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「生前贈与」ってどうやるの? そのメリットと注意点を解説説

「生前贈与」ってどうやるの? そのメリットと注意点を解説説

公開日:2020年9月3日  
最終更新日:2021年7月20日

よく耳にする「生前贈与」という言葉。実際、生きているうちに自分の財産を子や孫に譲りたいと考えている人は、多いはずです。とはいえ、無計画に渡したりすれば、高額の贈与税が課せられてしまうかもしれません。どうやったら、上手に贈与することができるのでしょうか? わかりやすく解説します。

そもそも「生前贈与」とは?

ある人が亡くなると、その財産は、遺言書や法定相続分(※)に従って分割されます。これに対して、生きているうちに、特定の人に遺産を譲るのが「生前贈与」です。生前贈与を行えば、存命中に財産をあげたい人に確実に渡すことができます。財産の金額が大きい場合には、生前に渡しておくことにより相続税を減らすことができる、というメリットもあります。

ただし、贈与にも、やはり受け取った側に課せられる贈与税という税金があります。しかも、同じ金額を分けたとき、税率は基本的に相続税よりも高くなります。だったら「メリット」にはならないではないか、と言われそうですが、この贈与税には非課税枠などが設けられていて、それらをうまく活用することによって、税負担ゼロ(かかっても少額)で財産を移すことが可能なのです。

生前贈与にもいろいろな方法がありますが、ここでは最もポピュラーな「暦年贈与」と「相続時精算課税」について説明します。

※法定相続分:被相続人(亡くなった人)の遺言書がない場合に、民法に定められた相続人の遺産の取り分。

1年に110万円以内なら非課税

贈与税の計算は、所得税と同じく、毎年1月1日~12月31日までが基準となっていて、次の計算式で算出されます。

贈与税額=(もらった金額-「基礎控除」)×税率-控除額

上の式の「基礎控除」というのが、すなわち非課税枠で、110万円となっています。もらった金額がこの範囲内であれば、贈与税はかかりません。言い方を変えると、年間110万円以内なら、税金を支払わずに財産を渡すことができるわけです。こうした贈与のやり方を「暦年贈与」と言います。

贈与税は、もらった人1人ひとり個別に計算されます。例えば、子ども2人にそれぞれ110万円を渡しても、贈与税はかかりません。しかし、両親が1人の子どもに110万円ずつ渡したら、上の式の「もらった金額」が220万円になりますから、基礎控除110万円を引いた110万円に課税されることになります。

歴年贈与の注意点とは?

基礎控除の範囲内であれば、いちいち税務署に申告することなく、贈与することができます。現金だけでなく、不動産などどんな財産でもOK。110万円ずつ10年贈与すれば、無税で1100万円を渡すことができますから、「使える」やり方であるのは確かです。仮に、多少非課税額を超えた贈与を行っても、相続税とトータルで考えると、生前に渡しておいた方が有利になるケースもあります。

ただ、「年間110万円」ばかりに目が行っていると、思わぬ‶落とし穴〟にはまることもありますから、注意しましょう。

「あげる」「もらう」の意思が必要

そもそも「贈与」と認められなければ、非課税枠も何もありません。贈与であるためには、渡すほうの「財産をあげる」という気持ちだけでなく、受け取るほうにも「もらう」という明確な意志が確認されなくてはならないのです。

例えば、子ども名義の通帳に親が勝手に積み立てていたような場合には、贈与とは認められず、「名義預金」(親の財産)とみなされます。相続のときには、相続財産に加えられることになりますから、被相続人の思いとは裏腹に、子どもが多額の相続税を支払う羽目になるかもしれません。

毎年、贈与契約書を作成するのがベスト

「毎年110万円まで非課税」と言いましたが、「最初から1000万円を譲る意思があって、非課税にするために10年の分割にした」というスキームは、実態は別として、税務署の立場からすると、アウト。「1000万円の贈与」をベースに、課税される危険性があります。そう認識されないためには、毎年、金額や双方の意思を明記した贈与契約書を作成しておくのが、確実な方法です。

相続発生前3年間の贈与は、相続財産に

贈与を行っていた人が亡くなって、相続になった場合、その時点から3年前までに贈与された金額は、たとえ110万円の非課税枠の範囲であっても、被相続人の相続財産に「戻されて」しまいます。「駆け込み贈与」は、難しいということです。

短期間だと、節税効果は薄い

年間110万円という非課税枠を考えると、少ない税負担で多額の財産を渡すのには、長い年月が必要になるでしょう。そう考えて子どもが若い頃から渡していくと、親の意に反して「浪費」してしまう、といった懸念もあります。

「相続時精算課税」では、贈与税非課税で2500万円まで渡せる

一方、60歳以上の父母、祖父母から20歳以上の子、孫に贈与した場合に、最大2500万円まで贈与税がかからない相続時精算課税という制度があります。ひとことで言えば、とりあえず贈与税の負担を気にせず多額の財産を譲り、贈与を行った人が亡くなった時点で、相続税としてその分の税を「清算」する仕組みです。

とにかく、生きているうちに多くの財産を子や孫に渡したい、というニーズに応える制度で、子育てやマイホームの購入など、子ども世代に資金が必要な時期に、とりあえず税負担なくまとまった資金を渡すことができる、といったメリットがあります。

とはいえ、やはり気をつけるべき点があります。

暦年贈与に戻せなくなる

一度、この相続時精算課税を選択すると、さきほどの暦年贈与には戻せなくなります。別に贈与を行うと、暦年贈与の非課税枠は使えなくなり、その都度、税務署に申告しなくてはなりません。贈与した分は、全額が相続財産に加算されます。

「小規模宅地等の特例」が使えなくなる

相続時精算課税で自宅を贈与すると、相続時に、一定の要件を満たせばその評価額を80%下げることができる小規模宅地等の特例が使えません。自宅は「時価」で相続財産にカウントされる、すなわちみすみす多額の相続税を支払うことになる可能性がありますから、特に注意が必要です。

財産が値下がりすると「損害」に

財産は、贈与時点の価格をベースに精算されます。不動産や債券などの場合、相続時に値上がりしていれば、「節税」効果があります。逆に値下がりした場合は、「高い時の価格」に課税されますから、損ということになります。

相続で税理士への依頼を検討中の方へ

生前贈与には、説明してきた以外にもいくつかのやり方があります。相続税を支払うのとどちらが有利なのかも、ケースバイケース。特に財産が大きい場合には、相続に詳しい税理士に相談することをお勧めします。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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