相続財産の金融資産とは?預貯金・株式・保険金の評価と節税対策の疑問に税理士が答える!

相続財産の金融資産とは?預貯金・株式・保険金の評価と節税対策の疑問に税理士が答える!
最終更新日:2026/03/26
この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭(税理士)
「親の預貯金や株式をどう相続すればいいのか」「名義が違う口座は誰のものになるのか」と、相続発生後に初めて金融資産の複雑さに気づく方は少なくありません。金融資産の相続では、評価方法・手続き期限・名義の扱いの3点に落とし穴が集中しています。不動産と違い分割しやすい一方、見落としによる申告漏れや税務調査リスクは高く、税理士の関与なしに進めることには注意が必要です。

金融資産の相続税申告で問われる範囲と評価の基本

金融資産とは、現金・預貯金・上場株式・投資信託・公社債・生命保険の解約返戻金など、形はないが財産として換算できる資産の総称です。相続においては「時価で評価される」という点が不動産との大きな違いであり、評価方法や手続きルールを誤ると過大申告・過少申告のいずれにも直結します。

相続税の課税対象となる主な金融資産と評価の考え方は次のとおりです。

  • 預貯金(普通・定期・外貨口座を含む):
    口座残高の額面で評価されます。定期預金は死亡日に解約した場合に受け取れる利息(税引き後)を加えた金額が評価額となります。
  • 上場株式・投資信託:
    相続開始日の終値を基本としつつ、相続開始月・前月・前々月の終値月平均と比較して、4つのうち最も低い価額を採用できます。相続人に有利な選択が認められている点が預貯金との大きな違いです。
  • 生命保険の死亡保険金:
    民法上は受取人固有の財産ですが、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります。法定相続人1人当たり500万円の非課税枠が設けられており、節税手段としても活用されます。

なお、預貯金は評価がシンプルである反面、名義人が誰かではなく「誰の資金で形成されたか」で帰属が判断されます。妻や子ども名義の口座であっても、実質的に被相続人の収入で積み立てられていれば「名義預金」として相続財産に含まれるため、家族間の資金移動の履歴は重要な判断材料になります。

金融資産の相続でよくある疑問・質問

金融資産の相続は手続きの数が多く、判断を誤りやすいポイントが随所に潜んでいます。実際に税理士のもとへ寄せられた質問をもとに、実務に即した解説をお届けします。

金融資産が多い場合、相続税を減らす方法はあるか?

質問: 親の財産はほぼ預貯金と株式です。不動産がないので相続税が高くなると聞きました。何か対策はありますか。

徳永圭先生

金融資産は時価がそのまま評価額になるため、不動産のような評価減が効きません。有効な対策は大きく2つあります。
1つ目は生命保険への組み替えで、一時払い終身保険に預貯金を充てることで「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を活用でき、課税対象となる金融資産を圧縮できます。
2つ目は投資用不動産への組み替えで、現金1億円より時価1億円の不動産のほうが相続税評価額は低くなる傾向があります。
ただし、相続直前の購入・申告後の即売却は課税逃れと判断されるリスクがあります。いずれも生前に時間をかけて準備することが前提で、どの手法が適切かは財産総額や家族構成によって異なるため、早めに税理士に相談することをおすすめします

生前贈与で子に金融資産を移す場合、何に気をつければいいか?

質問: 毎年110万円の範囲で子に現金を贈与すれば相続税が減ると聞きました。何か落とし穴はありますか。

徳永圭先生

暦年贈与の110万円非課税枠は有効な手段ですが、3点の注意が必要です。
第1に、2024年1月以降の贈与は相続開始前7年以内の分が段階的に相続財産へ持ち戻されます(2031年以降は完全に7年前まで加算対象)。効果を出すには早期に継続することが前提です。
第2に、毎年同額・同時期の贈与は「定期贈与」と認定され、まとまった一括贈与として贈与税が課される場合があります。金額や時期を毎年変え、都度贈与契約書を作成してください。
第3に、受け取る側の口座に実際に入金し、子本人が通帳・印鑑を管理していることが贈与の成立要件です。親が管理する「子名義の口座」は名義預金として相続財産に戻されるリスクがあります。

預金口座が凍結されたとき、葬儀費用の支払いはどうなる?

