e-Taxが緊急停止、11月10日の源泉所得税はどう納める?期限は延びる?会社と個人が今確認したいこと

[取材/文責]マネーイズム編集部

国税の電子申告・納税システム「e-Tax」が、2026年11月4日から緊急メンテナンスで使えなくなっています。国税庁は「不審な通信を検知した」と説明しており、再開時期は11月5日朝の時点で示されていません。SNSには「昼休みに納税しようとしたらメンテ中」「年末調整できない」といった声が上がりました。

結論から言うと、期限が自動で延びると考えるのは危険です。直近の期限は11月10日の源泉所得税で、e-Taxを使えない間に確実なのは、納付書を持って金融機関や税務署の窓口で納める方法です。一方、常時10人未満で納期の特例を受けている会社の給与分は翌年1月20日が期限で、今回は慌てる必要がありません。

本記事では、e-Tax停止の事実関係、影響する期限、期限延長の仕組みと2022年の前例、停止中の納付方法、申告書を書面で出せるかどうかを解説します。なお、本記事の内容は2026年11月5日朝時点の情報です。再開や期限の扱いは、国税庁の発表で最新の状況を確認してください。

1. e-Taxに何が起きているのか

ここでは、現時点で分かっていることと、分かっていないことを分けて解説します。

項目 分かっていること 情報源
理由 「不審な通信を検知したため」確認のための機器メンテナンスを実施 e-Taxのお知らせ(11月4日19時追記)
開始時刻 11月4日午前11時40分ごろから 時事通信
利用 メンテナンス期間中はe-Taxを利用できない e-Taxのお知らせ
再開時期 未定。改めてホームページで知らせるとしている e-Taxのお知らせ
情報流出 納税者情報の流出などは「確認されていない」と国税庁が説明 時事通信(お知らせの本文には記載なし)

不審な通信の具体的な内容や原因は、e-Taxのお知らせには書かれていません。また、期限の扱いや代わりの手続きについても、e-Taxのお知らせには11月5日朝の時点で書かれていません。

e-Taxでは10月30日にも、午前10時ごろから接続しづらい事象が発生し、その後解消したと案内されていました。今回の停止との関係については、国税庁のお知らせでは触れられていません。

2. 影響が出そうな期限はいつか

ここでは、e-Taxの停止が長引いた場合に関係する主な期限について解説します。

期限 手続き 対象になる人
11月10日(火) 10月に支払った給与などの源泉所得税の納付 納期の特例を受けていない会社・個人事業主
11月30日(月) 法人税・消費税の確定申告と納付 9月決算の法人
11月30日(月) 所得税の予定納税(第2期分) 予定納税の通知を受けた個人
令和9年1月12日(火) 年末調整分を含む源泉所得税の納付 納期の特例を受けていない会社など
令和9年1月20日(水) 7〜12月分の源泉所得税の納付 納期の特例を受けている会社など
令和9年2月1日(月) 源泉徴収票などの法定調書の提出 給与などの支払者

いちばん近いのは11月10日の源泉所得税です。給与を支払った月の翌月10日までに納めるのが原則だからです。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けている場合、7〜12月の給与や税理士などへの一定の報酬から源泉徴収した分は、翌年1月20日が期限です。特例の対象にならない報酬を支払っている場合は、別に翌月10日の期限があるので注意してください。

予定納税については、予定納税の記事も参考にしてください。

3. e-Taxが止まると期限は延びるのか

ここでは、期限延長の仕組みと、e-Taxの障害で実際に延長された2022年の前例について解説します。

法律上は延長の仕組みがある

国税通則法第11条は、災害その他やむを得ない理由で期限までに手続きができないとき、その理由がやんだ日から2か月以内に限って期限を延長できると定めています。施行令では、延長の方法が次の3つに分かれています。

種類 内容
地域指定 地域と期日を指定して延長する
対象者指定 電子情報処理組織を使う申告など、特定の行為ができない人が多数にのぼるとき、対象者の範囲と期日を指定して延長する
個別指定 手続きをすべき人の申請により、期日を指定して延長する

e-Taxの障害は、このうち対象者指定や個別指定の話になり得ます。ただし、今回の停止について、11月5日朝の時点で国税庁による延長の発表は確認できません。「e-Taxが止まったのだから当然延びる」と決めつけず、発表を確認しながら動く必要があります。

