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相続した財産はいつもらえるのか?必要な手続きと期間の目安を解説

相続した財産はいつもらえるのか?必要な手続きと期間の目安を解説

2023年1月18日

相続になり、亡くなった人の遺産を受け継ぐ立場になったら、当然、何がもらえるのか、いくらぐらいになるのかが気になります。そして、もう1つ知りたいのが、どのくらいの期間で受け取れるのか、ということではないでしょうか。結論をいえば、それは被相続人(亡くなった人)の遺言書があるのかどうかや、もらう財産の種類などによって異なります。相続するまでの手続きと併せて解説します。

相続になったらやるべきこと、やってはならないこと

相続が発生したら

自分が相続人だからといって、相続発生後にすぐに遺産をもらえるわけではありません。そこまで、必要な手続きを怠りなく進める必要があるのです。手続きには、期限が設けられているものもあります。例えば、相続税が発生する場合には、その申告・納税期限は亡くなってから10ヵ月以内となっています。

相続が発生したら、速やかに次のようなことに着手しましょう。

◆被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認する
後で詳しく述べますが、遺言書のある・なしで、相続の手続きは変わってきます。

◆相続人を確認、確定する
親族で遺産分割の話し合いを始めてから、被相続人の愛人が隠し子を連れて現れた、などというのはドラマの世界だけの話ではありません。相続人の確定のためには、被相続人の出生から死亡時までの、すべての戸籍謄本を確認する必要があります。

◆被相続人の財産や債務を調べる
遺産分割を行うためには、相続財産を確定させなくてはなりません。遺言書があっても、記載漏れの財産があるかもしれません(その場合には、民法に定められた法定相続分に従って分割することになります)。

相続財産には、現金や預貯金はもちろん、不動産、有価証券、自動車、貴金属など、金銭に見積もることができるすべてのものが該当します。未払いの社会保険料や借入金などの債務も「負の財産」として、これに含まれます。

勝手に預金を引き出すのはNG

たとえ葬儀の費用であっても、他の相続人に黙って被相続人の口座からお金を引き出したりするのは、やめましょう。相続トラブルの原因になるばかりでなく、財産を調べてみたら「正の財産」を上回る借金が見つかったような場合にも、「相続放棄」などができなくなるリスクがあるからです。

遺産をもらうまでには、2つのステップがある

遺産を手にするには、基本的に(1)誰がどの財産をどれだけもらうのか、という遺産分割のやり方を確定し、(2)それぞれの財産について相続の手続きを行う(例えば預金なら、銀行で名義変更、現金化の手続きをする)、という2つのステップを踏む必要があります。

(1)の遺産分割の手続きにも、大別して「被相続人の遺言書がある場合」と「それがない場合」の2パターンあります。前者から説明していきましょう。

遺言書がある場合の遺産分割

被相続人の遺言書がある場合には、基本的にそこに書かれた内容に従って、遺産分割が行われます。この遺言書には、「自筆証書遺言書」「公正証書遺言書」「秘密証書遺言書」の3種類があり、相続手続きに違いがあります。

自筆証書遺言書の場合

被相続人が自分で書いた遺言書です。これに基づいて相続手続きを進める際には、まず家庭裁判所で、相続人の立会いのもと、遺言書を開封して内容を確認し、遺言書の存在を明らかにする「検認」の手続きが必要になります(遺言書の内容が有効か無効かを確認するものではありません)。この手続きには、通常1~2ヵ月程度かかります。

一方、2020年7月10日から、法務局で自筆証書遺言書を保管してくれる制度が始まりました。これを利用した場合、検認の手続きは不要なので、スムーズに次のステップに進むことができます。

公正証書遺言書の場合

被相続人が公証役場に出向いて、公証人に作成・保管を依頼した遺言書です。「公」の文書なので、相続時にわざわざ「検認」を受ける必要はありません。

秘密証書遺言書の場合

遺言の内容を秘密にしたまま、公証人に遺言の存在のみを証明してもらう遺言書です。これは、公正証書と違い、自筆証書遺言書を自宅などの保管していた場合と同様、「検認」手続きが必要になります。

遺言で「遺言執行者」を指定していた場合

遺言書では、被相続人の残した遺言書の内容を実現するために、必要な手続きなどを行う「遺言執行者」を指定することができます。指定されていた場合には、後段で述べる相続手続きを含めて、すべてをその人に任せることができます。ただし、どのくらいで遺産を受け取れるのかも「遺言執行者任せ」ということになります。

遺言書がない場合の遺産分割

基本的に「法定相続分」で分ける

被相続人の遺言書がなかった場合には、民法が定めた「法定相続分」で遺産分割を行うのが基本です。ただ、これはあくまでももらえる財産の割合ですから、例えば自宅は誰が相続するのかといった具体的な分け方は、相続人の間で話し合って決める必要があります。

