クラウド会計の先にあるもの
~「フィンテック会計」で、納税はどう変わる?
・その1~
クラウド会計の先にあるもの  ~「フィンテック会計」で、納税はどう変わる?  ・その1~

2019/4/18

 
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ここ数年「フィンテック」という言葉を耳にするようになりました。金融の技術革新を指すのですが、当然のごとく、会計の世界にも大きな変革をもたらそうとしているようです。今回は、その現状を中心に、民間企業のSE(システムエンジニア)として金融取引所のシステム構築に携わった、という異色の経歴を持つ古川孝之先生(公認会計士税理士古川事務所)に、お話をうかがいました。

実は曖昧なその定義

先生の事務所のホームページには、代表者の欄に「関心分野:フィンテック会計」とあります。
大学卒業後、大手IT企業の文系のSEとして、立ち上げの時期にあった金融先物取引所のシステム開発をやっていました。その後、会計の分野に興味を持ち、今の仕事に就きました。そういうバックグランドもあって、フィンテックというものが今後この分野でどのように進んでいくのかに、非常に関心があるのです。
 
税理士である以上、税務のあれこれが大事であることは、言うまでもないでしょう。ただ、個人的には、そうした会計システムの大変革も見据えつつ、より幅広く長期的な視点を持って仕事に取り組んでいきたい。そういう気持ちもあって、あえてプロフィールに書き加えたわけです。
そんな先生に、まず、そもそも「フィンテックとは何か?」からうかがいたいと思います。
「フィンテック」=FinTechは、「金融」=Financeと「技術」=Technologyの造語なんですね。金融サービスとIT(情報技術)を融合させた、様々な革新的な動きのことを言います。ここまでお聞きになってわかると思いますが、とても幅広い概念なんですよ。
 
ですから「フィンテック会計」といっても、実体は非常に漠然としています。現状の受け取られ方は、「クラウド会計」と大して違いはないと思います。
インターネット上のサーバーを使って入力作業を行い、データもネット上に保管されるのが、クラウド会計です。
従来のスタンド・アローン型の会計ソフトとは違い、パスワードを知っている人間ならば、誰でもアクセスして情報を見たり、作業をしたりすることが可能。もちろん、税理士も入っていくことができますから、お客さまが更新した中身を、タイムリーに把握することができるんですね。今フィンテック会計と言われているのは、そこに金融の要素が絡んできたもの、というのが私の認識です。
具体的には、どういう仕組みを指すのでしょうか?
クラウド会計は、個々の社員が直接ネット上のサーバーで入力作業を行うことなどにより、経理担当者の負担を大幅に軽減します。でも、入力作業自体は残りますよね。その作業の多くを不要にできる可能性を秘めるのが、フィンテック会計なのです。
 
大きなポイントは、今まで不可能だった金融口座へのアクセスが可能になることです。そこからお金のやり取りのデータを取り込んで数値化し、そのまま仕訳に反映させるわけですね。クレジットカードやスマホによる自動決済のデータも、同様に取り込むことができます。
確かに、それだと1つひとつの決済を手で入力する必要はなくなります。

個人で増えるフィンテック会計の利用

そうした会計ソフトを使うケースは、着実に増えているのでしょうか?
そうですね。私のお客さまでも、特に個人事業の場合、クラウド会計を使う方が増えてきています。個人は、会計処理などがそれほど複雑ではありませんから、自分で入力したり、データを取り込んだりというのも、比較的楽なんですね。逆に言うと、現状では、中堅以上の企業の場合、どうしても処理が複雑化して、人手のかかる作業が残ってしまう。会計をクラウドに、フィンテックにという流れは、個人や小規模事業者から進んでいくのだろうと考えています。
そうした会計のIT化は、税理士の先生にとっては、どんな意味がありますか?
記帳代行(※)などを機械に取って代わられるという点に、危機感を募らせている先生もいるようです。ただ、お客さまの税務や経営をサポートするという仕事に関して言えば、メリットは大きいと思いますね。
 
さきほども言ったように、お客さまからいちいち資料を送ってもらわなくても、データは「自動的に」更新されるわけですから、非常に楽なうえに、リアルタイムの状況がわかります。だから、的確なアドバイスも、速やかに行いやすい。
 
もちろん、お客さま本人も、自らの事業の数字を、短い期間でより正確に把握することができます。基礎データを入れていけば、ボタン1つで確定申告の申告書を作成してくれたり、あるいは仕分けの金額が不自然な場合などにアラートを出してくれる機能を備えていたりするソフトもありますから、自分にあったものを選べば、大いに役に立ってくれるのではないでしょうか。
そうしたメリットが理解されれば、フィンテック会計の採用に拍車がかかりそうですね。
ただし、普及のためには、克服すべき社会的な課題もあるんですよ。次回は、そのあたりの話をしてみたいと思います。
※記帳代行
申告などに必要な帳簿作成業務を、税理士や外部の業者が代行するサービス。

古川孝之(公認会計士・税理士)プロフィール

公認会計士税理士古川事務所 所長
『決算書が判る経営者になって頂きたい』と願い、法人・個人を問わず様々な業種の経営者の方の疑問を紐解き、最終的に決算書の数値がしっくりと理解できるように助言されている。税務だけでなく、M&Aや知財にも見識を持たれ、また、過去にシステムエンジニアでの職務経験から、フィンテック会計には関心がある。
URL:http://www.furukawa-cpa.com

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