相続税非課税財産の判断基準を解説!生命保険金・仏壇・寄附の実務ポイント

相続税非課税財産の判断基準を解説!生命保険金・仏壇・寄附の実務ポイント
最終更新日:2026/02/26
この記事の監修者
松井 信行 公認会計士・税理士事務所
所長 松井 信行 (税理士・公認会計士)
相続税には墓地・仏壇などの祭祀財産、生命保険金・死亡退職金の一定額、公益法人への寄附財産など、課税対象外となる財産があります。ただし、骨董的価値のある仏具や投資目的の購入は非課税と認められないケースもあり、実務では線引きの判断が難しい場面も。本記事では、相続税の非課税財産について税理士が実際に受ける質問をもとに、実務的なポイントを解説します。

相続税の非課税財産とは何か

相続税の非課税財産とは、相続や遺贈で取得した財産のうち、その性質や政策的な配慮などから税法上課税対象とならない財産です。墓地・墓石・仏壇・仏具などの祭祀財産は原則金額に関わらず非課税で、生命保険金・死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。また、国や地方公共団体、公益法人への寄附財産、心身障害者共済制度の給付金を受ける権利なども非課税です。ただし骨董的価値がある仏具や商品として所有する祭祀財産は課税対象となるため、実際の使用目的や購入経緯が重要な判断基準となります。

相続税の非課税財産でよくある質問

相続税の非課税財産は実務での判断が難しいケースも多く、線引きに迷う場面が数多くあります。ここからは、実際に寄せられた質問をもとに、税理士視点で見落としやすいポイントや注意点について解説していきましょう。

生命保険金の受取人が孫や配偶者の親など相続人以外の場合の非課税枠

質問: 被相続人が契約者(保険料負担者)・被保険者の生命保険で、受取人が孫(相続人ではない)になっています。この場合も500万円×法定相続人の数の非課税枠が適用されますか?

監修者:松井信行先生

生命保険金の非課税限度額が適用されるのは相続人が受け取った保険金のみです。孫や配偶者の親など相続人以外が受取人の場合、非課税枠は適用されず、受け取った保険金全額がみなし相続財産として課税対象となります。さらに相続人以外や被相続人の1親等の血族以外の者が財産を取得すると相続税額の2割加算も適用されるため、税負担が大きくなります。保険契約を見直す際は受取人の設定に注意してください。

会社から支給される金銭が退職金なのか弔慰金なのか

質問: 被相続人の勤務先から「弔慰金」として300万円支給されましたが、退職金規程には退職金の定めもあります。どちらとして扱えばよいでしょうか?

松井信行先生

死亡を理由に会社から支給を受けた金員はその名目でなく実質的な内容で判断します。どちらか判定が難しい場合は便宜的に業務外の死亡なら給与の半年分、業務上の死亡なら3年分までは弔慰金として非課税、それを超える部分は退職金として扱います。実務では支給決定の議事録や就業規則・退職金規程などで内訳を確認し、弔慰金部分と退職金部分を区分して申告します。不明確な場合は税務調査で指摘されるリスクがあるため、会社に明細の発行を依頼してください。

葬儀で受け取った香典の扱い

質問: 葬儀で多額の香典を受け取りましたが、これは相続財産に含めて申告する必要があるのでしょうか?

松井信行先生

香典は葬儀費用に充てられることが一般的であり、故人の財産ではなく葬儀を執り行う喪主や遺族のものと考えられます。そのため、香典は相続財産に含めて申告する必要はありません。尚、香典は社会通念上相当と認められる範囲であれば贈与税も課税されませんが、贈与者と受贈者の関係等に照らして極端に高額な場合は課税対象となる可能性があります。実務では香典帳で受領金額を記録しておき、税務調査で問われた際に社会通念上の範囲内であることを説明できるようにしておくと安心です。

数百万円する高価な仏壇や美術品的価値がある仏具は非課税になるのか

質問: 被相続人が生前に500万円の仏壇と、美術品としても価値がある高価な香炉を購入していました。これらも祭祀財産として非課税になりますか?

松井信行先生

祭祀財産は原則非課税ですが、骨董的価値があるなど投資の対象となるものは課税対象です。実務では宗派や家の規模に見合った価格か、実際に日常礼拝で使用しているか、購入時期が相続直前ではないかなどが判断材料となります。明らかに節税目的で購入した高額な仏具や美術品としての価値が主である香炉などは税務調査で一般財産として課税される可能性があります。購入の経緯や使用実態を説明できる証拠を残しておくことが重要です。

個人年金保険から支払われる死亡一時金と年金受給権

質問: 被相続人が加入していた個人年金保険について、保険会社から「死亡一時金を受け取るか年金で受け取るか選択できる」と言われました。税金の扱いは変わりますか?

松井信行先生

被相続人の個人年金を相続人が死亡一時金として受け取る場合は生命保険金等の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されますが、年金形式で受け取る場合は年金受給権として評価されて非課税枠の適用はありません。年金受給権は将来受け取る年金の現在価値を計算して相続財産に計上し、実際に年金を受け取る際はその一部が所得税の課税対象となります。一時金形式の方が非課税枠を活用できるため税負担が軽くなるケースが多いですが、年金形式の場合は運用益によって受給総額が増えることもあるため受取総額や税率なども考慮して判断する必要があります。

相続財産を公益法人に寄附する場合の手続き

質問: 相続した財産の一部を地元の福祉法人に寄附したいのですが、申告期限後でも非課税扱いになりますか?

松井信行先生

相続財産を寄附して相続税の非課税とするには、相続税の申告期限(相続開始から10カ月以内)までに実際に寄附が完了している必要があるため、申告期限後の寄附は非課税の対象になりません。また、寄附先は国・地方公共団体・特定の公益法人・認定NPO法人などに限られており、全ての団体が対象ではありません。実務では寄附先の法人格証明書や寄附を証する書類を申告書に添付する必要があるため、早めに寄附先と相談して手続きを進めるようにしてください。

まとめ

相続税の非課税財産には墓地・仏壇などの祭祀財産、生命保険金・死亡退職金の一定額、公益法人への寄附財産などがあり、これらを正しく理解することで適正な申告と節税が可能になります。実務では受取人が相続人以外の生命保険金、弔慰金と退職金の区分、骨董的価値のある仏具の判断など、線引きが難しいケースも多く、専門的な判断が求められます。

特に注意すべきは、生命保険金の非課税枠は相続人が受け取った分のみに適用されること、香典は社会通念上の範囲内なら申告不要であること、公益法人への寄附は申告期限までに完了させる必要があることなど、細かな要件の確認が不可欠です。また、高額な仏壇や美術品的な仏具は課税対象となる可能性があるため、購入時期や使用実態が重要な判断材料となります。

相続財産センターでは、相続税申告の実務経験が豊富な税理士を無料でご紹介しています。非課税財産の判断に迷う場合や、生前対策を検討される際は、1995年の創業以来40万件以上の相続相談実績をもとに、お客様に最適な税理士をご案内いたします。相続税でお悩みの方は、ぜひ専門家へご相談ください。

この記事の監修者
松井 信行 公認会計士・税理士事務所
所長 松井 信行 (税理士・公認会計士)
大学卒業後、東京で大手IT企業や監査法人にて情報システムの新規事業企画や会計士としての実務に長年携わる。その後、自身が相続を経験したことを契機として2014年に相続専門の個人会計事務所を地元で開業。現在は阪神間(主に神戸市・芦屋市・西宮市)で相続税をはじめとする各種税務申告や生前の相続対策相談など、相続に纏わる様々なサービスを数多く手掛けている。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部

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