相続税は「いくらから」かかる?結論と全体像を最初に解説
相続が発生した際、まず気になるのは「税金がかかるかどうか」ではないでしょうか。相続税は全ての相続に課されるわけではなく、一定額以上の財産を相続した場合にのみ発生します。ここでは、相続税の課税基準について簡潔に解説します。
相続税がかかるのは遺産がいくら以上?
相続税がかかるかどうかの基準となるのが「基礎控除」という制度です。この基礎控除の金額を超える遺産がある場合に初めて相続税が課されることになります。基礎控除額は次の計算式で求められます。
例えば、配偶者と子ども2人の合計3人が相続人である場合、基礎控除額は「3000万円 + 600万円 × 3人 = 4800万円」となります。つまり、遺産の総額が4800万円を超えると相続税がかかる可能性が出てくるのです。
最も少ないケースでは、法定相続人が配偶者1人だけの場合で「3000万円 + 600万円 × 1人 = 3600万円」となり、これが相続税課税の最低ラインとなります。
相続税がかかる人は1割以下?
国税庁が公表した「令和5年分 相続税の申告事績」によると、同年の死亡者(=相続開始件数)は 1,576,016人。 そのうち 相続税の申告件数は155,740件で全体の9.9%、実際に税額が発生した課税件数は116,085件(7.4%) にとどまります。――裏を返せば 約9割の相続では申告も納付も不要 というのが実情です。
前年(令和4年)を見ても、死亡者約1,569,050人に対し申告件数150,858件で 申告割合は9.6% とほぼ同水準。数字だけを見ると「わが家は関係ないかも」と感じるかもしれませんが、都市部の不動産や高額な生命保険金などで基礎控除を超えるケースは意外と多い ので油断は禁物です。
非課税であっても安心しきってはいけない理由
「うちは財産が少ないから」と思っていても、意外と基礎控除を超えてしまうケースがあります。例えば、以下のような財産は見落としがちです。
- 死亡保険金(被相続人が契約者で、相続人が受取人の場合)
- 土地や建物などの不動産(評価額が市場価格より低くても相続税評価額は意外と高いことも)
- 被相続人以外名義の通帳で管理や運用が被相続人によって行われていた預貯金や有価証券
- 死亡退職金
- 骨董品や美術品などの価値あるもの
特に都市部の不動産所有者や、高額な死亡保険に加入していた方の相続では、思いのほか遺産総額が大きくなることがあります。まずは大まかでも遺産の総額を確認することをおすすめします。
相続税がかかるかの判断基準「基礎控除」とは?
先ほど少し触れた「基礎控除」について、もう少し詳しく見ていきましょう。基礎控除は、相続財産のうち一定額までは課税しないという制度で、相続税の課税対象を決める重要な基準となります。
基礎控除の計算式と金額早見表
基礎控除の計算式は以下のとおりです。
法定相続人の人数別に見た基礎控除額の早見表は次のようになります。
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 | 3600万円 |
2人 | 4200万円 |
3人 | 4800万円 |
4人 | 5400万円 |
5人 | 6000万円 |
例えば、配偶者と子ども3人の合計4人が法定相続人であれば、基礎控除額は5400万円となります。遺産総額がこの金額以下であれば、相続税はかかりません。
法定相続人の数え方に注意!
