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遺産に高そうな絵画や骨董品が相続税はどうなるのか?

遺産に高そうな絵画や骨董品が相続税はどうなるのか?

2023年2月17日

被相続人(亡くなった人)が、絵画などの美術品や骨董品を残していた。自分たちには、その価値もよくわからない――。こんなとき、相続はどうしたらいいのでしょうか?「面倒くさいし、黙っていても税務署に追及されることはないだろう」と高をくくっていると、後々問題になるかもしれません。絵画などが遺産にある場合の相続について、解説します。

相続と相続税についておさらい

美術品も「相続財産」になる

相続で譲られる財産には、預貯金や土地、家屋のほか、有価証券、貴金属、自動車など原則として経済的な価値のあるものすべてが該当します。絵画や書、工芸品、骨董品といったものも、「値がつけば」立派な相続財産です。

必ず相続税が発生するわけではない

相続になったら必ず相続税を支払わなくてはならない、というわけではありません。相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される「基礎控除額」があり、遺産総額がこの金額以下の場合には、納税の必要はないのです。例えば、相続人が妻と子ども1人の計2人ならば、遺産額4,200万円までは、無税で遺産を受け継ぐことができます。

遺産総額が基礎控除額を超えた場合には、超えた金額に相続税が課税されます。申告期限(相続が発生してから10ヵ月以内)に申告・納税を済ませる必要があります。

国税庁の「令和3年分相続税の申告事績の概要」によると、2021年の相続税課税割合(発生した相続のうちどれだけ課税対象になったかの比率)は、9.3%でした。相続税がかかる相続は10件に1件程度ですが、この比率は徐々に高まる傾向にあります。

美術品の評価額が相続を左右することも

同じ相続財産でも、預貯金のように価額が明確なものもあれば、不動産のように評価の仕方によって、それが大きく変動するものもあります。美術品なども値段がわかりにくい財産で、意外な高値がついて相続税の課税・非課税に影響したり、税額の大幅な増加につながったりする可能性があるのです。

美術品の評価はどうする?

では、その美術品などの評価額の算定は、どのように行えばいいのでしょうか? これには、以下のように複数の方法があります。

購入価格を調べる

美術品の購入記録(領収書、預金口座の送金記録など)があれば、それで評価することができるでしょう。ただし、購入から時間が経っている場合には、注意が必要です。価値が大きく上がっているのに購入価格で申告すれば、税務署に指摘を受ける可能性があります。反対に下がっていたら、納税者が損をすることになります。少なくとも3年以内くらいの直近でなければ、参考にはならないと考えてください。

「売買実例価格」で評価する

実際に売却したらいくらになるのかを調べて、評価額とする方法です。具体的には、
・同様の物のインターネット上や店舗での販売価格
・美術品買い取り会社の査定価格

などが該当します。

専門業者に査定してもらえば、リアルな価値を把握することができます。ただし、同じ絵画でも査定額に差が出ることは珍しくありませんから、できれば複数店舗に依頼してみるのがいいでしょう。

専門家に鑑定を依頼する

その分野の専門家に鑑定を頼めば、最も確かな評価額を知ることができます。これを「精通者意見価格」といいます。相続税の申告の際には、申告書に「鑑定評価書」を添付します。

どんな場合に鑑定を受けるべきか

相続税申告の際、美術品を精通者意見価格にしておけば、税務署も文句のつけようがありません。しかし、鑑定には1点当たり数万円の鑑定料が必要です。場合によっては、評価額や納める相続税を上回ってしまうかもしれません。ですから、価格が数百万円になるような価値のあるものはプロによる鑑定で万全を期し、比較的安価なものについては売買実例価格で評価を行うのが普通です。

美術品の申告の仕方

安価なものは「家財」として申告できる

家具や自動車、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品、食器、衣類など家庭にある動産(動かせる財産)は、1点当たり5万円以下であれば、「家庭用財産」として1つにまとめて評価することが認められています。実はこれには、美術品、骨董品、貴金属なども含まれるのです。

