相続の相談は弁護士・税理士・司法書士・行政書士
どの専門家にすればいい?パターン別で解説

相続の相談は弁護士・税理士・司法書士・行政書士  どの専門家にすればいい?パターン別で解説
公開日:
2019/10/17
最終更新日:
2021/10/05
 
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相続はめったにあることではありませんが、いざそのときになったら、多くの「決めなくてはいけないこと」「やるべきこと」に迫られます。

  • 相続税の申告が必要なのか分からない。必要な場合はどうすればいい?
  • 不動産の名義変更は誰かに依頼できる?
  • 遺産の分け方でトラブルが発生した!

こういった状況でお悩みではありませんか?今回は、相続においてどの専門家に依頼すればよいか、ケースごとに詳しく解説します。

相続の流れと専門家のできること

まずは、相続の流れを見ていきましょう。相続は、おおまかに

相続財産および相続人 の調査・確定
遺産分割
相続財産(不動産など)の名義変更
相続税が発生する場合には、その申告・納税

という流れで進みます。

遺産分割は、被相続人(亡くなった人)の遺言書 があれば、基本的にその内容通りに行われ、遺言書のない場合には、相続人全員による話し合い(遺産分割協議) によって決定されます。
また、相続税の申告は、被相続人が亡くなった日から10ヵ月以内に行わなければならないことになっています。

専門家&できる仕事 まとめ

以上を踏まえて、相続に関わる可能性のある「士業」と、「それぞれのできる主な仕事」をまとめてみました(国家資格を持つ士業には、その資格を持っていないとできないこと=「独占業務」もあります)。

名称 できる仕事
弁護士
  • 遺言書の作成
  • 相続人調査、相続財産調査
  • 遺産分割協議の代理人
  • 遺産分割協議書(遺産分割協議で決まった事柄を記載し、
    相続人が署名捺印する)の作成
  • 遺産分割協議がまとまらない場合に、家庭裁判所で行われる調停などの代理人
司法書士
  • 遺言書の作成
  • 相続人調査、相続財産調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 不動産の相続登記(所有権移転)
行政書士
  • 相続人調査、相続財産調査
  • 遺言書の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 車や株式などの名義変更手続き
税理士
  • 相続人調査、相続財産調査
  • 相続財産の評価
  • 相続人に対する税の観点からの遺産分割のアドバイス
  • 遺産分割協議書の作成(税理士は行政書士登録もできる)
  • 相続税の申告
信託銀行
  • 遺言信託(遺言書作成の相談から遺言執行までの一連の手続きの代行)

「弁護士に丸投げ」は要注意

実は、弁護士は登録さえすれば、税理士事務所の看板を掲げることもできます。ならば、遺言書の作成から税務申告まで一気通貫で頼める弁護士がいいのでは、と思うかもしれませんが、実態的には「税金のことがわかっている弁護士さん」は、ほんの一握り。やはり、「餅は餅屋」の世界だと考えてください。

相続のパターン別「依頼すべき専門家」

では、どの士業の先生に頼めばいいのか? それは、相続財産の規模や中身、遺産分割協議の成り行きなどによって異なります。

税理士に依頼できること

相続税には、基礎控除(※)が定められていて、遺産の総額がそれを上回る場合には、相続税の納税が必要になります。2015年にこの基礎控除が大幅に引き下げられた結果、課税対象になる事例が増えました。税の申告が必要なレベルの相続では、その分野に強い税理士の力を借りることをお勧めします。
例えば、相続税には、税を大幅に減額できるいくつかの特例が設けられています。ただし、適用を受けるためには、当然、定められた要件をクリアしなくてはなりません。専門的な知識を持ったプロでなければ、的確なフォローを受けるのは難しいでしょう。

税理士には、遺産分割協議を主導的にまとめることは、認められていません。ただ、節税の観点からアドバイスすることはできます。特定個人の代理人となる弁護士と違って、相続人全員の立場に立って、協議がまとまるように話をしてもらえるのも、税理士に依頼するメリットと言えるでしょう。

※相続税の基礎控除:亡くなった人の保有財産のうち、一定金額までは相続税の申告(納税・申告書の提出)をしなくていい、ということです。
【よくあるケース】相続税の申告について相談したい

上記の通り、相続税申告書の作成は税理士でないと難しいと言われています。自分で申告を行った場合は、税金を高く払いすぎてしまう可能性が高いためです。
また、税務署に相談することもできますが、基本的なことだけしか教えてくれず、最適な節税対策等は教えてくれないため、結果的に税理士に依頼するケースが多いです。
相続税申告で税理士に依頼した場合の金額(報酬)は、遺産の総額により異なりますので、まずはいったん税理士に相談してどれくらいかかるかを聞いてみるのも良いでしょう。
ちなみに、相続税申告書の作成業務は他の士業が行ってはいけない税理士の「独占業務」ですので、弁護士・司法書士・行政書士には依頼できません。