法定相続人の数え方には、いくつか注意点があります。
1. 相続放棄した人も法定相続人として数えます:相続を放棄した方でも、基礎控除を計算する際の法定相続人の数には含まれます。
2. 養子には人数制限があります:相続税の計算上、養子は実子より多く計上することはできません。養子の数は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までと制限されています(相続税法第15条)。この制限を超える養子は、基礎控除の計算に含めることができません。
3. 代襲相続の場合:子が先に亡くなっている場合、その子の子(孫)が代襲相続人となります。代襲相続人は実際の人数に応じてカウントされます。
例えば、被相続人の子が2人いたが1人が先に亡くなり、その子に子ども(被相続人から見れば孫)が2人いる場合、法定相続人は子1人+孫2人で合計3人となります。
法定相続人の数え方は複雑なケースもあるため、相続が発生した際は専門家に相談するのが安心です。
基礎控除以下なら申告も不要
遺産総額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告は不要です。ただし、特別な場合には申告が必要になることがあります。
以下のケースでは、相続税の納税額がゼロになる場合でも申告が必要です。
- 特例適用を受ける特例適用により税額がゼロになる場合:基礎控除を超える財産がある場合で、配偶者控除や小規模宅地等の特例などを適用することで結果的に納税額がゼロになるケースでは、申告が必要です。
- 相続財産に未分割の財産がある場合
特例を利用するためには申告が必要なケースが多いので、「基礎控除以下だから」と安易に申告不要と判断せず、専門家に相談することをおすすめします。
なお、相続時精算課税制度を利用していた場合でも、その贈与財産を含めた相続財産の合計額が基礎控除以下であれば申告は不要です。2024年の税制改正では、相続時精算課税制度を選択している場合の贈与について、年間110万円までの基礎控除が新設されましたが、これはあくまで贈与税に関する控除であり、相続税の申告要否には影響しません。

- 記事監修者からのワンポイントアドバイス
-
相続財産の棚卸をなるべく正確に行うことが必要です。預金や不動産といったものはまず思い浮かぶ財産ですが、相続財産の範囲は広いです。
被相続人以外の名義だが被相続人が管理し、実態として被相続人の通帳であることと変わらないような預金(名義預金)、相続時精算課税をつかって贈与を行ったことがあるのであれば、その贈与した財産額、亡くなる直前に引出した現金など、注意しなければいけない相続財産は数多くあります。
また、不動産の中でも、建物の評価というのは固定資産税評価証明書の金額とほぼ変わらないのが通常ですが、土地については路線価評価なのか、倍率評価なのか、市街化区域にある農地なのか、そうでない場所の農地なのか、宅地か、駐車場かなどで、固定資産税評価証明書の金額と大きく乖離することがあります。計算してみて基礎控除額ギリギリだったり、不動産が多いという場合は、専門家に早期に相談することを推奨します。 - 澤村明浩税理士事務所
代表 澤村 明浩
もし基礎控除を超えたら?相続税の計算方法をざっくり解説
基礎控除を超える遺産がある場合、相続税の計算が必要になります。相続税の計算方法は複雑ですが、ここでは大まかな流れを説明します。
課税遺産総額の出し方
相続税の計算は、まず「課税遺産総額」を求めることから始まります。
例えば、遺産総額が8000万円で、法定相続人が配偶者と子ども2人(計3人)の場合、基礎控除額は4800万円です。よって、課税遺産総額は「8000万円 - 4800万円 = 3200万円」となります。
ここで重要なポイントは、この課税遺産総額に相続税率をそのまま適用するわけではないということです。相続税の計算では、次に「課税遺産総額を法定相続分で按分した金額」に税率を適用します。
上記の例(課税遺産総額3200万円)の場合:
- 配偶者の法定相続分:1/2 → 3200万円 × 1/2 = 1600万円
- 子ども2人の法定相続分:各1/4 → 3200万円 × 1/4 = 800万円(1人あたり)
この「法定相続分に応じた取得金額」に対して相続税率が適用されるのです。
税率は超過累進課税、つまり「金額が大きいほど高くなる」
相続税は、課税遺産総額が大きくなるほど税率が高くなる「超過累進課税方式」を採用しています。現在の相続税率は次のとおりです。
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000万円以下 | 10% | - |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
