相続税の相談先は?無料窓口から税理士費用・選び方を解説

相続税の相談先は?無料窓口から税理士費用・選び方を解説
最終更新日:2026/05/25
この記事の監修者
澤村明浩税理士事務所
代表 澤村 明浩(税理士)
「申告が必要かどうか分からない」「誰に、どこに相談すればいいのか」相続が発生した直後、こうした疑問に直面する方は少なくありません。無料で使える窓口は「税務署・国税局電話相談センター」と「自治体・税理士会の相談会」の2種類。節税提案や申告代行まで求めるなら、相続税専門の税理士への依頼が必要です。申告期限は死亡を知った日から10ヶ月以内。この記事では相談先の選び方・税理士費用の相場・申告の要否チェック法まで解説します。

相続税を無料で相談できる2つの窓口

無料で相続税を相談できる公的窓口は「税務署・国税局電話相談センター」と「自治体・税理士会の無料相談会」の2つです。いずれも申告の要否確認や基礎的な手続き案内には活用できますが、節税提案や申告書の作成代行には対応していません。無料相談で「申告が必要そうだ」と判断できたら、次のステップとして税理士への相談に進みましょう。

税務署・国税局電話相談センター

「そもそも申告が必要か」「基礎控除はいくらになるのか」といった初歩的な疑問なら、電話一本で確認できます。国税庁の職員が制度説明や申告書の書き方を案内してくれる窓口で、匿名での相談も可能です。初期段階の情報収集に最適です。 
ただし、節税対策の提案や個別財産の評価計算はしてもらえません。一般的な制度説明に留まるため、具体的な申告作業には別途専門家のサポートが必要になります。

自治体・税理士会の無料相談会

市区町村の役所や税理士会館で定期開催される無料相談会では、税理士に直接相談できます。費用なしで専門家の目線から状況を整理してもらえる貴重な機会です。電話窓口とは異なり「申告が必要か」「どんな書類を準備すべきか」を対面で確認できるのが強みです。 
一方で、一人あたり20〜30分の時間制限があり「同一案件の相談は1回限り」といった制約も多いです。また、出席している税理士が相続税(資産税)を専門とするとは限りません。複雑なケースや具体的な節税検討には対応しきれないことを理解しておきましょう。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
相続税は財産評価、法定相続人の数、遺言の有無、過去の事業の状況等、案件ごとに難易度、確認しなければいけないことが大きく異なります。無料相談の場合、基礎控除や税率、配偶者の税額の軽減など、基本的なことは教えてもらえると思いますが、自分の場合はこんな状況だという説明をされても、個別具体的な話については深くまで回答してもらうことは困難です。
特に、各種控除を受けるには細かな要件をクリアできているか、実際に内容を精査しないと結論を出すことは不可能といっていいと考えます。無料相談はあくまで入口の基本知識を教えてもらう場と割り切った方がいいかもしれません。特に無料相談会に出ている税理士が、相続税のような資産税を専門とする税理士であるとは限りません。
澤村明浩税理士事務所
代表 澤村 明浩

税理士への相続税相談。費用相場と進め方を解説

多くの税理士事務所では初回相談を無料で行っています。実際に申告を依頼した場合の報酬は、シンプルなケースで20〜50万円程度、複雑なケースでは100万円を超えることもあります。以下、費用の仕組みと相談から申告完了までの流れを解説します。

初回相談は無料の事務所が多い

相続税専門の税理士事務所の多くは、初回相談を無料で受け付けています。まず費用をかけずに「申告が必要か」「おおよその税額はどれくらいか」「どんな書類が必要か」を確認できます。費用面で不安がある場合でも、まずは無料相談を活用して状況を整理することから始めましょう。 
複数の事務所に相談して見積もりを比較することも有効です。費用の安さだけでなく、相続税の専門性・提案内容・担当者との相性なども考慮して選ぶことが重要です。特に「小規模宅地等の特例」など複雑な節税制度の知識があるかどうかも確認しておきましょう。

