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贈与・譲渡をしたときの税務申告は? 基礎知識や手続き方法について解説

贈与・譲渡をしたときの税務申告は? 基礎知識や手続き方法について解説

2021年2月25日

土地や建物を売却したり、親族から預貯金の贈与を受けたりした場合に忘れてはならないのが確定申告です。譲渡や贈与で得た利益に対する税金を国や地方に納付する必要があるからです。
譲渡や贈与にかかる税金と確定申告の手続きについて具体的な例示を交えながら解説します。

贈与や譲渡にかかる税金の基礎知識

「もうかったら税金を払う」のが原則

例えば、子供が親から住宅購入資金として預貯金をタダで貰ったとしましょう。税法ではこれを「贈与」と呼びますが、子供にとっては返す必要のない預貯金ですので結果として「もうかった」ことになります。また、土地や建物を売却した場合、税法ではこれを「譲渡」と呼びますが、購入したときより高く売れれば当然「もうけ」が発生します。

税金の世界では、どのような種類の所得であっても「もうけ」が出たら税金を支払わなければならないのが大原則です。したがって、贈与や譲渡によって「もうけ」が生じた場合には確定申告により税額を計算し、納税しなければなりません。

「もうけ」の種類で手続きが変わる

まずは「贈与」と「譲渡」の違いについて解説しましょう。

「贈与」や「譲渡」の対象となる資産は、現金や預貯金、土地建物等の不動産、車や備品等の動産、株券等の有価証券など実に様々ですが、ポイントとなるのは「資産の移動に際して対価の収受があるか」です。

例えばAさんからBさんに土地の所有権を移転したとしましょう。
もし仮にBさんがAさんに対して土地代金として現金を支払った場合これを「対価の収受」と呼びますが、対価性がある取引は「譲渡」に該当します。しかしAさんがBさんに現金の支払いなし、つまりタダで所有権を移転した場合、Bさんは経済的な利益を得るだけで対価の収受はありません。対価性がない取引は「贈与」となります。

このように譲渡と贈与は同じ「もうけ」でも所得区分が異なりますし、税務申告の手続きも違ってきます。

具体的には、「譲渡」のもうけは「譲渡所得」となり所得税の課税対象として確定申告書を作成するのに対し、「贈与」のもうけは贈与税の課税対象となり贈与税申告書を作成しなければなりません。

「贈与」の税務申告の進め方

「贈与」の場合は「贈与税申告書」

対価性のないもうけである「贈与」には贈与税がかかります。贈与に該当するケースを例示してみましょう。

  • 親が所有する家を無償で子供の名義にした
  • 個人間の貸付金を免除した
  • 子供が契約者となっている生命保険契約の保険料を親が支払った

いずれのケースも、経済的な利益を受ける側はその対価を相手に与えていないことが分かります。

ここでポイントとなるのが「贈与税」を支払う義務があるのは誰か?という点です。結論から言えば経済的利益、いわゆる「もうけ」を得た側(受贈者)に納税義務があります。

例示1であれば親から家を無償で貰った子供に納税義務がありますし、例示2であれば貸付金を免除してもらった個人に納税義務があります。

例示3も本来であれば保険料の支払義務がある子供は親に対価を支払っていませんので、贈与税の納税義務があるわけです。

贈与税の納税義務者である受贈者は、「もうけ」があった翌年の2月1日から3月15日までの間に税務署に「贈与税申告書」を提出し、納税しなければなりません。

「贈与税」の具体的な計算方法

では贈与税の計算式について簡単に説明しましょう。税額は以下の算式で求められます。

(「もうけ」-110万円『基礎控除額』) ×税率=贈与税額 

まずは経済的利益を得た金額を計算し、そこから110万円を控除(基礎控除額)、つまり引き算した残りに贈与税の税率を乗じたが金額が納付する贈与税額となります。110万円を控除した結果、残りが0円以下であれば贈与税の申告は必要ありません。

税額計算をするうえで注意しなければならないポイントを挙げてみます。

  • 1月1日から12月31日までに得た「もうけ」を全て合算して計算する
    贈与税の基礎控除額である110万円は「もうけ」を得た都度引き算するのではなく、1月1日から12月31日までに得た「もうけ」を全て合算したところから1回だけ控除できます。
    同じ年中に複数回の「もうけ」がある場合には注意が必要です。
  • 複数人から得た「もうけ」も合算される
    Aさん、Bさんそれぞれから贈与を受けた場合も1.と同様に「もうけ」を合算しなければなりません。Aさんの分で110万円控除、Bさんの分で110万円控除とはならないので注意しましょう。
  • 贈与税には特例がある
    贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の子や孫が父母または祖父母から贈与を受けた場合、贈与税の税率が軽減されます。
  • 相続時精算課税制度選択時の贈与税申告に注意
    相続時精算課税制度とは、贈与税を将来の相続が発生するまでの間2,500万円まで猶予するという制度で、父母または祖父母から20歳以上の子や孫に対し財産を贈与した場合に選択できます。