この税率表は、実際の相続税額を計算する際に使用されます。
先程の例で計算すると:
- 配偶者の取得金額1600万円の場合:1600万円 × 15% - 50万円 = 190万円
- 子1人あたりの取得金額800万円の場合:800万円 × 10% = 80万円(1人あたり)
- 子2人分の合計:80万円 × 2人 = 160万円
- 相続税の総額:190万円 + 160万円 = 350万円
この350万円が「相続税の総額」となり、これを実際の取得割合に応じて按分します。
【具体例1】法定相続分に応じた取得金額が4000万円の場合
相続税額 = 4000万円 × 20% - 200万円 = 600万円
【具体例2】法定相続分に応じた取得金額が8000万円の場合
相続税額 = 8000万円 × 30% - 700万円 = 1700万円
このように、金額が大きくなるほど適用される税率も高くなります。
実際の取得割合と控除を反映して税額が決まる
最終的な相続税額は、各相続人が実際に取得した財産の割合に応じて按分され、さらに各種控除が適用された後に確定します。考慮される主な控除には以下のようなものがあります。
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
また、納付方法についても、一括納付だけでなく延納や物納といった選択肢があります。特に高額な相続税が発生する場合は、納税資金の準備方法も含めて検討が必要です。
相続税がゼロになることも!知っておきたい非課税制度・特例
基礎控除を超える遺産があっても、各種控除や特例を利用することで、相続税額をゼロまたは大幅に減額できる可能性があります。ここでは主な非課税制度や特例を紹介します。
配偶者控除は最強!1億6000万円まで非課税
配偶者が遺産を相続する場合、以下のいずれか多い方の金額まで相続税はかかりません。
1. 配偶者の法定相続分
2. 1億6000万円
例えば、遺産総額が2億円で配偶者と子ども1人が相続人の場合、配偶者の法定相続分は1億円です。この場合、配偶者が1億円を相続するなら、全額非課税となります。
また、遺産総額が4億円で配偶者と子ども1人が相続人の場合、配偶者の法定相続分は2億円ですが、1億6000万円までしか非課税にならないため、残りの4000万円には相続税がかかります。
この配偶者控除は、相続税対策として非常に効果的な方法の一つです。ただし、適用を受けるためには相続税の申告が必要であることを忘れないでください。
小規模宅地等の特例で土地評価が最大80%オフに
被相続人が住んでいた自宅の土地や事業用の土地については、「小規模宅地等の特例」を利用することで、土地の評価額を最大80%減額することができます。
特例の適用限度面積と減額率は以下のとおりです。
居住用宅地:330㎡まで80%減額
事業用宅地:400㎡まで80%減額
貸付事業用宅地:特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等は400㎡まで80%減額、貸付事業用宅地等に該当する宅地等は200㎡まで50%減額
例えば、相続した自宅の土地(居住用宅地、300㎡とする)の評価額が5000万円の場合、この特例を適用すると「5000万円 × (1 - 0.8) = 1000万円」として評価されます。つまり、4000万円分の評価減となるのです。
ただし、この特例を適用するには、要件を満たす必要があるため、下記参考リンクをご確認ください。
また、この特例を適用するためには相続税の申告が必要です。適用要件が複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。
死亡保険にも非課税枠がある
死亡保険金には、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。
例えば、法定相続人が3人の場合、「500万円 × 3人 = 1500万円」までの生命保険金に相続税はかかりません。ただし、この非課税枠が適用されるのは、被相続人が契約者で、相続人が受取人となっている生命保険に限ります。
また、死亡退職金にも同様の非課税枠があります。これらの非課税枠を活用することで、相続税の負担を軽減することが可能です。

- 記事監修者からのワンポイントアドバイス
-
上記で書かれている通り、配偶者の税額軽減と小規模宅地の特例は代表的な税額を減らす方法です。
また、今回の記事では取り扱ってはいませんが、相続財産の合計額から引くことができるものが上記の特例以外にいくつかあります。一つは負債の額を控除することができます。負債というのは被相続人がもっていた負の遺産です。借金や、事業をやっている方であれば買掛金、未払金など、資産とは逆に、お金を払わなければいけない義務の額を財産から控除して課税遺産総額を計算することになります。