2022年は個別の延長で対応した

前例は2022年3月です。所得税の確定申告の期限間際にe-Taxの接続障害が起き、国税庁は次のように対応しました。詳しくは当時の記事で解説しています。

  • 申告書に「e-Taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記載して提出すれば、個別に延長できる
  • 延長は4月15日まで
  • 対象は申告所得税と贈与税で、消費税は対象外

ここで注目したいのは、消費税が対象から外れたことです。e-Taxの障害だからといって、すべての税目が同じ扱いになるとは限りません。また、今回は不審な通信の検知による停止で、時期も確定申告の期限間際だった2022年とは異なるので、同じ対応になるかどうかは分かりません。

使えなかった証拠を残しておく

個別指定を申請するときは、理由がやんだ後の相当の期間内に、理由を書いた書面で行う決まりです。また、電子申告義務のある法人向けのQ&Aでは、書面で提出する特例の申請に添える書類の例として、社内のインターネット環境の障害で送信できないことが分かる画面のコピーを挙げています。期限の延長やe-Tax側の障害について書かれたものではありませんが、期限が迫っている人は、エラー画面や確認した日時を控えておくと安心です。

4. 11月10日の源泉所得税はどう納めるか

ここでは、e-Taxを使えない間の納付方法と、間に合わなかったときの負担について解説します。

給与の源泉所得税は窓口が現実的

国税の納付方法はいくつもありますが、給与などの源泉所得税(所得税徴収高計算書を出して納めるもの)は、使える方法が限られます。

納付方法 e-Tax停止中の給与の源泉所得税
金融機関・税務署の窓口 ○ 現金に納付書を添えて納める
ダイレクト納付・インターネットバンキング × 新たに納める分は、e-Taxでの徴収高計算書データの送信が前提のため
スマホアプリ納付 × 徴収高計算書データをe-Taxで送信した後の受信通知からアクセスする方法のため
クレジットカード納付 × 納税の告知を受けていない場合は、e-Taxから手続きする案内のため
コンビニ納付(QRコード) × 徴収高計算書による源泉所得税は利用できない

つまり、11月10日までにe-Taxが再開しなければ、窓口で納めるのが確実です。普段ダイレクト納付を使っていて納付書が手元にない会社は、早めに所轄の税務署に相談してください。給料日や銀行の営業時間を考えると、期限の前日までに動いておくと安心です。

なお、停止前にデータを送信済みの分は事情が異なります。国税庁は、金融機関のインターネットバンキングやATMで納付区分番号などを入力して納める方法も案内していますが、停止中に使えるかどうかや、自動ダイレクト・期日指定の引き落としの扱いについての説明は、11月5日朝の時点で確認できません。送信済みの会社は、金融機関や所轄の税務署に確認してください。

予定納税や法人税など源泉所得税以外の税金で、納付額が30万円以下なら、コンビニ納付(QRコード)も候補になります。QRコードはe-Tax以外の国税庁の画面でも作れる案内ですが、停止中に作成画面が使えるかは確認が必要です。店頭では現金のみで、対応店舗も限られます。

間に合わなかったときの負担

源泉所得税を期限までに納めないと、原則として不納付加算税がかかります。税率は次のとおりです。50万円の納付が遅れた場合で計算すると、負担感がつかめます。

納付した時期 不納付加算税 50万円の場合
税務署の告知の後 10% 5万円
告知を予知せず自主的に納付 5% 2万5,000円
納期限から1か月以内で、期限内に納める意思があったと認められる一定の場合 かからない 0円

このほか、期限までに納付しなかったことに正当な理由があると認められる場合も、不納付加算税はかかりません。ただし、今回の停止がこれにあたるかどうかについて、国税庁の説明は11月5日朝の時点で確認できません。また、延滞税の割合は2026年中で、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、それ以後が年9.1%です。

