【2026年最新】傷病手当金とは?通算1年6か月ルール・計算式・申請手続きをやさしく解説

[取材/文責]長谷川よう

病気やケガで会社を長く休まなければならなくなったとき、家計を支える制度として知っておきたいのが「傷病手当金」です。健康保険の被保険者(会社員など)が業務外の病気・ケガで働けず、給与の支払いを受けられない場合に、加入している健康保険から手当が支給される制度で、2022年1月の改正で支給期間が「通算1年6か月」に変わったことも押さえておきたいポイントです。本記事では、傷病手当金の基本のしくみ、受給できる条件、いくらもらえるかの計算方法、申請手続き、税金との関係までを、協会けんぽ・健康保険法の取り扱いに沿って中立的に整理します。

1. 傷病手当金とは?基本のしくみ

傷病手当金は、会社員などの健康保険の被保険者が業務外の病気・ケガで働けなくなり、給与の支払いを受けられないときに、生活を支えるために支給される手当です(健康保険法第99条)。
業務上のケガや通勤災害は労災保険の対象となるため、傷病手当金は業務外のものに限られます。風邪や軽い体調不良など短期間で復職できるケースは対象外で、医師が「働けない」と判断した状態が一定期間続いた場合に支給されます。
なお、自営業者や個人事業主が加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度はありません(市町村ごとの判断で例外的に設けるケースを除く)。

2. 傷病手当金を受け取れる条件

2-1. 4つの受給要件

傷病手当金を受給するには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

① 業務外の病気・ケガで療養していること(仕事中・通勤途中のケガは労災の対象)

② 療養のため労務不能であること(医師の診断で「働けない」状態と認められる)

③ 連続する3日間を含む4日以上仕事を休んでいること(最初の3日間は「待期」と呼ばれ、支給対象外)

④ 休んだ期間について給与の支払いがないこと(給与の一部が出ている場合は、傷病手当金から差額が支給される)

2-2. 「待期」3日とは?

連続する3日間の「待期」は、傷病手当金が支給される前提条件です。土日・祝日などの公休日も含めてカウントされ、連続して3日休んだ翌4日目から支給対象になります。たとえば金・土・日と連続して休み、月曜日から働けない状態が続いた場合、月曜日が支給開始日になります。
3日連続で休まないとリセットされる点に注意が必要です。たとえば「休み2日→出勤1日→休み3日」のような飛び石は、待期が成立しません。

3. 支給期間は「通算1年6か月」(2022年1月から)

傷病手当金は、支給開始日から通算で1年6か月に達するまで支給を受けられます。2022年1月1日施行の改正で、それまでの「暦日で連続1年6か月」から、実際に支給対象となった日を通算して1年6か月に変更されました。
これにより、途中で復職して再び同じ病気・ケガで働けなくなった場合、復職して働いていた期間は通算から除かれ、残りの日数分について再び受給できるようになっています。

改正前(〜2021年12月):支給開始日から暦日で1年6か月。途中で復職しても、その期間も含めてカウント

改正後(2022年1月〜):実際に支給を受けた日を通算して1年6か月。復職期間は通算外

がん治療や精神疾患など、復職と再休職を繰り返すケースで、より柔軟に活用できる仕組みになっています。

4. 傷病手当金はいくらもらえる?計算方法

4-1. 1日あたりの計算式

傷病手当金の1日あたりの支給額は、次の計算式で求めます。

支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3

たとえば、過去12か月の標準報酬月額の平均が30万円の方が支給対象になった場合、1日あたりの支給額は次のとおりです。

・30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 約6,667円/日

これは「直近12か月の給与水準のおおむね2/3」をイメージするとわかりやすいでしょう。

4-2. 加入1年未満の場合の取り扱い

入社や転職で健康保険の加入期間が12か月に満たない方は、次のうちどちらか低い額で計算されます。

① 加入期間中の各月の標準報酬月額の平均

② 当該年度の前年9月30日における被保険者全体の標準報酬月額の平均額(協会けんぽの場合、支給開始日が2025年3月31日以前は30万円、2025年4月1日以降は32万円

たとえば入社3か月で休職した方の標準報酬月額が40万円だった場合、2025年4月以降に支給が始まるなら32万円が基準となり、32万円÷30日×2/3=約7,111円/日が支給額の目安になります。

5. 申請手続きの流れ

5-1. 必要書類

申請には、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)の「傷病手当金支給申請書」を使用します。申請書には次の3つの記載・証明が必要です。

① 被保険者本人の記入欄:申請対象期間、振込先口座など

② 事業主の証明:休んだ期間と給与支払いの有無

③ 療養を担当した医師の意見:労務不能と認めた期間や傷病名

3者の証明をそろえて、加入している健康保険に提出します。申請期間は1か月単位での申請が一般的で、長期療養の場合は毎月手続きを行うケースが多くなっています。

5-2. 提出先と支給時期

協会けんぽの加入者は協会けんぽの都道府県支部へ、健康保険組合の加入者はそれぞれの組合へ提出します。原則として、申請書を提出してから1〜2か月程度で指定口座に振り込まれます。
申請の時効は労務不能であった日ごとに2年です。過去にさかのぼって申請することもできますが、医師・事業主の証明が必要なため、できるだけ早めの手続きが安心です。

6. 傷病手当金と税金・社会保険料の関係

傷病手当金には、税金と社会保険料それぞれで扱いが異なります。

所得税・住民税:傷病手当金は非課税です。受給した金額に所得税・住民税はかかりません

社会保険料(健康保険・厚生年金):休職中も引き続き支払いが必要です。会社員の場合は事業主と本人で折半。会社の規定によっては、本人負担分を会社が立て替えて後日精算するケースもあります

住民税:前年所得に対して課されるため、休職中も支払い義務は残ります。会社で特別徴収していた分は、休職時の精算方法を会社と確認しておくと安心です

傷病手当金そのものは非課税ですが、社会保険料・住民税は引き続き発生するため、家計のキャッシュフローを考えるうえで両方を把握しておくことが大切です。判断に迷う場合は、税理士・社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めると安心です。

7. YouTubeで「傷病手当金」について解説中!

7-1. ビスカス公式YouTubeチャンネルのご案内

傷病手当金について、ビスカス公式YouTubeチャンネルでも動画で解説しています。文字だけではわかりにくい部分も、動画でイメージをつかんでいただけます。

さまざまなお金・税金・経営に関する情報を発信していますので、よろしければチャンネル登録もご検討ください。

ビスカス公式YouTubeチャンネル:ビスカス公式チャンネル

まとめ

傷病手当金は、業務外の病気・ケガで会社を休まざるを得ないときに、家計を支えてくれる重要な制度です。要点を整理すると次のとおりです。

・対象は健康保険の被保険者(会社員等)。業務外の病気・ケガで連続3日以上の待期+4日目から労務不能で給与なしの場合に支給

・支給期間は通算1年6か月(2022年1月改正)。復職期間は通算外なので、復職と再休職を繰り返すケースでも残期間を活用できる

・1日あたりの支給額は「直近12か月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3」(給与の約2/3が目安)

・申請には本人記入+事業主証明+医師の意見が必要。提出から1〜2か月で振込

・傷病手当金は非課税。ただし社会保険料・住民税は休職中も支払いが必要

病気やケガはいつ起きるか分からないからこそ、制度の存在と申請の流れを知っておくと、いざというときの安心につながります。受給の可否や手続きで迷う場面は、加入している健康保険や、社会保険労務士・税理士など専門家への相談もご検討ください。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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