もう一つは葬儀にかかった費用です。本来的に葬儀費用は被相続人固有の負債ではありませんが、相続と同様、人の死を原因として行われるものであることから、控除することが認められています。この葬儀費用には、葬儀会社に払った費用だけでなく、お坊さんに払ったお布施も含めることができます。お布施は領収書が出ないことが常なので、お坊さんに払ったお布施の金額についてはどこかにメモしておくことをお勧めします。 - 澤村明浩税理士事務所
代表 澤村 明浩
生前贈与と相続税の最新ルール
2024年の税制改正により、生前贈与と相続税の関係に大きな変更がありました。相続税対策として生前贈与を検討している方は、最新のルールを押さえておきましょう。
相続時精算課税制度の基礎控除が新設
相続時精算課税制度とは、60歳以上の親から18歳以上の子への贈与について、贈与時に贈与税を支払わず、将来親が亡くなった際に相続財産に合算して相続税を計算する制度です。
2024年の改正で大きく変わったのは、これまで少額でも必ず申告が必要だった点が改善され、年間110万円までの贈与については贈与税が非課税かつ申告不要になったことです。ただし、110万円を超える贈与については、従来通り申告が必要です。
暦年課税の生前贈与の持ち戻し期間が延長
暦年課税(通常の贈与税の課税方式)においても大きな改正がありました。これまで被相続人の死亡前3年以内の贈与のみが相続財産に加算(持ち戻し)されていましたが、2024年以降は段階的に持ち戻し期間が延長されます。
持ち戻し期間の変更スケジュール:
期間 | 持ち戻し対象 | 備考 |
---|---|---|
~2023年 | 死亡前3年以内の贈与 | 従来のルール |
2024年 | 死亡前4年以内の贈与 | 4年目の贈与には基礎控除100万円あり |
2025年 | 死亡前5年以内の贈与 | 4-5年目の贈与には基礎控除100万円あり |
2026年 | 死亡前6年以内の贈与 | 4-6年目の贈与には基礎控除100万円あり |
2027年~ | 死亡前7年以内の贈与 | 4-7年目の贈与には基礎控除100万円あり |
生前贈与を検討する際の注意点
生前贈与を検討している方は、以下の点に注意しましょう。
- 持ち戻し期間の延長により、従来よりも多くの贈与が相続税の対象となる可能性がある
- 4年目以降の贈与には100万円の基礎控除があるため、少額の贈与であれば影響は小さい
- 相続時精算課税制度でも暦年課税制度でも、それぞれ年間110万円の基礎控除が使えるようになったため、状況に応じた使い分けが可能に
- 贈与の時期やタイミングを計画的に考える必要性が高まっている
これらの改正は、資産移転の方法や相続税対策に大きな影響を与えます。最新の税制に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
相続税の納税資金をどう準備する?
相続税は現金で納付するのが原則です。しかし、不動産や事業用資産が多く現金が少ない場合など、納税資金の確保が難しいケースも少なくありません。ここでは、相続税の納税資金を確保するための方法を解説します。
納税資金4つの確保策
延納制度の活用
相続税が10万円を超え、かつ金銭で納付することが困難な場合、申請により最長20年間の分割払い(延納)が認められることがあります。ただし、延納には利子税がかかるほか、担保の提供が必要となります。
物納制度の利用
延納によっても金銭での納付が困難な場合、相続財産で納税する「物納」が認められることがあります。物納できる財産には順位があり、国債や上場株式などの換金しやすいものが優先されます。不動産による物納は第3順位となっています。
生命保険・死亡退職金の活用
生命保険金や死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。相続税の納税資金対策として、生前から計画的に生命保険に加入しておくことも有効です。
金融機関の相続税対応ローンの利用
最近では、多くの金融機関が相続税の納付に特化した融資商品を提供しています。不動産を担保に入れることで、比較的低金利で融資を受けられる場合があります。
リバースモーゲージという選択肢:
高齢の相続人が自宅を所有している場合、リバースモーゲージ(自宅を担保に老後資金を借り入れ、死亡時に自宅の売却代金で返済する仕組み)を活用することで、自宅に住み続けながら納税資金を確保する方法もあります。自治体型(終身型)は相続時一括返済不要のケースもあります。
ケース別シミュレーション:必要な納税資金はいくら?
