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親族が急に亡くなった 相続発生後にできる相続税対策はあるのか?

親族が急に亡くなった 相続発生後にできる相続税対策はあるのか?

2024年3月19日

相続対策として、財産の贈与をはじめとする生前の準備を実行している人もいるでしょう。ただ、実際には、そうした対策を講じる前に亡くなるケースも珍しくありません。亡くなった後からでも、相続税の節約は可能なのでしょうか? 急に相続になった場合に考えるべきことについて、まとめました。

相続になったら確認すべきこと

実は親などの親族が亡くなった後でも、相続税の節税のために打てる手はあります。それについて説明する前に、急に相続が発生した場合、まず確認しておくべきことについて述べておきましょう。

遺産は基礎控除額を超えているか

相続税には、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があり、遺産総額がこれ以下ならば、相続税は課税されません。例えば、相続人が妻と子ども2人ならば4,800万円です。遺産がこの基礎控除額以内に収まっていれば、とりあえず税金について心配する必要はないのです。

ただ、後で説明する配偶者控除や小規模宅地等の特例などを使った結果、遺産をこの範囲まで減らすことができた(相続税の納税が不要になった)場合には、申告は必要になりますから、注意してください。

相続税は累進課税

相続税は、さきほどの基礎控除額を超えた相続財産に課税されます。しかも金額が大きいほど税率も高くなっていく累進課税という仕組みになっています。ですから、課税前の遺産額をそれだけ減らせるのかには、大きな意味があります。

相続税の申告期限は10カ月

相続税の申告が必要な場合、その期限は、原則として相続発生から10カ月以内となっています。それまでに遺産の分け方を決め、申告・納税を済ませなくてはなりません。

焦って“悪手”を打たない

とはいえ、焦りは禁物です。過度に遺産分割を急いだために、可能な節税策が実行できなかったばかりでなく、相続人同士の争いが起こったのでは最悪です。また、ケースによっては、二次相続(残った親が亡くなって発生する相続)まで見通した対策を打つ必要も出てきます。

遺産額が大きく、財産に不動産が含まれる場合などには、慌てて物事を決める前に、相続に詳しい税理士などの専門家に相談すべきでしょう。

【節税のポイント1】相続財産の元々の金額を圧縮する

それでは、亡くなってからできる相続税の節税対策について、説明していくことにします。

第1のポイントは、相続財産の元々の金額(後述する税の優遇措置を受ける前の金額)をできるだけ小さくすることです。とはいえ、被相続人(亡くなった人)の現金や預貯金を相続開始後に減らすことは、基本的にできません。正確には、葬祭費用などを被相続人の預金から支出することは認められますが、大きな減額の余地があるのは、不動産などの「評価額」です。

土地の評価額を下げる

相続の際、不動産(土地)は、通常、面した道路の価格=「路線価」を基にした「相続税評価額」で計算されます。ただ、この評価額は、土地の形状や立地条件などによっては、引き下げることが可能なのです。

また、自宅の宅地については、被相続人と同居していた相続人が居住するなどの要件を満たせば、評価額を8割も減額できる「小規模宅地等の特例」(後述)があります。

「負の財産」を忘れずに差し引く

被相続人の遺産が、預金や不動産などの価値のあるものばかりとは限りません。金融機関などからの借入金や支払い中のローンといった「負の財産」があった場合、その残高は相続財産から差し引くことができます。税金や医療費などの未払金も同じく差し引けますから、忘れずに計上するようにします。

【節税のポイント2】税制上の特例や控除を活用する

相続税にも、次のような税制上の優遇措置が設けられていますから、これらを活用します。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)

被相続人の配偶者は、「1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い金額」まで、相続税がかかりません。例えば、上で計算した元々の相続財産が1億5,000万円だった場合、配偶者が全額を相続できれば、相続税は課税されないのです。

ただし、ここ(一次相続)で配偶者に遺産を集めすぎると、その配偶者が亡くなったとき(二次相続)に子どもの納める相続税が、非常に高額になる可能性があります。ですから、遺産額が大きいほど、二次相続までを考えたシミュレーションが必要になることは念頭に置くべきでしょう。

小規模宅地等の特例

被相続人の自宅や、事業に使っていた宅地を相続する際には、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」を使うことができます。自宅を相続する場合、330㎡(限度面積)までの宅地の評価額を80%減額できるという、非常に有効な優遇措置です。