これを「遺産分割協議」といいます。ちなみに、この話し合いで相続人全員の合意ができれば、被相続人の遺言の内容や、法定相続分とは異なる分割をすることも可能です。合意の内容は、「遺産分割協議書」という文書にします。

遺産分割協議が揉めると……

協議がまとまり次第、相続の手続きに進むことができます。逆に、原則として遺産分割の合意ができない限り、遺産をもらうこともできません。合意の期限に法的な決まりはありませんが、さきほども述べたように、相続税が発生する場合には、相続開始から10ヵ月以内に納税まで済ませなくてはなりません。この時点で協議がまとまっていない時には、いったん法定相続分に従って税金を納めることになります。

遺産が少額であっても、親族間で揉めるのは珍しくありません。まとまらずに、家庭裁判所での「調停」、さらには裁判へと、エスカレートすることもあります。「争続」になると、何年も遺産をもらえない可能性もありますから、そうならないように、相続前に家族で話し合いを持つなどの対策を講じておくことをお勧めします。

相続手続き開始から、もらえるまでどれくらい?

遺言書、遺産分割協議書をはじめとする必要書類が揃えば、いよいよ相続の手続きを行うことになります。手続き開始からもらえるまでの期間は、相続財産によって異なります。以下に示したのは、それぞれの財産に必要な書類をすべて揃えて提出してからの「目安」と考えてください。

預貯金:1~2週間

被相続人の預金が相続人の口座に振り込まれるまでの期間は、金融機関により多少の違いがあります。預金をもらう方法には「預金の払い戻し」(預金を解約して相続人それぞれの口座にお金を振り込む方法)と、「名義変更」(1人の相続人の名義に変更する方法)の2つがあります。

銀行が相続の開始を把握すると、勝手に出金できないようにするため、被相続人の口座はいったん凍結されますから、いずれかの方法でそれを「解除」する必要があります。必要書類などは取引金融機関ごとに異なるので、問い合わせて確認してください。

不動産:1~2週間

土地、建物などの不動産を相続する場合には、「相続登記」(名義変更)が必要です。現在は法的な決まりはありませんが、2024年4月1日から、この相続登記が義務化されます。なお、これは法改正以前の不動産にも適用されます。

相続登記は、必要書類を揃えて、所在地を管轄する法務局に申請します。申請後1~2週間程度で登記が完了し、登記簿上も新しい所有者の相続が証明されます。不動産の売却なども新たな所有者が自由にできるようになります。

自動車:即日

自動車を相続する場合にも名義変更を行います。車検証や戸籍謄本などの必要書類を揃え、陸運局(運輸局)で手続きします。書類に不備がなく、窓口で申請が受領されれば、新しい名義人の名前の車検証が発行されます。名義変更後は、そのまま自動車を使用することも、売却や廃車にすることも可能になります。

有価証券:2週間~1ヵ月

被相続人名義の株や債券、投資信託などの有価証券は、いったん相続人の口座に移してから換金することになります。その証券会社に相続人の口座がない場合は、新しく口座を開設する必要があるため、預貯金に比べると、移管されるまでの期間が長くなります。

相続人の口座に移された有価証券は、タイミングを見計らって売却することも、そのまま相続人が運用し続けることも可能です。

死亡保険金:1~3週間

死亡保険金は、相続財産ではなく、受取人の固有財産とみなされます。そのため、遺産分割協議がまとまる以前などでも受け取ることができますが、自ら保険会社に請求しなくてはなりません。死亡後3年以内に申請しなければ、請求権が消滅する場合がありますから、注意しましょう。受領されれば、早ければ1週間程度で指定の口座に保険金が振り込まれます。

相続手続き完了前に出金できる「仮払い制度」

葬儀費用などを賄える

さきほども述べたように、人が亡くなると、不正出金などを防ぐためにその人の名義の預金口座は「凍結」されます。ところが、そのために、相続人が葬儀費用などで早急に必要になったお金を工面できない、といったことが問題になりました。

そこで民法が改正され、一定限度までであれば遺産分割前でも出金できるようになりました。これが、相続時の「預貯金の仮払い制度」です。

いくらまで出金できる?

ただし、仮払いできる金額には限度があり、上限は以下の「低い方の金額」です。
・死亡時の預貯金残高×法定相続分×1/3
・150万円

相続人が複数いる場合には、それぞれが限度額まで仮払いを受けることができます。また、被相続人が複数の金融機関に預金口座を持っていた場合には、それぞれから引き出すことが可能です。

それでも不足する場合には、家庭裁判所で「仮処分」という手続きを行います。認められれば、金額の上限額なく仮払いを受けることができますが、審査に日数を要するのがネックといえます。

まとめ

遺産を受け取るまでの流れを理解いただけたでしょうか。後段に説明した手続き自体は「定型」で、書類の不備などがなければ、遺産をもらうまでにそんなに時間はかかりません。大きく差がつくのは、遺産分割の仕方を決めるまでだと考えてください。スムーズな相続のために、この分野に詳しい税理士などの専門家に相談してみるのもいいでしょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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