5. 申告書は書面で出せるのか

ここでは、e-Taxで申告している会社が、停止中に書面で提出できるかどうかについて解説します。

資本金1億円以下の一般的な中小企業は書面で出せる

法人税と消費税の電子申告の義務があるのは、事業年度開始の時の資本金が1億円を超える法人や、相互会社・投資法人・特定目的会社などです。法人税では、グループ通算制度を使う通算法人も資本金にかかわらず対象です。これらに当たらない資本金1億円以下の一般的な中小企業は、書面での提出もできます。

書面を郵便で出す場合、申告書は通信日付印(消印)の日に提出したものとみなされます。ただし、これは書類の提出の話で、納付は別です。申告書を郵送しても、税金は期限までに納める必要があります。顧問税理士に申告を任せている場合は、e-Taxが再開しないときの段取りを早めに確認しておきましょう。

電子申告が義務の法人は事前の承認が必要

資本金1億円超の法人などは、電気通信回線の故障や災害などでe-Taxを使うことが困難な場合に、所轄税務署長の承認を受ければ書面で提出できます。承認には事前の申請が必要です。期間の開始の日までに承認も却下もなければ、承認があったものとみなされます。11月30日が期限の9月決算法人は、再開の状況を見ながら所轄の税務署に相談してください。

6. 年末調整は止まるのか

ここでは、SNSで声が上がっている年末調整への影響について解説します。

年末調整のうち、従業員が控除申告書を作って会社に出す作業は、そもそもe-Taxへの送信を前提とするものではありません。国税庁の年調ソフトで作ったデータは、印刷するか、メールやUSBメモリなど勤務先が指定した方法で提出します。ただし、住宅ローン控除の証明書をデータでe-Taxのメッセージボックスから受け取る人や、e-TaxのホームページにあるシステムでQRコード付の控除証明書を作る人は、停止中に使えない可能性があります。提出が間に合わなそうなときは勤務先に相談してください。

一方で、年末調整の結果を税金として納めるのは翌年1月、法定調書の提出は令和9年2月1日です。今回の停止がいつまで続くかは分かりませんが、期限まではまだ時間があります。なお、e-Taxに関連する機能を組み込んだ給与ソフトやクラウドサービスを使っている会社は、提供元の案内も確認してください。

7. 再開したら確認したいこと

ここでは、e-Taxの再開後にやっておきたいことと、便乗の詐欺への注意点について解説します。

送信した手続きが受け付けられたか

11月4日の停止前後に申告や納付の手続きをしていた人は、再開後にメッセージボックスで受信通知を確認しましょう。10月30日の接続障害でも、一部の申告や納税の手続きが正常に完了していない可能性があるとして、国税庁は受信通知の確認を求めていました。10月30日に手続きをした人も、確認がまだなら合わせて見ておくと安心です。

「再登録」「緊急」をうたうメールに注意

今回の停止に便乗した詐欺を確認したわけではありませんが、話題になっている時期は注意が必要です。e-Taxは、「税務署からのお知らせ」メールにファイルを添付することはなく、e-Taxから送るメールの本文には原則としてURLを載せないと案内しています。国税庁は、国税の納付の求めや差押えについて、ショートメッセージやメール、LINEで連絡することはないとも説明しています。

再開の情報は、メールやSNSのリンクからではなく、ブックマークや検索から開いたe-Taxの公式サイトで確認してください。

まとめ

e-Taxは2026年11月4日に不審な通信を検知したとして緊急メンテナンスに入り、11月5日朝の時点で再開時期は示されていません。期限の延長の発表も、この時点では確認できません。

  • 直近の期限は、11月10日の源泉所得税
  • 給与の源泉所得税は、e-Taxが再開しなければ窓口での納付が確実
  • 常時10人未満で納期の特例を受けている会社の給与分は、翌年1月20日が期限
  • 資本金1億円以下の一般的な中小企業は、申告書を書面で提出できる(通算法人などは除く)
  • 2022年は個別の延長が認められたが、消費税は対象外だった。今回も同じとは限らない
  • 再開後は受信通知を確認し、便乗メールのリンクは開かない

まずは自社の次の期限を確かめ、国税庁の発表を確認しながら、窓口での納付や書面での提出の準備を進めておきましょう。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

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