増加傾向にある不動産の無償譲渡、そのメリット・デメリット・注意点を解説

増加傾向にある不動産の無償譲渡、そのメリット・デメリット・注意点を解説
 公開日:
2020/08/27
 最終更新日:
2020/10/12
 
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人口減少による空き家をはじめ、活用されない不動産が顕在化しているといった社会環境の変化を背景に、土地や建物の「無償譲渡」=0円で譲り渡す契約が増加傾向にあります。
譲られるほうにとっては、タダで不動産を手に入れられるのですから、「ラッキーづくし」に思えますが、手放しで喜ぶのは早計のようです。不動産の無償譲渡の際の注意点をまとめました。

「持っていても仕方ない」不動産が増えた

法律的な「譲渡」とは、「有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為」を言います。不動産の無償譲渡とは、土地や建物をタダで譲り渡す・譲り受けること。不動産を他人にタダであげるというのは少し不思議な感じもしますが、その機会は増加しつつあります。

不動産の無償譲渡の背景とは

今の日本では、人口減少に伴う空き家、空き店舗などが、地方を中心に社会問題になっています。バブル期に投資目的で購入したものの・買い手がつかなくなったような不動産も数多く存在します。将来的に利用価値のない不動産は、維持・管理にかかるコストひとつ取ってみても、「お荷物」以外の何ものでもありません。「タダでいいから、引き取ってもらいたい」というケースが、確実に増えているのです。
他方、現在の所有者にとって“お荷物”の物件でも、そこを別荘にしたい、あるいは事業の拠点にしたい点といったことを考える人がいれば、価値が生まれます。不動産が0円で入手できるのですから、譲り受けるほうにとっても願ったり叶ったりなのですが、そこには表面的にはわかりにくい「盲点」もあることに、注意が必要です。

例えば税金。物件自体はタダで譲渡できても、場合によってはもらうほうだけでなく、譲るほうにも税負担が課せられるのです。

取引時の課税は、相手が「個人」か「法人」かで4パターンある

具体的にみていきましょう。実は、不動産の無償譲渡に関する課税には、譲る側(贈与者)と譲られる側(受贈者)がそれぞれ個人か法人かによって、次の4パターンがあります。

(1)個人→個人に無償譲渡する

この場合、譲る側の個人には税金はかかりません。

一方、譲られる側には「贈与税」が課税されると考えてください。本来有償のものを「タダでもらう」のが、贈与とみなされるからです。

(2)個人→法人に無償譲渡する

この場合には、(1)と異なり、贈与者である個人にも「所得税」が課税されます。「タダで譲るのだから、所得は得ていない」「そもそも相手が法人なだけで、(1)と同じことをするのに、なぜ課税されるのか?」と思うかもしれません。ごく簡単に言うと、これは「法人を使った税逃れ」をさせないための仕組みなのです。
例えば、社長が自分の会社に個人所有の不動産を無償譲渡した場合に、社長が非課税では、「租税回避」を許す可能性があります。そこで、たとえ会社から対価を受け取っていなくても、不動産を時価で譲渡したものとみなして課税する、というわけです。これを「みなし譲渡所得課税」と言います。譲渡の相手が自分の会社であるなしに関わらず、所得税が課せられることに注意しましょう。

一方、受贈者の法人のほうは、不動産を受け取ったことで利益を得たとみなされるため、「法人税」がかかってきます。

(3)法人→個人に無償譲渡する

これも理解が難しいのですが、贈与者の法人には、対価を受け取らなくても、譲渡した不動産の時価が利益とみなされて、そこに「法人税」が課税されます。

受贈者の個人のほうには、一時所得(※)があったとみなされて、「所得税」が課せられます。

(4)法人→法人に無償譲渡する

贈与者の法人には、(3)と同様、「法人税」が課税されます。

受贈者の法人には、(2)と同様、「法人税」が課税されます。

※一時所得:「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」(国税庁)。法人から贈与された金品(業務に関して受け取るもの、継続的に受け取るものは除く)は、これに該当する。

譲り受ける側のリスクも認識を

不動産の無償譲渡でより注意が必要なのは、言うまでもなく「無償で譲り受ける側」です。説明してきたのは、譲渡の際の税金ですが、取得後は「不動産取得税」「登録免許税」、さらに毎年課税される「固定資産税」といった税を負担する必要があります。

無償譲渡=不動産がタダで手に入る、という考えは捨てて、実際にどれだけの税負担が生じるのかを、事前に計算してみるべきでしょう。不動産の維持・管理にかかる費用はもちろん、場合によっては建物の改修コストなども、検討に加える必要があります。

とはいえ、概要を聞いただけでもややこしい税の計算を、素人がするのには限界があります。不理解がもとで、払わなくてもいい税負担が生じるかもしれません。繰り返しになりますが、「タダだから」と安易に考えず、必要に応じて、不動産に詳しい税理士などの専門家のサポートを受けるようにしましょう。

まとめ

不動産の無償譲渡の際にも、税金がかかることがあります(贈与者、受贈者が個人か法人かによって、4パターン)。そうしたコストもしっかり頭に入れて、のちのち後悔しない取引を心がけましょう。税理士などの専門家のアドバイスを受けながら進めることも、大事です。

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