相続対策としての生命保険。あくまで「正しく」活用を
相続対策としての生命保険。あくまで「正しく」活用を

2015/1/28

 
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相続税増税を控え、生命保険が相続対策として、あらためてクローズアップされています。非課税枠が使え、お金を誰に渡すのかを指定できる生命保険のメリットは、確かに大きいものがあります。ただその活用も、「ノーマルな」範囲で行いたいもの。税理士の久野豊美先生は、驚きの行動に出た顧客に出会ったことが
あるそうです。

法定相続人1人当たり500万円の非課税枠が使える

相続対策に、生命保険は有効です。支払われる保険金は税法上、相続財産とみなされますが、法定相続人1人当たり500万円の非課税枠がありますから、仮に相続人が3人なら1500万円まで税金はかかりません。一括払いなどで保険料を支払えば、そのぶん、相続税の計算を有利にすることもできるのです。
 
また、被相続人が保険金の受取人を指定できるのもメリットです。例えば、どんな内容の遺言をしたためたとしても、生命保険の保険金は、基本的に遺産分割の対象にはなりません。被保険者の指定通りに、受取人が満額の保険金を手にすることができるわけですね。 では、資産の全額を保険に変え、全額を1人の相続人が受け取る契約を結んだら、どうなるのでしょうか? 実際にそれをやった方がいました。

「特別受益」が問題に

被相続人は母親、法定相続人は長男、長女の2人。母親は、かいがいしく自分を介護してくれた娘に、5000万円の遺産すべてを相続させたい、娘もそれを望んでいる――というパターンでした。相談に来たのは、娘さんです。 私は、まずその旨の遺言書の作成をお母さんに頼むよう、言いました。残念ながら、「全額を長女に」という遺言があったとしても、法定相続人である長男には、民法上保証された一定割合の相続財産=遺留分が認められていることも付け加えたうえで、です。とはいえ、母娘の気持ちもよく分かる。そこで私は、「あなたを受取人にした、1000万円の生命保険を掛けてもらったら、いかがですか」と話したのです。そうやってバランスを取ったらどうか、というアドバイスのつもりだったのですが……。 数日後、「遺言の作成は必要ない」という連絡が、娘さんからありました。聞けば、母親が5000万円一括払いの生命保険に入り、娘1人を受取人にしたというのです。私の「進言」を基に、自ら編み出した“究極の相続”でした。
 
確かに、これならば面倒な遺言など作らずに、しかも遺留分を気にせず相続ができるように思えます。しかし、それは難しいのではないか、というのが私の見解なのです。遺産の全額を保険料に注ぎ込むというのは、あまりにも極端。長男が遺留分減殺請求を起こせば、認められる公算大とみます。 結局、1000万円の保険にした場合よりも受取額が減る可能性がありますし、こんな無茶をすれば兄との関係もさらに険悪なものになるでしょう(まあ、それは織り込み済みなのでしょうが)。相続対策に奇手はない、と心得てください。相手は百戦錬磨の税務当局なのですから。

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