税理士報酬の仕組みと目安

報酬体系は事務所によって異なります。主な4つの形態と目安金額は以下の通りです。

報酬体系 概要 目安金額
遺産総額ベース 総遺産額に一定率をかける 5,000万円の遺産で20〜50万円程度
基本料金+加算方式 基本料金に財産の種類ごとに加算 基本料金10〜30万円+加算額
時間制報酬 作業時間に応じた課金 1時間あたり1〜2万円
相続税額ベース 相続税額に一定率をかける 相続税額の10〜20%程度

報酬額は遺産の総額・不動産の数・相続人の人数・事業用資産の有無などによって変わります。「節税額の○%を成功報酬として受け取る」形態の事務所もあり、大きな節税効果が見込まれる場合はこうした契約形態も選択肢になります。複数事務所の見積もりを比較して、適正な費用で依頼先を選びましょう。

相談から申告完了までの3ステップ

相続税の申告期限は、死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内。早めに動くほど余裕が生まれます。相談から申告完了までの流れは以下の3ステップです。

  • ステップ1:無料相談で方向性を確認 税務署・自治体の無料窓口や、税理士事務所の初回無料相談を活用し、「申告の要否」「遺産の概算額」を整理します。
  • ステップ2:税理士を選んで正式依頼 複数事務所から見積もりを取得し、専門性・費用・相性を比較して依頼先を決定。契約後に必要書類のリストを受け取ります。
  • ステップ3:書類収集・申告手続き 戸籍謄本(出生〜死亡の連続したもの)・固定資産税評価証明書・預貯金残高証明書・保険証券などを収集し、税理士の指示に従い期限内に申告・納税します。

申告期限に間に合わない場合、無申告加算税(10%〜30%)や延滞税が課されます。また「小規模宅地等の特例」などの節税制度を使うには、期限内に遺産分割協議を完了しておく必要があります。遺産分割が難航しそうな場合は、早めに弁護士にも相談してください。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
現状をなるべく正確に説明できるようにすることが重要です。死亡日はいつか(申告期限はいつか)、法定相続人は何人いるか、財産はおおよそいくらくらいあるかなどもありますが、遺産分割協議が既に済んでいるか、あるいは問題なく済む見込みであるかも重要です。いわゆる「争族」になっているような状態だと、受任できないとしている税理士も少なくありません。
税理士の仕事はあくまで相続財産を評価し、利用できる各種控除を検討し、期限内に申告することが基本です。相続税の申告は前述の通り案件ごとに個別性が強く、案件に集中できる状況を税理士に提供することも、スムーズに相談から申告までを進めるために重要なことと考えます。
澤村明浩税理士事務所
代表 澤村 明浩

弁護士・司法書士が必要なケース

相続人間でトラブルが発生している場合や不動産登記が必要な場合は、税理士ではなく弁護士・司法書士の領域です。それぞれの専門領域と、税理士との使い分けを以下の表で確認してください。

専門家 主な相談内容 こんな場合に相談
税理士 相続税申告・財産評価・節税提案 申告が必要・節税したい・財産に不動産がある
弁護士 遺産分割協議・相続放棄・遺留分請求 相続人間で意見対立がある・争いになっている
司法書士 不動産の相続登記・名義変更 不動産の名義変更手続きだけを依頼したい

相続では複数の専門家が連携して対応するケースも多くあります。「まずは税理士に相談し、必要に応じて弁護士・司法書士と連携してもらう」という進め方が現実的です。

そもそも申告が必要か。基礎控除で確認する

相談先を選ぶ前に、まず自分のケースで相続税申告が必要かどうかを確認しましょう。判断の第一歩は「基礎控除額」の計算です。遺産の総額が基礎控除を超えれば申告が必要、超えなければ原則不要です。ただし不動産や事業用資産がある場合は評価が複雑になるため、境界ライン付近では専門家の確認が必要です。

