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相続税の申告・納税が済んでから、新たな遺産が出てきた!どうしたらいい?

相続税の申告・納税が済んでから、新たな遺産が出てきた!どうしたらいい?

2023年1月25日

相続税の申告・納税は、相続が発生してから10ヵ月以内と決められています。その期限通りに申告を済ませて、一息ついたところで、被相続人(亡くなった人)名義の申告していない株券が見つかった。このような場合、どう対処したらいいのでしょうか?わかりやすく解説します。

預貯金・現金の「申告漏れ」

相続税の申告後に、被相続人の新たな財産が出てくるケースとしては、意外なところから預金通帳や有価証券、「タンス預金」が見つかる、倉庫の奥から骨董品が出てきた、などのシチュエーションが考えられます。被相続人が遺言書を残していたので、それに従って遺産分割を完了させたら、実は記載漏れの財産があった、などということも考えられます。

ちなみに、国税庁が2023年12月に公表した令和4事務年度における「相続税の調査等の状況」によると、申告漏れ相続財産(⾦額)で、「その他」を除くと最も多いのが「現⾦・預貯⾦等」で31.5%、「有価証券」が11.9%を占めています。

新たに申告が必要になる

そのまま放置はNG

結論から言うと、申告後、新たに被相続人の財産が見つかった場合には、後で説明する「訂正申告」ないし「修正申告」をしなくてはなりません。尚且つ、できるだけ速やかに行うのが鉄則です。「一度申告したのだから、大丈夫だろう」と考えてそのままにすると、税務調査(※)が入った際に、「申告漏れ」を指摘される危険性があります。

また、相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という「基礎控除額」があり、遺産総額がこの基礎控除額以下ならば、相続税は課税されません(基本的に申告も不要)。ところが、「非課税」だと思っていたら後から予想外の財産が出てきて、基礎控除額を上回ってしまったというケースもあり得ます。その場合には、相続税の申告義務が生じることになります。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。税務署が行う任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

まずは遺産分割協議

相続税の申告前には、遺言書や遺産分割協議(相続人による遺産分割の方法についての話し合い)で、被相続人の財産の分け方を決めます。しかし、新たな財産が見つかれば、合意の前提が変わってしまいます。その財産を誰がもらうのか、どのように分けるのかについて、あらためて協議が必要になります。

申告期限前か後かで申告の内容は異なる

協議がまとまり次第、申告を行います。しかし、申告は相続発生から10ヵ月という申告期限前と申告期限後で、やり方が変わることに注意が必要です。

申告期限前⇒「訂正申告」

申告期限前の場合には、「訂正申告」を行います。ひとことで言えば、相続税申告書の「書き直し」です。作成し直した申告書を提出すればよく、元の申告書を取り下げるなどの手続きは不要です。期限内に申告・納税を行えば、次の「修正申告」と違い、ペナルティなどはありません。

申告期限後⇒「修正申告」

申告期限を過ぎてから新たな財産が見つかった場合には、「修正申告」になります。こちらは、国税庁のWebサイトか税務署窓口で「修正申告書」を入手し、記載して提出します。

結果的に最初に提出した申告書に「誤り」があり、申告期限までに正しい納税が行われなかったと見なされるため、この場合は税金のペナルティが課せられることになります。「悪意はなかった」としても、ペナルティを逃れる理由にはなりません。

「修正申告」のペナルティは?

「過少申告加算税」と「延滞税」の対象となります。

◆過少申告加算税

申告期限内に提出された申告書に記載された納税額が、実際に納めるべき税額よりも過少だった場合に課される税金で、新たに納めることになった税金の10%相当額が課されます。ただし、新たに納める税金が「当初の申告納税額」を超えている場合、または「50万円」を超えている場合、その超えている部分については15%の税率となります。

なお、税務署の指摘を受ける前に、自主的に修正申告をすれば、この過少申告加算税は免除されます。

◆延滞税

申告期限から遅れた日数分だけ、以下の税率の税金が課せられます。「特例基準割合」とは、前年の銀行の新規の短期貸出約定平均金利に年1%分を加えた割合のことをいいます。

・納付期限の翌日から2ヵ月:年率「7.3%」か「特例基準割合に1%を加えた割合」のどちらか低い方
・2ヵ月を超えた期間:年率「14.6%」か「特例基準割合に7.3%を加えた割合」のどちらか低い方
※上記の年率・割合は2021年1月1日以後の場合。

新たな遺産が見つかったら、早めに対応を

「修正申告」は早いほうが“傷”は浅くて済む

申告書に不備があっても、申告期限前ならば、ペナルティを受けることなく、訂正が可能です。また、期限後に「修正申告」を行う場合でも、自主的に申告すれば過少申告加算税を免れるうえ、延滞税の支払いも少なくて済みます。申告後に遺産が見つかった場合には、速やかに行動すべきでしょう。

ちなみに、相続税にも時効があり、原則として申告期限から5年、悪質な隠蔽などがある場合には7年となっています。とはいえ、申告していない財産に気づいたのに時効を待つというのは、かなりリスキーな行為だといえます。例えば、税務署は、被相続人・相続人のすべての預金を調べることができます。相続人の知らない被相続人の預金口座まで把握していることさえあり得るのです。

相続財産に対する悪質な仮装・隠ぺいなどが発覚した場合には、「重加算税」というさらに重いペナルティの対象になることもあります。今も述べたように、申告期限から日にちが経つほど、延滞税もかさんでいきます。

期限内申告のために

もちろん、申告期限までに「正しい申告」を行うのがベストであることは、いうまでもありません。親は、財産のリストを作成しておく、子どもも親の預金口座などは知っておく、といった準備はしておくべきでしょう。

まとめ

相続税の申告・納税後に被相続人の新たな財産が見つかった場合は、申告期限前なら「訂正申告」、期限後であれば「修正申告」を行わなくてはなりません。申告後は、延滞税に加え「加算税」のペナルティを受ける可能性がありますから、速やかに手続きを進めることが大事です。迷う点があれば、相続に詳しい税理士に相談してください。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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