税務調査の焦点

税務調査の焦点

2010/9/15

 
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今回は、経営者なら誰しも気になる税務調査の対応について、平先生にお話を伺います。よろしくお願いします。早速ですが税務調査は突然やってくるのですか?
いえ、まず顧問税理士に税務署から該当納税者の調査をしたいとの電話アポイントがあるところから始まります。通常は連続した2日間を依頼されますが、該当納税者の都合が優先されますので、とりあえず1日とか、連続でなくても大丈夫です。
電話が入るのですね。でしたら心の準備もできますね。
ただ、税務調査の事前連絡は義務ではありません。該当納税者に直接電話があったり、税務職員が突然訪問してくる場合もあります。しかし強制権はないので、即日の対応を断ることもできます。また顧問税理士でなくても税務調査に立ち会ってもらうことができます。
調査官は何人ぐらいで来られるのですか?
税務調査には調査官2人で来ることが多いようです。訪問時に身分証を開いて提示してきますので、必ず確認しましょう。事前連絡がない場合には、直接税務署に電話して確認するのもよいでしょう。
なるほど。まず世間話でもしたらいいのでしょうか?
そうですね。税務調査の序盤(30分~1時間)では、税務調査官は雑談めいた話から該当納税者の経歴や人となり、仕事ぶり、付き合いの程度等を把握しようとしてきます。ベテランの調査官には、巧く話を引き出してくる方もいらっしゃいますので、聞かれたことだけに素直に答えればいいでしょう。
実際に税務調査が始まったらどうしたらいいですか?
税理士が立ち会っている場合は、該当納税者はこのタイミングで仕事に戻ります。事業所から外出することは避けて頂きたいですが、調査を受けている間は普通に仕事をして頂いて結構です。そのために税理士が立ち会っているのですから。
同席していなくてもいいのですね。どんなことを調べられるのでしょう?
税務調査で調べるのは、通常、過去3年分の申告書、総勘定元帳、原始帳票(領収書や請求書)です。正しく帳簿が作られ、それに基づいて正しい申告がされているかを調べに来るのですから、ちゃんとやっている方は何も恐れる必要はないのです。また、一番最近のものが適正であれば、その前のことはしっかりチェックしないケースも多いんですよ。しかし、事業目的と直接的な関連性がない支出が計上されていれば、その経費は否認されます。
たとえばどういった経費ですか?
交際費や会議費、福利厚生費等はよく調べますね。俗に“おみやげ”と呼ばれていますが、法律上、家事関連費に該当する経費が多いのが現実です。経費にしてはいけないものが経費に入っているから否認されるんです。最近では、実態が給与なのに形の上だけ外注費にして消費税を減らしている場合もあるので、給与関係を調べていくことも多いですね。領収書や契約書に印紙が貼っているかを調べるケースも多くなっています。
調査官の方はいろいろ細かく聞いてくるんでしょうか?
はい、調査が進んでくると、納税者への質問やこの資料を見たいとのリクエストが出てきます。これには即答しなくても大丈夫です。その日のうちに答えられるのがベターですが。調査官が帰る間際に宿題として出していくことも多いようです。また、コピーを依頼されることも多いです。法律上は閲覧筆写等、見て書き写すことが原則なんですがね。コピーの量が多い時にはコピー代を払うこともあります。
2日間で調査は終わりますか?
問題点が出てこなければ、それで調査は終わりです。ただ、多くの場合は何らかの問題点を指摘されるようです。そこは調査官との駆け引きになりますが、行政指導だけで終わるか、修正申告を求められるかは問題の程度によります。
指摘されたことには素直に応じるしかないんでしょうか?
もし調査で指摘された内容に納得できない場合は“ゼッタイ”に修正申告に応じてはいけません。修正申告に応じなければ、税務署は課税処分を行います。この課税処分を裁判で争うことはできますが、修正申告は、自分の否を認めた自白と同じですから、裁判所は受けつけません。納得できないまま修正申告して、後になって文句を言っても後の祭り。調査の時に納得できるまで説明してくれるよう調査官か税理士にお願いしましょうね。
ありがとうございました。

平仁

税理士

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