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相続税にも時効がある?「無申告」が見つかったら、どうなるのか

相続税にも時効がある?「無申告」が見つかったら、どうなるのか

2022年11月4日

親族が亡くなって相続になった場合、遺産が一定額以上だと、相続税の納税義務が生じます。ところで、この相続税にも「時効」があるのをご存知でしょうか。しかも、その期間は「善意の相続人」「悪意の相続人」で違ってくるのです。両者の判断基準はどこにあり、具体的には何年なのか? もし時効前に「無申告」がバレたらどうなるのかも、併せて解説します。

相続税の時効は5年ないし7年

そもそも時効とは?

相続税の納税にも時効があります。「時効」というのは、ある事実状態(この場合は相続税の未納)が一定期間継続した場合に、その状態を法的に認める制度をいいます。相続税の時効が成立すれば、税金を納めていなくてもその義務から免れることになるのです。

いつからカウントする?

時効については、「期間をいつから数え始めるのか?」が重要なポイントですが、相続税では、「申告期限の翌日」が起算日に設定されています。相続税の申告期限は、「被相続人(亡くなった人)の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内」と定められています。

例えば、被相続人が1月6日に死亡した場合には、その年の11月6日が申告期限。ですから、11月7日から時効のカウントが始まるわけです。相続が発生した1月6日ではありません。

「善意の相続人」は5年、「悪意」なら7年

問題の時効の期間ですが、「善意の相続人」は5年、「悪意の相続人」は7年と定められています。法律的な「善意」「悪意」というのは、社会通念上の理解(いい人、悪い人)とは違い、「知らなかった(善意)」か、「知っていた(悪意)」かで判断されます。

●時効が5年:善意の相続人とは?

通常は、相続税の時効は5年です。これは、「相続税の納税義務があることをまったく知らなかった人」について適用されます。善意の相続人であれば、相続税の申告期限が過ぎてから5年が経過しても税務署からの通達が届かなければ、相続税の納税義務は消滅します。

例えば、長年、一切の交流を絶った状態だった親が亡くなり相続になったとしましょう。周囲が連絡を取ろうと思っても、その方法もなく、自分に相続の権利が発生していたことを知る由もなかった。そのように判断される場合には、善意の相続人とみなされるでしょう。

また、被相続人の遺産が相続税の基礎控除額(※)以下だと信じて申告しなかったものの、申告期限を5年過ぎてから、誰も存在を知らなかったタンス預金が見つかった、というようなケースもこれに該当する可能性があります。

ただし、善意の相続人かどうかを判断するのは、税務署です。相続人は、自分が相続税を申告する必要性を知りえない立場であったことを、客観的に明らかにしなくてはなりません。

※相続税の基礎控除額 「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求める。遺産がこの金額以下なら、相続税は課税されない。

●時効が7年:悪意の相続人とは?

では、悪意の相続人とされるのは、どういう場合なのでしょうか? これは、「申告期限を過ぎても相続税の納税を行わない人のうち、善意の相続人以外のケース」というのが正確でしょう。意図的に相続税を逃れようとするのはもちろん、申告を忘れていたような場合も、「知らなかった」のとは違い、「悪意」とみなされるのです。

あらためてまとめると、次のようなケースが考えられるでしょう。

  • ・申告の必要があるのを知りながら、税逃れの目的でそれをしなかった場合
  • ・遺産分割がまとまらず、申告期限を過ぎた場合(このような場合には、申告期限までにいったん法定相続分に従った遺産分割を行い、納税する必要がある)
  • ・申告期限をうっかり忘れていた場合
  • ・納税資金が確保できずに期限を過ぎた場合
  • ・申告後にタンス預金などを見つけたものの、申告し直さなかった場合

悪意の相続人の場合には、時効は7年に延長されます。

時効を「乗り切る」可能性はあるか

税務署の調査権限は絶大

相続税の時効について説明してきましたが、残念ながら、実際には時効になって税の支払いを免れる可能性は、ほとんどありません。「相続税に時効があるのならば、少なくとも税務署から督促があるまで、申告・納税を待ってみよう」と考えるは、無意味であるばかりでなく、実行すれば後で述べるようなペナルティのリスクがありますから、やめるべきです。

相続税を「脱税」しようと思ったら、被相続人の財産を隠すしかありません。しかし、税務署に対してそれを行うのは、極めて困難です。例えば、不動産の譲渡(名義変更)を行えば、その情報は当局に直に届きます。税務署は、当然被相続人の納税の状況を把握していますから、どのくらいの資産を形成しているのかも見当がつけられるでしょう。

また、税務署は、関係者の銀行口座も調べる権限を持っています。相続に関していえば、被相続人だけでなく相続人の口座も対象です。税務署から情報提示の要請があった場合には、原則として金融機関はそれに応えなくてはなりません。そうして集めた情報と、相続税の申告状況に齟齬(無申告、過少申告)があれば、見逃されることはありません。

「税務調査」に 入ることもある

税務署は、被相続人の財産をより正確に把握するために、「税務調査」を行うこともあります。被相続人が住んでいた家などを訪れ、「隠し財産」がないかなどを調査するのです。相続税の税務調査は、ある程度まで“クロ”の確証をつかんでから行われますから、多くの場合、以下に述べるような追徴課税というペナルティが課せられることになります。

相続税を申告しなかった場合のペナルティとは?

申告すべき相続税を申告していないことが税務署にバレた場合には、本税(本来支払うべき税額)に加えて、次のような「加算税」「延滞税」が課せられることになり、税を逃れるどころか、大きな経済的損失になります。申告期限から日を重ねるほど、延滞税が嵩んでいくことにも注意が必要です。

無申告加算税

名前の通り無申告の場合に課せられるペナルティですが、税務調査の前後で、税率に次のような違いがあります。

◆税務調査を受ける前
・納付すべき税額に対して5%

◆税務署の通知を受けてから税務調査を受けるまで
・納付すべき税額に対して50万円まで:10%
・同50万円を超える部分:15%

◆税務調査を受けた場合
・納付すべき税額に対して50万円まで:15%
・同50万円を超える部分:20%

重加算税

「隠蔽」や「偽装」など意図的に申告内容を操作して、税を逃れようとしたと判断された場合には、税率がより高い「重加算税」が課せられることがあります。

◆申告・納付はしたものの、意図的に相続税を少なく申告していた場合:納付すべき税額に対して35%
◆申告も納付もせず、意図的に税から逃れようとした場合:同40%
◆相続税の申告期限が2017年1月1日以降に到来するもので、過去5年以内に同じ税目(相続税)に関して無申告加算税か重加算税が課されたことがある場合:同50%

延滞税

いわば税の支払いが遅れた分に対する利息です。

◆納付期限を過ぎた翌日から2か月以内:年7.3%(2022年末までは、特例として年2.4%)
◆納付期限から2か月を過ぎた場合:年14.6%(2022年末までは、同じく8.7%)

まとめ

相続税には、通常5年(善意の相続人)の時効があり、悪意の相続人と認められるときには、7年に延長されます。ただし、無申告のまま時効を迎えることは、まずないと考えてください。現状、税務署から連絡がないといっても、安心はできません。申告の必要があるのに期限を過ぎている場合には、速やかに税理士に相談し、対処するようにしてください。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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