質問: 父が亡くなった翌日に銀行へ連絡したところ口座が凍結されました。葬儀費用の支払いがあるのに、どうすればよいですか。

徳永圭先生

口座凍結後でも、2018年改正(2019年7月施行)により相続人であれば家庭裁判所の判断なしに1金融機関あたり最大150万円まで仮払いを受けられます(民法909条の2)。
計算式は「預金残高×1/3×法定相続分」で、この金額を各金融機関の上限150万円の範囲内で引き出せる制度です。複数の口座がある場合は金融機関ごとに手続きが必要で、戸籍謄本・相続人の印鑑証明書等の書類を用意してから窓口へ相談してください。緊急性が高い場合は葬儀前に書類を準備しておくと安心です。

妻名義の預金が夫の相続財産に含まれるのはどういう場合か?

質問: 妻の名義の預金口座があるのに、税務署から「これも相続財産では」と指摘されると聞きました。どういうことですか。

徳永圭先生

これが「名義預金」の問題です。口座名義が誰であるかに関わらず、その資金を誰が拠出したかで帰属が判断されます。専業主婦である妻が夫の給与を管理して積み立てた場合、実質的には夫の財産とみなされ、夫の死亡時には相続財産に計上しなければなりません。税務調査でも最も指摘件数が多い論点の一つです。
逆に、妻が自分の給与や贈与を原資として管理していれば問題ありません。通帳・印鑑の管理者や入金の履歴を整理しておくことが、申告後のトラブル防止に直結します。

金融資産が多いとき、相続人間での分け方はどう決めるか?

質問: 兄弟3人で相続することになりました。預貯金と株式が中心ですが、誰がどう受け取るか、揉めずに決める方法はありますか。

徳永圭先生

金融資産は不動産と異なり分割しやすい反面、「誰がどの口座・銘柄を引き継ぐか」を具体的に遺産分割協議書へ記載しなければ、金融機関での手続きが進みません。実務上よく使われるのは、預貯金を法定相続分に従って解約後に按分する方法(換価分割)と、口座・銘柄ごとに相続人を割り当てる方法の2つです。株式は名義変更が銘柄ごとに必要で、相続人が証券口座を持っていない場合は新規開設も必要になります。
また、特定の相続人が単独で不動産を取得し、その代償として他の相続人へ預貯金を支払う手法も金融資産が多い場合には有効な選択肢です。協議が整わないまま10ヶ月の申告期限を迎えると未分割のまま仮申告が必要になり、各種特例が使えなくなるケースもあるため、早めに専門家を交えて協議を進めることをおすすめします。

生命保険の受取人や契約パターンによって税金の種類が変わるとはどういうことか?

質問: 夫が亡くなり死亡保険金を受け取りましたが、契約の仕方によって税金の種類が変わると聞きました。どういう仕組みですか。

徳永圭先生

死亡保険金にかかる税金は、契約者・被保険者・受取人の組み合わせで次のように変わります。契約者と被保険者が夫で受取人が妻や子の場合は相続税の対象となり、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が使えます。契約者と受取人が同一人物(例:子が父に保険をかけ受取人が自分)の場合は所得税の対象です。契約者・被保険者・受取人がすべて異なる場合(例:夫が妻に保険をかけ、受取人が子)は贈与税の対象となり非課税枠は使えません。節税目的で保険を活用するなら「契約者と被保険者が同じ・受取人が法定相続人」の組み合わせが基本です。加入済みの保険については保険証券で契約形態を確認し、不明な場合は税理士に相談してください。

まとめ

相続財産の中でも金融資産は「分けやすい」反面、名義預金・申告漏れ・契約形態の誤認という複数のリスクが重なりやすい領域です。節税の観点では生命保険の非課税枠の活用と早期の生前贈与が有効ですが、どちらも準備に時間がかかるため生前からの対策が前提となります。相続が発生してからでは打てる手が限られるという点を念頭においてください。
相続財産センターでは、1995年の創業以来40万件以上の相談実績をもとに、相続に強い税理士を無料でご紹介しています。「まず何から手をつければいいか分からない」という段階でもお気軽にご連絡ください。

この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭(税理士)
大学で財務会計ゼミに入ったことがきっかけとなり税理士資格を取得。総合不動産会社、不動産証券化(SPC)特化型事務所、総合会計事務所を経て令和へ年号が変わるとともに開業。これまでの職歴から不動産周りの税務会計、資産税(相続)に強みがあります。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部

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