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遺言書・遺書・エンディングノートとは? 正確に知っておきたいその“違い”

遺言書・遺書・エンディングノートとは? 正確に知っておきたいその“違い”

公開日:2020年8月7日  
最終更新日:2021年7月20日

終活ブームとともに脚光を浴びたのが、「エンディングノート」です。自らの人生を振り返り、家族への思いや、さらには遺産分割の希望まで書き残せる優れものです。
では、それさえ書いておけば相続は心配ないのでしょうか?同じように“最期の言葉”を残す「遺言書」「遺書」も含めて、それぞれの違いはどこにあるのでしょうか?わかりやすく解説します。

自由度の高い「エンディングノート」

まず、エンディングノートについて説明します。

エンディングノートのメリットとは?

エンディングノートの特長は、

  • 書式、形式などにとらわれず、どんなことでも自由に書くことができる
  • 専用のノートを使えば、記されている項目に従って家族への思いや要望などを整理できる
  • 普通のノートやパソコンで作成することもでき、コストがかからない

と、作成のハードルが低く、自由度も高いことにあります。

エンディングノートには何が書ける?

では、エンディングノートではどんなことが書けるのでしょうか?
具体的には、

  • 自らの人生、思い出、友人関係などについて
  • 将来認知能力が衰えた場合の介護について(在宅か施設か)
  • 終末期医療について(延命治療を望むか否か、など)
  • 葬儀のやり方、お墓について(葬儀に呼んで欲しい人の連絡先や、宗派、菩提寺など)
  • 自分の財産(預貯金、現金、不動産、有価証券、保険、貴金属、価値あるコレクションなど)
  • 光熱費などの自動引き落とし口座や、年金が振り込まれる口座など
  • 相続についての考え方(誰にどれだけの財産を渡したいのか、なぜそうしたいのか)
  • 家族などへのメッセージ(感謝の気持ち、「これからも仲良く」といったメッセージ)

といったことを書くことができます。

故人のエンディングノートは、残された家族にとっても思い出の品になるでしょう。それだけでなく、葬儀の方法や残した財産などの情報が明確にされていれば、遺族の負担は大きく軽減されるはずです。これからの時代に重要になるのは、延命治療に対する考え方です。“そのとき”を迎えた場合、家族が可否の判断を迫られることがあるからです。

エンディングノートのデメリットとは?

このように、残される家族にとってもありがたいエンディングノートですが、一方で弱点もあります。自由に作成できる半面、書かれた中身に法的な拘束力は認められないのです。
そのため、たとえ「財産はこのように分けてもらいたい」とノートに書いたとしても、その通りの相続が実行される保証はない、ということになります。

法的拘束力を持つ「遺言書」

次に「遺言書」について説明します。結論から言えば、そこに書かれた内容は、法的拘束力を持ちます。その点がエンディングノートとの最大の違いと言っていいでしょう。

遺言書を残すべきケース

特に次のような状況に当てはまる相続では、“争続”を招かないためにも、遺言書を残すのがお勧めです。

  • 遺産に、相続人の取り合いになりそうな、例えば入居率のいい賃貸物件などがある
  • 分割の難しい不動産がある
  • 相続人の1人に、確実に事業承継したい
  • 相続人に、未成年や判断能力の危うい人がいる

なお、法定相続人以外の人に遺産を分けたい場合には、遺言書の作成は必須です。

遺言書に法的効力を持たせるには?

遺言書に法的な効力を持たせるためには、「正式な遺言書としての要件」を満たすことが不可欠です。その点も「書式自由」のエンディングノートとは異なります。逆に言えば、必要なことを書き漏らしたりした場合は法的には無効とされてしまうため、注意が必要です。
基本的なルールとしては、

  • 被相続人(亡くなった人)1人のみ署名のものであること。複数名の署名があると無効。
  • 遺言書の作成時に、被相続人の遺言能力があること。認知症などでその能力が認められない場合は無効。
  • 署名のほか、日付が記され押印がされていること。複数の遺言書がある場合には、日付の新しいもののみ有効であり、それより古いものは無効。

といった点を、頭に入れておきましょう。

遺言書の作成方法は?

遺言書には、3通りの作成方法があります。

  • 公証役場で公証人に作成・保管してもらう「公正証書遺言書」
  • 自分で書いて公証役場に持参する「秘密証書遺言書」
  • すべてを自分で書く(※1)「自筆証書遺言書」

です。
このうち、最も安全・確実なのは、公正証書遺言書と言えるでしょう。公証人に作成してもらうので、要件を満たさず無効となるようなことはありません。保管もしてもらえるので、自分で書いて自宅に置いておくのと違い、他人に改ざんされたり紛失したりするリスクも消すことができます。
ただし、2020年7月10日以降は、自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる制度がスタートしました。担当者が遺言書の方式(さきほど説明した署名や日付、押印など)を確認してくれますから、この制度を利用すれば、その不備により無効になることもなくなりました(※2)。公正証書遺言書よりもはるかに安価に、かつ安全性の高い遺言書の作成が可能になったわけです。

※1財産目録については、パソコンでの作成が認められる。
※2あくまでも「外形的な確認」で、遺言の内容についての相談には乗ってもらえない。

「遺書」と遺言書、エンディングノートの違いは?

さて、では遺言書と言葉としては似ている「遺書」とはどういうものでしょうか? 多くの人の思いうかべるのは、「自殺する人が残した書き置き」だと思います。ただ、辞書的には「故人が死後のことを考えて書いた手紙や文書」といった広い概念で説明されています。
そういう意味では、自殺した人が残すものも、ある意味エンディングノートも、遺書の範疇に含まれると言っていいでしょう。
当然、遺書は法的拘束力は持ちません。

争いを生まないためには、遺言書を残そう

遺言書・遺書・エンディングノートの違いを説明していきました。遺産分割についての自分の意思を示し、相続人同士の揉め事を防ぐためには、やはり法的な効力のある遺言書を残すべきだと言えそうです。

ただ、エンディングノートには「自由に自分の思いを書き残せる」というメリットがありますので、それを書いたうえで、遺産の分け方などについては遺言書もしっかり残しておく…というスタンスで終活に臨むのはいかがでしょうか。遺言書の有無や保管場所(自宅、公証役場、法務局)もエンディングノートに記しておけば、「せっかく書いたのに発見されなかった」という悲劇を防ぐこともできるはずです。

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残された親族の「争続」を防ぐためには、遺言書を残すのがベスト。その作成の仕方も含めて、わからないことは相続に詳しい税理士に相談してみましょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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