外食の消費税は下がらない?飲食店オーナーが今すぐ知るべき「補助金支援」の中身

[取材/文責]マネーイズム編集部

食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる案について、政府・与党が最終調整を進めています。2027年4月からの2年間限定の時限措置として、スーパーやコンビニの弁当・総菜など「食料品(軽減税率対象)」の税率が大幅に引き下げられる見通しです。

ところが、飲食店での「店内飲食(外食)」はこの減税の対象外となる方向で、10%のままが維持される公算が強まっています。食料品が割安になる中で外食だけが高止まりする状況に、飲食店オーナーからは「経営を直撃する」との声が上がっています。

こうした事態を受け、政府・与党が2026年6月4日、外食産業と中小農水産業者への補助金支援を検討していることが明らかになりました(共同通信報道)。高市早苗首相は6月下旬にも最終判断を下す見通しです。飲食店を経営するオーナーが今知っておくべき内容を整理します。

食料品の消費税が「1%」になる一方、外食は「10%」のまま

現行の消費税制度では、スーパーやコンビニで買う食料品(酒類・外食を除く)には軽減税率8%が適用されています。一方、外食(飲食店での店内飲食)は標準税率10%のままです。

今回検討されている改正案では、この軽減税率対象の食料品が8%から1%へ引き下げられます。しかし外食は引き続き対象外とされる方向で、10%が維持される見込みです。

この結果、食料品と外食の税率差は現行の2%(8%vs10%)から9%(1%vs10%)に拡大します。税抜き価格が同じ食材を使った料理を例にとると、食料品(中食・内食)の税込み価格は現在の1.08倍から1.01倍へ下がる一方、外食は1.10倍のまま。外食は内食・中食に比べ約8.9%割高になる計算です(現在は約1.9%)。消費者が「スーパーの弁当よりランチ外食のほうが割高」と感じやすくなり、外食から内食・中食へのシフトが加速するリスクがあります。

外食が減税対象に含まれない理由

なぜ外食は対象外になるのでしょうか。政府・与党内では主に次の点が挙げられています。

サービス業として区分されるため:税法上、外食は食料品の「販売」ではなく「飲食サービスの提供」と定義されます。軽減税率はあくまで食料品の「販売」を対象とするため、制度の趣旨から外れると判断されています。

富裕層優遇の批判を避けるため:高級レストランも外食に含まれるため、対象に加えると「高収入者ほど恩恵が大きい」との批判につながります。自民党幹部も「高級レストランで食事する富裕層への恩恵が大きくなる」と懸念を示しています。

日本フードサービス協会は「外食も対象に含めるべき」と強く要望し続けていますが、政府・与党内では見送りの公算が大きい状況です。

外食企業の7割が「マイナス影響あり」と回答

日本経済新聞社が行った飲食業調査では、食料品の消費税減税が業績にマイナスの影響を与えるとみる企業が7割に上りました。特に、ファストフードやファミリーレストランなど「日常的な外食」ほど内食・中食に代替されやすく、客足が遠のくリスクが高いと分析されています。

こうした状況を踏まえ、大手チェーンでは店内飲食から持ち帰り・デリバリーへのシフトを戦略に据える動きも出ています。持ち帰りは軽減税率の対象となるため、税率差の影響を受けにくいからです。

政府・与党が検討する「外食向け補助金支援」の中身

こうした外食業界の打撃を緩和するため、政府・与党は補助金支援の検討に入りました。2026年6月4日に共同通信が独自に報じた内容をもとに整理します。

補助金の財源:食料品消費税1%分の税収(年間約6000億円)を補助金などの形で外食業界などに還元し、「実質的なゼロ」に近づけるスキームが念頭に置かれています。

対象と支給方法:現時点では対象となる事業者の要件・支給額・申請方法はいずれも未定です。政府は「2026年度内に具体策を固める」としており、2027年4月の実施時点で補助金制度が整備されているかどうかは現状では不透明です。

高市首相は6月下旬にも消費税率と補助金パッケージの全体像について最終判断を示す予定です。飲食店経営者は、この最終判断の内容を注視しておくことが重要です。

中小農家への補助も検討——供給サイドの打撃にも対応

補助金の検討は飲食店だけでなく、中小の農水産業者にも及びます。食料品の税率が下がれば生産物は割安になる一方、外食需要が落ち込めば飲食店向けに食材を出荷する生産者の手取りが減少する恐れがあるためです。

政府は2026年度内に農水産業者向けの支援策も具体化する方針ですが、こちらも現時点では詳細は固まっていません。

税抜き価格交渉が鍵――仕入れコスト削減を確実に手元に残すために

食料品の消費税が1%に下がれば、仕入先への支払い(税込み価格)は下がります。一方、国への消費税納税額(売上消費税から仕入税額控除を差し引いた分)は増えますが、その増加分は仕入れ支払いの減少分と同額です。つまり、税抜き価格が変わらない限り、飲食店のキャッシュ負担は変わりません(国への納税が増える分、業者への支払いが同額減る)。

ただし、注意すべきケースがあります。仕入先が「税込み価格をそのまま維持する」(税率引き下げ分を業者側が吸収する)場合です。このとき飲食店は支払額が下がらないのに控除額だけが減り、実質的な負担増になります。食料品の税率変更に際しては、仕入先との「税抜き価格」での契約内容を確認・交渉しておくことが重要です。

取引先との価格条件の見直しについては、顧問税理士や中小企業診断士に早めに相談することをおすすめします。

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飲食店オーナーが今から備えるべきこと

補助金の詳細がまだ固まっていない段階でも、今から準備できることがあります。

① 持ち帰り・デリバリー比率の見直し:テイクアウトは食料品と同様に軽減税率が適用されるため、税率差の影響を受けにくい販売チャネルです。店内飲食との構成比を早めに検討しておくと、制度変更後の対応に余裕が生まれます。

② 価格戦略のシナリオ整理:「値下げして客数を守るか、付加価値を上げて客単価を守るか」、制度実施前にシナリオを描いておくことが重要です。補助金の対象要件が固まった際には、すぐに申請できる体制を整えておきましょう。

③ 税務影響の早期試算:仕入税額控除の変化が自社の納税額にどう影響するか、顧問税理士と確認しておきましょう。補助金の申請についても、情報が公開された時点で即座に動けるよう、取引関係・規模・売上状況を整理しておくことが大切です。

参照:共同通信「外食、中小農家に補助検討 政府与党、消費減税巡り」(2026年6月4日)

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