基礎控除の計算式

基礎控除額は以下の計算式で求められます。

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、法定相続人は3人なので基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。遺産の総額がこの金額を超えると、申告が必要です。 
基礎控除の計算方法や法定相続人のカウント方法について詳しくはこちらをご覧ください。

不動産・事業用資産がある場合は専門家必須

不動産や事業用資産が含まれる場合は、専門家のサポートなしに正確な評価額を算出することは困難です。不動産の評価は「路線価方式」や「倍率方式」という特殊な計算方法が用いられるため、素人では正確な計算が難しいです。 
また「小規模宅地等の特例」を適用できれば、居住用・事業用不動産ともに評価額を最大80%減額できる大きな節税効果があります。ただし要件が細かく、適用可否の判断には専門家の確認が不可欠です。事業用資産の場合、営業権や在庫の評価が別途必要になることもあります。

よくある質問

相続税の相談は、いつ始めればいいですか?

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。特例の適用や書類収集に時間がかかるため、相続発生後できるだけ早めに動き出すことが重要です。

まず無料でどこに相談すればいいですか?

「税務署・国税局電話相談センター」か「自治体・税理士会の無料相談会」が入り口になります。基本的な情報収集が目的なら税務署への電話が手軽です。専門家に直接話を聞きたい場合は、無料相談会または税理士事務所の初回無料相談を活用しましょう。

無料相談と有料相談(税理士)の違いは何ですか?

無料相談(税務署・自治体など)では基本的な制度説明や手続き案内が中心で、節税策の提案や申告書作成は対応外です。税理士への有料相談では、財産評価・特例適用の検討・申告代行まで一貫したサポートを受けられます。

税理士に依頼すると費用はどれくらいかかりますか?

シンプルなケースで20〜50万円程度、複雑なケースでは100万円を超えることもあります。初回相談を無料にしている事務所が多く、まず見積もりを確認することをおすすめします。誤った申告や特例の見落としによる数百万円規模の損を防げる場合もあるため、費用対効果を総合的に考えることが重要です。

相談時に用意すべき書類・情報は何ですか?

戸籍謄本一式・預貯金残高証明書・固定資産税評価証明書・登記簿謄本・保険証券・遺言書・遺産分割協議書などが代表的です。すべて揃っていなくても、相続財産の概要を把握できる情報をまとめておくとスムーズに進みます。

特例や控除を使いそびれないか不安です

「配偶者の税額の軽減」「小規模宅地等の特例」「未成年者控除」など、相続税には多くの特例があります。要件が細かく判断が難しいため、自分で見落とすリスクが高いのも事実です。相続税の実績が豊富な税理士に相談することで、適用可否をしっかり確認してもらえます。

まとめ。相続税の相談は早めが正解

この記事のポイントを整理します。

  • 無料相談は「税務署・電話相談センター」と「自治体・税理士会の相談会」の2種類。申告の要否確認や初歩的な疑問の解消に活用できますが、節税提案や申告代行は対応外です。
  • 税理士への依頼は、初回相談が無料の事務所が多く、費用相場はシンプルなケースで20〜50万円程度。複数事務所の見積もりを比較することで、適正な費用で専門的なサポートを受けられます。
  • 相続人間でトラブルがある場合は弁護士へ、不動産の名義変更だけなら司法書士へ。税務面は税理士が専門です。
  • 申告期限は10ヶ月以内。「小規模宅地等の特例」などの節税制度を活用するには、期限内に遺産分割協議を完了する必要があります。早めの相談が、税負担を大きく左右します。

少しでも不安がある場合は、まず無料窓口か税理士の初回無料相談を活用してください。適切な相談と早めの行動が、相続税の負担軽減と円滑な手続きの鍵です。

この記事の監修者
澤村明浩税理士事務所
代表 澤村 明浩(税理士)
静岡大学卒業後、某地方銀行に入社。ふとしたことから税理士を目指すことになり、8年勤めた銀行を辞め、税理士事務所に転職。税理士試験に合格後、令和7年1月1日独立。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部

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