所有していた自宅マンションを、父の死亡により母と子2人が相続。

物件情報:
マンション全体の評価額3,000万円(建物2,000万円+土地1,000万円)、父の持分1/2

相続対象となる評価額:
父の持分1/2のみが相続財産となるため、3,000万円×1/2=1,500万円

遺産分割:
母が父の持分すべてを相続し、マンションの単独所有者となる。子2人は他の財産(預金等)を相続。

配偶者控除と小規模宅地等の特例:
土地部分(500万円)に80%減額を適用すると100万円、父持分の評価額(特例後)=1,100万円、配偶者控除により母の相続税負担はゼロ

共有相続は将来的に売却や建替えの際に全員の同意が必要となり、意思決定が困難になる可能性があります。可能であれば代償分割または換価分割を検討し、共有状態を避けることをおすすめします。

マンション相続税評価額に関する手続き・注意点

マンション相続では評価額の算出だけでなく、名義変更(相続登記)や評価額を証明する書類の準備、相続税申告など複数の手続きが必要です。2024年4月からは相続登記が義務化され、怠ると過料が科されるリスクもあります。

相続登記の義務化と手続き

相続登記は2024年4月1日から義務化されました。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。施行日前の相続についても、2024年4月1日から3年以内の申請が義務づけられています(経過措置)。

手続きの流れ:

  • 遺産分割協議の実施と協議書作成(相続人が複数の場合)
  • 必要書類の収集(戸籍謄本、印鑑証明書、固定資産税評価証明書など)
  • 登記申請書の作成
  • 法務局への申請
  • 登記完了(1~2週間程度)

費用:

  • 登録免許税は固定資産税評価額の0.4%、司法書士報酬(依頼する場合)は5万円~15万円程度

遺産分割協議がまとまらず3年以内に登記できない場合は、相続人申告登記という暫定措置を利用できます。これは「相続が発生したこと」だけを登記する簡易な手続きで、義務違反のペナルティを回避できます。

評価額の確認に必要な書類

固定資産税課税明細書:
毎年4~6月頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書に同封されており、建物と土地の固定資産税評価額が記載されています。紛失した場合は市区町村の資産税課で固定資産税評価証明書を取得できます(手数料数百円)。

登記事項証明書:
法務局で取得でき、敷地権割合や物件の所在・面積などが記載されています。手数料は1通480円~600円程度です。

路線価図・評価倍率表:
国税庁ホームページの「財産評価基準書」で毎年7月に公表されます。土地の所在地を入力すれば該当する路線価や評価倍率を無料で確認できます。

区分所有補正率の計算:
2024年以降の相続では、国税庁が公開している「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」を使用して区分所有補正率を計算できます。築年数・総階数・所在階・敷地持分などの情報を入力すれば自動計算されますが、計算が複雑なため税理士に依頼するのが確実です。

専門家への相談が必要なケース

以下のようなケースでは専門家への相談を強くおすすめします。

税理士に相談すべきケース:

  • マンションの評価額が高額(5,000万円以上)または遺産総額が基礎控除を大きく超える
  • タワーマンションなど区分所有補正率の計算が必要
  • 賃貸マンションで賃貸割合や貸家建付地評価の判定が複雑
  • 小規模宅地等の特例の適用要件が微妙(同居の有無、家なき子特例など)
  • 複数の不動産や特例を併用するケース

司法書士に相談すべきケース:

  • 相続人が多数または相続関係が複雑
  • 遺産分割協議がまとまらないまたは協議書の作成に不安がある
  • 相続登記の書類収集・申請を代行してほしい

税理士と司法書士は連携して業務を進めるケースも多いため、どちらか一方に相談すれば他方を紹介してもらえることもあります。

まとめ

マンションの相続税評価額は建物(固定資産税評価額)と土地(路線価×敷地権割合)を合計して算出します。2024年以降、居住用の区分所有財産については区分所有補正率が適用され、特に築浅・高層階・敷地持分が小さい物件では増額となる場合があります。賃貸マンションは評価額が減額され、小規模宅地等の特例を活用すれば最大80%の評価減が可能です。

相続登記は3年以内に義務化されており、適切な評価と期限内の申告が不可欠です。評価ミスは過少申告による加算税リスクまたは過大納税につながるため、複雑なケースや高額物件では専門家への相談をおすすめします。

相続財産センターでは、相続税に強い税理士を無料でご紹介しています。マンション相続の評価額算定から特例適用、申告手続きまで一貫してサポートできる専門家が、お客様の状況に最適なアドバイスを提供します。評価ミスや手続き漏れを防ぎ、安心して相続手続きを進めるために、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. マンションの評価額はどこで確認できますか?

建物評価額は固定資産税課税明細書の「家屋の価格」欄で確認できます。土地評価額は国税庁の路線価図で路線価を確認し、登記事項証明書の敷地権割合を用いて計算します。

Q2. タワーマンションや高層階の評価は変わりますか?

2024年1月以降の相続では区分所有補正率により、築浅・高層階・敷地持分が小さい等の条件では増額となる場合があります(具体的倍率は物件条件により異なります)。条件次第では補正なし(従来評価のまま)となる場合も多くあります。

Q3. 相続税評価額と実際の売却価格はなぜ違うのですか?

相続税評価額は路線価(一般に公示地価の概ね80%程度とされる水準)や固定資産税評価額(一般に時価の概ね70%程度とされる水準)といった公的指標で画一的に算定されます。市場価格は需要と供給で決まる実勢価格であり、個別の物件の魅力は反映されないため乖離が生じます。

Q4. 賃貸中のマンションでも特例は使えますか?

使えますが、貸付事業用宅地等の特例(200㎡まで50%減額)が適用されます。被相続人が相続開始直前まで賃貸事業を営んでおり、相続人が申告期限まで賃貸事業を継続することが要件です。また、相続開始前3年以内に新たに貸付事業を開始した宅地でないことも条件です(ただし3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っていた場合は適用可能)。

Q5. 専門家に相談するメリットは?

正確な評価額算定、特例適用の最適化、税務調査リスクの軽減が期待できます。評価額1億円のマンションで小規模宅地等の特例を適用し忘れた場合、数百万円単位で税負担が増える可能性があるため、費用対効果は高いといえます。

この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭(税理士)
大学で財務会計ゼミに入ったことがきっかけとなり税理士資格を取得。総合不動産会社、不動産証券化(SPC)特化型事務所、総合会計事務所を経て令和へ年号が変わるとともに開業。これまでの職歴から不動産周りの税務会計、資産税(相続)に強みがあります。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部

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