相続税の納税額は、遺産の金額や内容、相続人の構成などによって大きく変わります。以下に、いくつかのケースでのシミュレーションを示します。
なお、これらは法定相続分で分けた場合の計算例です。実際の相続では、遺言や遺産分割協議により法定相続分とは異なる割合で分けることも可能です。
ケース | 遺産総額 | 相続人 | 相続税額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ケース1 | 4000万円 | 配偶者・子1人 | 0円 | 基礎控除(4200万円)以下 |
ケース2 | 6000万円 | 配偶者・子1人 | 90万円(納税者:子) | 配偶者が3000万円相続 |
ケース3 | 1億円 | 配偶者・子2人 | 315万円(子2人で分割) | 配偶者が5000万円相続 |
これらは一般的なケースでのシミュレーションであり、実際の相続税額は遺産の内容や特例の適用状況によって変動します。正確な納税額を知るためには、専門家に相談することをおすすめします。
相続税の申告と納付の流れを簡単に知っておこう
相続税が課される場合、申告と納付の手続きが必要になります。ここでは、その流れと注意点を解説します。
申告期限は「死亡から10か月以内」
相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると、延滞税や加算税などのペナルティが発生することがあるため、余裕を持って準備することが大切です。
相続税の申告・納付の主な流れは以下のとおりです。
- 相続財産の調査・評価
- 遺産分割協議
- 相続税の計算
- 申告書の作成・提出
- 相続税の納付
相続税申告・納付の流れと必要な書類は下記に記事にまとめています。
特に、相続財産の調査・評価には時間がかかることが多いため、早めに準備を始めることをおすすめします。
相続税がゼロでも申告が必要な場合がある
先述したように、配偶者控除や小規模宅地等の特例などを適用する場合は、相続税額がゼロであっても申告が必要です。これらの特例は申告によって初めて適用されるものであり、申告しないと特例を受けられないため注意が必要です。
申告義務があるにもかかわらず申告しなかった場合、後に税務調査などで発覚すると、本来納めるべき税額に加えて、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されることがあります。
よくある質問(FAQ)
相続税について、よくいただく質問とその回答をまとめました。
Q1. 申告期限までに遺産分割が終わらなかった場合はどうなりますか?
A. 相続税の申告期限(被相続人の死亡から10か月以内)までに遺産分割が終わらない場合、「未分割申告」として法定相続分で仮に申告・納税し、その後3年以内に分割が完了した時点で「更正の請求」を行うことができます。ただし、小規模宅地等の特例など一部の特例は未分割申告では適用できないため注意が必要です。
Q2. 海外に財産がある場合も相続税の対象になりますか?
A. はい、原則として被相続人が日本国籍を持つ場合や日本に住所がある場合は、国内外を問わず全ての財産が相続税の対象となります。海外にある財産については、その国でも相続税等が課される場合があり、二重課税となる可能性がありますが、外国税額控除の制度により調整されます。
Q3. 親から生前贈与を受けた財産も相続税の対象になりますか?
A. 被相続人の死亡前一定期間内の生前贈与については、相続税の計算上、相続財産に加算されます。2024年の税制改正で、これまでの3年以内から段階的に7年以内へと延長されました。ただし、4〜7年目の贈与については年間100万円までの基礎控除があります。
Q4. マイホームを相続した場合、住み続けるためにどのような特例がありますか?
A. 自宅として使用していた被相続人の住まいを相続する場合、「小規模宅地等の特例」を利用すると土地の評価額が最大80%減額されます。また、相続した空き家を売却する場合の「3000万円特別控除」など、状況に応じた特例が存在します。これらの特例を適用するには各種要件があるため、専門家に相談することをおすすめします。
Q5. 兄弟姉妹だけで相続する場合、どのような点に注意すべきですか?
A. 兄弟姉妹は法定相続人の中でも相続順位が低く、配偶者や子、親がいない場合にのみ相続権が発生します。また、兄弟姉妹の場合、相続税の2割加算という制度により、計算された相続税額に20%が上乗せされます。さらに、兄弟姉妹には相続時精算課税制度が適用できないなど、不利な点が多いため、生前の対策が重要です。
迷ったら早めに相談を!相続に強い税理士のサポートが安心
相続税は非常に複雑な税金であり、素人判断では損をしてしまうことも少なくありません。特に相続税の課税対象になりそうな場合や、特例を適用したい場合は、専門家への相談をおすすめします。
相続財産センターなら無料で税理士紹介
相続税についてのご相談は相続財産センターへ
「相続税がかかるのか知りたい」「税金を少しでも抑える方法は?」などのご質問にお答えします
相続税に関する悩みや疑問は、相続財産センターにご相談ください。弊社は税理士紹介のパイオニアである株式会社ビスカスが運営しており、相続に強い税理士を無料でご紹介しています。