ただし納税は猶予されても贈与税の申告義務はありますので、申告期限までに贈与税申告 書を提出するのを忘れないようにしましょう。

「譲渡」の税務申告の進め方

「譲渡」の場合は「確定申告書」

対価性のあるもうけである「譲渡」には所得税がかかります。譲渡に該当するケースを例示してみましょう。

  • 300万円で購入した家を不動産業者に500万円で売却した
  • 証券会社を通じて所有する株式(取得価額150万円)を200万円で売却した
  • 新車購入にあたり事業用の車両(評価額10万円)を50万円で下取りに出した

いずれのケースも、資産を移動させたことに対して対価を得て「もうけ」を出していることが分かります。

ここでポイントとなるのが「譲渡」にかかる所得税を支払う義務があるのは誰か?という点です。結論から言えば経済的利益「もうけ」を得た側(譲渡者)に納税義務があります。

譲渡にかかる所得税の納税義務者である譲渡者は、「もうけ」があった翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に「確定申告書」を提出し、納税しなければなりません。

「譲渡」にかかる所得税の具体的な計算方法

では譲渡にかかる所得税の計算式について簡単に説明しましょう。

譲渡については(1)土地建物や株式を譲渡した場合の分離課税と(2)(1)以外の資産を譲渡した場合の総合課税の2通りがあり、所得の計算式がそれぞれ異なります。

(1)分離課税
(収入金額-取得費-譲渡費用) -(※特別控除額)=課税所得金額
※特定の要件に該当する場合のみ控除可能
(2)総合課税
(収入金額-取得費-譲渡費用) -50万円=課税所得金額

譲渡により得た収入金額から譲渡資産の取得費と譲渡にかかった譲渡費用を差し引くところまでは同じですが、(1)分離課税については税法上の特定の要件に該当する場合を除き特別控除額はありません。上記算式で計算した結果、残りが0円以下であれば譲渡の申告は必要ありません。

税額計算をするうえで注意しなければならないポイントを挙げてみます。

  • 分離課税と総合課税は合算することができない
    事業所得や不動産所得など、異なる複数の所得を合算して税額を計算することを「損益通算」と呼びますが、分離課税は他の所得と合算できません。
    分離課税でどれだけ赤字が出たとしてもその他の黒字と相殺することはできませんので注意が必要です。
  • 分離課税の取得費が不明な場合は「収入金額の5%」
    収入金額から差し引く取得費は、その金額を契約書や請求書、領収書等で証明しなければな りません。土地や建物のなかには、昔に購入したため契約書等を紛失してしまうケースがあ りますが、例え収入金額よりも高い金額で購入したことを覚えていても証拠資料がなけれ ば認められません。
    原則として取得費が不明な場合は「収入金額の5%」しか引き算することができず実際よりも多額の「もうけ」が出てしまいます。
    不動産購入時の資料は大切に保管しましょう。
  • 分離課税の特別控除
    分離課税には原則として特別控除額がありませんが、ある一定の要件を満たす譲渡であれ ば5,000万円を上限として特別控除が認められる場合があります。

譲渡所得でよく適用される特別控除をいくつか例示してみます。

  • 公共事業等で土地建物を売却(収用)した場合の5,000万円の特別控除
  • マイホームを売却した場合の3,000万円の特別控除
  • 低未利用土地等を売却した場合の1,000万円の特別控除

特別控除は上記の他にも多数ありますので、該当する特例がないか注意しながら計算しましょう。

まとめ

高齢化社会に伴い、親が子供や孫に資産を残そうと贈与や譲渡を行うケースが増えてきています。資産が動けば「もうけ」が出る可能性は考慮しなければなりませんし、土地や建物となれば「もうけ」の金額も必然的に多額になります。申告漏れで税金を追徴されることがないよう、資産を動かした場合には贈与や譲渡に該当しないかを常に意識することを忘れないでください。

奥谷佳子

Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。
自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。
取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。

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