【よくあるケース】既に税理士に依頼しているが、相続対策が出来ていなかったので、他の税理士に変更したい

税理士に依頼する場合は、必ず「相続に強い税理士」を選ぶようにしましょう。税理士にも得意不得意がありますので、相続に疎い税理士に依頼してしまわないよう注意が必要です。

司法書士に依頼できること

相続財産に土地、建物などが含まれる場合、被相続人から相続した人への名義変更を行うことになります。そのときに必要な不動産の登記も、素人には難しいものです。その道の専門家である司法書士に任せるべきでしょう。
実際の相続では、不動産を売却し、現金化して分けることもあります。その場合には、一度相続人に名義変更したのち、売却する相手に所有権移転登記をしなければなりません。こうした手続きをミスなくスムーズに行うためには、司法書士の関与が不可欠なのです。

【よくあるケース】不動産の名義変更を行いたい

相続登記は他の士業が行ってはいけない司法書士の「独占業務」のため、不動産の名義変更について相談できるのは司法書士のみとなります。
相続登記自体は自力で行うことも出来なくはないですが、手間がかかったり、後で登記の修正ができなかったり…とリスクがかなり大きいため、専門家である司法書士に相談するのがおすすめです。

【よくあるケース】相続発生後の預貯金や有価証券の名義変更手続きや解約を依頼したい

預貯金や有価証券の名義変更の手続きや解約についての相談先として挙げられるのは、司法書士・行政書士・信託銀行です。
もし遺産の中に不動産が入っている場合は、司法書士に相談するのがおすすめです。預貯金や有価証券の名義変更・解約と一緒に不動産の相続登記も依頼できます。逆に、遺産の中に不動産が入っていない場合は行政書士に相談するのが良いでしょう。
遺産が多額(2億円以上)の場合は信託銀行に相談するという方法もあります。ただし、信託銀行のサービスは金額が高めに設定されていることが多いため、遺産が多額でない場合は信託銀行を通さず各専門家に直接お願いしても良いかもしれません。

弁護士に依頼できること

相続が揉め事になるのも、珍しいことではありません。 そうなった場合に、自分の主張を通すために依頼する法律の専門家が弁護士です。身内だけの話し合いでは決着がつかず、調停や裁判になったときにも、代理人として働いてもらえます。
ただし、弁護士を頼むのは、基本的に「争いが起こって、自分では解決が難しい」という局面になってから、と考えるべきです。遺産分割協議の最初から代理人を立てたりすれば、他の相続人から「いきなり戦闘モード」と受け取られ、かえって話し合いをしにくくする可能性があります。

【よくあるケース】遺産相続の争いごとを何とかしたい

相続に関する争いごとを相談するなら、上記の通り弁護士に相談しましょう。

【よくあるケース】遺留分侵害額請求を行いたい

遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)とは、例えば、遺言者(亡くなった人)が特定の相続人や第三者に財産の全てを譲るという遺言を残したとして、そうなると財産の取り分が全く無い相続人も出て来てしまうことになります。こういったケースのための救済策として「遺留分侵害額請求」があります。
遺留分侵害額請求の書面作成は弁護士だけでなく司法書士や行政書士でも可能ですが、遺留分の額の交渉等が発生する可能性も考慮して、弁護士に依頼するのが良いでしょう。
ただし、遺留分侵害額請求には時効があるため、なるべく早めに弁護士に依頼しましょう。

【よくあるケース】相続放棄の手続きを行いたい

相続放棄とは、その名称の通り、財産や債務を全て放棄することです。相続財産のうち、多額の借金がある場合は、相続放棄を選ぶ人も少なくありません。
相続放棄については、弁護士か司法書士に相談しましょう。司法書士の場合は書類作成の代行のみ行えますが、弁護士はさらに「依頼人の代理人」になることができるメリットがあります。その分、弁護士の方が司法書士より報酬金額が高くなります。
相続放棄の手続きは、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申請を行う必要がありますので、注意しておきましょう。

士業の「協働」も活用する

実際の相続では、別々の専門家に、それぞれの得意分野の仕事を頼むことも珍しくありません。例えば、不動産の登記を司法書士に依頼して、相続税に関することは税理士に相談するわけです。他の士業とのネットワークを築いている事務所もありますから、依頼する前にホームページなどを確認してみるのもいいと思います。

ただし、複数の専門家を使う場合には、注意点が一つ。遺産の分け方を決め不動産の登記も終えてから、税理士に税金の申告をやってもらおう、という依頼の仕方だと、できたはずの節税ができず、結果的に多額の相続税を支払うことになる可能性があるのです。相続税が発生する相続では、最初に税理士に相談するのが、賢い選択と言えるでしょう。

まとめ

相続では、その状況に応じて、必要な専門家の力を借りるのがいいでしょう。相続税が気になる場合には、まず「相続に強い税理士」に相談を。

この記事の執筆者
税理士紹介ガイド編集部
税理士紹介ガイドは、税理士紹介センタービスカスが運営する、税理士探しや税理士変更を検討中の個人事業主・企業担当者の方に役立つ情報発信メディアです。

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