安価な美術品などは、相続税申告書に「家財一式」として、他の財産との合計額を記入し、申告すればOKです。評価の基準に明確な決まりはなく、「概算」でいいことになっています。仮に数百万円で購入した絵画が専門家の鑑定の結果、偽物だったと判明して評価額が5万円以下とされたようなケースでも、相続では「家財」に含めることができます。

高価なものは個別で申告

「家財」に含められない評価の美術品などは、個別に申告する必要があります。評価額以前の問題として、価値のあるものを相続財産に含めるのを忘れたりしないよう、注意しましょう。意図的な「脱税」ではなかったとしても、後から「申告漏れ」が見つかれば、ペナルティの対象になってしまいます。

正しく申告を行わないとどうなる?

「税務調査」で調べられること

納税者の申告に対して疑問な点がある場合などには、国税局や税務署があらためて調査に入ることがあります。これを「税務調査」といい、相続税の場合には自宅などに調査官がやって来ます。

税務署の職員も、絵画などの美術品、骨董品の「目利き」ができるような専門家ではありません。しかし、だからといって“スルー”するわけではなく、高額そうな美術品があれば、写真に撮るなどして持ち帰り、調べます。

彼らには、被相続人や相続人の預貯金口座を10年間にわたって調べる権限があります。もし、高額の美術品や貴金属などの購入履歴があるのに「現物」が見当たらなかったら、徹底的に「家宅捜索」されることになるはずです。

国税庁の「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、2021年7月~22年6月の1年間で6,300件あまりの相続税の実地調査(税務調査)が行われ、87.6%に申告漏れなどが見つかりました。そのうち15.5%に、次に説明する「重加算税」が課せられています。

「申告漏れ」のペナルティ

もし、申告に関して問題が見つかった場合には、以下のような「割増の税」を支払うことになります。

  • 「無申告加算税」(申告期限までに申告・納税しなかった場合)⇒納付すべき税額に対して15%ないし20%相当額
  • 「過少申告加算税」(申告書に記載された納税額が過少であった場合)⇒新たに納めることになった税金の10%ないし15%相当額

また、高額の美術品を申告の必要があると知りながら隠したりすると、さらに重い「重加算税」(新たに納めることになった税金の35%ないし40%相当額)が課せられる可能性もあります。これらに加え、申告期限から遅れた期間に応じて、「延滞税」が加算されます。

寄付すれば課税の対象外に

高額な絵画が残されたけれど、自分たちには興味がない。維持管理に手間やコストがかかるので、誰かに引き取ってもらいたい――。こんな場合には、相続税の申告期限までに、取得したものを次のいずれかに贈与すれば、その財産は相続税の課税対象から外すことができます。

  • ・国または地方公共団体
  • ・公益法人そのほかの公益を目的とする事業を営む公益事業者で、科学・教育の振興などに寄与するところが著しいと認められている法人(学校法人、社会福祉法人など)。

当然のことながら、相手が受け取ってくれる価値がなければ、贈与は成り立ちません。また、贈与すればどこでもいいというわけではありませんから、事前にしっかり調べる必要があります。

相続のプロに相談する

高額の美術品が残されるような相続では、そもそも遺産総額もかなり大きなものになっているケースが多いでしょう。税務調査のターゲットにもなりやすいことが考えられます。

申告に問題があって、ペナルティが課せられるような事態を防ぐためには、相続に詳しい税理士に相談するのが1つの方法です。実績のあるプロならば、例えば鑑定の必要性などについても、的確なアドバイスが期待できるでしょう。

まとめ

被相続人の残した美術品や骨董品も、価値のあるものは相続財産です。相続税が発生する場合には、きちんと申告・納税しなくてはなりません。評価額には、「売買実例価格」「精通者意見価格」などがあります。不明な点は、相続に詳しい税理士に相談を。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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