確定申告は「青色」で。その理由
確定申告は「青色」で。その理由

2019/2/19

 
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個人事業主などが行う確定申告。それにも「青色申告」と「白色申告」があります。もちろん、税務署はどちらでも受け付けてはくれますが、「青色」にすることで納税者の受けられる恩恵には、実はけっこう大きなものがあるのです。そもそも青色申告とは何か? それが認められる条件は? ヒコーキ税理士事務所の塩澤和也先生に聞きました。

少しだけ「面倒」な青色申告

確定申告には、青色申告と白色申告がありますが、事業を始めて何年か経ってから私のところに依頼にいらっしゃるお客さまの中には、白色で申告している方が少なくないんですよ。そういう方には、翌年からは青色申告に変更した方がよいとアドバイスをさせていただくのですが。
先生がそうされる理由をうかがっていきたいと思います。
両者の違いを簡潔に述べれば、「青色は、申告がちょっと面倒だけど、特典がある」「白色は、青色に比べれば楽に申告できるけれど、特典はない」ということになるでしょう。では、特典が何かというと、①「青色申告特別控除」が受けられる、②損失を次期以降に繰り越すことができる、③「青色専従者給与」を必要経費に算入できる――といったことが挙げられます。
「青色申告特別控除」から説明してください。
青色申告は、日々の取引をすべて帳簿に記して、保存していることが条件になります。その記帳を、複式簿記という正規の簿記の原則に基づいて行っている場合には65万円を、簡易帳簿で記帳する場合には10万円を、それぞれ所得金額から控除することができるんですよ。
所得税は「所得金額×税率」ですから、65万円減額できるというのは、大きいですよね。
はい。2番目の「損失の繰り越し」も、収益の状況によっては、非常にメリットがあります。繰り越しは、3年先まで「有効」です。例えば、ある年に500万円の損失を計上したのち、その先3年間200万円の利益を出したとすると、1、2年目の黒字は、まるまる損失分と相殺で利益ゼロ。3年目は残りの100万円を引いて、利益は100万円に減額できるわけです。
 起業してすぐはなかなか売り上げが立たずに、2年目、3年目から利益が出るようになった、というのはよくあるパターンです。ですから、開業時から青色申告にするのが、重要なポイントになるんですよ。
黒字体質になってから青色申告にしても、この特典は使えないわけですね。
そうです。あとで気づいて「青色申告でやり直します」ということもできません。
起業しようと思ったら、最低限、この程度の税の知識は持っていたいものです。
3番目の「青色専従者給与」というのは、例えば奥さんが旦那さんの個人事業を手伝っているような場合に、奥さんに支払われる給与のことを言います。その分も、経費として所得から差し引くことができるのです。

実は「白色申告のメリット」は、あまりない

青色申告のためには、しっかりした帳簿付けが必要だというお話でした。その他には、どんな要件があるのでしょう?
手続きから申し上げると、事業を始めた時には、1ヵ月以内に税務署に「開業届」を提出することになっています。そのうえで、事業開始から2ヵ月以内(※1)に「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。
開業届の出されていることが前提となるわけですね。
そうです。ただし、中には開業届を出さないまま事業を行い、白色申告をしているような方もいます。そういう個人事業主が青色申告に切り替えたいと言った場合でも、「青色申告の承認申請書」を提出すればよいのです。
 とはいえ、先ほども話したように、青色申告をしようと思うのなら、開業1年目からそうするのがベスト。これから起業を考える方は、開業届と同時に青色申告の承認申請もセットで行う、という感じに認識されるのがいいと思います。
セットで提出すれば、手間も減りますね。
「青色申告」と聞くと、「なんとなく煩雑そうだし、とりあえず白色申告でいいか」と流れてしまう人も多いかもしれませんが、まずは開業時に青色申告の承認申請書を提出されるのがよいでしょう。
 青色申告の要件に話を戻すと、申告には賃借対照表(※2)の提出も必要になります。逆に言うと、白色申告ならば、その提出は不要で、帳簿も取引ごとにすべて記載するのではなく、簡略化することが認められているんですね。その代わり、説明したような3つの特典を受けることができません。
どちらを取るか、というお話ですが……。
実は、白色申告には、もともと帳簿作成自体が不要だったんですよ。それが、2014年の法改正で義務付けらました。つまり、両者の「面倒くささ」の差が、ぐっと縮まったわけです。特典の有無を含めて天秤にかけたら、今白色申告を選ぶメリットは、ほとんどないと思うのです。

※1 「青色申告承認申請書」の提出期限
原則として、青色申告で申告を行う事業年度の3月15日。ただし、新規に開業した場合には、開業から2ヵ月以内。
 
※2 賃借対照表
資産・負債・純資産を一覧表にして、個人の財政状態を表すもの。

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