確定申告で考えたい「コスト」と「リスク」
確定申告で考えたい「コスト」と「リスク」

2019/2/20

 
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この時期になると、本屋さんには「自分でする確定申告」といった書物が平積みになります。「e-TAX」(電子申告)の普及もあって、申告書の作成は、以前に比べれば楽になりました。とはいえ、けっこう面倒な申告の作業を自分でやろうとするのは、税理士に頼むとお金がかかるからに他なりません。ただし、そこは自己責任。「マネーの素人」がやる確定申告には、「間違う」「損をする」といったリスクがあることも、しっかり認識しておく必要があるようです。ヒコーキ税理士事務所の塩澤和也先生に、気をつけたい点をうかがいました。

手間と時間を覚悟すれば、申告は自分でできる

確定申告を自分でやるのか、それとも税理士さんに頼むのか? 事業を立ち上げて初めて申告を迎えた個人事業主の方などは、けっこう悩むかもしれません。
事業を始めた当初は、特に資金を節約したいですからね。税理士にお金は払いたくないという気持ちは、よくわかります(笑)。事業の中身とか規模、所得額、経費の多い少ないなどによってハードルの高さは違うと思いますけど、「とにかく確定申告を行う」というところにゴールを置くのならば、十分個人でできるでしょう。
今は国税庁のe-TAXもあります。
そうですね。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、確定申告の仕組みなどを理解していなくても、機械的に数字を入れることで、申告書を作成することができます。
 ただし、その場合であっても、数字を作るための作業、例えば領収書を集めて集計するといった手間ひまは覚悟しなくてはなりません。帳簿もつけなくてはならないんですね。そういうことを考えると、まずは申告に関わるいろんな作業をする時間的な余裕があって、数字を扱うのが特に苦にならない方--というのが、自分で申告する道を選ぶ「第1関門」といえるのではないでしょうか。
自分でできるけれども、片手間というわけにはいかないわけですね。
そんな時間があったら事業を大きくすることに専念したい、という発想の方は、プロに“丸投げ”すればいいと思うのです。

トータルの「損得」はどうなのか

当人が申告する場合には、いろんな「間違い」を犯すリスクもあると思うのですが。
間違いやすいもののひとつが経費ですね。計上すべきものをしていなかったり、その逆に、してはいけないものを計上したり。
どんなものを計上し忘れるのでしょう?
例えば、自宅で仕事をしている場合には、払っている家賃の一定割合を経費にできます。仕事に自分の携帯電話を使っていたら、その料金も「仕事分」は、経費で落とせるんですね。仕事に使っている自家用車のガソリン代なども。
1年間にすれば、相当な金額になりますよね。知らずに経費に計上しないというのは、かなりもったいない。
今挙げた例についてあえて付け加えると、生活と仕事と両方しているから、家賃の50%は経費にできる、というような単純なものではありません。仕事に使っているスペースの割合とか、働いている時間だとかを考慮して、按分する必要があるんですよ。「どうしてその割合にしたのか」がきちんと説明できる状態にしておく必要があるのです。
そういう部分は、機械的にはやれないわけですね。
さきほど帳簿の話をしましたが、「青色申告」で65万円の特別控除を受けようとしたら、複式簿記という方式に基づいた細かな記帳が求められます。
所得金額が減らせるので、「減税効果」は非常に大きいのですが、一般の人が詳細な記帳を行うのは、現実には難しいでしょう。
青色申告特別控除を使えば、仮に所得税率が20%(※)だとすると、65万円×0.2=13万円、所得税の納税額が減る計算です。当然、所得が増えて税率が高くなるほど、減額も大きくなります。また、これとは別に、住民税や国民健康保険の金額も減少します。
その金額は、税理士さんに頼むかどうかの、1つの目安になるのではないでしょうか。
私のお客さまには、「ずっと自分で確定申告してきたのだけれど、今年から頼みたい」という方もいます。話を聞いてみると、経費の計上をしていなかったり、青色申告をしていなかったりで、結局税理士に依頼するよりも「損」をしていた方が少なくありません。
自分では、「損」したことにも気づいていないわけですね。
そういうこともあり得るということは、きちんと申し上げておきたいと思います。
目先の出費だけにとらわれて本末転倒にならないよう、注意したいものです。

※所得税率20%
収入から経費を差し引いた課税所得金額が330万円~694万9000円の税率。

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