対象になる相続人は、「配偶者(要件なし)」、「被相続人と同居していた子どもなどの親族」、「p被相続人と別居していたが、3年以上貸家に暮らしていた子どもなどの親族」です。相続発生時に被相続人が老人ホームに入居していた場合などにも、要件を満たせば適用が受けられます。

未成年者控除

18歳未満の未成年者が相続する場合、本人の相続税から以下の金額を控除する(差し引く)ことができます。

未成年控除=(18歳-相続時の年齢)×10万円

相続開始時に15歳だったら、30万円が控除されます。なお、これは、相続財産から控除されるのではなく、対象となる未成年者の相続税から直接差し引かれる「税額控除」です。

障害者控除

85歳未満の障害者が相続する場合、年齢と障害のレベルに応じて、以下の金額を控除できます。これも、当人の相続税から差し引かれる税額控除です。

一般障害者の控除額=(85歳-相続時の年齢)×10万円
特別障害者の控除額=(85歳-相続時の年齢)×20万円

相続発生前の一定期間に納めた贈与税額の控除

相続開始前の一定期間に生前贈与していた場合、その贈与額は相続財産に加算(持ち戻し)されることになっています。相続税の減額を目的とした「駆け込み贈与」を防ぐのが目的で、従来相続開始前3年以内の贈与が持ち戻しの対象になっていましたが、2023年の税制改正で、その期間が7年に延長されました(24年の贈与から順次延長)。

この持ち戻しになった贈与について、すでに贈与税を納めていた場合には、その分を相続税から控除することができます(税額控除)。

相次相続控除

相続が10年以内に立て続けに発生した場合には、相次相続控除の対象になるかもしれません。適用の要件は、次の3点です。

  • ・10年以内に続けて起こった相続である
  • ・今回の相続の法定相続人である
  • ・前回の相続で今回の被相続人に相続税が課税されている

控除額の計算はかなり複雑ですが、前の相続から1年経つごとに10%の割合で減額されるようになっています。上の要件に当てはまる場合には、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

外国税額控除

外国にある財産を相続したときに、その財産がある国から相続税が課せられた場合には、その分を日本での相続税額から控除することができます。適用の要件は、以下の通りです。

  • ・相続により財産を取得している
  • ・取得した財産が外国にある
  • ・取得した財産のある国から相続税に相当する税が課されている

ただし、海外財産の評価などには、やはりプロの手が必要です。控除を利用する場合には、税理士などに依頼すべきでしょう。

相続税節税のためのその他の注意点

生命保険の保険金、死亡退職金には非課税枠がある

被相続人が亡くなったことで受け取る死亡保険金(被保険者と保険料負担者が被相続人、保険金の受取人が相続人である場合)や死亡退職金は、受取人固有の財産で、相続財産には含まれません。ですから、たとえ相続放棄をしたとしても、受け取ることができます。

ただし、ややこしいのですが、受け取った金額は「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象にはなるのです。その場合も「500万円×法定相続人の数」という非課税枠がありますから、忘れないように活用しましょう。

この非課税枠の「頭数」に数えることができるのは、あくまでも法定相続人であることに注意してください。被相続人が遺言書で相続人以外の受遺者(遺言によって財産を受け取る人)を指定していても、その人を計算に加えることはできません。また、養子縁組をすれば相続人を増やすことができますが、被相続人の子どもがいる場合には1人、いない場合には2人、という人数制限があります。

葬儀にかかった費用は控除可能

被相続人の葬儀にかかった次のような費用も、遺産額から控除することができます。

  • ・葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
  • ・遺体や遺骨の回送にかかった費用
  • ・葬式の前後に生じた費用で、通常葬式にかかせない費用(例えば、通夜などにかかった費用)
  • ・葬式の際、寺などに対して支払った読経料など
  • ・死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

ただし、次のような費用は控除されません。

  • ・香典返しのためにかかった費用
  • ・墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
  • ・初七日や法事などのためにかかった費用

まとめ

親族が亡くなった後でも、相続税の節税は可能です。必要に応じて相続に詳しい税理士などのサポートを受けて、申告に向けた作業を進めるようにしましょう。

とはいえ、相続の開始から申告までは10カ月しかなく、生前贈与が不可能になるなど、対策が限定されるのも事実です。財産額が大きい場合などには、早めに相続の準備を始めるのがベストであることは、いうまでもありません。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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