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自動車を持つ人が亡くなったらすべきこと 相続に必要な手続きとは?

自動車を持つ人が亡くなったらすべきこと 相続に必要な手続きとは?

2022年10月4日

被相続人(亡くなった人)が自動車を所有していたら、それも相続財産になります。うっかり遺産にカウントし忘れると、申告漏れを指摘されるかもしれません。また、売却や廃車を考えても、そのままの状態(故人の名義)ではできないことに、注意が必要です。被相続人が自動車を持っていた場合の手続きについて、順を追って説明します。

まずすべきことは「所有者」の確認

「被相続人所有」でない場合がある

「被相続人が自動車を所有していたら」と言いましたが、故人が乗っていた車でも、所有者は別の場合があります。例えば、車を販売店(ディーラー)のローンで購入した場合には、所有者はローン会社になります(金融機関のローンで購入した場合には、購入者が所有者です)。また、最近増えているカーリースでも、やはり所有者は故人ではなくリース会社なのです。

このような場合にどのような手続きが必要になるのかは、所有者に連絡して確認する必要があります。自動車の所有者が誰であるのかは、自動車検査証(車検証)を見れば分かります。

相続人はローンも引き継ぐ

車に限らず、被相続人がローン、借金など「負の財産」を残した場合には、相続人にはそれを引き継ぐ義務があります。支払いをしたくなかったら、裁判所に「相続放棄」を申し立てることができますが、認められると「正の財産」も含めて全て相続できなくなってしまいますから、判断は慎重に行うようにすべきでしょう。

なお、相続人がローンを引き継いだうえで、被相続人が乗っていた車を使い続けることも可能です。ただし、新たな使用者があらためてローン会社の審査を受け、それに通ることが条件になります。

自動車の相続に必要な手続き

速やかに「名義変更」を行うのがベスト

被相続人が所有者だった場合には、その車は、相続開始の時点で相続人全員の共有財産になります。そのまま誰かが譲り受けて使用したりしても、当面不都合はないかもしれませんが、任意保険に加入できない可能性があるほか、先々売却や廃車しようと思ったときに、故人名義のままであることがネックになります。ですから、相続になったらなるべく早く自動車の相続手続き=名義変更を行うべきなのです。

相続の仕方には、相続人の誰か1人による「単純相続」のほか、複数の相続人による「共有」などがあります。現実には1人が譲り受けて使用するケースがほとんどでしょうし、売却や廃車などの手続きのしやすさを考えると、単純相続がトラブルなどの少ない方法といえるかもしれません。

以下、自動車を単純相続する場合について、説明します。手続きは普通自動車と軽自動車で異なります。

普通自動車の相続

普通自動車の相続手続きは、新しい所有者の住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で行います。手続きに必要な書類は、次の通りです。

(1)戸籍謄本
被相続人の死亡の事実と、相続者全員の記載があり発行から3ヶ月以内のもの(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本または抄本)

(2)遺産分割協議書
自動車の相続には専門の様式があり、相続人全員の署名および実印の押印が必要となる

(3)相続人全員の印鑑証明書

(4)新しい所有者の印鑑証明書

(5)自動車検査証(車検証)
見つからない場合は、運輸支局での車検証の再発行手続きが必要

(6)自動車保管場所証明書(車庫証明)
同一世帯の家族が相続し、保管場所を変更しない場合には、不要な場合もある

なお、被相続人の遺言書がある場合には、上記(1)、(2)、(3)の代わりに「遺言書」、「検認済証明書(自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合)」、「亡くなった人の死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)」を用意します。以上を揃えたうえ、所定の「申請書」に必要事項を記載して提出します。

手続きには、新しい所有者の実印が必要です。また、ディーラーや行政書士などの代理人に手続きを依頼することも可能ですが、その際には、新しい所有者の実印を押印した委任状を用意します。

軽自動車の相続

一方、軽自動車の相続手続きは、新しい所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所で行います。普通自動車に比べて手続きは簡単で、遺産分割協議書などは必要ありません。軽自動車の相続手続きに必要な書類は、次の通りです。

  • ・所定の「申請書」
  • ・車検証
  • ・亡くなった人の死亡の事実と新しい所有者との関係がわかる戸籍謄本
  • ・新しい使用者の住民票の写し、または印鑑証明書

名義変更でかかるコストは?

自動車の名義変更では、次のような費用が発生します。

●車庫証明の取得費用:約2,500~3,000円
手数料は都道府県によって異なる

●ナンバープレート代(変更がある場合):1,500~2,000円
前所有者の住所と取得者の住所でナンバープレートを管轄する運輸局・支局が変わる場合、変更が必要になる

●印鑑証明書発行費用:約600~1,200円

●住民票発行費用:200~300円

●移転登録手数料:500円
運輸支局で名義変更を行う際に必要な手数料

自動車も相続税の対象になる財産

全員に課税されるわけではない

最後に相続税について説明しておきましょう。自動車も現金や不動産、有価証券などと同様、相続税の対象になります。ただし、相続税には基礎控除額があり、遺産の総額がそれ以下であれば、課税はされません(基本的に申告も不要)。

基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続人が3人ならば、遺産が4,800万円までは相続税がかからないのです。

自動車の「価値」はどう評価する?

では、相続財産としての「資産価値」は、具体的にどのようにして計算するのでしょうか?

最もポピュラーなのが、被相続人の死亡日の取引価格(中古車市場での業者の買取価格)相場です。ちなみに、評価は業者のマージンなどを含んだ「販売価格」ではなく、「買取価格」でOKです。このほか、ディーラーや中古車買取業者に売却査定をしてもらう、相続後に売却し、その金額で申告する、といったやり方もあります。

そうした方法での評価が難しい場合には、死亡日時点の同種の新車小売価額から、定率法による償却費を差し引いた価格で評価する(資産価値の減少分を差し引いて算出する)こともできます。税法上の耐用年数は普通自動車6年、軽自動車4年なので、年式が古い車であれば、「0円評価」もあるでしょう。

不動産に比べれば「安価」な自動車ですが、新車に近い高級車などの場合は、数百万円の評価額になることもあります。万が一、税務署に申告漏れを指摘されると、加算税などのペナルティが課させられることもありますから、その点は注意しましょう。

まとめ

自動車を持つ人が亡くなったら、まず所有者を確かめる→故人が所有者の場合は、なるべく速やかに相続(名義変更)の手続きを行うことが大事です。遺産としての評価額を含め、不明な点は相続に詳しい税理士などの専門家に相談するのがいいでしょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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