調査を怖がらない、敵対しない
~「税務調査」にはこう臨む・その3~
調査を怖がらない、敵対しない  ~「税務調査」にはこう臨む・その3~

2019/4/17

 
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できれば勘弁願いたい税務調査。でも、運悪く?対象になった場合には、やってくる調査官に対して、どのような対応をすればいいのでしょうか? ひたすら税務署の言うことをおとなしく聞く。あるいは、なめられないように身構える。「どちらも違います」と税理士法人エム・エム・アイの高橋節男先生は話します。

税務署員は「国の営業マン」である

税務調査官と聞けば、怖いイメージも浮かびます。実際に調査にやってくる人たちの態度は、どんな感じなのですか?
彼らも人間ですから、いろんなタイプがいます。ただ、多くは紳士的に対応してくると言っていいと思います。他の公務員よりも、世間一般の常識をわきまえているというのが、私の印象(笑)。
 なぜなら、彼らは国民からお金をいただく、言ってみれば「国の営業マン」なんですね。多額の脱税が明らかならばともかく、借金取りではないのです。だから、怖がる必要はありません。反対に、「何しに来た」みたいに喧嘩腰で臨んだら、相手の心証を悪くするだけ。
まさに調査官も感情を持つ人間だから、そういうことが調査の中身に響かないとも限らないわけですね。
もう1つ、調査官も「宮仕え」である、ということを理解するのも重要です。調査にやって来るのは、たいてい1人か2人なのですが、彼らは5~6人のチームの一員で、上には統括官がいます。この人は、普通は現場に来たりはしません。
署にいて調査の結果報告を待っている。
そうです。調査官は、現場で話を聞き、資料を集めて統括官に報告を行い、納得させる必要があります。そうでないと、調査を終えることができないわけです。要するに、税務調査では、統括官を納得させられるだけの材料を求めているんですよ。
 ですから、自らが不当な扱いを被らない範囲で材料を提供すれば、調査は終わります。逆に出すべき資料を出し渋ったりすると、深みにはまっていく危険性もある。「調査官はセールスマン」「宮仕えは大変だろうから、協力するところはしよう」くらいの心持ちで対応するのが、スムーズに事を進めるコツです。
ただ、実際には「協力できない状況」が生じる可能性もありますよね。調査官の言うことに、納税者のほうが納得できないとか。
そういう場合は、話は別です。決して「納得」しないでください、とお客さまにも言うんですよ。調査官が法律論を振りかざしたりしても、商取引の常識などからして「おかしい」と感じたら、妥協する必要はありません。
 前回も言いましたが、納税者が認めたら、それで調査は終了です。もう税理士の出る幕もなくなってしまうことに、注意しましょう。

どうしても納得できなかったら、どうする?

納税者は納得できない、税務署も退かない。その場合には?
税務署の更正決定(※)に納得がいかない時には、「国税不服審判所」に審査を求めることができます。国税当局出身者のほか、弁護士、公認会計士、税理士などが審判官を務めるのですが、この場で税務署の決定が覆ることもあります。
いざという時の手段があるのは、心強いです。
この国税不服審判所の審判にも不満な時には、正式な裁判に打って出る道もあります。(表)に税務調査のフローチャートを示しておきました。

この流れとは別に、請願法に基づいて、調査官の所属する税務署の署長宛てに請願書を提出するという方法もあります。公務員としてあるまじき態度を取ったり、理不尽な議論を吹きかけてきたりした場合に選択できる、納税者の最後の手段ともいえるものです。
 この“伝家の宝刀”を、私自身、かつて抜いたことがありました。個人事業とは別に会社を持って仕事をしていた時に、税務調査が入ったんですね。個人と法人の経費の案分が問題にされて、個人に課税する、と。ならば、当然法人のほうは納税額が減るだろうという話をしたら、「私は個人の担当で、法人のことはわかりません」と、滅茶苦茶なことを言うのです。

それはひどい調査官ですね。
「懲戒免職が相当だ」という請願書を出したら、すぐに謝罪に飛んできました。法律に基づく請願が受理されたら、公務員としては大きな痛手ですから、「取り下げてもらいたい」と。不当な課税も、是正されましたよ。
ノウハウを知り尽くしたプロでは、相手が悪かった(笑)。経験のある専門家のサポートがいかに心強いものなのか、そうしたお話からもよくわかります。

※更正決定
税務署が強制的に不足税額を確定すること。

髙橋節男(税理士)

税理士法人エム・エム・アイ 代表社員
創業50年以上の会計事務所。複数の税理士の他、FPや経営革新等支援機関のコンサルタントら、それぞれの専門分野を持ったスペシャリストがお客様の要望に応えている。『皆で幸せになろう』を経営理念に掲げ、お客様の120%満足を目指す。
URL:https://www.mmigr.jp/

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